血 前篇-2-(完)

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師匠シリーズ
マイタイピングに師匠シリーズが沢山あったと思ったのですが、なくなってまっていたので、作成しました。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 tetsumi 5142 B+ 5.3 96.6% 651.3 3468 119 63 2024/08/27

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問題文

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(はなしをきいたかえりみち、がむをふんだ。いやなよかんがする。)

話を聞いた帰り道、ガムを踏んだ。嫌な予感がする。

(こうこうじだいから、けがにんがでるような「あそび」をしていたという、)

高校時代から、怪我人が出るような「遊び」をしていたという、

(「きょうすけ」さんのはなしとがっちする。やまなかちひろというのは、きょうすけさんが)

「京介」さんの話と合致する。山中ちひろというのは、京介さんが

(ちかしかったというくろまじゅつけいさーくるのりーだーかくのじょせいではないだろうか。)

親しかったという黒魔術系サークルのリーダー格の女性ではないだろうか。

(まさききょうこ。あたまのなかでそのことばがまわった。)

間崎京子。頭の中でその言葉が回った。

(それからすうじつ、ねっとにはつながなかった。)

それから数日、ネットには繋がなかった。

(なんとなくきょうすけさんとかいわするのがこわかった。ぎくしゃくしてしまいそうで。)

なんとなく京介さんと会話するのが怖かった。ギクシャクしてしまいそうで。

(あるいみ、そんなきょうすけさんもおっけー!というじぶんもいる。)

ある意味、そんな京介さんもオッケー!という自分もいる。

(べつにとってくわれるわけではあるまい。おもしろそうではないか。)

別に取って食われるわけではあるまい。面白そうではないか。

(しかし「ちかづくな」とたんきかんによにんからいわれると、)

しかし「近づくな」と短期間に4人から言われると、

(ちょっとけいかいしてしまうのもじじつだった。)

ちょっと警戒してしまうのも事実だった。

(そんな、もんだいをさきおくりにしただけのひびをおくっていたあるひ。)

そんな、問題を先送りにしただけの日々を送っていたある日。

(みちをあるいているとがむをふんだ。)

道を歩いているとガムを踏んだ。

(ほどうのはしにこすりつけていると、そのときふしぎなことがおこった。)

歩道の端にこすりつけていると、そのとき不思議なことが起こった。

(いっしゅん、あたりがくらくなり、すぐにまたあかるくなったのだ。)

一瞬、あたりが暗くなり、すぐにまた明るくなったのだ。

(くものしたにはいったとか、そんなくらさではなかった。いっしゅんだがまっくらといっていい。)

雲の下に入ったとか、そんな暗さではなかった。一瞬だが真っ暗といっていい。

(しばらくそのばでかたまっていると、またおなじことがおこった。)

しばらくその場で固まっていると、また同じことが起こった。

(ぱっぱっと、しゅういがめいめつしたのだ。)

パッパッと、周囲が明滅したのだ。

(まるでゆっくりまばたきしたときのようのようだった。)

まるでゆっくりまばたきした時のようのようだった。

(しかしもちろん、じぶんがしたまばたきにおどろくようなばかではない。)

しかしもちろん、自分がしたまばたきに驚くようなバカではない。

など

(こわくなって、そのばをはなれた。)

怖くなって、その場を離れた。

(つぎは、いえではみがきをしているときだった。)

次は、家で歯磨きをしているときだった。

(ぱち、ぱち、とにかい、くらやみにしかいがしゃっとだうんされた。)

パチ、パチ、と2回、暗闇に視界がシャットダウンされた。

(おどろいて、くちのなかのものをのんでしまった。)

驚いて、口の中のものを飲んでしまった。

(そんなことがすうじつつづき、のいろーぜぎみになったおれはししょうになきついた。)

そんなことが数日続き、ノイローゼ気味になった俺は師匠に泣きついた。

(ししょうはかいこういちばん、「だからいったのに」そんなこといわれても。)

師匠は開口一番、「だから言ったのに」そんなこと言われても。

(なにがなんだか。「そのおんなのことをかぎまわったから、)

なにがなんだか。「その女のことを嗅ぎ回ったから、

(むこうにきづかれたんだ。「それ」はあきらかにまばたきだよ」)

向こうに気づかれたんだ。『それ』はあきらかにまばたきだよ」

(どういうことだろう?「れいしってあるよね?れいしされているにんげんの)

どういうことだろう?「霊視ってあるよね?霊視されている人間の

(めのまえに、れいししているにんげんのかおがうかぶっていうはなし、きいたことない?)

目の前に、霊視している人間の顔が浮かぶっていう話、聞いたことない?

