おやゆびひめ 3
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問題文
(つめたくてさみしい、ながいふゆがやってきたのです。)
冷たくてさみしい、長い冬がやってきたのです。
(さいしょのひとひらのゆきが、おやゆびひめのうえにまいおりてきたとき)
最初のひとひらの雪が、おやゆびひめの上に舞い降りてきたとき
(おやゆびひめは、じぶんがどんなにちいさいかということをおもいしらされました。)
おやゆびひめは、自分がどんなに小さいかということを思い知らされました。
(それはまるで、おおきなこおりのふとんのようでした。)
それはまるで、大きな氷の布団のようでした。
(おやゆびひめは、ふるえあがってしまいました。)
おやゆびひめは、震えあがってしまいました。
(そのうえ、ふくはぼろぼろになってしまいましたし)
そのうえ、服はぼろぼろになってしまいましたし
(おなかもすいてきました。)
おなかもすいてきました。
(おやゆびひめは、じっとしていることにたえられなくなったので)
おやゆびひめは、じっとしていることに耐えられなくなったので
(こおったつちのうえをあるきはじめました。)
凍った土の上を歩き始めました。
(やがて、むぎをかりとったあとのひろいはたけへでました。)
やがて、麦を刈り取った後の広い畑へ出ました。
(ちいさなおやゆびひめにとって、きりかぶだけのむぎばたけは)
小さなおやゆびひめにとって、切り株だけの麦畑は
(じゃんぐるのようなものでした。)
ジャングルのようなものでした。
(きたかぜがようしゃなく、ちいさなおやゆびひめにふきつけます。)
北風が容赦なく、小さなおやゆびひめに吹きつけます。
(おやゆびひめは、おもわずよろめきました。)
おやゆびひめは、思わずよろめきました。
(そのとき、つちのうえにあるひとつのとぐちをみつけたのです。)
その時、土の上にある一つの戸口を見つけたのです。
(おやゆびひめは、はずかしさもわすれて、)
おやゆびひめは、恥ずかしさも忘れて、
(そのとぐちによびかけていいました。)
その戸口に呼びかけて言いました。
(「こんにちは。ちょっとやすませてくださいな」)
「こんにちは。ちょっと休ませてくださいな」
(とぐちがあくと、のねずみのおばあさんがかおをだしました。)
戸口が開くと、野ねずみのおばあさんが顔を出しました。
(「おやまあ、かわいそうに。さあ、おはいり」)
「おやまあ、かわいそうに。さあ、おはいり」
(と、へやのなかへいれてくれました。)
と、部屋の中へ入れてくれました。
(へやのなかには、もうひとりのおきゃくがいました。)
部屋の中には、もう一人のお客がいました。
(つやのいいがいとうをきた、みみのないねずみのようなおとこでした。)
つやのいい外套を着た、耳のないねずみのような男でした。
(それは、おとなりのもぐらで、かれくさのくっしょんによりかかって)
それは、おとなりのもぐらで、枯草のクッションによりかかって
(はまきをすっていました。)
葉巻を吸っていました。
(もぐらは、おやゆびひめのうつくしいこえをきいて、すっかりきにいりました。)
もぐらは、おやゆびひめの美しい声を聞いて、すっかり気に入りました。
(それで、おやゆびひめに、いろいろとやさしいことばをかけました。)
それで、おやゆびひめに、いろいろと優しい言葉をかけました。
(おやゆびひめは、のねずみのおばあさんがいれてくれた)
おやゆびひめは、野ねずみのおばあさんがいれてくれた
(あついおちゃをすすりながら、そのもぐらのことばをぼんやりときいていました。)
熱いお茶をすすりながら、そのもぐらの言葉をぼんやりと聞いていました。
(もぐらがかえっていったあと、のねずみのおばあさんは)
もぐらが帰っていったあと、野ねずみのおばあさんは
(「おとなりさんは、どうやら、おまえさんをおきにいりのようだよ。)
「おとなりさんは、どうやら、お前さんをお気に入りのようだよ。
(おまえさんは、なんてうんがいいんだろう。)
お前さんは、なんて運がいいんだろう。
(なにしろ、おとなりさんは、たいへんなおかねもちでね。)
なにしろ、おとなりさんは、大変なお金持ちでね。
(まあ、めはみえないが、きはやさしいひとだからね」)
まあ、目は見えないが、気は優しいひとだからね」
(と、おやゆびひめに、くどくどというのでした。)
と、おやゆびひめに、くどくどと言うのでした。
