バスカヴィル家の犬54

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シャーロックホームズシリーズ
アーサーコナンドイルの作品です。句読点以外の記号は省いています。

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問題文

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(だいじゅうごしょう かいそう)

第十五章 回想

(じゅういちがつのおわりのさむざむとしたきりのよるだった。ほーむずとわたしはべいかーがいのいまで)

十一月の終わりの寒々とした霧の夜だった。ホームズと私はベイカー街の居間で

(ほのおをあげるだんろのりょうがわにすわっていた。でヴぉんしゃーほうもんのひげきてきなけつまついこう、)

炎を上げる暖炉の両側に座っていた。デヴォンシャー訪問の悲劇的な結末以降、

(かれはひじょうにじゅうようなふたつのじけんにかかりきりになっていた。ひとつめのじけんで、かれは)

彼は非常に重要な二つの事件にかかりきりになっていた。一つ目の事件で、彼は

(のんぱれるくらぶのちょめいなとらんぷぎごくじけんにかんけいして、あっぷうっどたいさの)

ノンパレル・クラブの著名なトランプ疑獄事件に関係して、アップウッド大佐の

(ざんぎゃくなおこないをばくろした。ふたつめのじけんで、かれはふこうなもんぱんしえふじんを、)

残虐な行いを暴露した。二つ目の事件で、彼は不幸なモンパンシエ夫人を、

(ぎりのむすめのかれるじょうのさつじんようぎからまもった。ぎりのむすめは、 これはきおくに)

義理の娘のカレル嬢の殺人容疑から守った。義理の娘は、―これは記憶に

(のこるだろうが 、ろっかげつご、にゅーよーくでせいぞんしけっこんしているところを)

残るだろうが-、六ヶ月後、ニューヨークで生存し結婚しているところを

(はっけんされた。ほーむずは、いろいろなこんなんやじゅうようなできごとがつぎからつぎへとはっせいした)

発見された。ホームズは、色々な困難や重要な出来事が次から次へと発生した

(ふたつのじけんをかいけつし、じょうきげんだったので、わたしはばすかヴぃるじけんのしょうさいについて)

二つの事件を解決し、上機嫌だったので、私はバスカヴィル事件の詳細について

(はなすようにたのむことができた。わたしはにんたいづよくこのきかいをまっていた。かれがけっして)

話すように頼む事ができた。私は忍耐強くこの機会を待っていた。彼が決して

(じけんがじゅうふくするのをゆるさないことはきづいていたし、かれのめいせきでろんりてきなせいしんは、)

事件が重複するのを許さない事は気づいていたし、彼の明晰で論理的な精神は、

(げんざいのしごとをはなれて、かこのおもいでをくどくどとはなすようにはできて)

現在の仕事を離れて、過去の思い出をくどくどと話すようには出来て

(いなかった。しかし、さーへんりーともーてぃまーいしがながいたびにでるとちゅうで)

いなかった。しかし、サー・ヘンリーとモーティマー医師が長い旅に出る途中で

(ろんどんにやってきた。さーへんりーはよわったしんけいをかいふくするのに、りょこうに)

ロンドンにやって来た。サー・ヘンリーは弱った神経を回復するのに、旅行に

(でることをすすめられていたのだ。このひのごご、ふたりがべいかーがいをほうもんして)

出る事を勧められていたのだ。この日の午後、二人がベイカー街を訪問して

(いたので、ばすかヴぃるじけんがかいわにあがるのはしぜんなことだった。じけんぜんたいの)

いたので、バスカヴィル事件が会話に上るのは自然なことだった。「事件全体の

(ながれは ほーむずはいった。すていぷるとんとしょうするおとこのたちばからみれば、)

流れは」ホームズは言った。「ステイプルトンと称する男の立場から見れば、

(たんじゅんでちょくせつてきだった。しかし、かれのこうどうのどうきをしるしゅだんをまったくもたず、)

単純で直接的だった。しかし、彼の行動の動機を知る手段を全く持たず、

(じじつかんけいのいちぶしかしりえないものにとっては、すべてがこのうえなくふくざつに)

事実関係の一部しか知りえない者にとっては、すべてがこの上なく複雑に

など

(おもえた。ぼくはみせすすていぷるとんとはなしをするきかいがあったから、しんそうは)

思えた。僕はミセス・ステイプルトンと話をする機会があったから、真相は

(かんぜんにめいはくになり、なにもなぞのままのこされたものがあるとはおもっていない。)

