ピノッキオの冒険 16

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投稿者投稿者ローズマリーいいね0お気に入り登録
プレイ回数6難易度(4.4) 4437打 長文
原作 コッローディ

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問題文

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(おいはぎたちのすがたがみえなくなって、しばらくたったころ)

追いはぎ達の姿が見えなくなって、しばらくたった頃

(いえのまどがあいて、さきほどのおんなのひとがかおをのぞかせました。)

家の窓が開いて、先ほどの女の人が顔をのぞかせました。

(このおんなのひとは、じつはせんねんいじょうもむかしから、このもりにすんでいる)

この女の人は、実は千年以上もむかしから、この森に住んでいる

(ふしぎなちからをもったせんにょだったのです。)

不思議な力を持った仙女だったのです。

(せんにょはそらにむかって、ぽんとひとつてをうちました。)

仙女は空に向かって、ポンとひとつ手を打ちました。

(すぐにいちわのおおたかが、かぜをきってせんにょのそばへまいおりてきました。)

すぐに一羽の大鷹が、風を切って仙女のそばへ舞い降りてきました。

(「およびでございますか、せんにょさま」)

「お呼びでございますか、仙女さま」

(「むこうのきのえだに、ぴのっきおというあやつりにんぎょうがつるされています。)

「向こうの木の枝に、ピノッキオという操り人形が吊るされています。

(どんなようすか、ちょっとみてきておくれ」)

どんな様子か、ちょっと見てきておくれ」

(「しょうちいたしました」)

「承知いたしました」

(きのほうへとんでいったおおたかは、まもなくばたばたとまいもどってきました。)

木の方へ飛んで行った大鷹は、まもなくバタバタと舞い戻ってきました。

(「にんぎょうはぴくりともせずに、きのえだからぶらさがっております)

「人形はぴくりともせずに、木の枝からぶら下がっております

(けれども、まだかすかにいきがあるようでございます」)

けれども、まだかすかに息があるようでございます」

(「そうですか。それではごくろうついでにもうひとつだけ、たのまれておくれ。)

「そうですか。それではご苦労ついでにもう一つだけ、頼まれておくれ。

(あのこをつりさげているなわを、おまえのくちばしでかみきって)

あの子を吊り下げている縄を、おまえのくちばしでかみ切って

(ぴのっきおのからだを、したへおろしてやってもらいたいのです」)

ピノッキオの体を、下へおろしてやってもらいたいのです」

(「かしこまってございます」)

「かしこまってございます」

(おおたかがとんでいくのをみおくったせんにょは、またひとつ、ぽんとてをならしました。)

大鷹が飛んでいくのを見送った仙女は、また一つ、ポンと手をならしました。

(そのとたん、もりのおくからいちだいのばしゃがあらわれたかとおもうと)

そのとたん、森の奥から一台の馬車が現れたかと思うと

(すばらしいいきおいで、こちらへちかづいてきました。)

すばらしい勢いで、こちらへ近づいてきました。

など

(もしも、ぴのっきおがこのばしゃをみたとしたら、)

もしも、ピノッキオがこの馬車を見たとしたら、

(きっとめをまるくして、おどろいたことでしょう。)

きっと目を丸くして、驚いたことでしょう。

(かぞえきれないほどのねずみにひかれたばしゃは、)

数えきれないほどのねずみに引かれた馬車は、

(ぜんぶおかしでできていて)

全部お菓子でできていて

(はしりながら、しきりといいにおいをさせていたのです。)

走りながら、しきりといいにおいをさせていたのです。

(ばしゃのうえでは、いっぴきのむくいぬが、ひゅうひゅうとむちをふりまわしていました。)

馬車の上では、一匹のむく犬が、ヒュウヒュウとむちを振り回していました。

(びろーどのふくに、はなのもようのちょっき、あたまにはかつらをかぶり)

ビロードの服に、花の模様のチョッキ、頭にはかつらをかぶり

(ずぼんのうしろには、しっぽをしまいこむ、ほそながいふくろまでがついているという)

ズボンの後ろには、しっぽをしまいこむ、細長い袋までがついているという

(みるからにいかめしいようすをしています。)

