家鳴り-3-(完)

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プレイ回数412難易度(5.0) 1739打 長文 長文モード推奨
師匠シリーズ
マイタイピングに師匠シリーズが沢山あったと思ったのですが、なくなってまっていたので、作成しました。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 tetsumi 5106 B+ 5.3 96.2% 337.8 1794 69 33 2024/09/30
2 daifuku 3932 D++ 4.1 95.3% 421.6 1742 84 33 2024/10/03

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問題文

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(「ぼくは、まだいるようなきがするんだ」ししょうはめをおよがせて、わらった。)

「僕は、まだいるような気がするんだ」師匠は目を泳がせて、笑った。

(「かれか、あるいは、かれではないべつのなにかが。このいえのちかしつに。)

「彼か、あるいは、彼ではない別のなにかが。この家の地下室に。

(すくなくともこのいえのなかに・・・・・・」)

すくなくともこの家の中に・・・・・・」

(そのこえはかわいたやみにすいこまれるように)

その声は乾いた闇に吸い込まれるように

(ふぇーどあうとしていき、どこからともなくひびいてくるきんぞくてきなきしみが)

フェードアウトしていき、どこからともなく響いてくる金属的な軋みが

(からみついて、おれのせなかをむしがはうようなおかんがはしるのだった。)

絡み付いて、俺の背中を虫が這うような悪寒が走るのだった。

(ふたたびそのくらいえにしせんがうばわれる。そしていわずにはいられないのだった。)

再びその暗い絵に視線が奪われる。そして言わずにはいられないのだった。

(あなたにはわかったんですかと。ぼきん、ぼきんとほねをへしおるような)

あなたにはわかったんですかと。ボキン、ボキンと骨をへし折るような

(そらおそろしいおとがどこからともなくきこえるなか、ししょうはすうっとひょうじょうを)

空恐ろしい音がどこからともなく聞こえる中、師匠はすうっと表情を

(のうめんのようにおちつける。「わからない」)

能面のように落ち着ける。「わからない」

(たっぷりじかんをかけてそれだけをいった。)

たっぷり時間をかけてそれだけを言った。

(よあけをまたずに、おれたちはそのいえをでた。)

夜明けを待たずに、俺たちはその家を出た。

(けっきょく、ししょうのひぞうひんはおがまなかった。とてもそのゆうきはなかった。)

結局、師匠の秘蔵品は拝まなかった。とてもその勇気はなかった。

(いいです、といってりょうてをふるおれにししょうはわらっていた。)

いいです、と言って両手を振る俺に師匠は笑っていた。

(のちにししょうのゆくえがわからなくなってから、おれはあのいえのやぬしをみつけだした。)

のちに師匠の行方がわからなくなってから、俺はあの家の家主を見つけ出した。

(1まん1000えんでいえをかしていたひとだ。)

1万1000円で家を貸していた人だ。

(たなこがいなくなったことにきょうみはないようすだった。なくなったものも、)

店子がいなくなったことに興味はない様子だった。なくなった物も、

(おいていったものもないし、べつに・・・・・・)

置いていった物もないし、別に・・・・・・

(とそのひとはいった。)

とその人は言った。

(それをきいておれはたんじゅんに、ししょうはじぶんのしゅうしゅうひんをしょぶんしてから)

それを聞いて俺は単純に、師匠は自分の収集品を処分してから

など

(きえたのだとかんがえていた。ところがそのひとはいうのである。)

消えたのだと考えていた。ところがその人は言うのである。

(「ぼくがあのいえをかいとったりゆう?それはなんといっても「ちかしつにいる」)

「ぼくがあの家を買い取った理由?それは何と言っても『地下室にいる』

(っていうきょうみぶかいかきおきだね。だってあのいえにはちかしつなんてないんだから」)

っていう興味深い書置きだね。だってあの家には地下室なんてないんだから」

(けつろんからいうと、ぼくはそのいえをもういちどたずねることはしなかった。)

結論から言うと、僕はその家をもう一度訪ねることはしなかった。

(なんねんかして、あるきかいにたちよるとさらちになっていたので、)

何年かして、ある機会に立ち寄ると更地になっていたので、

(もうえいきゅうにむりなのであるが。)

もう永久に無理なのであるが。

(このふかかいなはなしにはいくつかのごうりてきかいしゃくがある。)

この不可解な話にはいくつかの合理的解釈がある。

(ちかしつがあるのに、ないといったうそ。ちかしつがないのに、あるといったうそ。)

地下室があるのに、ないと言った嘘。地下室がないのに、あると言った嘘。

(そして「ちかしつにいる」とかいたうそ。)

そして『地下室にいる』と書いた嘘。

(どれがまっとうなこたえなのかはわからない。)

どれがまっとうな答えなのかはわからない。

(ただ、しんやにひとりでいるとき、へやのどこからともなく)

ただ、深夜に一人でいるとき、部屋のどこからともなく

(きのきしむようなおとがきこえてくるたび、ふるめかしいびじゅつひんにかこまれたへやの、)

木の軋むような音が聞こえてくるたび、古めかしい美術品に囲まれた部屋の、

(らんぷのほのあかりのなかでししょうとかたらったふしぎなじかんをおもいだす。)

ランプの仄明かりの中で師匠と語らった不思議な時間を思い出す。

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