追跡-5-
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | tetsumi | 5194 | B+ | 5.3 | 96.6% | 860.2 | 4630 | 162 | 84 | 2024/11/03 |
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問題文
(はしらのところにもどり、できるだけてをひっこめておくようにしじしてから)
柱の所に戻り、出来るだけ手を引っ込めておくように指示してから
(てじょうのくさりのぶぶんにねらいをつける。くらいので、なんどもきどうをかくにんしながら)
手錠の鎖の部分に狙いをつける。暗いので、何度も軌道を確認しながら
(ごぶのちからでつるはしのせんたんをうちつけた。)
5分の力でツルハシの先端を打ちつけた。
(ごきんというおととともにぱっとひばながちり、)
ゴキンという音とともにパッと火花が散り、
(ししょうから「もういっぱつ」というこえがかかる。)
師匠から「もう一発」という声がかかる。
(てじょうとはいってもしょせんやすっぽいつくりのおもちゃだ。)
手錠とは言っても所詮安っぽい作りのおもちゃだ。
(つぎのいちげきで、くさりはかんぜんにちぎれとんだ。)
次の一撃で、鎖は完全に千切れ飛んだ。
(「かた、かして」というししょうをささえながら、でいりぐちのどあにむかう。)
「肩、かして」という師匠を支えながら、出入り口のドアに向かう。
(かぎがかかっていたが、なかからはしゅどうでかいじょできた。)
鍵が掛かっていたが、中からは手動で解除できた。
(ようやくぷれはぶのそとにでたときには、はいってから)
ようやくプレハブの外に出た時には、入ってから
(20ぷんあまりもけいかしていたとおもう。)
20分あまりも経過していたと思う。
(そとにはかのじょがまっていて、ししょうはかたてをあげて)
外には彼女が待っていて、師匠は片手を挙げて
(「いつも、すまん」といった。くらくて、かのじょのひょうじょうまではうかがえなかった。)
「いつも、すまん」と言った。暗くて、彼女の表情までは伺えなかった。
(ししょうはなんぱしたおんなとほてるにいったまではよかったが、でてからいっしょに)
師匠はナンパした女とホテルに行ったまでは良かったが、出てから一緒に
(れすとらんにむかうとちゅう、ぐうぜんそのおんなのおとこにみつかり、)
レストランに向かう途中、偶然その女のオトコに見つかり、
(ぎゃくじょうしたそいつにうしろからどんきのようなものでなぐられて)
逆上したそいつに後ろから鈍器のようなもので殴られて
(くるまでつれさられたのだという。それからこのはいこうじょうをたまりばにしていた)
車で連れ去られたのだと言う。それからこの廃工場を溜まり場にしていた
(おとことそのなかまたちからなぐるけるのぼうこうをうけたうえ、)
オトコとその仲間たちから殴る蹴るの暴行を受けた上、
(てじょうをはめられかんきんされてしまったということだった。)
手錠をはめられ監禁されてしまったということだった。
(おれたちがみつけなければどうなっていたかとおもうと、ぞっとしてくる。)
俺たちが見つけなければどうなっていたかと思うと、ゾッとしてくる。
(「ちからがはいらない」というししょうをせおうようなかっこうで、はんぶんひきずりながら)
「力が入らない」という師匠を背負うような格好で、半分引きずりながら
(おれはとにかくこのばをはなれようとあるきだした。)
俺はとにかくこの場を離れようと歩き出した。
(あつい。かぜをひきでもしているのか、ししょうのからだはかなりあつかった。)
熱い。風邪を引きでもしているのか、師匠の体はかなり熱かった。
(むりもない。ふくはうばわれでもしたのか、このさむぞらのした、)
無理もない。服は奪われでもしたのか、この寒空の下、
(じーんずにながそでのtしゃついちまいというかっこうだった。)
ジーンズに長袖のTシャツ1枚という格好だった。
(かのじょがうわぎをぬいでししょうのせなかにかぶせる。)
彼女が上着を脱いで師匠の背中にかぶせる。
