卒業21

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問題文

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(5がつ。わたしのごうかくごほうびのきょうとりょこう。)

5月。私の合格ご褒美の京都旅行。

(あさえきにしゅうごう。)

朝、駅に集合。

(「おはようございます。」)

「おはようございます。」

(「めぐみちゃんおはよう。」)

「恵ちゃんおはよう。」

(「としひこくんは?」)

「俊彦君は?」

(「もうくるんじゃないか?」)

「もう来るんじゃないか?」

(しばらくするとむこうからとしひこくんがやってきた。)

しばらくすると向こうから俊彦君がやってきた。

(「おそくなった~。」)

「遅くなった~。」

(きっぷはおさむさんがてはいしてくれていた。)

切符は修さんが手配してくれていた。

(でんしゃとしんかんせんできょうとへむかう。)

電車と新幹線で京都へ向かう。

(しんかんせんのほーむ。)

新幹線のホーム。

(「りょこうといえばえきべん、めぐみなんしょくべる?」)

「旅行といえば駅弁、恵何食べる?」

(「わたしはすけろくにしようかな。」)

「私は助六にしようかな。」

(「そんなんでいいのか?はらへるぞ。」)

「そんなんでいいのか?腹減るぞ。」

(「いいの。」)

「いいの。」

(「まくのうち2つとたすくろく1つおちゃ3つね。」)

「幕ノ内2つと助六1つお茶3つね。」

(おさむさんがおべんとうをかってくれた。)

修さんがお弁当を買ってくれた。

(しんかんせんにのりなごやをすぎたころ)

新幹線に乗り名古屋を過ぎたころ

(「おなかすいた~。」)

「お腹すいた~。」

(「おべんとうたべようか。」)

「お弁当食べようか。」

など

(「いただきます。」)

「いただきます。」

(としひこくんのようすがいつもとかわらないのにあんしんした。)

俊彦君の様子がいつもと変わらないのに安心した。

(きょうとえきについて、さきにほてるへちぇっくいん。)

京都駅について、先にホテルへチェックイン。

(そのあとしないのさんさくへでかけた。)

そのあと市内の散策へ出かけた。

(かもかわぞいをあるいていると、)

鴨川沿いを歩いていると、

(「おさむ?」)

「修?」

(おんなのひとによびとめられておさむさんはたちどまった。)

女の人に呼び止められて修さんは立ち止まった。

(「えみこ・・・。」)

「恵美子・・・。」

(おさむさんのかおがすこしくもったようにかんじた。)

修さんの顔が少し曇ったように感じた。

(「なんかわけありか?」)

「なんか訳ありか?」

(「みたいだけど・・・。」)

「みたいだけど・・・。」

(わたしはあえてしらんふりをした、としひこくんはきょうみしんしんで)

私はあえて知らんふりをした、俊彦君は興味津々で

(はなしにききみみをたてている。)

話に聞き耳を立てている。

(でのそのひとをみたとき、あれ?)

その人を見た時、あれ?

(そのひともわたしのかおをみて、)

その人も私の顔を見て、

(「あら?きょねんしゅうがくりょこうできょうとにきたこね、おさむのしりあい?」)

「あら?去年修学旅行で京都に来た子ね、修の知り合い?」

(「あ、あーこうこうのこうはいだよ。」)

「あ、あー高校の後輩だよ。」

(「そう。ぐうぜんってあるのね、こうやってあなたにもあうなんて。)

「そう。偶然ってあるのね、こうやってあなたにも会うなんて。

(なんねんぶりかしら。」)

何年ぶりかしら。」

(「5ねんになる。」)

「5年になる。」

(「しょうごのそうぎいらいだものね。」)

「省吾の葬儀以来だものね。」

(「そうだな。げんきにしてるのか?」)

「そうだな。元気にしてるのか?」

(「からだはね・・・。」)

「体はね・・・。」

(「・・・。」)

「・・・・。」

(「うちのかいしゃがあぶないのよ、りこんをいわれたんだけど)

「うちの会社が危ないのよ、離婚を言われたんだけど

(わかれてしまうのはちがうなっておもって。)

別れてしまうのは違うなって思って。

(あのひとはりこんしてもいいっていってくれたんだけど・・・。」)

あの人は離婚してもいいって言ってくれたんだけど・・・。」

(「そうか、きみらしいな。」)

「そうか、君らしいな。」

(「あなたは、まだどくしん?」)

「あなたは、まだ独身?」

(「あー。」)

「あー。」

(「おさむさん、わたしたちさきにほてるにかえってますね。」)

「修さん、私たち先にホテルに帰ってますね。」

(「あ、ごめんなさいねひきとめちゃったわね。)

「あ、ごめんなさいね引き止めちゃったわね。

(いつまでいるの?」)

いつまでいるの?」

(「あしたにはかえるよ。」)

「明日には帰るよ。」

(「げんきでね。」)

