怪人二十面相22 江戸川乱歩

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プレイ回数2461難易度(5.0) 2783打 長文
少年探偵団シリーズ1作目
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 ねね 4251 C+ 4.3 96.8% 635.3 2791 90 41 2024/04/03

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問題文

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(このかんのんさまにへんそうしたじんぶつがなにものであるかは、どくしゃしょくん、)

この観音さまに変装した人物が何者であるかは、読者諸君、

(とっくにごしょうちでしょう。こばやししょうねんはかいとうにじゅうめんそうをむこうにまわして、)

とっくにご承知でしょう。小林少年は怪盗二十面相を向こうにまわして、

(みごとなしょうりをおさめたのです。そのうれしさは、どれほどでしたろう。)

見事な勝利を収めたのです。その嬉しさは、どれほどでしたろう。

(どんなおとなもおよばぬおおてがらです。 ところが、かれがいま、2、3ほで)

どんな大人も及ばぬ大手柄です。  ところが、彼が今、二、三歩で

(へやをでようとしていたとき、とつぜん、いようなわらいごえがひびきわたりました。)

部屋を出ようとしていた時、突然、異様な笑い声が響き渡りました。

(みると、ろうじんすがたのにじゅうめんそうが、おかしくてたまらぬというように、おおぐちあいて)

見ると、老人姿の二十面相が、可笑しくて堪らぬというように、大口開いて

(わらっているのです。 ああ、どくしゃしょくん、まだあんしんはできません。)

笑っているのです。  ああ、読者諸君、まだ安心はできません。

(なにしおうかいとうのことです。まけたとみせて、そのじつどんなさいごのきりふだを)

名にし負う怪盗のことです。負けたと見せて、その実どんな最後の切り札を

(のこしていないともかぎりません。 「おやっ、きさま、なにがおかしいんだ」)

残していないともかぎりません。 「おやっ、きさま、何がおかしいんだ」

(かんのんさまにばけたしょうねんは、ぎょっとしたようにたちどまって、ゆだんなく)

観音さまに化けた少年は、ギョッとしたように立ち止まって、油断なく

(みがまえました。 「いや、しっけい、しっけい、きみがおとなのことばなんかつかって、)

身構えました。 「いや、失敬、失敬、君が大人の言葉なんか使って、

(あんまりこまっちゃくれているもんだから、ついふきだしてしまったんだよ」)

あんまりこまっちゃくれているもんだから、つい吹き出してしまったんだよ」

(ぞくはやっとわらいやんで、こたえるのでした。 「というのはね。おれはとうとう)

賊はやっと笑いやんで、答えるのでした。 「というのはね。俺はとうとう

(きみのしょうたいをみやぶってしまったからさ。このにじゅうめんそうのうらをかいて、これほどの)

君の正体を見破ってしまったからさ。この二十面相の裏をかいて、これほどの

(げいとうのできるやつは、そうたんとはないからね。じつをいうと、おれはまっさきに)

芸当の出来る奴は、そうたんとはないからね。実を言うと、俺は真っ先に

(あけちこごろうをおもいだした。 だが、そんなちっぽけなあけちこごろうなんて)

明智小五郎を思いだした。  だが、そんなちっぽけな明智小五郎なんて

(ありゃしないね。きみはこどもだ。あけちりゅうのやりかたをえとくしたこどもといえば、)

ありゃしないね。君は子どもだ。明智流の遣り方を会得した子どもと言えば、

(ほかにはない。あけちのしょうねんじょしゅのこばやしよしおとかいったっけな。ははは・・・・・・、)

ほかにはない。明智の少年助手の小林芳雄とかいったっけな。ハハハ……、

(どうだ、あたったろう」 かんのんぞうにへんそうしたこばやししょうねんは、ぞくのめいさつに、)

どうだ、あたったろう」  観音像に変装した小林少年は、賊の明察に、

(ないしんぎょっとしないではいられませんでした。しかし、よくかんがえてみれば、)

内心ギョッとしないではいられませんでした。しかし、よく考えてみれば、

など

(もくてきをはたしてしまったいま、あいてになまえをさとられたところで、すこしもおどろくことは)

