吸血鬼42

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プレイ回数1298難易度(4.5) 4468打 長文 長文モード可
明智小五郎シリーズ
江戸川乱歩の作品です。句読点以外の記号は省いています。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 zero 6193 A++ 6.4 96.0% 691.2 4464 183 63 2024/04/10
2 じゅん 4327 C+ 4.5 95.5% 973.6 4418 205 63 2024/03/13

関連タイピング

問題文

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(つねかわしはまだ、あけちのようにそれをしんじきることはできなかった。どうも、)

恒川氏はまだ、明智の様にそれを信じ切ることは出来なかった。どうも、

(はがただけではないらしい、あけちはもっといろいろなことをしっているのでは)

歯型だけではないらしい、明智はもっと色々なことを知っているのでは

(なかろうか。では、そのだこっこうは、なぜふみよさんをおびきだしたり、ふうせんに)

なかろうか。「では、園田黒虹は、なぜ文代さんをおびき出したり、風船に

(のってにげたり、へんなまねをしたのでしょう。きみは、はがたなんかよりは、ずっと)

乗って逃げたり、変な真似をしたのでしょう。君は、歯型なんかよりは、ずっと

(ゆうりょくな、このじじつをみとめないのですか。あれがはんにんでないとおっしゃるの)

有力な、この事実を認めないのですか。あれが犯人でないとおっしゃるの

(ですか けいぶは、どうしてもへんしつしょうせつかがおもいきれぬようすだった。あれは)

ですか」警部は、どうしても変質小説家が思い切れぬ様子だった。「あれは

(しんはんにんではないのです あけちがきっぱりいいきった。きょうはんしゃかもしれません。)

真犯人ではないのです」明智がキッパリいい切った。「共犯者かも知れません。

(そうでないかもしれません。いずれにしても、しょうせつかはしょうせつかです、しんはんにんは)

そうでないかも知れません。いずれにしても、小説家は小説家です、真犯人は

(もっとほかにいるはずです けいぶはそれをきくと、へんなかおをした。このおとこは、)

もっと外にいる筈です」警部はそれを聞くと、変な顔をした。この男は、

(はつねつのためにあたまがどうかしたのではないかとおもわれてきた。ぼくがとほうもない)

発熱のために頭がどうかしたのではないかと思われて来た。「僕が途方もない

(ことをいっているように、みえるでしょう。それです。あなたでさえ、そんなふうに)

ことをいっている様に、見えるでしょう。それです。あなたでさえ、そんな風に

(かんがえるところに、こんどのはんざいのおそろしいひみつがあるのです。だれがみても、)

考えるところに、今度の犯罪の恐ろしい秘密があるのです。誰が見ても、

(しんはんにんはあのしょうせつかにちがいないとおもう。そうおもわせるようにできている。)

真犯人はあの小説家に違いないと思う。そう思わせる様に出来ている。

(ぞくのずばぬけたとりっくです つねかわしはあけちのめをぎょうししながら、かんがえこんで)

賊のずば抜けたトリックです」恒川氏は明智の眼を凝視しながら、考え込んで

(しまった。あけちのことばがなにかおそろしいひみつをあんじしている。それがもうすこしで)

しまった。明智の言葉が何か恐ろしい秘密を暗示している。それがもう少しで

(わかりそうなきがする。もうすこしだ。もうすこしだ。ちょうどそのとき、ひとまおいてとなりの、)

分りそうな気がする。もう少しだ。もう少しだ。丁度その時、一間置いて隣の、

(きゃくしつのどあが、はげしくのっくされたので、こばやししょうねんがでていったが、すぐもどって)

客室のドアが、烈しくノックされたので、小林少年が出て行ったが、すぐ戻って

(きたのをみると、てにいっつうのそくたつびんをもっている。だれから?さしだしにんの)

来たのを見ると、手に一通の速達便を持っている。「誰から?」「差出人の

(なまえがありません しょうねんがへんなかおをして、そのてがみをあけちにわたした。あけちは)

名前がありません」少年が変な顔をして、その手紙を明智に渡した。明智は

(べっどにぎょうがしたまま、ふうをきったが、にさんぎょうよむかよまぬに、さっと)