完全に明白になり、何も謎のまま残されたものがあるとは思っていない。

(このじけんについては、ぼくのじけんぼさくいんのbのみだしのところをみれば、いくつか)

この事件については、僕の事件簿索引のBの見出しのところを見れば、幾つか

(きろくがあるはずだ きみがおぼえているかぎりでいいから、じけんのながれのがいようを)

記録があるはずだ」「君が覚えている限りでいいから、事件の流れの概要を

(はなしてくれないか もちろんいいよ。ぜんぶのじじつをおぼえているかはほしょう)

話してくれないか」「もちろんいいよ。全部の事実を覚えているかは保証

(できないがね。せいしんをひじょうにしゅうちゅうすると、すぎさったことがきみょうにきえてしまう。)

できないがね。精神を非常に集中すると、過ぎ去った事が奇妙に消えてしまう。

(べんごしは、じけんにせいつうして、せんもんかとそのぶんやのぎろんができるが、ほうていで)

弁護士は、事件に精通して、専門家とその分野の議論ができるが、法廷で

(いち、にしゅうかんがすぎると、すべてがあたまのなかからもういちどほうりだされることにきづく。)

一、二週間が過ぎると、全てが頭の中からもう一度放り出される事に気づく。

(けっきょく、ぼくのじけんはいつでもさいしんのものにとってかわられるので、かれるじょうが)

結局、僕の事件はいつでも最新のものに取って換わられるので、カレル嬢が

(ばすかヴぃるかんのぼくのきおくをあいまいにしている。あした、ぼくはおそらくなにか)

バスカヴィル館の僕の記憶を曖昧にしている。明日、僕はおそらく何か

(ちょっとしたじけんにきょうみをひかれ、そのかわり、うつくしいふらんすじょせいとあくみょうだかい)

ちょっとした事件に興味を引かれ、その換わり、美しいフランス女性と悪名高い

(あっぷうっどがきおくからおいだされるだろう。しかしあのいぬのじけんにかんしては、)

アップウッドが記憶から追い出されるだろう。しかしあの犬の事件に関しては、

(ほとんどせつめいすることができるとおもう。ぼくがなにかいいわすれたことがあったら、きみが)

ほとんど説明する事が出来ると思う。僕が何か言い忘れたことがあったら、君が

(してきしてくれ ぼくのちょうさはあのかぞくのしょうぞうががうそをついていなかったと、)

指摘してくれ」「僕の調査はあの家族の肖像画が嘘をついていなかったと、

(うたがうよちなくしめしていた。そしてあのおとこはたしかにばすかヴぃるけの)

疑う余地なく示していた。そしてあの男は確かにバスカヴィル家の

(にんげんだったと。かれはあのさーちゃーるずのおとうとの、ろじゃーばすかヴぃるの)

人間だったと。彼はあのサー・チャールズの弟の、ロジャー・バスカヴィルの

(むすこだった。かれはじゃあくなひょうばんでみなみあめりかににげた。そこでかれはけっこんせずに)

息子だった。彼は邪悪な評判で南アメリカに逃げた。そこで彼は結婚せずに

(しんだといわれていた。じっさいには、かれはけっこんしていたのだ。ほんとうのなまえはちちと)

死んだと言われていた。実際には、彼は結婚していたのだ。本当の名前は父と

(おなじだった。かれは、こすたりかのびじんのひとり、べりるがるしあとけっこんし、)

同じだった。彼は、コスタリカの美人の一人、ベリル・ガルシアと結婚し、

(たがくのこうきんをおうりょうした。そしてかれはばんでるーあとなまえをかえいぎりすに)

多額の公金を横領した。そして彼はバンデルーアと名前を変えイギリスに

(とうぼうし、よーくしょーとうぶでがっこうをせつりつした。このとくしゅなしごとをしようと)

逃亡し、ヨークショー東部で学校を設立した。この特殊な仕事をしようと

(くわだてたりゆうは、ぼこくにかえるたびのとちゅうでよわったきょうしと、かれがしりあいになって)

くわだてた理由は、母国に帰る旅の途中で弱った教師と、彼が知り合いになって

(いたからだ。そしてかれはこのじぎょうをせいこうさせるために、このおとこののうりょくをつかった。)

いたからだ。そして彼はこの事業を成功させるために、この男の能力を使った。

(やがてそのきょうしはしんだ、しかし、あくぎょうのうわさでがっこうはたちゆかなくなりはじめた。)

