田舎 中編-4-

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師匠シリーズ
マイタイピングに師匠シリーズが沢山あったと思ったのですが、なくなってまっていたので、作成しました。

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問題文

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(たべながらかえろうというみんなに、ちょっとまってくださいといいながら)

食べながら帰ろうというみんなに、ちょっと待ってくださいと言いながら

(おれはみせのおばちゃんに「このさきのかわらって、さいきんすいなんじこかなにか)

俺は店のおばちゃんに「この先の河原って、最近水難事故かなにか

(おきましたか」ときいてみた。おばちゃんはまゆをひそめ、)

起きましたか」と聞いてみた。おばちゃんは眉をひそめ、

(「さいきんはないねえ」とだけいってつぎのことばもまたずみせのおくにひっこんでいった。)

「最近はないねえ」とだけ言って次の言葉も待たず店の奥に引っ込んでいった。

(ああ、おれもすっかりよそものなのだなぁと、すこしさびしくなった。)

ああ、俺もすっかりよそ者なのだなぁと、少し寂しくなった。

(そのあと、あいすをかじりつつもときたたみちをあるきながらししょうがいう。)

その後、アイスをかじりつつ元来た道を歩きながら師匠が言う。

(「あのかみはぬさだね」たぶんそうだとこたえた。)

「あの紙は幣だね」たぶんそうだと答えた。

(かみさまやあくりょうをかたどったかみにんぎょうとでもいえばしっくりくるだろうか。)

神様や悪霊を象った紙人形とでも言えばしっくりくるだろうか。

(このむらでは、さまざまなぎしきにそのぬさをつかう。「なんのぬさだった?」)

この村では、さまざまな儀式にその幣を使う。「なんの幣だった?」

(とおめにみただけだし、めがふたつひらいてるというだけではさっぱりわからない。)

遠目に見ただけだし、目がふたつ開いてるというだけではさっぱりわからない。

(なによりおれじしんがくわしくない。「かわみさきか、すいじんかな」)

なにより俺自身が詳しくない。「川ミサキか、水神かな」

(ししょうはさらっとそういう。)

師匠はさらっとそう言う。

(どこでしらべたのかしらないが、おれよりしっていそうなくちぶりだ。)

どこで調べたのか知らないが、俺より知っていそうな口ぶりだ。

(ひがかげりはじめたみちをだらだらとあるいていると、さっきのよつじにさしかかった。)

日が翳り始めた道をだらだらと歩いていると、さっきの四つ辻に差し掛かった。

(すると、まるでさっきのさいげんのようにきょうすけさんがみじかいこえをあげてみちにかがみこむ。)

すると、まるでさっきの再現のように京介さんが短い声をあげて道に屈みこむ。

(さすがにおどろいてだいじょうぶですかとようすをうかがうと、てでおさえている)

さすがに驚いて大丈夫ですかと様子を伺うと、手で押さえている

(みぎのふくらはぎからうすっすらとちがながれているのがめにはいった。)

右のふくらはぎから薄っすらと血が流れているのが目に入った。

(cocoさんがしゃがみこんで「なにかできった?」ときいている。)

CoCoさんがしゃがみこんで「なにかで切った?」と聞いている。

(きょうすけさんはくびをよこにふる。きったって、いったいなんで?)

京介さんは首を横に振る。切ったって、いったい何で?

(おれはしゅういをみわたしたが、みとおしもよく、なにもないみちのうえなのだ。)

俺は周囲を見渡したが、見通しもよく、なにもない道の上なのだ。

など

(かまいたち。そんなたんごがあたまにうかんだが、ししょうがみちのまんなかに)

カマイタチ。そんな単語が頭に浮かんだが、師匠が道の真ん中に

(りょうてをついてはいつくばっているのをみて、いっしゅんできえる。)

両手をついて這いつくばっているのを見て、一瞬で消える。

(めをかがやかせて、まるでこんたくとれんずでもさがすように)

目を輝かせて、まるでコンタクトレンズでも探すように

(つちのうえにしせんをはわせている。なにをしてるんですか。そのことばをのみこんだ。)

土の上に視線を這わせている。なにをしてるんですか。その言葉を飲み込んだ。

(しゅういのくうきがかわったきがしたからだ。)

周囲の空気が変わった気がしたからだ。

(あしもとから、ゆらゆらとあくいがたちのぼってくるようなさっかくをおぼえて、)

