血 後篇-3-(完)

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師匠シリーズ
マイタイピングに師匠シリーズが沢山あったと思ったのですが、なくなってまっていたので、作成しました。

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問題文

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(「はじめてみせてもらったときは、あしがすくんだ。いまでもさむけがする」)

「はじめて見せてもらった時は、足が竦んだ。今でも寒気がする」

(そんなことをきかされるとこわくなってくる。)

そんなことを聞かされると怖くなってくる。

(「あいつのちちおやがそういうじゅぶつのこれくたーで、よりによって)

「あいつの父親がそういう呪物のコレクターで、よりによって

(あんなものをむすめにもたせたらしい。じんかくがゆがんでとうぜんだ」)

あんなものを娘に持たせたらしい。人格が歪んで当然だ」

(あおるだけあおって、きょうすけさんはくわしいことはおしえてくれなかった。)

煽るだけ煽って、京介さんは詳しいことは教えてくれなかった。

(ただなんとかききだせたぶぶんだけかくと、)

ただなんとか聞き出せた部分だけ書くと、

(「このよにあってはならないかたち」をしていること、)

「この世にあってはならない形」をしていること、

(そして「ごしきちずのたりすまん」というひょうげん。どんなもくてきのためのものなのか、)

そして「五色地図のタリスマン」という表現。どんな目的のためのものなのか、

(そこからはうかがいしれない。「くつをひっぱられるかんかくがあったんだってな。)

そこからは窺い知れない。「靴を引っ張られる感覚があったんだってな。

(かんせんじゅじゅつまがいのいたずらをされたみたいだけど、)

感染呪術まがいのイタズラをされたみたいだけど、

(まあこれいじょうへんにさぐりまわらなければだいじょうぶだろう」)

まあこれ以上変に探りまわらなければ大丈夫だろう」

(きょうすけさんはそうやすうけあいしたが、おれはくろまじゅつという「あそびのしゅだん」としか)

京介さんはそう安請け合いしたが、俺は黒魔術という「遊びの手段」としか

(おもっていなかったものが、げんじつになんらかのきがいをおよぼそうと)

思っていなかったものが、現実になんらかの危害を及ぼそうと

(していることにたいして、しんじられないおもいと、)

していることに対して、信じられない思いと、

(そしてえたいのしれないきょうふをかんじていた。)

そして得体の知れない恐怖を感じていた。

(からだがむしょうにふるえてくる。)

体が無性に震えてくる。

(「いちばんいいのはしんじないことだ。そんなことあるわけありません、)

「一番いいのは信じないことだ。そんなことあるわけありません、

(きのせいですっておもいながらいきてたら、それでいい」)

気のせいですって思いながら生きてたら、それでいい」

(きょうすけさんはびーるのかんをべこっとへこますと、ごみばこになげこんだ。)

京介さんはビールの缶をベコッとへこますと、ゴミ箱に投げ込んだ。

(そうかんたんにはいかない。なぜなら、まさききょうこのたりすまんのことを)

そう簡単にはいかない。なぜなら、間崎京子のタリスマンのことを

など

(はなしはじめたときから、おれのかんかくきはあるいへんにはんのうしていたから。)

話しはじめた時から、俺の感覚器はある異変に反応していたから。

(きょうすけさんが、だいにりかしつにのりこんだときのふかいかんが、いまはわかるきがする。)

京介さんが、第二理科室に乗り込んだ時の不快感が、今はわかる気がする。

(からだがふるえて、なみだがでてきた。おれはかりたばかりのたりすまんをにぎりしめて、)

体が震えて、涙が出てきた。俺は借りたばかりのタリスマンを握り締めて、

(ゆうきをだしてくちにした。「ちの、においが、しません、か」)

勇気を出して口にした。「血の、匂いが、しません、か」

(へやじゅうにうっすらと、なつかしいようなまがまがしいようないしゅうが)

部屋中にうっすらと、懐かしいような禍々しいような異臭が

(ただよっているきがするのだ。きょうこさんはきょう、いちどもみせなかったような)

漂っている気がするのだ。京子さんは今日、一度も見せなかったような

(れいてつなひょうじょうで、「そんなことはない」といった。いや、やっぱりちのにおいだ。)

冷徹な表情で、「そんなことはない」と言った。いや、やっぱり血の匂いだ。

(きのまよいじゃない。「でも・・・・・・」いいかけたおれのあたまをきょうすけさんは)

気の迷いじゃない。「でも・・・・・・」言いかけた俺の頭を京介さんは

(ぐーでなぐった。「きにするな」わけがわからなくなってさくらんしそうなおれを、)

グーで殴った。「気にするな」わけがわからなくなって錯乱しそうな俺を、

(むひょうじょうをくずさないきょうすけさんがじっとみている。「せいりちゅうなんだ」)

無表情を崩さない京介さんがじっと見ている。「生理中なんだ」

(わらいもせず、たんたんとそういったかおをまじまじとみたが、)

笑いもせず、淡々とそう言った顔をまじまじと見たが、

(そのしんがんはよみとれなかった。)

その真贋は読み取れなかった。

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