猫とねずみとお友だち

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投稿者投稿者なぱみいいね0お気に入り登録
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グリム童話
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問題文

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(あるねこがはつかねずみとしりあいになり、ねこがねずみに、)

ある猫がはつかねずみと知り合いになり、猫がねずみに、

(あなたをとてもすきだしともだちになりたいんだ、としきりにいったので)

あなたをとても好きだし友達になりたいんだ、としきりに言ったので

(とうとうねずみはねこといっしょにくらしかじをすることをしょうちしました。)

とうとうねずみは猫と一緒に暮らし家事をすることを承知しました。

(だけど、ふゆにそなえなくてはいけないね。そうしないと)

「だけど、冬に備えなくてはいけないね。そうしないと

(ひもじいおもいをするよ。とねこはいいました。)

ひもじい思いをするよ。」と猫は言いました。

(それでねずみくん、きみはあちこちであるけないよ。そうしないといつかわなに)

「それでねずみくん、君はあちこち出歩けないよ。そうしないといつか罠に

(かかるだろうからね。)

かかるだろうからね。」

(しんせつなちゅうこくにしたがい、ひとつぼのしぼうをかいましたが、そのつぼをどこにおいたらいいか)

親切な忠告に従い、一壺の脂肪を買いましたが、その壺をどこに置いたらいいか

(わかりませんでした。だいぶかんがえたあととうとうねこが)

わかりませんでした。だいぶ考えた後とうとう猫が

(それをしまっておくのにきょうかいよりもよいばしょはわからないね。)

「それをしまっておくのに教会よりも良い場所はわからないね。

(だってそこからはだれもものをとっていかないからな。さいだんのしたにつぼをおいて、)

だってそこからは誰もものをとっていかないからな。祭壇の下に壺を置いて、

(ほんとうにこまるまでそれにさわらないでおこうよ。といいました。)

本当に困るまでそれに触らないでおこうよ。」と言いました。

(それでつぼはあんぜんなばしょにおかれましたが、まもなくねこは)

それで壺は安全な場所に置かれましたが、まもなく猫は

(それがとてもほしくなり、ねずみにいいました。)

それがとても欲しくなり、ねずみに言いました。

(ねずみくん、はなしたいことがあるんだ。いとこがむすこをうんでぼくになづけおやに)

「ねずみくん、話したいことがあるんだ。いとこが息子を産んで僕に名付け親に

(なってもらいたいとたのんでるんだよ。そのこはしろにちゃいろのふちで、せんれいのとき)

なってもらいたいと頼んでるんだよ。その子は白に茶色のふちで、洗礼の時

(せんれいばんのうえでだくことになっているんだ。きょうはでかけさせてくれ。)

洗礼盤の上で抱くことになっているんだ。今日は出かけさせてくれ。

(それできみだけでうちのことをやってくれ。)

それで君だけでうちのことをやってくれ。」

(ええ、ええ。とねずみはこたえました。)

「ええ、ええ。」とねずみは答えました。

(もちろんいってください。それでなにかとてもおいしいものをもらったら、)

「もちろん行ってください。それでなにかとてもおいしいものをもらったら、

など

(わたしのことをおもいだしてくださいね。あまいせんれいのあかわいんを)

私のことを思い出してくださいね。甘い洗礼の赤ワインを

(いってきわたしものみたいわ。)

一滴私も飲みたいわ。」

(ところが、これはぜんぶうそでした。ねこにはいとこがいないし、なづけおやにも)

ところが、これは全部嘘でした。猫にはいとこがいないし、名付け親にも

(たのまれていませんでした。ねこはまっすぐきょうかいへいきしぼうのつぼにしのびより)

頼まれていませんでした。猫はまっすぐ教会へ行き脂肪の壺に忍び寄り

(なめはじめ、しぼうのうわはしをなめつくしました。それからまちのやねのうえをさんぽし)

舐め始め、脂肪の上端を舐め尽くしました。それから街の屋根の上を散歩し

(めぼしいものはないかとながめまわし、ひなたでながながとねそべり)

めぼしいものはないかと眺めまわし、ひなたで長々と寝そべり

(しぼうのつぼをおもいおこすたびにくちびるをなめ、ゆうがたになってやっといえにもどりました。)

