バスカヴィル家の犬34

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投稿者投稿者桃仔いいね0お気に入り登録
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シャーロックホームズシリーズ
アーサーコナンドイルの作品です。句読点以外の記号は省いています。

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問題文

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(だいじゅっしょう わとそんはかせのにっきのばっすい)

第十章 ワトソン博士の日記の抜粋

(ここまでは、わたしがばすかヴぃるかんにきてまもないころにしゃーろっくほーむずあてに)

ここまでは、私がバスカヴィル館に来て間もない頃にシャーロックホームズ宛に

(だしたてがみをいんようするというかたちで、はなしをすすめてくることができた。しかしものがたりは)

出した手紙を引用するという形で、話を進めてくることができた。しかし物語は

(このほうほうをつづけられないばめんにさしかかったので、ここからさきは、とうじ)

この方法を続けられない場面に差し掛かったので、ここから先は、当時

(かいていたにっきをさんこうにしながら、もういちどじぶんのきおくりょくをもとにかきすすめていく)

書いていた日記を参考にしながら、もう一度自分の記憶力を元に書き進めて行く

(ことにしよう。にっきをばっすいしてみると、あらゆるしょうさいまできおくにやきつけられた)

ことにしよう。日記を抜粋してみると、あらゆる詳細まで記憶に焼き付けられた

(かずかずのばめんが、きのうのことのようによみがえってくる。さっそく、しゅうじんをついせきしたがしっぱいに)

数々の場面が、昨日のことのように蘇ってくる。早速、囚人を追跡したが失敗に

(おわり、こうやでいろいろときみょうなたいけんをしたひのよくあさから、はなしをすすめていこう。)

終わり、荒野で色々と奇妙な体験をした日の翌朝から、話を進めて行こう。

(10がつ16にち。こぬかあめがふり、どんよりとしてきりがかかっている。やかたはうずまく)

10月16日。小ぬか雨が降り、どんよりとして霧がかかっている。館は渦巻く

(くもにすっぽりとつつまれている。ときどきくもがたかくなり、おかのあいだにうすいぎんのすじがのこる)

雲にすっぽりと包まれている。時々雲が高くなり、丘の間に薄い銀の筋が残る

(わびしいこうやのしゃめんがみえてくる。すると、とおくにみえるぬれたきょせきがさしこんだ)

侘しい荒野の斜面が見えてくる。すると、遠くに見える濡れた巨石が差し込んだ

(たいようのひかりにかがやく。いえのそともうちもゆううつだ。じゅんだんしゃくはあのよるのこうふんがさめると、)

太陽の光に輝く。家の外も内も憂鬱だ。準男爵はあの夜の興奮が冷めると、

(はんどうでいんきになっている。わたしじしんもじぶんのきもちがくらいのにきづいている。)

反動で陰気になっている。私自身も自分の気持ちが暗いのに気付いている。

(いまにもきけんがせまっているようなきぶんだ、 これまでおきたことのないきけん、)

今にも危険が迫っているような気分だ、―これまで起きたことのない危険、

(しょうたいがはっきりしないぶんよけいにおそろしいきけんが。どうしてそんなきが)

正体がはっきりしない分余計に恐ろしい危険が。どうしてそんな気が

(するのだろうか?じけんをひとつずつかんがえなおしてみよう。どれもが、わたしたちのまわりで)

するのだろうか?事件を一つずつ考え直してみよう。どれもが、私達の周りで

(うごめいているじゃあくなちからをさししめしている。このやかたのさいごのしゅじんは、)

うごめいている邪悪な力を指し示している。この館の最後の主人は、

(ばすかヴぃるけのでんせつをそっくりさいげんするじょうきょうでしんだ。そして、このちの)

バスカヴィル家の伝説をそっくり再現する状況で死んだ。そして、この地の

(のうふたちは、なんどもこうやにきみょうないきものがあらわれたとほうこくしている。わたしもじぶんの)