(おれたちはむごんであるきつづけた。どこかたくしーをひろえるところまで)
俺たちは無言で歩き続けた。どこかタクシーを拾える所まで
(いかなくてはならない。やがてししょうがねつにうかされたのか、)
行かなくてはならない。やがて師匠が熱に浮かされたのか、
(はんぶんねむりながらうわごとめいたことをぼそぼそとくりかえしはじめた。)
半分眠りながらうわ言めいたことをぼそぼそと繰り返し始めた。
(おれは、ともかくこれですべてかいけつしたとあんどしつつも、)
俺は、ともかくこれですべて解決したと安堵しつつも、
(「ついせき」のつづきがきになっていた。)
『追跡』の続きが気になっていた。
(はいこうじょうについてからのみひらきよんぺーじぶんでししょうのきゅうしゅつに)
廃工場についてからの見開き4ページ分で師匠の救出に
(せいこうしているにもかかわらず、そのさいごにはこうあったのだ。)
成功しているにもかかわらず、その最後にはこうあったのだ。
(こころのじゅんびができるまでつぎのぺーじにはいかないほうがよい。)
心の準備が出来るまで次のページには行かないほうが良い。
(このあと、いったいなにがあるというのだろう。)
このあと、いったい何があるというのだろう。
(おれはししょうがずりおちないようにくしんしながらかたてで「ついせき」をとりだして、)
俺は師匠がずり落ちないように苦心しながら片手で『追跡』を取り出して、
(くちにくわえたぺんらいとをかざす。こころのじゅんび・・・・・・なんのためのだろう。)
口にくわえたペンライトをかざす。心の準備……なんのためのだろう。
(またどきどきしはじめたしんぞうをしずめながら、おれはゆっくりとぺーじをめくた。)
またドキドキしはじめた心臓を鎮めながら、俺はゆっくりとページをめくた。
(かれがうわごとでおんなのなまえをくちにしたとたん、そのせなかにえいりなはものがつきたった。)
彼がうわ言で女の名前を口にした途端、その背中に鋭利な刃物が突き立った。
(ぞくっとした。いっしゅんほちょうがみだれる。えいりなはもの。)
ゾクッとした。一瞬歩調が乱れる。鋭利な刃物。
(そんなものがどこからくるのか。きまっている。)
そんなものがどこから来るのか。決まっている。
(ここにはおれとししょうのほかには、あのひとしかいない。)
ここには俺と師匠の他には、あの人しかいない。
(こつこつとあしおとがはいごからついてくる。)
コツコツと足音が背後からついてくる。
(せなかのししょうがじゃまでうしろがみえない。)
背中の師匠が邪魔で後ろが見えない。
(だが、そこにはあのひとしかいないじゃないか。すべてがつながってくる。)
だが、そこにはあの人しかいないじゃないか。すべてが繋がって来る。
(「ついせき」のなかのしゅじんこうは、ひとりでこうどうしているようにみえる。)
『追跡』の中の主人公は、一人で行動しているように見える。
(だからこそげんじつでどうこうするといいだしたかのじょのやくわりは)
だからこそ現実で同行すると言い出した彼女の役割は
(ただのかんさつしゃにすぎなかったはずだ。)
ただの観察者に過ぎなかったはずだ。
(しかし、みょうなひっかかりをかんじていたのもじじつだ。)
しかし、妙な引っ掛かりを感じていたのも事実だ。
(ぼうとうのげーむせんたーのぷりくら。)
冒頭のゲームセンターのプリクラ。
(これはまだよい。ひとりでとるかわったやつもいるだろう。)
これはまだ良い。一人で撮る変わった奴もいるだろう。
(ざっかややらきっさてん、ぼーりんぐじょうもひとりではいったってよい。)
雑貨屋やら喫茶店、ボーリング場も一人で入ったって良い。
(けれど、らぶほてるだけはどうだ。)
けれど、ラブホテルだけはどうだ。
(「ついせき」のしゅじんこうははたしてひとりでへやにはいったというのだろうか。)
『追跡』の主人公は果たして一人で部屋に入ったというのだろうか。
(「ついせき」はきょくたんにしょうりゃくされたぶんしょうをつかっているが、もしかするといとてきに)
『追跡』は極端に省略された文章を使っているが、もしかすると意図的に