(おやゆびひめは、のねずみのおばあさんのみのまわりのせわをいっしょうけんめいしました。)
おやゆびひめは、野ねずみのおばあさんの身の回りの世話を一生懸命しました。
(のねずみのおばあさんも、おやゆびひめにやさしくしてくれました。)
野ねずみのおばあさんも、おやゆびひめに優しくしてくれました。
(つめたいきたかぜは、このつちのなかへはとどかないし)
冷たい北風は、この土の中へは届かないし
(たべものもたくさんありました。)
食べ物もたくさんありました。
(あるひ、おやゆびひめは、のねずみのおばあさんにつれられて)
ある日、おやゆびひめは、野ねずみのおばあさんに連れられて
(もぐらのいえへあそびにいくことになりました。)
もぐらの家へ遊びに行くことになりました。
(おとなりのいえまでの、まがりくねったとんねるをあんないするのに)
お隣の家までの、曲がりくねったトンネルを案内するのに
(くさったきのえだをくわえて、もぐらがやってきました。)
腐った木の枝をくわえて、もぐらがやってきました。
(くさったきのえだは、あおじろいひかりで、つちのかべをてらしていました。)
腐った木の枝は、青白い光で、土の壁を照らしていました。
(そのとき、おやゆびひめは、くらいみちのかたすみに、)
その時、おやゆびひめは、暗い道の片隅に、
(なにかころがっているものをみつけました。)
なにか転がっているものを見つけました。
(ちかよってみると、それはいちわのつばめでした。)
近寄ってみると、それは一羽のつばめでした。
(ちいさなおやゆびひめにくらべると、なんばいもおおきいからだをしていましたが)
小さなおやゆびひめに比べると、何倍も大きい体をしていましたが
(そのつばめは、すこしもうごかずめはとじたままでした。)
そのつばめは、少しも動かず目は閉じたままでした。
(きっと、さむさでこごえしんだのでしょう。)
きっと、寒さで凍え死んだのでしょう。
(おやゆびひめは、つばめがどんなふうに)
おやゆびひめは、つばめがどんなふうに
(とんだりうたったりするかをよくしっていました。)
飛んだり歌ったりするかをよく知っていました。
(「まあ、かわいそうに」)
「まあ、かわいそうに」
(おやゆびひめは、おもわずなみだをこぼすと)
おやゆびひめは、思わず涙をこぼすと
(つばめのむねにそっとてをあてました。)
つばめの胸にそっと手を当てました。
(すると、つばめのしんぞうがどきどきしているので)
すると、つばめの心臓がどきどきしているので
(おやゆびひめは、びっくりしました。)
おやゆびひめは、びっくりしました。
(つばめは、まだいきていたのです。)
つばめは、まだ生きていたのです。
(のねずみのおばあさんは、おやゆびひめがとりのそばをはなれないので)
野ねずみのおばあさんは、おやゆびひめが鳥のそばを離れないので
(いらいらしていいました。)
いらいらして言いました。
(「そんなくだらないもの、ほうっておおきよ。おとなりさんがおまちだよ」)
「そんなくだらないもの、放っておおきよ。おとなりさんがお待ちだよ」
(もぐらはみじかいあしで、つばめをけとばしながら)
もぐらは短い足で、つばめを蹴とばしながら
(「くだらないものだって?ふん、まったくそのとおりだ」といいました。)
「くだらないものだって?ふん、まったくその通りだ」と言いました。
(おやゆびひめは、そのひのよる、のねずみのおばあさんのところから)
おやゆびひめは、その日の夜、野ねずみのおばあさんのところから
(やわらかいわたをもってきて、つばめのからだにかけました。)
柔らかい綿を持ってきて、つばめの体にかけました。
(きをうしなっていたつばめは、おやゆびひめのやさしいかんごで)
気を失っていたつばめは、おやゆびひめの優しい看護で
(まもなく、いきをふきかえしました。)
間もなく、息をふきかえしました。
(「ちいさなかわいいおじょうさん、ありがとう」)
「小さなかわいいお嬢さん、ありがとう」
(と、つばめはこころをこめていいました。)
と、つばめは心を込めて言いました。
(おやゆびひめは、のねずみのおばあさんにきづかれないように)
おやゆびひめは、野ねずみのおばあさんに気づかれないように
(たべものやみずを、つばめのところへはこびました。)
食べ物や水を、つばめのところへ運びました。
(それで、つばめはすこしずつげんきになっていきました。)
それで、つばめは少しずつ元気になっていきました。