農夫たちは、何度も荒野に奇妙な生き物が現われたと報告している。私も自分の

(みみでにど、きみょうなおとをきいた。それはとおくでいぬがほえているこえににていた。)

耳で二度、奇妙な音を聞いた。それは遠くで犬が吠えている声に似ていた。

など

(そのこえがほんとうに、つうじょうのしぜんかいのほうそくのそとにあるというのはしんじがたいし、)

その声が本当に、通常の自然界の法則の外にあるというのは信じ難いし、

(ありえない。ゆうれいのいぬがじめんにあしあとをのこし、とおぼえでたいきをゆらすというのは、)

ありえない。幽霊の犬が地面に足跡を残し、遠吠えで大気を揺らすというのは、

(ぜったいにかんがえられない。すていぷるとんやもーてぃまーはそのようなめいしんをしんじて)

絶対に考えられない。ステイプルトンやモーティマーはそのような迷信を信じて

(いるかもしれない。しかし、もしわたしにちょうしょがあるとすれば、それはじょうしきをもって)

いるかもしれない。しかし、もし私に長所があるとすれば、それは常識を持って

(いるということだ。だから、なにがおきようともそういうめいしんはしんじられない。)

いるということだ。だから、何が起きようともそういう迷信は信じられない。

(もしそんなことをしんじれば、わたしはむがくなのうふとおなじちのうれべるになってしまう。)

もしそんなことを信じれば、私は無学な農夫と同じ知能レベルになってしまう。

(のうふたちは、ただのあくまのいぬではまんぞくせず、めやくちからじごくのほのおをはなっていた)

農夫たちは、ただの悪魔の犬では満足せず、目や口から地獄の炎を放っていた

(とまでしょうげんしている。ほーむずはそんなくうそうにみみをかたむけようとはしないだろう。)

とまで証言している。ホームズはそんな空想に耳を傾けようとはしないだろう。

(そしてわたしはかれのだいりにんだ。しかしじじつはじじつだ。わたしはにどほえるこえをこうやで)

そして私は彼の代理人だ。しかし事実は事実だ。私は二度吠える声を荒野で

(きいている。おおきないぬがあたりをうろついているとかていすれば、なにもかもせつめいは)

聞いている。大きな犬があたりをうろついていると仮定すれば、何もかも説明は

(つく。しかしそんないぬがひそんでいられるばしょがあるのか?そのいぬはどこからきて)

つく。しかしそんな犬が潜んでいられる場所があるのか?その犬はどこから来て

(どこでしょくもつをえているのか?そしてなぜだれもひるにそのいぬをもくげきしていないのか?)

どこで食物を得ているのか?そしてなぜ誰も昼にその犬を目撃していないのか?

(このしぜんげんしょうにもとづいたせつめいは、ちょうしぜんげんしょうとおなじくらいおおくのこんなんがあると)

この自然現象に基づいた説明は、超自然現象と同じくらい多くの困難があると

(いわざるをえない。いぬのことはひとまずおくとしても、ろんどんではあきらかに)

言わざるを得ない。犬の事はひとまず置くとしても、ロンドンでは明らかに

(にんげんがかいざいしたじじつがある。つじばしゃのおとこ、それからさーへんりーにたいして)

人間が介在した事実がある。辻馬車の男、それからサー・ヘンリーに対して

(こうやにいかないようにとけいこくしたてがみだ。これはまぎれもないげんじつだ。しかし)

荒野に行かないようにと警告した手紙だ。これは紛れもない現実だ。しかし

(あいてがてきとはかぎらない。ぎゃくにさーへんりーをまもろうとしているみかたのかのうせいも)

相手が敵とは限らない。逆にサー・ヘンリーを守ろうとしている味方の可能性も

(おなじくらいある。みかたにしてもてきにしても、そのおとこはいまどこにいるのか?)

同じくらいある。味方にしても敵にしても、その男は今どこにいるのか?

(ろんどんにのこっているのか、それともここまでついてきているのか?)

ロンドンに残っているのか、それともここまでついてきているのか?