(もうひとりのどうこうしゃのそんざいをかくしていたのかもしれない。)
もう一人の同行者の存在を隠していたのかも知れない。
(つまり、かのじょのやくわりはいれぎゅらーなかんさつしゃなどではなくれっきとした)
つまり、彼女の役割はイレギュラーな観察者などではなくれっきとした
(とうじょうじんぶつなのかもしれないじゃないか。)
登場人物なのかも知れないじゃないか。
(おれはしんけいがはりがねのようにとぎすまされていくかんかくをおぼえた。)
俺は神経が針金のように研ぎ澄まされていく感覚を覚えた。
(ばしょははからずも、さっき”うしろすがた”にあったあきちのまえだ。)
場所は図らずも、さっき”うしろすがた”に会った空き地の前だ。
(ししょうはむにゃむにゃとうわごとをくりかえしている。)
師匠はむにゃむにゃとうわ言を繰り返している。
(そのことばはふめいりょうでほとんどききとれない。)
その言葉は不明瞭でほとんど聞き取れない。
(うしろあたまにかかるししょうのいきがあつい。)
後ろ頭にかかる師匠の息が熱い。
(「ついせき」はししょうがさされるばめんでとうとつにおわっている。)
『追跡』は師匠が刺される場面で唐突に終わっている。
(ばっどえんどだ。すくいなどない。)
バッドエンドだ。救いなど無い。
(かのじょはほんとうにこれにかいたないようをおぼえていないのだろうか。)
彼女は本当にこれに書いた内容を覚えていないのだろうか。
(このさいごのぺーじをみせないために、じゅんばんどおりによんでいくべきだと)
この最後のページを見せないために、順番どおりに読んで行くべきだと
(いったんじゃないのか。でもかのじょはいまはものなんてもってるのか。)
言ったんじゃないのか。でも彼女はいま刃物なんて持ってるのか。
(いや、ちいさなばっぐがある。そしてかのじょがざっかやでかったものはなんだ?)
いや、小さなバッグがある。そして彼女が雑貨屋で買ったものはなんだ?
(ちぞめのぴこぴこはんまーをやめて、さいごにえらんだものはなんだった?)
血染めのピコピコハンマーをやめて、最後に選んだものはなんだった?
(しこうとぎわくがあたまのなかでぐるぐるとまわる。あしは、なぜかとめられない。)
思考と疑惑が頭の中でぐるぐると回る。足は、なぜか止められない。
(かのじょはいま、うしろでなにをしている?そしてけっていてきなときがやってきた。)
彼女は今、後ろでなにをしている?そして決定的な時がやって来た。
(ししょうのうわごとがひときわおおきくなり、おれにもはっきりきこえるこえが、こういった。)
師匠のうわ言が一際大きくなり、俺にもはっきり聞こえる声が、こう言った。
(「・・・・・・あや・・・・・・」)
「……綾……」
(そのしゅんかん、じかんがとまったようなさっかくをおぼえ、)
その瞬間、時間が止まったような錯覚を覚え、
(おれはじぶんのしんぞうのおとだけをきいていた。かのじょが、あしおとをひびかせてちかづいてくる。)
俺は自分の心臓の音だけを聞いていた。彼女が、足音を響かせて近づいてくる。
(そして、やさしいこえでいうのだ。「なあに」)
そして、優しい声で言うのだ。「なあに」
(ししょうはねむってしまったようだ。ねいきがきこえてくる。)
師匠は眠ってしまったようだ。寝息が聞こえてくる。
(おれはまだどきどきしているむねをなでおろして、ししょうがこのじょうきょうかで)
俺はまだドキドキしている胸を撫で下ろして、師匠がこの状況下で
(かのじょのなまえをつぶやいたことにふしぎなかんどうをおぼえていた。)
彼女の名前を呟いたことに不思議な感動を覚えていた。
(ごじつ、けがのなおったというししょうのあぱーとへいった。)
後日、怪我の治ったという師匠のアパートへ行った。
(「めいわくをかけたな。すまなかった」)
「迷惑をかけたな。済まなかった」
(あたまをさげるししょうに、やだなあそんなきゃらじゃないでしょとかるくちをたたいて)
頭を下げる師匠に、やだなあそんなキャラじゃないでしょと軽口を叩いて
(へやにあがる。そしてこのあいだのことのてんまつをくわしくきいた。)
部屋に上がる。 そしてこのあいだの事の顛末を詳しく聞いた。