バスカヴィル家の犬56

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シャーロックホームズシリーズ
アーサーコナンドイルの作品です。句読点以外の記号は省いています。

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問題文

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(さーへんりーのみにつけているものをなにかてにいれて、かれがいぬを)

「サー・ヘンリーの身に付けているものを何か手に入れて、彼が犬を

(つかわざるをえないばあいにそなえて、かれがつねにいぬにかれのあとをおわせるしゅだんを)

使わざるを得ない場合に備えて、彼が常に犬に彼の跡を追わせる手段を

(もつことは、すていぷるとんにはふかけつだった。もってうまれたじんそくさとだいたんさで)

持つ事は、ステイプルトンには不可欠だった。持って生まれた迅速さと大胆さで

(かれはこれにすぐとりかかった。ほてるのくつみがきかせったいかかりのじょせいが、かれのけいかくを)

彼はこれにすぐ取り掛かった。ホテルの靴磨きか接待係の女性が、彼の計画を

(たすけるためにうまくばいしゅうされたことは、われわれはうたがうことはできない。しかしぐうぜんにも)

助けるためにうまく買収された事は、我々は疑う事はできない。しかし偶然にも

(かれからにゅうしゅしたくつはあたらしいもので、それゆえ、かれのもくてきにはむいみだった。)

彼から入手した靴は新しいもので、それゆえ、彼の目的には無意味だった。

(かれはそのあとそれをもどしてべつのものをかくとくした 、ひじょうにゆうえきなじけんだった。)

彼はそのあとそれを戻して別のものを獲得した―、非常に有益な事件だった。

(このふるいくつをてにいれたいというせつぼうと、あたらしいくつへのむかんしんは、われわれはほんとうに)

この古い靴を手に入れたいという切望と、新しい靴への無関心は、我々は本当に

(いぬをあいてにしていると、けっていてきにぼくにはわかったからだ。それいがいのそうていでは)

犬を相手にしていると、決定的に僕には分かったからだ。それ以外の想定では

(せつめいできない。できごとがよりとっぴでいようであるほど、それはよりしんちょうにしらべるに)

説明できない。出来事がより突飛で異様であるほど、それはより慎重に調べるに

(あたいする。そしてじけんをふくざつにするようにみえるまさにそのてんが、てきせつにかんがえられ)

値する。そして事件を複雑にするように見えるまさにその点が、適切に考えられ

(かがくてきにあつかわれたとき、それはもっともかいめいしやすいものなのだ それから)

科学的に扱われた時、それはもっとも解明しやすいものなのだ」「それから

(われわれはつぎのひのあさ、ずっとばしゃのなかのすていぷるとんにつきまとわれた)

我々は次の日の朝、ずっと馬車の中のステイプルトンにつきまとわれた

(ゆうじんからのほうもんをうけた。かれがわれわれのいえとぼくのすがたをしっていたことから、)

友人からの訪問を受けた。彼が我々の家と僕の姿を知っていた事から、

(かれのぜんたいてきなふるまいもそうだが、ぼくはこういうきもちにかたむいている。)

彼の全体的な振る舞いもそうだが、僕はこういう気持ちに傾いている。

(すていぷるとんのはんざいのけいれきは、このばすかヴぃるじけんにかぎられたものでは)

ステイプルトンの犯罪の経歴は、このバスカヴィル事件に限られたものでは

(ないと。それはさいきんのさんねんかん、にしちほうで、よんけんのちゅうもくすべきごうとうじけんが)

ないと。それは最近の三年間、西地方で、四件の注目すべき強盗事件が

(おきていて、どのじけんでもはんにんはたいほされていない。)

起きていて、どの事件でも犯人は逮捕されていない。

(ふぉーくすとんこーとでごがつにおきたさいごのじけんは、ちゃくもくにあたいする。)

フォークストン・コートで五月に起きた最後の事件は、着目に値する。

(れいけつにもぼーいをうったことで、ふくめんをしたたんどくのごうとうはんをおどろかせた。)

冷血にもボーイを撃ったことで、覆面をした単独の強盗犯を驚かせた。

など

(すていぷるとんがへっていくしさんをこんなかたちでほてんしていたことを、そして)

ステイプルトンが減っていく資産をこんな形で補填していたことを、そして

(なんねんも、かれはじぼうじきできけんなおとこだったと、ぼくはうたがうことができない)

何年も、彼は自暴自棄で危険な男だったと、僕は疑う事ができない」

(そしてわれわれは、かれのしさんがじゅんびできているというじつれい、かれがあんなにも)

「そして我々は、彼の資産が準備できているという実例、彼があんなにも

(しゅびよくわれわれからにげたとき、そしてぎょしゃをつうじてぼくのなまえをおくって)