(そのじんぶつとは、わたしがいわやまのうえにもくげきしたふしんしゃなのだろうか?わたしがいわやまのおとこを)

その人物とは、私が岩山の上に目撃した不審者なのだろうか?私が岩山の男を

(みかけたのは、ほんのいっしゅんのできごとだったというのはじじつだ。しかしいくつか、)

見かけたのは、ほんの一瞬の出来事だったというのは事実だ。しかし幾つか、

(かくじつにいえることがある。わたしはここにきてから、きんりんじゅうみんすべてとあったが、)

確実に言えることがある。私はここに来てから、近隣住民すべてと会ったが、

(あのおとこはそのだれでもない。あのひとかげはすていぷるとんよりもずっとせがたかく、)

あの男はその誰でもない。あの人影はステイプルトンよりもずっと背が高く、

(ふらんくらんどよりもずっとやせている。ばりもあのかのうせいはあるが、かれはやかたに)

フランクランドよりもずっと痩せている。バリモアの可能性はあるが、彼は館に

(いたし、わたしたちがつけられていなかったことは、はっきりしている。つまり)

いたし、私たちがつけられていなかったことは、はっきりしている。つまり

(あのおとこはしょうたいがふめいで、ろんどんであとをつけていたふしんしゃのように、ずっと)

あの男は正体が不明で、ロンドンで後をつけていた不審者のように、ずっと

(われわれにつきまとっている。われわれはそのひとかげをふりはらえない。もしわたしがそのおとこを)

我々に付きまとっている。我々はその人影を振り払えない。もし私がその男を

(つかまえることができれば、けっかてきにすべてのもんだいがかいけつするかもしれない。わたしは)

捕まえる事が出来れば、結果的にすべての問題が解決するかもしれない。私は

(このもくひょうのためにぜんせいりょくをかたむけなければならない。わたしがさいしょにおもいついたのは、)

この目標のために全精力を傾けなければならない。私が最初に思いついたのは、

(じぶんのけいかくをさーへんりーにぜんぶはなすことだった。しかしよくかんがえたあと、)

自分の計画をサー・ヘンリーに全部話すことだった。しかしよく考えた後、

(じぶんだけでこうどうし、できるかぎりだれにもうちあけないほうがいいとおもった。)

自分だけで行動し、出来る限り誰にも打ち明けない方がいいと思った。

(さーへんりーはふさぎこみ、ぼんやりしている。かれはあのこうやのおとでみょうに)

サー・ヘンリーはふさぎ込み、ぼんやりしている。彼はあの荒野の音で妙に

(しんけいかびんになっている。わたしは、かれのしんぱいごとをふやすようなことはなにもいわず、)

神経過敏になっている。私は、彼の心配事を増やすようなことは何も言わず、

(じぶんひとりでこうどうし、けっかをだしてみよう。)

自分ひとりで行動し、結果を出してみよう。

(このあさ、ちょうしょくのあとでちょっとしたできごとがあった。ばりもあがさーへんりーに)

この朝、朝食の後でちょっとした出来事があった。バリモアがサー・ヘンリーに

(はなしがしたいともうしでて、ふたりはしばらくしょさいにこもっていた。わたしは、)

話がしたいと申し出て、二人はしばらく書斎にこもっていた。私は、

(びりやーどしつにいたが、いちどならずこえがあらくなるのをきいた。そしてわたしはふたりが)

ビリヤード室にいたが、一度ならず声が荒くなるのを聞いた。そして私は二人が

(なにをはなしあっているのかがひじょうによくわかった。しばらくしてじゅんだんしゃくがとびらを)

何を話し合っているのかが非常によく分かった。しばらくして準男爵が扉を

(あけてわたしをよんだ。ばりもあはふまんがあるといっている かれはいった。)

開けて私を呼んだ。「バリモアは不満があると言っている」彼は言った。

(ばりもあは、じはつてきにひみつをあかしたのに、ぎりのおとうとをついせきしたのは、)

