「こころ」1-48 夏目漱石
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | どんぐり | 6137 | A++ | 6.4 | 94.8% | 286.1 | 1857 | 101 | 36 | 2024/11/02 |
2 | ぽむぽむ | 5757 | A+ | 5.9 | 96.2% | 313.5 | 1879 | 74 | 36 | 2024/10/19 |
3 | mame | 5355 | B++ | 5.6 | 95.6% | 329.0 | 1847 | 85 | 36 | 2024/11/10 |
4 | ぶす | 5034 | B+ | 5.4 | 92.9% | 337.3 | 1837 | 139 | 36 | 2024/11/05 |
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問題文
(そのときわたくしははらのなかでせんせいをにくらしくおもった。)
その時私は腹の中で先生を憎らしく思った。
(かたをならべてあるきだしてからも、じぶんのききたいことをわざときかずにいた。)
肩を並べて歩き出してからも、自分の聞きたい事をわざと聞かずにいた。
(しかしせんせいのほうでは、それにきがついていたのか、いないのか、)
しかし先生の方では、それに気が付いていたのか、いないのか、
(まるでわたくしのたいどにこだわるようすをみせなかった。)
まるで私の態度に拘泥る様子を見せなかった。
(いつものとおりちんもくがちにおちつきはらったほちょうをすましてはこんでいくので、)
いつもの通り沈黙がちに落ち付き払った歩調をすまして運んで行くので、
(わたくしはすこしごうはらになった。)
私は少し業腹になった。
(なんとかいってひとつせんせいをやっつけてみたくなってきた。)
何とかいって一つ先生をやっ付けてみたくなって来た。
(「せんせい」)
「先生」
(「なんですか」)
「何ですか」
(「せんせいはさっきすこしこうふんなさいましたね。あのうえきやのにわでやすんでいるときに。)
「先生はさっき少し昂奮なさいましたね。あの植木屋の庭で休んでいる時に。
(わたくしはせんせいのこうふんしたのをめったにみたことがないんですが、)
私は先生の昂奮したのを滅多に見た事がないんですが、
(きょうはめずらしいところをはいけんしたようなきがします」)
今日は珍しいところを拝見したような気がします」
(せんせいはすぐへんじをしなかった。)
先生はすぐ返事をしなかった。
(わたくしはそれをてごたえのあったようにもおもった。)
私はそれを手応えのあったようにも思った。
(またまとがはずれたようにもかんじた。)
また的が外れたようにも感じた。
(しかたがないからあとはいわないことにした。)
仕方がないから後はいわない事にした。
(するとせんせいがいきなりみちのはじへよっていった。)
すると先生がいきなり道の端へ寄って行った。
(そうしてきれいにかりこんだいけがきのしたで、すそをまくってしょうべんをした。)
そうして綺麗に刈り込んだ生垣の下で、裾をまくって小便をした。
(わたくしはせんせいがようをたすあいだぼんやりそこにたっていた。)
私は先生が用を足す間ぼんやりそこに立っていた。
(「やあしっけい」)
「やあ失敬」
(せんせいはこういってまたあるきだした。)
先生はこういってまた歩き出した。
(わたくしはとうとうせんせいをやりこめることをだんねんした。)
私はとうとう先生をやり込める事を断念した。
(わたくしたちのとおるみちはだんだんにぎやかになった。いままでちらほらとみえたひろいはたけの)
私たちの通る道は段々賑やかになった。今までちらほらと見えた広い畠の
(しゃめんやへいちが、まったくめにいらないようにさゆうのいえなみがそろってきた。)
斜面や平地が、全く眼に入らないように左右の家並が揃ってきた。
(それでもところどころたくちのすみなどに、えんどうのつるをたけにからませたり、)
それでも所々宅地の隅などに、豌豆の蔓を竹にからませたり、
(かなあみでにわとりをかこいがいにしたりするのがかんせいにながめられた。)
金網で鶏を囲い飼いにしたりするのが閑静に眺められた。
(しちゅうからかえるだばがしきりなくすれちがっていった。)
市中から帰る駄馬が仕切りなく擦れ違って行った。
(こんなものにしじゅうきをとられがちなわたくしは、さっきまでむねのなかにあったもんだいを)
こんなものに始終気を奪られがちな私は、さっきまで胸の中にあった問題を
(どこかへふりおとしてしまった。)
どこかへ振り落としてしまった。
(せんせいがとつぜんそこへあともどりをしたとき、わたくしはじっさいそれをわすれていた。)
先生が突然そこへ後戻りをした時、私は実際それを忘れていた。
(「わたしはさっきそんなにこうふんしたようにみえたんですか」)
「私は先刻そんなに昂奮したように見えたんですか」
(「そんなにというほどでもありませんが、すこし・・・」)
「そんなにというほどでもありませんが、少し…」
(「いやみえてもかまわない。じっさいこうふんするんだから。わたしはざいさんのことをいうと)
「いや見えても構わない。実際昂奮するんだから。私は財産の事をいうと
(きっとこうふんするんです。きみにはどうみえるかしらないが、わたしはこれで)
きっと昂奮するんです。君にはどう見えるか知らないが、私はこれで
(たいへんしゅうねんぶかいおとこなんだから。ひとからうけたくつじょくやそんがいは、)
大変執念深い男なんだから。人から受けた屈辱や損害は、
(じゅうねんたってもにじゅうねんたってもわすれやしないんだから」)
十年たっても二十年たっても忘れやしないんだから」