脂肪の壺を思い起こすたびに唇を舐め、夕方になってやっと家に戻りました。

(あら、おかえりなさい。とねずみはいいました。)

「あら、おかえりなさい。」とねずみは言いました。

(きっとたのしい1にちだったでしょうね。ばんじうまくいったよ。と)

「きっと楽しい1日だったでしょうね。」「万事うまくいったよ。」と

(ねこはこたえました。なまえはなんてつけたの?うわなしだよ。)

猫は答えました。「名前はなんてつけたの?」「”上無し”だよ。」

(ねこはまるっきりすずしいかおでいいました。)

猫はまるっきり涼しい顔で言いました。

(うわなしですって?ねずみはさけびました。それはとても)

「”上無し”ですって?」ねずみは叫びました。「それはとても

(かわったなまえね。あなたのいえではふつうのなまえなの?)

変わった名前ね。あなたの家では普通の名前なの?」

(それがどうしたんだい?きみんとこのなづけごたちがよばれるみたいな)

「それがどうしたんだい?君んとこの名付け子たちがよばれるみたいな

(ぱんくずどろぼうよりましだよ。とねこはいいました。)

”パン屑泥棒”よりましだよ。」と猫は言いました。

(まもなくねこはまたなめたいほっさにおそわれました。ねこはねずみに)

まもなく猫はまた舐めたい発作に襲われました。猫はねずみに

(おねがいがあるんだ。もういちどひとりでいえをきりもりしてもらいたいんだ。)

「お願いがあるんだ。もう一度一人で家を切り盛りしてもらいたいんだ。

(またなづけおやにたのまれてね。くびのまわりにしろいわがあるこどもなのでね、)

また名付け親に頼まれてね。首の周りに白い輪がある子供なのでね、

(ことわれないんだ。といいました。おひとよしのねずみはりょうかいしました。)

断れないんだ。」と言いました。お人好しのねずみは了解しました。

(しかし、ねこはまちのへいのうしろをしのびあるいてきょうかいへいき、つぼのしぼうをはんぶん)

しかし、猫は街の塀の後ろを忍び歩いて教会へ行き、壺の脂肪を半分

(たべてしまいました。)

食べてしまいました。

(ひとりじめしてたべるものほどうまいものはないな。といって)

「独り占めして食べるものほどうまいものはないな。」と言って

(きょうのしごとにすっかりごまんえつでした。いえにかえるとねずみは)

今日の仕事にすっかりご満悦でした。家に帰るとねずみは

(きょうのこどもはなんてなづけられたの?とたずねました。)

「今日の子供はなんて名付けられたの?」と尋ねました。

(はんぶんおわりさ。とねこはこたえました。)

「”半分終わり”さ。」と猫は答えました。

(なにをいってるの?うまれてこのかたそんななまえきいたことがないわ。)

「何を言ってるの?生まれてこのかたそんな名前聞いたことがないわ。

(ごよみにないってかけてもいいわよ)

暦にないって賭けてもいいわよ。」

(まもなくねこのくちはもっとなめたくてつばがではじめました。)

まもなく猫の口はもっと舐めたくて唾が出始めました。

(よいことはさんどあるとねこはいいました。)

「良いことは三度ある」と猫は言いました。

(またなづけおやにたのまれてね。こどもはまっくろで、あしだけがしろいんだが、)

「また名付け親に頼まれてね。子供は真っ黒で、足だけが白いんだが、

(それをのぞけばぜんしんいっぽんもしろいけがなくて、こういうこはなんねんかに)

それを除けば全身一本も白い毛がなくて、こういう子は何年かに

(いっかいしかうまれないんだよね。いかせてくれるよね?)