足元から、ゆらゆらと悪意が立ちのぼってくるような錯覚を覚えて、

(みをかたくする。「おい、よせ」)

身を硬くする。「おい、よせ」

(きょうすけさんははおっているうわぎのぽけっとからちいさなばんそうこうを)

京介さんは羽織っている上着のポケットから小さな絆創膏を

(とりだしてふくらはぎにはり、たちあがりながらそういった。)

取り出してふくらはぎに貼り、立ち上がりながらそう言った。

(ししょうはそれがきこえなかったようにじめんをくいいるようにみつめ、)

師匠はそれが聞こえなかったように地面を食い入る様に見つめ、

(ひとりごとのようにつぶやく。「なにか、うまっているな、ここに」)

独り言のように呟く。「なにか、埋まっているな、ここに」

(しんぞうにわるいことばがおれのみみをなでるようにとおりすぎる。)

心臓に悪い言葉が俺の耳を撫でるように通り過ぎる。

(きょうすけさんがししょうにちかづこうとしたとき、ちりりんとみみざわりなおとがして)

京介さんが師匠に近づこうとしたとき、チリリンと耳障りな音がして

(じてんしゃがとおりがかった。どろのついたさぎょうぎをきこんだちゅうねんのだんせいが、)

自転車が通りがかった。泥のついた作業着を着込んだ中年の男性が、

(ふしんそうなめつきでこちらをみている。)

不審そうな目つきでこちらを見ている。

(おなじほうがくからはにたようなかっこうをしたすうにんがじてんしゃでちかづいてきている。)

同じ方角からは似たような格好をした数人が自転車で近づいてきている。

(よつじのまんなかではいつくばっていたししょうは、なにをおもったかぴょんと)

四つ辻の真ん中で這いつくばっていた師匠は、なにを思ったかピョンと

(いきおいよくたちあがると「はらへった。かえろう」といった。)

勢いよく立ち上がると「腹減った。帰ろう」と言った。

(おれはきまずいおもいでみちをあけてじてんしゃたちをやりすごす。)

俺は気まずい思いで道をあけて自転車たちをやり過ごす。

(とおりすぎたあとも、ちらちらとしせんをかんじた。)

通り過ぎた後も、ちらちらと視線を感じた。

(よそものよそもの。そんなこえがきこえたきがした。)

ヨソモノヨソモノ。そんな声が聞こえた気がした。

(それもふくめて、おれははやくここをたちさりたかった。)

それも含めて、俺は早くここを立ち去りたかった。

(そっせんしてもときたみちへすすんでいき、みんかのそばにとめてあったくるまにのりこむ。)

率先してもと来た道へ進んで行き、民家のそばに停めてあった車に乗り込む。

(ようやくいやなかんじがおさまった。)

ようやく嫌な感じが収まった。

(ししょうはじょうきげんでえんじんをかけ、ふたたびだこうするやまみちをのぼりはじめる。)

師匠は上機嫌でエンジンをかけ、ふたたび蛇行する山道を登り始める。

(cocoさんはなにをおもったかきょうすけさんのばんそうこうをつっつき、)

CoCoさんはなにを思ったか京介さんの絆創膏をつっつき、

(「いたいって」とおこられた。(ほんとうにきずくちがあるのかたしかめた))

「痛いって」と怒られた。(ほんとうに傷口があるのか確かめた)

(じょしゅせきにみをしずめながら、こうぶざせきのやりとりにふとそんなことをおもう。)

助手席に身を沈めながら、後部座席のやりとりにふとそんなことを思う。

(みらーにうつるcocoさんのひょうじょうからはやはりなにもよみとれなかった。)

ミラーにうつるCoCoさんの表情からはやはりなにも読み取れなかった。

(おじのいえにかえると、いとこのはつこさんがきていた。おじふうふのちょうじょだ。)

伯父の家に帰ると、従兄妹のハツコさんが来ていた。伯父夫婦の長女だ。

(としがはなれていたのであまりいんしょうはのこっていないが、)

年が離れていたのであまり印象は残っていないが、

(いまはおなじしゅうらくのいえにとついでいるらしい。)

今は同じ集落の家に嫁いでいるらしい。

(「きょうはおうえん」といってこぶとりのからだをきびんにうごかしながら、)

