歩くさん

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師匠シリーズ
マイタイピングに師匠シリーズが沢山あったと思ったのですが、なくなってしまっていたので、作成しました。

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問題文

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(ぼくのいけいしていたせんぱいのかのじょはへんなひとだった。)

僕の畏敬していた先輩の彼女は変な人だった。

(せんぱいはぼくのおかるとどうのししょうであったが、かれいわく)

先輩は僕のオカルト道の師匠であったが、彼曰く

(「おれよりすごい」)

「俺よりすごい」

(かりにあるくさんとするが、がくぶはたしかぶんがくぶでがっかはわすれてしまった。)

仮に歩くさんとするが、学部はたしか文学部で学科は忘れてしまった。

(だいがくにはいったはじめのころにあるくさんと、さーくるぼっくすで)

大学に入ったはじめの頃に歩くさんと、サークルボックスで

(ふたりきりになったことがあった。)

2人きりになったことがあった。

(びじんではあるがひょうじょうにとぼしくてなにをかんがえているかわからないひとだったので)

美人ではあるが表情にとぼしくて何を考えているかわからない人だったので

(ぼくははっきりこのひとがにがてだった。)

僕ははっきりこの人が苦手だった。

(のーとぱそこんでなにかかいていたかとおもうと)

ノートパソコンでなにか書いていたかと思うと

(きゅうにかおをあげてへんなことをいった。)

急に顔を上げて変なことを言った。

(「もじがね、くちにはいってくるのよ」)

「文字がね、口に入ってくるのよ」

(はあ?)

ハア?

(「ときどきよるぶんしょうかいてると、かいたもじがうきあがって)

「時々夜文章書いてると、書いた文字が浮き上がって

(わたしのくちにはいりこんでくるのよ」「は、はあ」な、なに?このひと。)

私の口に入りこんでくるのよ」「は、はあ」な、何?この人。

(「わかる?それがとまらないのね。かいたぶんよりおおいのよ。)

「わかる?それが止らないのね。書いた分より多いのよ。

(いつまでもくちにはいりつづけるのよ。そのあいだくちをとじられないの。)

いつまでも口に入りつづけるのよ。そのあいだ口を閉じられないの。

(わたしはそれがいちばんこわい」)

私はそれが一番怖い」

(しんけんなかおをしていうのだ。)

真剣な顔をして言うのだ。

(とうじはでんぱなんてことばはりゅうつうしてなかったがもろにでんぱだった。)

当時は電波なんて言葉は流通してなかったがモロに電波だった。

(しかしただのきちがいでもなかった。)

しかしただのキチ○ガイでもなかった。

など

(あたまははんぱじゃなくきれた。)

頭は半端じゃなく切れた。

(ししょうがやりこめられるのをたびたびみることがあった。)

師匠がやり込められるのを度々見ることがあった。

(あるくさんはかんもするどくて、ばすがおくれることをいいあてたり、)

歩くさんはカンも鋭くて、バスが遅れることを言い当てたり、

(「てれびのちゃんねるをかえろ」というのでかえるときょじんのまついが)

「テレビのチャンネルを変えろ」というので変えると巨人の松井が

(ほーむらんをうつところだったりしたことがしばしばだった。)

ホームランを打つところだったりしたことがしばしばだった。

(あるときししょうになにげなくあるくさんってなんなんですかねーといってみると)

ある時師匠になにげなく歩くさんってなんなんですかねーと言ってみると

(「えどがーけいしーってしってるか?」という。)

「エドガーケイシーって知ってるか?」と言う。

(「もちろんしってますよ。よちむだかさいみんじょうたいだかでいろいろいいあてるひとでしょ」)

「もちろん知ってますよ。予知夢だか催眠状態だかで色々言い当てる人でしょ」

(「それ。たぶん、あるくも」)

「それ。たぶん、歩くも」

(「どういうことですか」)

「どういうことですか」

(「あいつのねてるところをみせてやりてえよ。こわいぞ」)

「あいつの寝てるところを見せてやりてえよ。怖いぞ」

(どうこわいのか、よくわからなかったがはぐらかされた。)

どう怖いのか、よくわからなかったがはぐらかされた。

(「えどがーけいしーはちょっとせんもんがいだが、やつみたいな)

「エドガーケイシーはちょっと専門外だが、やつみたいな

(こうてんてきしょっくじゃなく、あるくはおそらくせんてんてきなたいしつだ」)

後天的ショックじゃなく、歩くはおそらく先天的な体質だ」

(「よちむみるわけですか?」)

「予知夢見るわけですか?」

(「よくわからん。おきてるのかどうかもわからん。ただあたりもするし、)

「よく分らん。起きてるのかどうかも分らん。ただあたりもするし、

(はずれもする。おまえがかなしばりちゅうにみるっていうぎじたいけんにちかいのかもしれん」)

外れもする。お前が金縛り中にみるっていう擬似体験に近いのかもしれん」

(ぼくはかなしばりちゅうに「おきたつもりがまたべっとのなか」という、わりに)

僕は金縛り中に「起きたつもりがまたベットの中」という、わりに

(よくきくげんしょうにしばしばあっていたのだが、それがときにちょうじかん、)

よく聞く現象にしばしばあっていたのだが、それが時に長時間、

(ひどいときはまるいちにちせいかつしたあげくまきもどるということがあり、)

ひどい時は丸1日生活したあげく巻き戻るということがあり、

(じぶんでもこうこうじだいにかなしばりのーとをつくってけんきゅうしていた。)

自分でも高校時代に金縛りノートを作って研究していた。師匠がそのノートを

(ししょうがそののーとをやたらきにいり、くれくれうるさいのであげてしまっていた。)

やたら気に入り、くれくれうるさいのであげてしまっていた。

(いまおもうと、あるくさんのたいしつをしらべるしりょうとしてほしがったのではないだろうか。)

今思うと、歩くさんの体質を調べる資料として欲しがったのではないだろうか。

(「せんぱいはあるくさんをひとりじめしてるわけですか」)

「先輩は歩くさんを一人じめしてるわけですか」

(ししょうはにやっとわらってふところからふろっぴーをだしてふってみせた。)

師匠はニヤっと笑って懐からフロッピーを出して振ってみせた。

(それはたいみんぐがよすぎたのでたぶんはったりだが、ししょうがなんらかの)

それはタイミングが良すぎたのでたぶんハッタリだが、師匠がなんらかの

(かたちであるくさんふぁいるみたいなものをつくっていたのはまちがいない。)

形で歩くさんファイルみたいなものを作っていたのは間違いない。

(そんなことよりもぼくがぞっとしたのは、あるくさんがそつぎょうするとき)

そんなことよりも僕がぞっとしたのは、歩くさんが卒業する時

(「こうずいにきをつけろ」みたいなことをぼくにいったことだ。)

「洪水に気をつけろ」みたいなことを僕に言ったことだ。

(そのことをすっかりわすれていたが、ぼくはしゅうしょくにしっぱいして)

そのことをすっかり忘れていたが、僕は就職に失敗して

(いまいなかにかえっているのだが、)

今田舎に帰っているのだが、

(じっかはもろになんかいだいじしんがきたらすいぼつしかねないりっちじょうけんにあるのだ。)

実家はモロに南海大地震が来たら水没しかねない立地条件にあるのだ。

(かんべんしてくれ。)

勘弁してくれ。

(まじでこわい。)

マジで怖い。

(あとなんねんでくるんだよー。めそめそ)

あと何年で来るんだよー。メソメソ

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