ベッドに仰臥したまま、封を切ったが、二三行読むか読まぬに、サッと

など

(おどろきのいろをうかべた。)

驚きの色をうかべた。

(いがいなげしにん)

意外な下手人

(ごらんなさい。これが、はんにんがまだいきている、なによりのしょうこです)

「ごらんなさい。これが、犯人がまだ生きている、何よりの証拠です」

(よみおわったあけちが、そのてがみをつねかわしにわたした。)

読終わった明智が、その手紙を恒川氏に渡した。

(あけちくん、びょうきはいかがです。それだから、いわぬことじゃない。ぼくはにども)

「明智君、病気は如何です。それだから、いわぬことじゃない。僕は二度も

(けいこくじょうをさしあげたではありませんか。さすがのめいたんていもすこしてぬかりでしたね。)

警告状を差上げたではありませんか。流石の名探偵も少し手抜かりでしたね。

(ぼくがふみよさんというぜっこうのえものを、みのがしがしておくとでもおもったのですか。)

僕が文代さんという絶好の獲物を、見逃がしておくとでも思ったのですか。

(ところで、こっけいなことに、ぼくはしんでしまったのですよ。せけんのめのまえで)

ところで、滑稽なことに、僕は死んでしまったのですよ。世間の目の前で

(しんでみせた。しがいはいまでもかりまいそうになって、つちのなかにあります。つまり、)

死んで見せた。死骸は今でも仮埋葬になって、土の中にあります。つまり、

(これはしにんからのてがみです。だが、ゆうれいのかいたてがみが、ほんとうにはいたつされる)

これは死人からの手紙です。だが、幽霊の書いた手紙が、本当に配達される

(なんて、ちとへんですね。さて、ようけんというのは、やっぱりおなじけいこくです。ほんとうに)

なんて、ちと変ですね。さて、用件というのは、やっぱり同じ警告です。本当に

(ひいてもらいたいのです。きみはびょうしょうにありながら、こりもせず、たんていのしごとを)

引いてもらいたいのです。君は病床にありながら、こりもせず、探偵の仕事を

(つづけている。げんにけさからこばやしくんがなにをしたか、ぼくにはすっかりわかって)

続けている。現に今朝から小林君が何をしたか、僕にはすっかり分って

(いるのです。そいつをやめてもらいたい。でないと、こんどこそは、きみじしんのいのちが)

いるのです。そいつをやめてもらい度い。でないと、今度こそは、君自身の命が

(あぶないのです。このてがみがつくころには、どこかで、またべつのさつじんじけんがおこっている)

危いのです。この手紙が着く頃には、どこかで、また別の殺人事件が起っている

(かもしれない。きみがいくらじゃまだてしようとも、ぼくのよていはみじんもへんこうされない)

かも知れない。君がいくら邪魔立てしようとも、僕の予定は微塵も変更されない

(のです。つまり、きみがやきもきすることは、はんざいのそしにはならず、かえって、)

のです。つまり、君がヤキモキすることは、犯罪の阻止にはならず、かえって、

(きみじしんのじゅみょうをちぢめるばかりです。わるいことはいいません。そっこくこのじけんからてを)

君自身の寿命を縮めるばかりです。悪い事はいいません。即刻この事件から手を

(おひきなさい。これがさいごのけいこくです いやにていちょうなもんくでひとをこばかにして)

お引きなさい。これが最後の警告です」「いやに鄭重な文句で人を小馬鹿にして

(いる。ぼくはこんなぶじょくをうけたことはありません あけちは、ぎょうがしたまま、)

いる。僕はこんな侮辱を受けたことはありません」明智は、仰臥したまま、

(おそろしいめで、てんじょうをにらみつけて、ひとりごとのようにうなった。つねかわしは、)

恐ろしい目で、天井をにらみつけて、ひとり言のようにうなった。恒川氏は、

(あけちのことばのてきちゅうにおどろくばかりで、まるでゆうれいのようなかいぞくのしょうたいを、)