やがてその教師は死んだ、しかし、悪行の噂で学校は立ち行かなくなり始めた。

(ばんでるーあはなまえをすていぷるとんにかえたほうがつごうがいいとはんだんした。)

バンデルーアは名前をステイプルトンに変えたほうが都合がいいと判断した。

(そしてざいさんのこりをみなみいんぐらんどへはこび、しょうらいのけいりゃくにこんちゅうがくをえらんだ。)

そして財産残りを南イングランドへ運び、将来の計略に昆虫学を選んだ。

(かれがこのしゅだいについてけんいしゃとみなされていると、ぼくはだいえいはくぶつかんでしった。)

彼がこの主題について権威者と見なされていると、僕は大英博物館で知った。

(そしてばんでるーあのなまえは、かれがよーくしゃーにいるときにはじめてきさいした)

そしてバンデルーアの名前は、彼がヨークシャーにいる時にはじめて記載した

(あるがのなまえにつけられている ここでかれのじんせいのあるぶぶんに、われわれに)

ある蛾の名前につけられている」「ここで彼の人生のある部分に、我々に

(たいしてものすごくりがいかんけいがあることがはんめいした。かれときちょうなざいさんのあいだでしょうがいに)

対して物凄く利害関係があることが判明した。彼と貴重な財産の間で障害に

(なっているじんぶつはふたりしかいないと、このおとこはちょうさのけっかあきらかにした。)

なっている人物は二人しかいないと、この男は調査の結果明らかにした。

(かれがでヴぉんしゃーへいったとき、さいしょからよからぬことをたくらんでいたのかは)

彼がデヴォンシャーへ行った時、最初からよからぬ事を企んでいたのかは

(あいまいだったが、かれがつまをじぶんのいもうととしてつれていったのはあきらかだったと)

あいまいだったが、彼が妻を自分の妹として連れていったのは明らかだったと

(ぼくはおもっている。けいかくのしょうさいをどのようにくみたてるか、まだはっきりと)

僕は思っている。計画の詳細をどのように組み立てるか、まだはっきりと

(させていなかったかもしれないが、かれのこころにはすでにあきらかに、かのじょをおとりに)

させていなかったかもしれないが、彼の心には既に明らかに、彼女をおとりに

(つかおうというかんがえが、かれのこころにめばえていた。かれはほんきでさいしゅうてきにざいさんを)

使おうという考えが、彼の心に芽生えていた。彼は本気で最終的に財産を

(えるつもりだった。そしてかれはそのもくてきのためにはよろこんでどんなどうぐでもつかい、)

得るつもりだった。そして彼はその目的のためには喜んでどんな道具でも使い、

(どんなきけんをもおかすつもりだった。かれのさいしょのこうどうは、せんぞのいえのできるかぎり)

どんな危険をも冒すつもりだった。彼の最初の行動は、先祖の家の出来る限り

(ちかくにきょをかまえ、そして、さーちゃーるずばすかヴぃるやきんじょのひとたちと)

近くに居を構え、そして、サー・チャールズ・バスカヴィルや近所の人たちと

(しんこうをふかめることだった じゅんだんしゃくはじぶんでかれにばすかヴぃるのいぬのはなしをした。)

親交を深める事だった」「準男爵は自分で彼にバスカヴィルの犬の話をした。

(そしてじぶんのしにいたるみちをじゅんびした。ぼくはかれのことをこうよびつづけるが、)

そして自分の死に至る道を準備した。僕は彼のことをこう呼び続けるが、

(すていぷるとんは、あのろうじんのしんぞうがよわくて、ひとつしょうげきをあたえれば)

ステイプルトンは、あの老人の心臓が弱くて、ひとつ衝撃を与えれば

(しにいたることをしっていた。ここまでかれはもーてぃまーいしから)

死に至ることを知っていた。ここまで彼はモーティマー医師から

(ききだしていた。それとどうじに、さーちゃーるずがめいしんふかく、このおそろしい)

聞き出していた。それと同時に、サー・チャールズが迷信深く、この恐ろしい

(でんせつをまじめにとらえていることもききだしていた。かれのてんさいてきなこころは)

伝説を真面目にとらえていることも聞き出していた。彼の天才的な心は

(じゅんだんしゃくをしにいたらしめ、それにもかかわらず、ほんとうのさつじんしゃをつみにとうことを)

準男爵を死に至らしめ、それにも拘わらず、本当の殺人者を罪に問う事を

(ほとんどふかのうにするひとつのほうほうをすぐにおもいついた)

ほとんど不可能にする一つの方法をすぐに思い付いた」

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