首尾よく我々から逃げたとき、そして御者を通じて僕の名前を送って

(よこしたかれのだいたんさを、あのあさみることとなった。このしゅんかんから、かれはぼくが)

よこした彼の大胆さを、あの朝見ることとなった。この瞬間から、彼は僕が

(このじけんをひきうけたことをしり、それゆえろんどんではじゅんだんしゃくをしまつする)

この事件を引き受けたことを知り、それゆえロンドンでは準男爵を始末する

(きかいがないこともしった。かれはだーとむあにもどりじゅんだんしゃくのとうちゃくをまちかまえた)

機会がないことも知った。彼はダートムアに戻り準男爵の到着を待ち構えた」

(ちょっとまってくれ!わたしはいった。きみは、うたがいなく、じけんのながれをただしく)

「ちょっと待ってくれ!」私は言った。「君は、疑いなく、事件の流れを正しく

(せつめいしている。しかしきみがせつめいせずのこしているてんがひとつある。かいいぬが)

説明している。しかし君が説明せず残している点が一つある。飼い犬が

(ろんどんにいたときいぬはどうしたのだ?ぼくはそのけんにかなりちゅうもくしていた。)

ロンドンにいた時犬はどうしたのだ?」「僕はその件にかなり注目していた。

(まちがいなくじゅうようなてんだ。すていぷるとんにきょうはんしゃがいたことはうたがいようがない。)

間違いなく重要な点だ。ステイプルトンに共犯者がいたことは疑いようが無い。

(すべてのけいかくをかれにはなしてじぶんのみをあずけたというのは、まずないだろうが。)

全ての計画を彼に話して自分の身を預けたというのは、まずないだろうが。

(めりぴっとはうすにとしよりのげなんがいた。なはあんそにーだ。)

メリピット・ハウスに年寄りの下男がいた。名はアンソニーだ。

(かれとすていぷるとんのかんけいは、がっこうをけいえいしていたすうねんまえのじだいまで)

彼とステイプルトンの関係は、学校を経営していた数年前の時代まで

(さかのぼる。したがって、かれはきづいていたはずだ。かれのしゅじんたちがじっさいは)

さかのぼる。したがって、彼は気づいていたはずだ。彼の主人たちが実際は

(ふうふであることを。このおとこはしっそうしくにからだっしゅつした。これはあんじてきだ。)

夫婦であることを。この男は失踪し国から脱出した。これは暗示的だ。

(あんそにーはいぎりすではいっぱんてきななまえではない。しかしすぺいんじんや)

アンソニーはイギリスでは一般的な名前ではない。しかしスペイン人や

(すぺいんけいあめりかじんでは、あんとにおはいっぱんてきだ。このおとこは、)

スペイン系アメリカ人では、アントニオは一般的だ。この男は、

(みせすすていぷるとんのようにすばらしいえいごをはなした。しかしきみょうに)

ミセス・ステイプルトンのように素晴らしい英語を話した。しかし奇妙に

(したたらずなくちょうだった。ぼくはじぶんでこのろうじんが、すていぷるとんがしるしをつけた)

舌足らずな口調だった。僕は自分でこの老人が、ステイプルトンが印をつけた

(みちをつかって、ぐりんぺんぬまちをとおるのをみた。したがってこれは、かれのしゅじんが)

道を使って、グリンペン沼地を通るのを見た。したがってこれは、彼の主人が

(るすちゅう、いぬのせわをしていたのはそのろうじんだったということは、ひじょうに)

留守中、犬の世話をしていたのはその老人だったということは、非常に

(ありえることだ。かれはまったくそのけものがつかわれるもくてきをしらなかったかも)

ありえることだ。彼は全くその獣が使われる目的を知らなかったかも

(しれないが すていぷるとんふさいはそのあとでヴんしゃーにきた。そのあとすぐに)

しれないが」「ステイプルトン夫妻はその後デヴンシャーに来た。その後すぐに

(さーへんりーときみがやってきた。ここでぼくがあのとき、どういうじょうきょうだったか)

サー・ヘンリーと君がやって来た。ここで僕があの時、どういう状況だったか

(いっておこう。これはもしかすると、きみのきおくをよびさますかもしれないが、)

言っておこう。これはもしかすると、君の記憶を呼び覚ますかもしれないが、

(ぼくがかみをしらべたとき、しんぶんのもじがはりつけられていた。ぼくはすかしをにゅうねんに)

僕が紙を調べた時、新聞の文字が貼り付けられていた。僕は透かしを入念に

(しらべた。ぼくがめまですういんちかみをもちあげようとしたとき、かすか)