「元気でね。」

(「きみもげんきで・・・。」)

「君も元気で・・・。」

(そのひとはせをむけてあるいていった。)

その人は背を向けて歩いて行った。

(「いいんですか?」)

「いいんですか?」

(「かまわないよ、いこうか。」)

「構わないよ、行こうか。」

(わたしたちはほてるへもどった。)

私たちはホテルへ戻った。

(「ゆうはんまえにおふろにはいろうか。」)

「夕飯前にお風呂に入ろうか。」

(「はい。」)

「はい。」

(わたしたちはだいよくじょうへいった。)

私たちは大浴場へ行った。

(「めぐみでたらたっきゅうやろうぜ。」)

「恵出たら卓球やろうぜ。」

(「やったことないな。」)

「やったことないな。」

(「めぐみちゃんはぼくとくもうね。」)

「恵ちゃんは僕と組もうね。」

(としひこくんのほっぺがふくらんだ、いつものとしひこくんだ。)

俊彦君のほっぺが膨らんだ、いつもの俊彦君だ。

(ゆうはんのあと、しんきょうごくへおみやげをみにいった。)

夕飯の後、新京極へお土産を見に行った。

(「おれちょっとあっちのみせみてくる。」)

「俺ちょっとあっちの店見てくる。」

(「としひこ、かくのきっさてんにいるから。」)

「俊彦、角の喫茶店にいるから。」

(てをあげてとしひこくんははしっていった。)

手を挙げて俊彦君は走って行った。

(しんきょうごくのなかのきっさてんへはいった)

新京極の中ほどの喫茶店へはいった

(「めぐみちゃん、きになってるんでしょ?ひるまのこと。」)

「恵ちゃん、気になってるんでしょ?昼間の事。」

(「いえ、きになってるなんて・・・。」)

「いえ、気になってるなんて・・・。」

(「いいんだ、きみがきをきかせて)

「いいんだ、君が気をきかせて

(さきにほてるへもどるっていったときからわかってたから。」)

先にホテルへ戻るって言った時からわかってたから。」

(「すみません・・・。」)

「すみません・・・。」

(「あやまらなくていいんだよ。」)

「謝らなくていいんだよ。」

(「でも、きいちゃいけないきがして・・。」)

「でも、聞いちゃいけない気がして・・。」

(「めぐみちゃんは、そういうところきがつくね。」)

「恵ちゃんは、そう言うところ気がつくね。」

(「でもきれいなひとですね、えみこさん。」)

「でも綺麗な人ですね、恵美子さん。」

(「あー、わかれなければぼくのおくさんになるひとだった。」)

「あー、別れなければ僕の奥さんになる人だった。」

(おくさん・・。そのことばをきいてわたしはあらためておどろいた。)

奥さん・・。その言葉を聞いて私は改めて驚いた。

(おさむさんにそういうひとがいたんだ。)

修さんにそう言う人がいたんだ。

(おとなだからいてもおかしくないけど、ふだんのおさむさんからは)

大人だからいてもおかしくないけど、普段の修さんからは

(そうぞうもつかないかおをいていたし、とおいめもしていた。)

想像もつかない顔をいていたし、遠い目もしていた。

(そういえば、じゅけんべんきょうのきばらしにいった、)

そういえば、受験勉強の気晴らしに行った、

(うみぞいのみせでも、おなじめをしていたっけ。)

海沿いの店でも、同じ目をしていたっけ。

(「とうじ、かのじょのおとうさんのかいしゃがけいえいがうまくいってなくて)

「当時、彼女のお父さんの会社が経営が上手くいってなくて

(かのじょはおとうさんのとりひきさきのかいしゃのむすことのけっこんばなしがあった、)

彼女はお父さんの取引先の会社の息子との結婚話があった、

(かのじょはかいしゃをつぶすわけにいかないといって、)

彼女は会社を潰すわけにいかないと言って、

(おとうさんのすすめるえんだんばなしをうけたんだ。」)

お父さんの進める縁談話を受けたんだ。」

(「そんな・・・。」)

「そんな・・・・。」

(「わすれるのに3ねんかかった・・・。」)

「忘れるのに3年かかった・・・・。」

(「おとなのせかいはむずかしいですね・・・。」)

「大人の世界は難しいですね・・・。」

(「めぐみちゃんもいまにわかるときがくるさ。)

「恵ちゃんも今にわかる時が来るさ。

(よのなかにはじぶんのおもいだけではどうにもならないことが)

世の中には自分の想いだけではどうにもならない事が

(ある、じぶんがどれだけのぞんでも、ゆるされないことがね。」)

ある、自分がどれだけ望んでも、許されないことがね。」

(そういうとまたとおいめをしてそとをみた。)

そう言うとまた遠い目をして外を見た。

(わたしはとしひこくんとのこれからをかんがえていた。)

私は俊彦君とのこれからを考えていた。

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