見るからにいかめしい様子をしています。

(これは、めどーらというせんにょのめしつかいでした。)

これは、メドーラという仙女の召使いでした。

(「おまえね、ちょっといって、ぴのっきおというあやつりにんぎょうをはこんでおいで。)

「おまえね、ちょっと行って、ピノッキオという操り人形を運んでおいで。

(このさきの、きのねもとのところにたおれているはずだから」)

この先の、木の根元の所に倒れているはずだから」

(「わかりましてござりまする」)

「わかりましてござりまする」

(ばしゃは、すぐにぴのっきおをのせて、いえのとぐちのところへもどってきました。)

馬車は、すぐにピノッキオを乗せて、家の戸口のところへ戻ってきました。

(みると、ぴのっきおはめをとじたままばしゃのなかにぐったりとよこたわっています。)

見ると、ピノッキオは目を閉じたまま馬車の中にぐったりと横たわっています。

(せんにょはしんぱいそうに、まゆをひそめました。)

仙女は心配そうに、眉をひそめました。

(「めどーら、このこがいきをしているかどうかたしかめてごらん。)

「メドーラ、この子が息をしているかどうか確かめてごらん。

(なんとか、たすかるといいのだけれど」)

なんとか、助かるといいのだけれど」

(めどーらは、ぴのっきおのむねにみみをおしあてて、)

メドーラは、ピノッキオの胸に耳を押し当てて、

(しばらくじっとしていましたが、やがてくびをひねりながら、)

しばらくじっとしていましたが、やがて首をひねりながら、

(もうしわけなさそうにかおをあげました。)

申し訳なさそうに顔を上げました。

(「せんにょさま、どうもはっきりとはわかりませぬ。)

「仙女さま、どうもはっきりとはわかりませぬ。

(なにやらかすかに、しんぞうのおとがきこえるようなきもいたしますが」)

なにやらかすかに、心臓の音が聞こえるような気も致しますが」

(「そうか」せんにょは、ちょっとかんがえこみました。)

「そうか」仙女は、ちょっと考え込みました。

(「それならば、あとはおいしゃさまにまかせるよりしかたがない。)

「それならば、あとはお医者様に任せるより仕方がない。

(めどーら、おまえすぐにばしゃででかけなさい。)

メドーラ、おまえすぐに馬車で出かけなさい。

(からすのせんせいとふくろうのせんせいを、ここまでおつれしてくるのです。)

からすの先生とふくろうの先生を、ここまでお連れしてくるのです。

(このこは、わたしがべっどへはこんでおきましょう」)

この子は、私がベッドへ運んでおきましょう」

(めどーらは、ばしゃにとびのると、ぱちりとむちをならしました。)

メドーラは、馬車に飛び乗ると、パチリとむちをならしました。

(ねずみたちにひかれたばしゃは、たちまちみちのとおくへはしりさっていきました。)

ねずみたちに引かれた馬車は、たちまち道の遠くへ走り去っていきました。

(そのあいだに、せんにょはぴのっきおをいえのなかへはこびこんでべっどへねかせると)

その間に、仙女はピノッキオを家の中へ運び込んでベッドへ寝かせると

(そばにこしをおろして、じっとようすをみまもりはじめました。)

そばに腰を下ろして、じっと様子を見守りはじめました。

(まもなく、ばしゃのとまるおとがして、からすのおいしゃとふくろうのおいしゃ、)

まもなく、馬車の止まる音がして、からすのお医者とふくろうのお医者、

(それにぴのっきおにころされたあとからも、ときどきすがたをあらわすくせのあるこおろぎが、)

それにピノッキオに殺された後からも、時々すがたを現す癖のあるこおろぎが、

(めどーらにあんないされながら、へやのなかへはいってきました。)

メドーラに案内されながら、部屋の中へ入ってきました。

(せんにょはたちあがって、からすたちをでむかえました。)

仙女は立ち上がって、からすたちを出迎えました。

(「せんせいがた、ようこそいらしてくださいました。)

「先生方、ようこそいらしてくださいました。

(ここにいるあやつりにんぎょうが、ぶじかどうかそれをたしかめていただこうとおもいましてね)