調べた。僕が目まで数インチ紙を持ち上げようとしたとき、かすかに

(ほわいとじゃすみんのかおりがするのにきづいた。75しゅるいのこうすいがある。)

ホワイト・ジャスミンの香りがするのに気づいた。75種類の香水がある。

(はんざいのせんもんかがそれぞれをかぎわけることができるのは、ひじょうにじゅうようなことだ。)

犯罪の専門家がそれぞれを嗅ぎ分ける事が出来るのは、非常に重要な事だ。

(ぼくがけいけんしたはんいでも、すばやいにおいのにんしきにいぞんしてきた。このかおりは)

僕が経験した範囲でも、素早い匂いの認識に依存してきた。この香りは

(じょせいのそんざいをあんじした。そしてすでにぼくのかんがえはすていぷるとんきょうだいに)

女性の存在を暗示した。そして既に僕の考えはステイプルトン兄妹に

(むかいはじめていた。このようにぼくは、せいぶちほうにいくまえに、いぬのそんざいをかくじつにし)

向かい始めていた。このように僕は、西武地方に行く前に、犬の存在を確実にし

(はんにんのめぼしをつけていた すていぷるとんをみはるのがぼくのもくひょうだった。)

犯人の目星をつけていた」「ステイプルトンを見張るのが僕の目標だった。

(しかしかれはしっかりとけいかいするだろうから、ぼくがきみたちといっしょに)

しかし彼はしっかりと警戒するだろうから、僕が君たちと一緒に

(こうどうできないのはあきらかだった。だからぼくはきみもふくめてぜんいんをだまして、)

行動できないのは明らかだった。だから僕は君も含めて全員を騙して、

(ぼくがろんどんにいるとおもわれているあいだに、ひそかにやってきた。じけんのそうさを)

僕がロンドンにいると思われている間に、密かにやって来た。事件の捜査を

(するうえで、そんなつまらないしょうさいはけっしてじゃまにならないが、ぼくのくきょうはきみが)

する上で、そんなつまらない詳細は決して邪魔にならないが、僕の苦境は君が

(そうぞうしていたほどたいしたものではなかった。ぼくはほとんどのあいだ)

想像していたほど大したものではなかった。僕はほとんどの間

(くーむとれーしーにとまり、そうさげんばのちかくにいるひつようがあるときだけ、)

クーム・トレーシーに止まり、捜査現場の近くにいる必要があるときだけ、

(あのこやをつかっていた。そしてかーとらいとをいっしょにつれてきて、いなかのしょうねんに)

あの小屋を使っていた。そしてカートライトを一緒に連れてきて、田舎の少年に

(ふんそうさせて、かれはぼくをひじょうにたすけてくれた。ぼくはしょくもつとせいけつなしゃつを)

扮装させて、彼は僕を非常に助けてくれた。僕は食物と清潔なシャツを

(かれにたよっていた。ぼくがすていぷるとんをみはっていたとき、かーとらいとは)

彼に頼っていた。僕がステイプルトンを見張っていた時、カートライトは

(しばしばきみをみはっていた。だからぼくのすべてのてがかりをしゅちゅうにおさめることが)

しばしば君を見張っていた。だから僕の全ての手がかりを手中に収めることが

(できた きみのほうこくはそくざにべいかーがいからくーむとれーしーにてんそうされて、)

出来た」「君の報告は即座にベイカー街からクーム・トレーシーに転送されて、

(すぐにぼくのところにとどいたことはすでにきみにはなした。あのほうこくはぼくにはひじょうに)

すぐに僕のところに届いたことは既に君に話した。あの報告は僕には非常に

(やくにたった。とくに、ぐうぜんのすていぷるとんのじんせいのしんじつのだんぺんは。ぼくはあのおとこと)

役に立った。特に、偶然のステイプルトンの人生の真実の断片は。僕はあの男と

(おんなのしょうたいをはっきりさせることができ、ついにせいかくにじぶんのいちがわかった。)

女の正体をはっきりさせることが出来、ついに正確に自分の位置が分かった。

(このじけんは、しゅうじんがだっそうしたじけんによって、そしてかれとばりもあふさいのかんけいに)

この事件は、囚人が脱走した事件によって、そして彼とバリモア夫妻の関係に

(よって、ひじょうにこみいっていた。これもきみがひじょうにこうかてきなほうほうでめいかくにした。)

よって、非常に込み入っていた。これも君が非常に効果的な方法で明確にした。

(もちろんぼくもすでに、ぼくじしんのかんさつからおなじけつろんにたっしていたが)

もちろん僕も既に、僕自信の観察から同じ結論に達していたが」

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