怪人二十面相65 江戸川乱歩

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少年探偵団シリーズ1作目

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問題文

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(しかし、ぼくがいまかんがえているのは、ちっともきけんのないたんていほうほうです。)

しかし、僕が今考えているのは、ちっとも危険のない探偵方法です。

(きみ、「ききこみ」ってのしってますか。いろんなひとのはなしをきいてまわって、)

君、『聞き込み』っての知ってますか。色んな人の話を聞いてまわって、

(どんなちいさなことでものがさないで、うまくてがかりをつかむたんていほうほうなんです。)

どんな小さな事でも逃さないで、上手く手掛かりを掴む探偵方法なんです。

(なまじっか、おとななんかより、こどものほうがすばしっこいし、あいてがゆだん)

なまじっか、大人なんかより、子どもの方がすばしっこいし、相手が油断

(するから、きっとうまくいくとおもいますよ。 それにはね、おとといのばん、)

するから、きっと上手くいくと思いますよ。  それにはね、一昨日の晩、

(せんせいをつれだしたおんなのにんそうやふくそう、それからじどうしゃのいったほうがくも)

先生を連れ出した女の人相や服装、それから自動車の行った方角も

(わかっているんだから、そのほうがくにむかって、ぼくらがいまのききこみをやれば)

分かっているんだから、その方角に向かって、僕等が今の聞き込みをやれば

(いいんですよ。 みせのこぞうさんでもいいし、ごようききでもいいし、)

いいんですよ。  店の小僧さんでもいいし、ご用聞きでもいいし、

(ゆうびんはいたつさんだとか、そのへんにあそんでいるこどもなんかつかまえて、あきずに)

郵便配達さんだとか、その辺に遊んでいる子どもなんか捕まえて、飽きずに

(きいてまわるんですよ。 ここではほうがくがわかっていても、さきになるほどみちが)

聞いて回るんですよ。  ここでは方角が分かっていても、先になる程道が

(わかれていて、けんとうをつけるのがたいへんだけれど、にんずうがおおいからだいじょうぶだ。)

別れていて、見当を付けるのが大変だけれど、人数が多いから大丈夫だ。

(みちがわかれるたびに、ひとりずつ、そのほうへいけばいいんです。 そうして、)

道が分かれる度に、一人ずつ、その方へ行けばいいんです。  そうして、

(きょう1にちききこみをやれば、ひょっとしたら、なにかてがかりがつかめるかも)

今日一日聞き込みをやれば、ひょっとしたら、何か手掛かりが掴めるかも

(しれないですよ」 「ええ、そうしましょう。そんなことわけないや。)

しれないですよ」 「ええ、そうしましょう。そんな事わけないや。

(じゃ、たんていだんのみんなをもんのなかへよんでもいいですか」 「ええ、どうぞ、)

じゃ、探偵団の皆を門の中へ呼んでもいいですか」 「ええ、どうぞ、

(ぼくもいっしょにそとへでましょう」 そして、ふたりは、あけちふじんの)

僕も一緒に外へ出ましょう」  そして、二人は、明智夫人の

(ゆるしをえたうえ、ぽーちのところへでたのですが、そうじくんはいきなりもんのそとへ)

許しを得た上、ポーチの所へ出たのですが、壮二君はいきなり門の外へ

(かけだしていったかとおもうと、まもなく、10にんのたんていだんいんをひきつれて、)

駈け出して行ったかと思うと、まもなく、十人の探偵団員を引きつれて、

(もんないへひきかえしてきました。 みると、しょうがっこうじょうきゅうせいぐらいの、けんこうでかいかつな)

門内へ引き返して来ました。  見ると、小学校上級生ぐらいの、健康で快活な

(しょうねんたちでした。 こばやしくんは、そうじくんのしょうかいで、ぽーちのうえからみんなに)

少年達でした。  小林君は、壮二君の紹介で、ポーチの上から皆に

など

(あいさつしました。そして、あけちたんていそうさのしゅだんについて、こまごまとさしずをあたえました)

挨拶しました。そして、明智探偵捜査の手段について、細々と指図を与えました

(むろんいちどうだいさんせいです。 「こばやしだんちょうばんざーい」)

むろん一同大賛成です。 「小林団長ばんざーい」

(もうすっかり、だんちょうにまつりあげてしまって、うれしさのあまり、そんなことを)

もうすっかり、団長に祭り上げてしまって、嬉しさの余り、そんな事を

(さけぶしょうねんさえありました。 「じゃ、これからしゅっぱつしましょう」)

叫ぶ少年さえありました。 「じゃ、これから出発しましょう」

(そして、いちどうはしょうねんだんのように、あしなみそろえて、あけちていのもんがいへ)

そして、一同は少年団のように、足並み揃えて、明智邸の門外へ

(きえていくのでした。)

消えていくのでした。

(ごご4じ しょうねんたんていだんのけなげなそうさくは、にちよう、げつよう、かよう、すいようと、)

【午後四時】  少年探偵団の健気な捜索は、日曜、月曜、火曜、水曜と、

(がっこうのよかをりようして、にんたいづよくつづけられましたが、いつまでたっても、)

学校の余暇を利用して、忍耐強く続けられましたが、何時まで経っても、

(これというてがかりはつかめませんでした。 しかし、とうきょうじゅうのなんぜんにんという)

これという手掛かりは掴めませんでした。  しかし、東京中の何千人という

(おとなのおまわりさんにさえ、どうすることもできないほどのなんじけんです。)

大人のお巡りさんにさえ、どうする事も出来ない程の難事件です。

(てがかりがえられなかったといって、けっして、しょうねんそうさくたいのむのうのせいでは)

手掛かりが得られなかったといって、決して、少年捜索隊の無能のせいでは

(ありません。それに、これらのいさましいしょうねんたちは、ごじつ、またどのような)

ありません。それに、これらの勇ましい少年達は、後日、またどのような

(てがらをたてないものでもないのです。 あけちたんていゆくえふめいのまま、)

手柄を立てないものでもないのです。  明智探偵行方不明のまま、

(おそろしい12がつ10かは、1にち1にちとせまってきました。けいしちょうのひとたちは、)

恐ろしい十二月十日は、一日一日と迫って来ました。警視庁の人達は、

(もういてもたってもいられないきもちです。なにしろとうなんをよこくされたしなものが、)

もういてもたってもいられない気持です。何しろ盗難を予告された品物が、

(こっかのほうもつというのですから、そうさかちょうや、ちょくせつにじゅうめんそうのじけんにかんけいしている)

国家の宝物というのですから、捜査課長や、直接二十面相の事件に関係している

(なかむらかかりちょうなどは、しんぱいのためにやせほそるおもいでした。 ところが、もんだいのひの)

中村係長などは、心配の為に痩せ細る思いでした。  ところが、問題の日の

(ふつかまえ、12がつ8にちには、またまたせけんのさわぎをおおきくするようなできごとが)

二日前、十二月八日には、またまた世間の騒ぎを大きくするような出来事が

(おこったのです。というのは、そのひのとうきょうまいにちしんぶんのしゃかいめんに、)

起こったのです。というのは、その日の東京毎日新聞の社会面に、

(にじゅうめんそうからのとうしょが、れいれいしくけいさいされたことでした。)

二十面相からの投書が、麗々しく掲載された事でした。

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