(それとはちょっとちがうけど、そのまばたきは「みているがわ」の)

それとはちょっと違うけど、そのまばたきは『見ている側』の

(まばたきだとおもう」そんなばかな。「みられてるっていうんですか」)

まばたきだと思う」そんなバカな。「見られてるっていうんですか」

(「そのおんなはやばい。なんとかしたほうがいい」)

「その女はヤバイ。なんとかした方がいい」

(「なんとかなんて、どうしたらいいんですか」)

「なんとかなんて、どうしたらいいんですか」

(ししょうは、あやまりにいってきたら?とたにんごとまるだしのくちょうでいった。)

師匠は、謝りに行ってきたら?と他人事まるだしの口調で言った。

(「ついてきてくださいよ」となきついたが、あいてにされない。)

「ついて来て下さいよ」と泣きついたが、相手にされない。

(「こわいんですか」とでんかのほうとうをぬいたが、「おんなはこわい」のひとことで)

「怖いんですか」と伝家の宝刀を抜いたが、「女は怖い」の一言で

(かわされてしまった。きょうすけさんのまんしょんへむかうとちゅう、)

かわされてしまった。京介さんのマンションへ向かう途中、

(おれはひそうなかくごでよみちをあるいていた。じてんしゃがぱんくしたのだった。)

俺は悲壮な覚悟で夜道を歩いていた。自転車がパンクしたのだった。

(ぐうぜんのようなきがしない。またがむをふんだ。ぐうぜんのようなきがしないのだ。)

偶然のような気がしない。またガムを踏んだ。偶然のような気がしないのだ。

(じめんにくつをこすりつけようとして、ふとくつのうらをみてみた。)

地面に靴をこすりつけようとして、ふと靴の裏を見てみた。

(しんぞうがとまりそうになった。なにもついていなかった!)

心臓が止まりそうになった。なにもついていなかった!

(がむどころか、どろもよごれも、なにも。)

ガムどころか、泥も汚れも、なにも。

(では、あのあしのうらをひっぱられるかんかくはいったいなに?)

では、あの足の裏を引っ張られる感覚は一体なに?

(「きょうこ」さんのことをかぎまわるようになってから、やたらふむように)

「京子」さんのことを嗅ぎ回るようになってから、やたら踏むように

(なったがむは、もしかしてすべてがむではなかったのだろうか?)

なったガムは、もしかしてすべてガムではなかったのだろうか?

(たちどまったおれを、おれのではないまばたきがおそった。)

立ち止まった俺を、俺のではないまばたきが襲った。

(うえからとじていくせかいのそのせんたんに、いっしゅん、ほんのいっしゅん、くろくながいものが)

上から閉じていく世界のその先端に、一瞬、ほんの一瞬、黒く長いものが

(みえたきがした。まつげ?そうおもったとき、おれはかけだした。かんべんしてください!)

見えた気がした。睫毛?そう思ったとき、俺は駆け出した。勘弁してください!

(そうこころのなかでさけびながら、まんしょんへはしった。)

そう心の中で叫びながら、マンションへ走った。

(ちゃいむをならしたあと、「うーい」というだるそうなこえとともに)

チャイムを鳴らしたあと、「うーい」というだるそうな声とともに

(どあがひらいた。「すみませんでした!」きょうすけさんはおれをみおろして、)

ドアが開いた。「すみませんでした!」京介さんは俺を見下ろして、

(すぐにしゃがんだ。「なんでいきなりどげざなんだ」)

すぐにしゃがんだ。「なんでいきなり土下座なんだ」

(まあとにかくいれ、といってへやにあがらされた。おれははんなきで、)

まあとにかく入れ、と言って部屋に上がらされた。俺は半泣きで、

(しゃざいのことばをくちにして、いままでのことをはなしたはずだが、あまりおぼえていない。)

謝罪の言葉を口にして、今までのことを話したはずだが、あまり覚えていない。

(おれのようりょうをえないはなしをききおわったあと、きょうすけさんはためいきをついて)

俺の要領を得ない話を聞き終わったあと、京介さんはため息をついて

(じーんずのぽけっとをごそごそとさぐり、さいふからじどうにりんの)

ジーンズのポケットをごそごそと探り、財布から自動二輪の

(めんきょしょをとりだした。「やまなかちひろ」そうかいてあった。おれはまぬけっつらで、)

免許書を取り出した。『山中ちひろ』そう書いてあった。俺は間抜け面で、

(「だ、だって、せがたかくてしょーとで・・・」といったが、)

「だ、だって、背が高くてショートで・・・」と言ったが、

(「わたしはこうこうのときはずっとろんぐだ」ばかか、といわれた。)

「私は高校のときはずっとロングだ」バカか、と言われた。

(じゃあ、まさききょうこというのは・・・)

じゃあ、間崎京子というのは・・・

(「おまえはいのちしらずだな。あいつにだけは、ちかづかないほうがいい」)

「お前は命知らずだな。あいつにだけは、近づかないほうがいい」

(どこかほっとして、そしてすぐにとりはだがたった。)

どこかホッとして、そしてすぐに鳥肌が立った。

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