目的を果たしてしまった今、相手に名前を悟られたところで、少しも驚く事は

(ないのです。 「なまえなんかどうだっていいが、おさっしのとおりぼくは)

ないのです。 「名前なんかどうだっていいが、お察しの通り僕は

(こどもにちがいないよ。だが、にじゅうめんそうともあろうものが、ぼくみたいなこどもに)

子どもに違いないよ。だが、二十面相ともあろう者が、僕みたいな子どもに

(やっつけられたとあっては、すこしなおれだねえ。ははは・・・・・・」)

やっつけられたとあっては、少し名折れだねえ。ハハハ……」

(こばやししょうねんはまけないでおうしゅうしました。 「ぼうや、かわいいねえ・・・・・・。)

小林少年は負けないで応酬しました。 「坊や、かわいいねえ……。

(きさま、それでこのにじゅうめんそうにかったつもりでいるのか」 「まけおしみは)

貴様、それでこの二十面相に勝ったつもりでいるのか」 「負け惜しみは

(よしたまえ。せっかくぬすみだしたぶつぞうはいきてうごきだすし、だいやもんどは)

よしたまえ。せっかく盗み出した仏像は生きて動きだすし、ダイヤモンドは

(とりかえされるし、それでもまだまけないっていうのかい」 「そうだよ。)

取り返されるし、それでもまだ負けないって言うのかい」 「そうだよ。

(おれはけっしてまけないよ」 「で、どうしようっていうんだ!」)

俺は決して負けないよ」 「で、どうしようっていうんだ!」

(「こうしようというのさ!」 そのこえとどうじに、こばやししょうねんはあしのしたのゆかいたが、)

「こうしようというのさ!」  その声と同時に、小林少年は足の下の床板が、

(とつぜんきえてしまったようにかんじました。 はっとからだがちゅうにういたかとおもうと)

突然消えてしまったように感じました。  ハッと身体が宙に浮いたかと思うと

(そのつぎのしゅんかんにはめのまえにひばながちって、からだのどこかがおそろしいちからで)

その次の瞬間には目の前に火花が散って、身体のどこかが恐ろしい力で

(たたきつけられたような、はげしいいたみをかんじたのです。 ああ、なんという)

叩き付けられたような、激しい痛みを感じたのです。  ああ、何という

(ふかくでしょう。ちょうどそのとき、かれがたっていたぶぶんのゆかいたが、おとしあなの)

不覚でしょう。ちょうどその時、彼が立っていた部分の床板が、落とし穴の

(しかけになっていて、ぞくのゆびがそっとかべのかくしぼたんをおすとどうじにとめがねが)

仕掛けになっていて、賊の指がソッと壁の隠しボタンを押すと同時に留め金が

(はずれ、そこにまっくらなしかくいじごくのくちがあいたのでした。 いたみにたえかねて)

外れ、そこに真暗な四角い地獄の口が開いたのでした。  痛みに耐えかねて

(みうごきもできず、くらやみのそこにうつぶしているこばやししょうねんのみみに、はるかうえのほうから)

身動きも出来ず、暗闇の底にうつ伏している小林少年の耳に、遥か上の方から

(にじゅうめんそうのこきみよげなちょうしょうがひびいてきました。 「ははは・・・・・・、おいぼうや、)

二十面相の小気味よげな嘲笑が響いてきました。 「ハハハ……、おい坊や、

(さぞいたかっただろう。きのどくだねえ。まあ、そこでゆっくりかんがえてみるがいい。)

さぞ痛かっただろう。気の毒だねえ。まあ、そこでゆっくり考えてみるがいい。

(きみのてきがどれほどのちからをもっているかということをね。ははは・・・・・・、)

君の敵がどれほどの力を持っているかということをね。ハハハ……、

(このにじゅうめんそうをやっつけるのには、きみはちっととしがわかすぎたよ。ははは・・・・・・」)

この二十面相をやっつけるのには、君はちっと年が若すぎたよ。ハハハ……」

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