孫氏兵法書 - 軍争編 ①

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孫武の兵法書
名文、名句で知られる十三篇からなる古代中国の兵法書

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(そんしいわく、およそへいをもちうるのほうは、しょう、めいをきみよりうけ、ぐんをがっししゅうをあつめ、)

孫子曰く、凡そ兵を用うるの法は、将、命を君より受け、軍を合衆を聚め、

(わをまじえてとどまるに、ぐんそうよりかたきはなし。)

和を交えて舎まるに、軍争より難きはなし。

(ぐんそうのかたきは、うをもってちょくとなし、かんをもってりとなす。)

軍争の難きは、迂をもって直となし、患をもって利となす。

(ゆえにそのみちをうにして、これをさそうにりをもってし、ひとにおくれてはっし、)

故にその途を迂にして、これを誘うに利をもってし、人に後れて発し、

(ひとにさきんじていたる。これうちょくのけいをしるものなり。)

人に先んじて至る。此迂直の計を知る者ものなり。

(ゆえにぐんそうはりたり、ぐんそうはきたり。ぐんをあげてりをあらそえばすなわちおよばず、)

故に軍争は利たり、軍争は危たり。軍を挙げて利を争えば則ち及ばず、

(ぐんをすててりをあらそえばすなわちしちょうすてらる。このゆえにこうをまきてはしり、)

軍を委てて利を争えば則ち輜重捐すてらる。是故に甲を巻きて趨り、

(にちやおらず、みちをばいしてけんこうし、ひゃくりにしてりをあらそうときは、)

曰夜処らず、道を倍して兼行し、百里にして利を争うときは、

(すなわちさんしょうぐんをとりこにせらる。)

則ち三将軍を擒にせらる。

(つよきものはさきだち、つかるるものはおくれ、そのほう、じゅうにしていちいたる。)

勁き者は先だち、疲るる者は後れ、その法、十にして一至る。

(ごじゅうりにしてりをあらそうときは、すなわちじょうしょうぐんをたおす。そのほうなかばいたる。)

五十里にして利を争うときは、則ち上将軍を蹶す。其法半ば至る。

(さんじゅうりにしてりをあらそうときは、すなわちさんぶんのにいたる。)

三十里にして利を争うときは、則ち三分の二至る。

(このゆえにぐんにしちょうなければすなわちほろび、りょうしょくなければすなわちほろび、)

是故に軍に輜重無ければ則ち亡び、糧食無ければ則ち亡び、

(いしなければすなわちほろぶ。)

委積無ければ則ち亡ぶ。

(ゆえにしょこうのぼうをしらざるものは、あらかじめまじわることをあたわず。)

故に諸候の謀を知らざる者は、予め交わること能わず。

(さんりん・けんそ・そたくのけいをしらざるものは、ぐんをやることあたわず。)

山林・険阻・沮沢の形を知らざる者は、軍を行ること能わず。

(きょうどうをもちいざるものは、ちのりをうることをあたわず。)

郷導を用いざる者は、地の利を得ること能わず。

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