ここにいる操り人形が、無事かどうかそれを確かめていただこうと思いましてね

(「あなたさまのおいいつけとあれば、よろこんで。)

「あなた様のお言いつけとあれば、喜んで。

(それではさっそく、しんさつにとりかからせていただきまする」)

それではさっそく、診察に取り掛からせていただきまする」

(からすとふくろうは、せんにょにむかってていねいにおじぎをすると)

からすとふくろうは、仙女に向かって丁寧にお辞儀をすると

(ぴのっきおのそばにちかづいて、うでをにぎってみたり、はなのあたまをさわってみたり)

ピノッキオのそばに近づいて、腕を握ってみたり、鼻の頭を触ってみたり

(そうかとおもうと、じぶんのひたいにはねのさきをあてて、)

そうかと思うと、自分のひたいに羽の先を当てて、

(ちょっとかんがえこんでみたりしながら、ねっしんにしんさつをはじめました。)

ちょっと考え込んでみたりしながら、熱心に診察を始めました。

(こうして、ひととおりしんさつがおわると、)

こうして、一通り診察が終わると、

(からすが、しかつめらしいようすでくちをきりました。)

からすが、しかつめらしい様子で口をきりました。

(「わたくしめのみましたところでは、このにんぎょうはかんぜんにしんでおりまする。)

「わたくしめのみましたところでは、この人形は完全に死んでおりまする。

(けれども、まんがいちしんでいないとしたら、)

けれども、万が一死んでいないとしたら、

(いきているしょうこであると、もうせましょう」)

生きている証拠であると、申せましょう」

(「ざんねんながら、そのおかんがえにはさんせいできませぬ」)

「残念ながら、そのお考えには賛成できませぬ」

(ふくろうが、おもおもしいくちぶりではんたいをはじめました。)

ふくろうが、重々しい口ぶりで反対を始めました。

(「わたくしめのしんさつによりますれば、このにんぎょうは、かんぜんにいきておりまする。)

「わたくしめの診察によりますれば、この人形は、完全に生きておりまする。

(ひょっとして、しんでいるとしたら、)

ひょっとして、死んでいるとしたら、

(もちろんいきていないしょうこでございますけれども」)

もちろん生きていない証拠でございますけれども」

(「なるほどねえ。こおろぎさんはどうおもいまして?」)

「なるほどねえ。こおろぎさんはどう思いまして?」

(せんにょがあきれたように、こおろぎのほうへかおをむけました。)

仙女があきれた様に、こおろぎのほうへ顔を向けました。

(「わたしはいしゃではありませんから、むずかしいことはわかりません。)

「私は医者ではありませんから、難しいことはわかりません。

(ただ、このこのことはまえからよくしっておりましてな。)

ただ、この子のことは前からよく知っておりましてな。

(いやはや、じつにどうもわんぱくなこどもで、)

いやはや、実にどうもわんぱくな子供で、

(いつもおやがわりのじぇぺっとじいさんをこまらせてばかりおりました。)

いつも親代わりのジェペット爺さんを困らせてばかりおりました。

(でも、このこがしんだとしったら、おじいさんはさぞなげきかなしむことでしょうて」)

でも、この子が死んだと知ったら、お爺さんはさぞ嘆き悲しむことでしょうて」

(そのときべっどのほうから、わーっというようななきごえがきこえてきました。)

その時ベッドの方から、わーっというような泣き声が聞こえてきました。

(いきをふきかえしたぴのっきおが、こおろぎのことばをみみにしているうちに)

息を吹き返したピノッキオが、こおろぎの言葉を耳にしているうちに

(おもわずなきだしたのです。)

思わず泣きだしたのです。

(「おや、ないている、ないている。これぞまさしく、いきているしょうこです」)

「おや、泣いている、泣いている。これぞまさしく、生きている証拠です」

(からすとふくろうが、こえをそろえてさけびました。)

からすとふくろうが、声をそろえて叫びました。

(「そうね。ほんとに、いきているしょうこだわ」)

「そうね。ほんとに、生きている証拠だわ」

(せんにょとこおろぎは、かおをみあわせてわらいだしました。)

仙女とこおろぎは、顔を見合わせて笑い出しました。

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