明智の言葉の適中に驚くばかりで、まるで幽霊の様な怪賊の正体を、

(どうそうぞうしてみるちからもなく、だまりこんでいたが、しばらくして、ふとそれに)

どう想像して見る力もなく、黙り込んでいたが、しばらくして、ふとそれに

(きづくと、いらいらしながらいった。このてがみのつくころには、どこかで、また)

気づくと、イライラしながらいった。「この手紙の着く頃には、どこかで、また

(べつのさつじんがおこなわれる、とよこくをしている それがぶじょくです。われわれはそれを)

別の殺人が行われる、と予告をしている」「それが侮辱です。我々はそれを

(よぼうするちからがない。さつじんはまちがいなくおこるでしょう あけちはぞくのまりょくを)

予防する力がない。殺人は間違いなく起るでしょう」明智は賊の魔力を

(しんじているようにみえた。ちょうどそのとき、つぎのへやのたくじょうでんわが、けたたましく)

信じている様に見えた。丁度その時、次の部屋の卓上電話が、けたたましく

(なりひびいた。ふみよさんがたっていって、じゅわきをとった。もしもし、)

鳴り響いた。文代さんが立って行って、受話器を取った。「モシモシ、

(あけちさんですか。わたし、みたにです。いまはたやなぎにいるのです。ああ、あなたは)

明智さんですか。私、三谷です。今畑柳にいるのです。アア、あなたは

(ふみよさんですね。また、おそろしいことがおこったのです。しつじのさいとうろうじんが、)

文代さんですね。また、恐ろしい事が起ったのです。執事の斎藤老人が、

(なにものかにころされたのです。あけちさんのおからだのぐあいがよかったら、ぜひおいでを)

何者かに殺されたのです。明智さんのお身体の具合がよかったら、是非御出でを

(ねがいたいのです ふみよがおどろいて、あけちはまだおきられぬむねをこたえると、)

願い度いのです」文代が驚いて、明智はまだ起きられぬ旨を答えると、

(ではともかく、このことをおつたえしておいてください。いずれおうかがいして、くわしい)

「では兎も角、この事をお伝えしておいて下さい。いずれお伺いして、くわしい

(おはなしをします とでんわがきれた。ふみよさんがへやにかえって、そのことをつげると)

お話をします」と電話が切れた。文代さんが部屋に帰って、そのことを告げると

(あけちは、べっどにじょうはんしんをおこして、ふみよさん、ふくをとってください。ぼくは)

明智は、ベッドに上半身を起して、「文代さん、服を取って下さい。僕は

(こうしてはいられない とあせるのを、つねかわしとふみよさんとで、やっと)

こうしてはいられない」とあせるのを、恒川氏と文代さんとで、やっと

(おもいとまらせ、はたやなぎけへは、けいぶとこばやししょうねんがかけつけることになった。)

思い止らせ、畑柳家へは、警部と小林少年が駆けつけることになった。

(じゃ、むこうへついたら、すぐでんわでもようをしらせてください あけちはかたのいたみに、)

「じゃ、向へついたら、すぐ電話で模様を知らせて下さい」明智は肩の痛みに、

(しかたなく、べっどによこたわったものの、まだあきらめきれぬていだ。まもなく)

仕方なく、ベッドに横たわったものの、まだあきらめ切れぬ体だ。間もなく

(したのげんかんからじどうしゃがきたとのしらせ。つねかわしとこばやししょうねんとは、こーとにかたてを)

下の玄関から自動車が来たとの知らせ。恒川氏と小林少年とは、外套に片手を

(とおしただけで、かいだんをかけおりた。そして、ふたりをのせたじどうしゃははたやなぎけへと)

通しただけで、階段をかけ降りた。そして、二人を乗せた自動車は畑柳家へと

(ふる・すぴーどではしりだした。つねかわけいぶとこばやししょうねんが、はたやなぎていにつくと、)

フル・スピードで走り出した。恒川警部と小林少年が、畑柳邸に着くと、

(まっさおになったみたにせいねんが、あわただしくでむかえて、ひとまにしょうじいれた。)

真青になった三谷青年が、あわただしく出迎えて、一間に招じ入れた。

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