牧野虚太郎 - 復讐
ともあれ、彼の美神への信仰は、短い詩に凝縮されて、何遍読んでも読者に新たなカタルシスを経験させるという、ささやかな奇蹟を実現して見せたのである。そこに至る道を、どういう言葉で説明したらいいのだろうか。説明的な言葉を一切口にしなかった〈完璧な詩人〉を前にしては、こちらも口を噤むより仕方がない。 {牧野虚太郎詩集(鮎川信夫 編)解説より}
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問題文
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(らんぷをあつめれば)
ランプをあつめれば
(あなたのもしょうにつづいて)
あなたの喪章につづいて
(かなしいかがみと)
哀しい鏡と
(しずかにおかれたかげがある)
靜かにおかれた影がある
(ことさらのしんぱんに)
ことさらの審判に
(わたしのないふはさびて)
私のナイフはさびて
(つづれをまとうたかげがある)
つづれをまとふた影がある
(だれもいないと)
誰もゐないと
(ことばだけがうつくしい)
言葉だけが美しい