市丸利之助 ルーズベルトへ　②

(われらいま、ぶつりょうをたのめるきかくうぐんのばくげきおよびかんぽうしゃげきのもと、)

我等今、物量を恃める貴下空軍の爆撃及艦砲射撃の下、

(がいけいてきにはたいえいのやむなきにいたれるも、せいしんてきにはやほうとみにして、)

外形的には退嬰の己むなきに至れるも、精神的には弥豊富にして、

(しんちますますめいろうをおぼえ、かんきをきんずるあたわざるもあり。)

心地益明朗を覚え、歓喜を禁ずる能はざるもあり。

(これ、てんぎょうよくさんのしんねんにもゆるにほんしんみんのきょうつうのしんりなるも、)

之、天業翼賛の信念に燃ゆる日本臣民の共通の心理なるも、

(きかおよびちゃーちるくんとうのりかいにくるしむところならん。いまここに、)

貴下及チャーチル君等の理解に苦む所ならん。 今茲に、

(けいらのせいしんてきひんじゃくをあわれみ、いかひとこともってしばらくおしゆるところあらんとす。)

卿等の精神的貧弱を憐み、以下一言以て少く誨ゆる所あらんとす。

(けいらのなすところをもってみれば、はくじんことにあんぐろさくそんをもって)

卿等のなす所を以て見れば、白人殊にアングロサクソンを以て

(せかいのりえきをろうだんせんとし、ゆうしょくじんしゅをもって、)

世界の利益を壟断せんとし、有色人種を以て、

(そのやぼうのまえにどれいかせんとするにほかならず。)

其の野望の前に奴隷化せんとするに外ならず。

(これがため、かんさくをもってゆうしょくじんしゅをまんちゃくし、いわゆるあくいのぜんせいをもって、)

之が為、奸策を以て有色人種を瞞着し、所謂悪意の善政を以て、

(かれらをそうしんむりょくかせしめんとす。きんせいにいたり、にほんがけいらのやぼうにこうし、)

彼等を喪心無力化せしめんとす。近世に至り、日本が卿等の野望に抗し、

(ゆうしょくじんしゅ、ことにとうようみんぞくをして、けいらのそくばくよりかいほうせんとこころみるや、)

有色人種、殊に東洋民族をして、卿等の束縛より解放せんと試みるや、

(けいらはごうもにほんのしんいをりかいせんとつとむることなく、)

卿等は毫も日本の真意を理解せんと努むることなく、

(ひたすらけいらのためのゆうがいなるそんざいとなし、かつてのゆうほうをもくするにきゅうてきやばんじんをもってし)

只管卿等の為の有害なる存在となし、曾ての友邦を目するに仇敵野蛮人を以てし

(こうこうぜんとしてにほんじんしゅのぜつめつをこごうするにいたる。これ、あにしんいにかなうものならんや)

公々然として日本人種の絶滅を呼号するに至る。之、豈神意に叶ふものならんや

(だいとうあせんそうにより、いわゆるだいとうあきょうえいけんのなるや、)

大東亜戦争に依り、所謂大東亜共栄圏の成るや、

(しょざいかくみんぞくは、わがぜんせいをおうかし、)

所在各民族は、我が善政を謳歌し、

(けいらがいまこれをはかいすることなくんば、)

卿等が今之を破壊することなくんば、

(ぜんせかいにわたるこうきゅうてきへいわのしょうらい、けしてとおきにあらず。)

全世界に亘る恒久的平和の招来、決して遠きに非ず。

(けいらはすでにじゅうぶんなるはんえいにもまんぞくすることなく、)

卿等は既に充分なる繁栄にも満足することなく、