一回しか生まれないんだよね。行かせてくれるよね?」

(うわなし、はんぶんおわり。とねずみはこたえました。)

「”上無し”、”半分終わり”」とねずみは答えました。

(とてもおかしななまえばっかり。どういうことかとかんがえさせられるわ。)

「とてもおかしな名前ばっかり。どういうことかと考えさせられるわ。」

(きみはこいねずみいろのけがわをきてながいしっぽでいえにいて、いろんなくうそうに)

「君は濃いねずみ色の毛皮を着て長いしっぽで家にいて、いろんな空想に

(ふけっているんだろ。そんなのはきみがひるまがいしゅつしないからだよ。)

ふけっているんだろ。そんなのは君が昼間外出しないからだよ。」

(とねこはいいました。ねこがるすのあいだねずみはいえをそうじしかたづけましたが)

と猫は言いました。猫が留守の間ねずみは家を掃除し片付けましたが

(がめついねこはつぼのしぼうをすっからかんにしていまいました。)

がめつい猫は壺の脂肪をすっからかんにしていまいました。

(すっかりたべてしまうとおちつくな。とおなかをいっぱいにして)

「すっかり食べてしまうと落ち着くな。」とお腹をいっぱいにして

(ふくらましたねこはひとりごとをいいました。)

ふくらました猫は独り言を言いました。

(そしてよるになってからいえにもどりました。ねずみはすぐにさんばんめのこどもは)

そして夜になってから家に戻りました。ねずみはすぐに三番目の子供は

(なんというなまえになったかたずねました。)

なんという名前になったか尋ねました。

(ほかのこたちよりもっときみのきにいらないだろうね。とねこはいいました。)

「他の子達よりもっと君の気に入らないだろうね。」と猫は言いました。

(そのこはぜんぶなしだよ。ぜんぶなしですって?と)

「その子は”全部無し”だよ。」「”全部無し”ですって?」と

(ねずみはさけびました。)

ねずみはさけびました。

(それは1ばんあやしいなまえね。いんさつしたものにもみたことないわ。ぜんぶなし)

「それは1番怪しい名前ね。印刷したものにも見たことないわ。”全部無し”、

(いったいどういういみかしら?そしてしきりにあたまをふっていましたが、)

一体どういう意味かしら?」そしてしきりに頭を振っていましたが、

(そのうちまるまってよこになりねむってしまいました。)

そのうち丸まって横になり眠ってしまいました。

(このときからはだれもねこをなづけおやによばなくなりました。)

このときからは誰も猫を名付け親に呼ばなくなりました。

(しかし、ふゆがこてもうそとでなにもみつからなくなると、ねずみは)

しかし、冬が来てもう外で何も見つからなくなると、ねずみは

(たくわえていたしょくりょうをおもいおこし。ねえ、ねこさん、じぶんたちのために)

蓄えていた食料を思い起こし。「ねえ、猫さん、自分達のために

(しまっておいたしぼうのつぼのところにいきましょう。おいしいでしょうね。)

しまっておいた脂肪の壺のところに行きましょう。おいしいでしょうね。」

(といいました。そうとも。とねこはこたえました。)

と言いました。「そうとも。」と猫は答えました。

(きみがそのぜいたくなしたをまどからつきだしてたのしいのとおなじくらいおいしいさ)

「君がその贅沢な舌を窓から突き出して楽しいのと同じくらい美味しいさ」

(にひきはでかけましたが、ついてみるとしぼうのつぼはたしかにそのばしょにあったものの)

二匹は出かけましたが、着いてみると脂肪の壺は確かにその場所にあったものの

(からっぽでした。)

空っぽでした。

(ああ、どういうことかいまわかったわ。いまはっきりした。)

「ああ、どういうことか今分かったわ。今はっきりした。

(あなたはほんとうのともだちね。なづけおやをしていたときにぜんぶたべちゃったのね。)

あなたは本当の友達ね。名付け親をしていた時に全部食べちゃったのね。

(さいしょはうわなし、それからはんぶんおわり、それから・・・だまれ!と)

最初は”上無し”、それから”半分終わり”、それから…」「黙れ!」と

(ねこはさけびました。)

猫は叫びました。

(あとひとことしゃべったらおまえもくっちまうぞ。)

「あと一言喋ったらお前も食っちまうぞ。」

(ぜんぶなしはもうかわいそうなねずみのくちびるにきていて、それをいったとたん、)

”全部無し”はもう可哀想なねずみの唇に来ていて、それを言った途端、

(ねこはねずみにとびかかり、つかまえてのみこみました。)

猫はねずみに飛びかかり、捕まえて飲み込みました。

(ほんとうに、それがせけんというものね。)

本当に、それが世間というものね。

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