「今日は応援」と言って小太りの体を機敏に動かしながら、

(おばのすいじをてつだっている。)

伯母の炊事を手伝っている。

(おれたちはというと、ゆうはんまでのじかんをそれぞれのへやですごした。)

俺たちはというと、夕飯までの時間をそれぞれの部屋で過ごした。

(ろくにおよいでいないのにおれはやたらつかれていて、うとうとしっぱなしだった。)

ろくに泳いでいないのに俺はやたら疲れていて、ウトウトしっぱなしだった。

(ほどなくちゃのまによばれおおじょたいでのしょくじがはじまった。)

ほどなく茶の間に呼ばれ大所帯での食事が始まった。

(ちかくのやまでとれたさんさいをふんだんにつかったいなかりょうりは、)

近くの山で採れた山菜をふんだんに使った田舎料理は、

(じっかのははがつくるものより「おふくろのあじ」がして、なんだかかんしょうてきになる。)

実家の母が作るものより「お袋の味」がして、なんだか感傷的になる。

(おれたちよにんとおじふうふ。はつこさんとそのちいさなこども。)

俺たち4人と伯父夫婦。ハツコさんとその小さな子ども。

(そしてじつにたいみんぐよくあらわれたゆきお。きゅうにんでかこむしょくたくだった。)

そして実にタイミングよく現れたユキオ。9人で囲む食卓だった。

(なにがすごいって、そのにんずうでかこめるちゃぶだいがあることだ。)

なにが凄いって、その人数で囲めるちゃぶ台があることだ。

(「いまはもう、こんなでっかいのがいるじだいじゃないけんどのう」)

「いまはもう、こんなでっかいのがいる時代じゃないけんどのう」

(とおじはくしょうした。このいえにはあとひとり、)

と伯父は苦笑した。この家にはあと一人、

(じっさんとよばれるおじいさんがいるのだが、ねたきりにちかいらしく)

ジッサンと呼ばれるお爺さんがいるのだが、寝たきりに近いらしく

(しょくたくにはでてこない。じっさんといってもおれのそふにあたるひとではなく、)

食卓には出てこない。ジッサンと言っても俺の祖父にあたる人ではなく、

(そぼのあにらしい。らしいというのは、あったことがないからだ。)

祖母の兄らしい。らしいというのは、会ったことがないからだ。

(みよりがなくなっていたところをこのいえでひきとったそうだ。)

身寄りがなくなっていたところをこの家で引き取ったそうだ。

(おれのあしがとおのいてからのことだった。「にゃあにゃあ」)

俺の足が遠のいてからのことだった。「にゃあにゃあ」

(ゆきおがひそひそとくちをよせてくる。「どっちがかのじょなが」)

ユキオがひそひそと口を寄せて来る。「どっちが彼女なが」

(これにはかれなりのきたいもふくまれているのだろう。)

これには彼なりの期待も含まれているのだろう。

(きょうすけさんcocoさんもいっぱんてきにはびじんのぶるいにはいるだろうから。)

京介さんCoCoさんも一般的には美人の部類に入るだろうから。

(「どっちもちがう」そういうとよろこぶかとおもいきや、ざんねんそうなようすで、)

「どっちも違う」そう言うと喜ぶかと思いきや、残念そうな様子で、

(「りょうほうあのにいさんのか」とためいきをつくのだ。)

「両方あの兄さんのか」と溜息をつくのだ。

(「かたほうだけ」といってやると、「ふーん」とはなでへんじをしながら)

「片方だけ」と言ってやると、「ふーん」と鼻で返事をしながら

(にくけいばかりをはしでかきあつめていった。そのとき、いえのそとにいぬのとうぼえがひびいた。)

肉系ばかりを箸でかき集めていった。その時、家の外に犬の遠吠えが響いた。

(「あ、りゅうのばんごはんわすれちょった」そういっておばがこしをあげようとすると)

「あ、リュウの晩御飯忘れちょった」そう言って伯母が腰をあげようとすると

(はつこさんがわらってさきにたちあがった。)

ハツコさんが笑って先に立ち上がった。

(おれはふとおもいだして、おじにそぼのそうしきのときにりゅうがいたかどうかきいた。)

俺はふと思い出して、伯父に祖母の葬式の時にリュウがいたかどうか聞いた。

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