「バリモアは、自発的に秘密を明かしたのに、義理の弟を追跡したのは、

(ふとうだとおもっている しつじはあおざめていたが、ひじょうにおちついたようすだった。)

不当だと思っている」執事は青ざめていたが、非常に落ち着いた様子だった。

(ちょっとことばがすぎたかもしれません かれはいった。もしいいすぎたと)

「ちょっと言葉が過ぎたかもしれません」彼は言った。「もし言い過ぎたと

(すれば、おゆるしいただきたいとおもいます。ともかく、わたしはおふたりがせるでんを)

すれば、お許しいただきたいと思います。ともかく、私はお二人がセルデンを

(おいかけて、けさもどってきたというはなしをきいてぎょうてんしました。あのあわれなおとこは、)

追いかけて、今朝戻ってきたという話を聞いて仰天しました。あの哀れな男は、

(もうじゅうぶんくるしいおもいをしています。これいじょうひどいめにあわさなくても)

もう十分苦しい思いをしています。これ以上ひどい目にあわさなくても

(よろしいのではないでしょうか もしおまえがじぶんのいしではなしてくれていたら)

よろしいのではないでしょうか」「もしお前が自分の意志で話してくれていたら

(またちがったことになっただろうが じゅんだんしゃくはいった。おまえは、 というより)

また違ったことになっただろうが」準男爵は言った。「お前は、―というより

(おまえのつまは 、ほかにどうしようもなくなって、しぶしぶはなしただけだ)

お前の妻は―、他にどうしようもなくなって、しぶしぶ話しただけだ」

(おはなしても、まさかつかまえようとされるとはおもっていなかったのです、)

「お話しても、まさか捕まえようとされるとは思っていなかったのです、

(さーへんりー、 ほんとうです あのおとこはしゃかいのきけんぶんしなのだ。こうやには)

サー・ヘンリー、―本当です」「あの男は社会の危険分子なのだ。荒野には

(さびしいいえがてんざいしている。そしてかれはどんなことでもやりかねないにんげんだ。かれの)

寂しい家が点在している。そして彼はどんな事でもやりかねない人間だ。彼の

(かおをちょっとみただけでそれはすぐにわかる。たとえば、すていぷるとんさんの)

顔をちょっと見ただけでそれはすぐに分かる。例えば、ステイプルトンさんの

(いえをみてみろ。たよりになるおとこは、かれひとりしかいない。あのしゅうじんがしゅうようじょに)

家を見てみろ。頼りになる男は、彼一人しかいない。あの囚人が収容所に

(もどるまでだれにとってもあんぜんはないんだ かれはいえにおしいったりはしません。)

戻るまで誰にとっても安全はないんだ」「彼は家に押し入ったりはしません。

(かみにちかってもうしあげられます。かれはこのくにでもうだれにもめいわくをかけることは)

神に誓って申し上げられます。彼はこの国でもう誰にも迷惑をかけることは

(ないでしょう。ほしょうします、さーへんりー。ほんのすうじつで、ひつようなよういが)

ないでしょう。保証します、サー・ヘンリー。ほんの数日で、必要な用意が

(ととのい、かれはみなみあめりかにいくことになります。おねがいです。けいさつにはかれがまだ)

整い、彼は南アメリカに行く事になります。お願いです。警察には彼がまだ

(こうやにいることをしらせないようにしてください。けいさつはこうやのそうさをちゅうしして)

荒野にいることを知らせないようにしてください。警察は荒野の捜査を中止して

(いますから、ふねのじゅんびができるまでかれはじっとしています。だんなさまがかれのことを)

いますから、船の準備が出来るまで彼はじっとしています。旦那様が彼の事を

(けいさつにはなせば、かならずかないとわたしにさいなんがおよびます。おねがいです、けいさつにはなにも)

警察に話せば、必ず家内と私に災難が及びます。お願いです、警察には何も

(いわないでください きみはどうおもう、わとそん?)

言わないで下さい」「君はどう思う、ワトソン?」

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