人魚姫 5

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投稿者投稿者ローズマリーいいね0お気に入り登録
プレイ回数1904難易度(4.5) 2377打 長文
原作 アンデルセン

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問題文

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(このにんぎょひめは、ふだんからいつもしずかにかんがえているたちでしたが、)

この人魚姫は、普段からいつも静かに考えているたちでしたが、

(おねえさまたちが、「うみのうえでなにをみてきたの?はなしてごらん」)

お姉さまたちが、「海の上で何を見てきたの?話してごらん」

(ときいてもはなそうとせず、かなしそうにふさぎこむようになりました。)

と聞いても話そうとせず、悲しそうにふさぎ込むようになりました。

(にんぎょひめはそれからいくども、おうじさまとわかれたすなはまにそっとあがってみました。)

人魚姫はそれから幾度も、王子様と別れた砂浜にそっと上がってみました。

(でも、おうじさまのすがたをみることはできなかったのです。)

でも、王子様の姿を見ることはできなかったのです。

(にんぎょひめは、おうじさまをわすれることができませんでした。)

人魚姫は、王子様を忘れることができませんでした。

(まいにちまいにち、おにわのだいりせきのしょうねんのそばにすわって、ふかいためいきをつきながら)

毎日毎日、お庭の大理石の少年のそばに座って、深いため息をつきながら

(おうじさまのことばかりかんがえていました。)

王子様のことばかり考えていました。

(「もういちど、おうじさまにおあいしたい・・・」)

「もう一度、王子様にお会いしたい・・・」

(たまらなくなって、おひめさまはおねえさまにうちあけました。)

たまらなくなって、お姫さまはお姉さまに打ち明けました。

(おねえさまは、なかのいいともだちにそうだんしました。)

お姉さまは、仲のいい友達に相談しました。

(ところがそのともだちは、おうじさまのことをよくしっていたのです。)

ところがその友達は、王子様のことをよく知っていたのです。

(あのふねのうえのぱーてぃーのことも、おうじさまがどこのくにのひとかもしっていました。)

あの船の上のパーティーのことも、王子様がどこの国の人かも知っていました。

(「さあ、いっしょにおうじさまのおしろへいきましょう」)

「さあ、一緒に王子様のお城へ行きましょう」

(にんぎょのおひめさまたちは、みんなでてをつなぎ)

人魚のお姫様たちは、みんなで手をつなぎ

(ともだちのあとから、おうじさまのおしろのあるうみべへあがっていきました。)

友達の後から、王子様のお城のある海辺へあがっていきました。

(おしろはつやつやしたくりーむいろのいしでできており、)

お城はつやつやしたクリーム色の石でできており、

(だいりせきのかいだんが、うみのなかまでおりられるようになっていました。)

大理石の階段が、海の中まで下りられるようになっていました。

(たかくそびえるきんいろのやねは、きらきらかがやいてまぶしいほどでした。)

高くそびえる金色の屋根は、きらきら輝いてまぶしいほどでした。

(おうじさまのおしろがわかったので、よるになるとにんぎょひめはひとりででかけました。)

王子様のお城がわかったので、夜になると人魚姫は一人で出かけました。

など

(おもいきってばるこにーのしたまでおよいでいき、)

思い切ってバルコニーの下まで泳いでいき、

(ばるこにーからつきをながめるおうじさまを、どきどきしながらみあげました。)

バルコニーから月を眺める王子様を、どきどきしながら見上げました。

(「おうじさまはきがついてくださらないわ。わたしがしっぽのあるにんぎょだからなのね。)

『王子様は気がついてくださらないわ。私がしっぽのある人魚だからなのね。

(ああ、わたしもにんげんになりたい。そして、おうじさまのおそばで)

ああ、私も人間になりたい。そして、王子様のおそばで

(ずっといっしょにくらしたい・・・」)

ずっと一緒に暮らしたい・・・』

(にんぎょひめは、おばあさまにたずねました。)

人魚姫は、おばあさまに尋ねました。

(「にんげんはおぼれてしにさえしなければ、いつまでもいきていられるの?」)

「人間は溺れて死にさえしなければ、いつまでも生きていられるの?」

(「いいえ、わたしたちはさんびゃくねんもいきていられるけど、にんげんのいのちはみじかいわ。)

「いいえ、私たちは三百年も生きていられるけど、人間の命は短いわ。

(そのかわりにんげんにはたましいがあって、しぬとおほしさまになれるの。)

その代わり人間には魂があって、死ぬとお星さまになれるの。

(わたしたちは、しぬとあわになってしまうけれど・・・」)

私たちは、死ぬと泡になってしまうけれど・・・」

(「まあ、わたしたちはしぬとあわになるの?わたしはさんびゃくねんもいきるより)

「まあ、私たちは死ぬと泡になるの?私は三百年も生きるより

(たったいちにちでいいから、にんげんになりたいわ」)

たった一日でいいから、人間になりたいわ」

(「それはむりよ。もしあなたがにんげんにあいされて、けっこんできればべつだけど・・・)

「それは無理よ。もしあなたが人間に愛されて、結婚出来れば別だけど・・・

(そうすれば、にんげんのたましいやしあわせをわけてもらえるからね。)

そうすれば、人間の魂や幸せをわけてもらえるからね。

(でも、しっぽがあるからだめ。あなたのそのかわいいしっぽも)

でも、しっぽがあるからだめ。あなたのその可愛いしっぽも

(にんげんにはきらわれているのよ」)

人間には嫌われているのよ」

(「このしっぽが?ああ、やっぱり・・・」)

「このしっぽが?ああ、やっぱり・・・」

(「どうしたの?こんやはみんなでおどったら?」)

「どうしたの?今夜はみんなで踊ったら?」

(おばあさまはしんぱいして、にぎやかなぱーてぃーをひらきました。)

おばあさまは心配して、にぎやかなパーティーを開きました。

(でも、にんぎょひめはかなしそうに、ひとりでそっとおしろをぬけだしていったのです。)

でも、人魚姫は悲しそうに、ひとりでそっとお城を抜け出していったのです。

(「ああ、しっぽがなかったら・・・。そしてにんげんになって、)

『ああ、しっぽがなかったら・・・。そして人間になって、

(おうじさまのおそばでくらせたら、どんなにしあわせでしょう。)

王子様のおそばで暮らせたら、どんなに幸せでしょう。

(うみのまじょなら、もしかしたらにんげんのすがたにかえてくれるかもしれないわ」)

海の魔女なら、もしかしたら人間の姿に変えてくれるかもしれないわ』

(にんぎょひめは、まじょをたずねることにしました。)

人魚姫は、魔女を訪ねることにしました。

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