天使-2-

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プレイ回数543難易度(5.0) 3528打 長文 長文モード推奨
師匠シリーズ
マイタイピングに師匠シリーズが沢山あったと思ったのですが、なくなってしまっていたので、作成しました。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 Shion 1926 F 2.0 95.2% 1775.7 3601 180 68 2024/10/02

関連タイピング

問題文

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(「へえ、ゆうめいなんだ」「ゆうめいってわけじゃないとおもうけど。)

「へえ、有名なんだ」「有名ってわけじゃないと思うけど。

(おなじいちねんだし、みたことくらいあるよ。ほら、aぐみの」)

同じ1年だし、見たことくらいあるよ。ホラ、A組の」

(「え?おないどしなのか」すこしおどろいた。)

「え? 同い年なのか」少し驚いた。

(「そのまさきさんがどうしたの。こくれたとか?」)

「その間崎さんがどうしたの。告られたとか?」

(あさのことをせつめいしようとして、やめた。めんどくさい。)

朝のことを説明しようとして、やめた。めんどくさい。

(「でも、まさきさんってなんかきもちわるいらしいよ。)

「でも、間崎さんってなんか気持ち悪いらしいよ。

(よくしらないけど、のろいとかかけちゃうんだって」)

良く知らないけど、呪いとかかけちゃうんだって」

(どきっとする。わたしもちゅうがくじだいに、しゅみのうらないをがっこうでもやっていたら)

ドキッとする。私も中学時代に、趣味の占いを学校でもやっていたら

(そんなうわさをたてられたことがあった。こうこうではすこしおとなしくしておこうと、)

そんな噂を立てられたことがあった。高校では少し大人しくしておこうと、

(がっこうにはいまのところしゅみをもちこんでいない。「のろい、ね」)

学校には今のところ趣味を持ち込んでいない。「呪い、ね」

(きょうしつをなにげなくみまわした。そのとき、とおくのせきにすわることめがあった。)

教室を何気なく見回した。その時、遠くの席に座る子と目が合った。

(じみなめはなだちにこがらなからだ。かみがたこそちがうが、どこかにているこがふたり、)

地味な目鼻立ちに小柄な体。髪型こそ違うが、どこか似ている子が二人、

(かおをよせあってこちらをみている。)

顔を寄せ合ってこちらを見ている。

(わたしのしせんにきづいたよーこもそちらをみる。)

私の視線に気づいたヨーコもそちらを見る。

(ふたりははっとしたひょうじょうをいっしゅんみせたあと、おびえたようにめをふせた。)

二人はハッとした表情を一瞬見せたあと、怯えたように目を伏せた。

(なんだろう。まだかいわもしたことがないこたちだ。なまえもでてこない。)

なんだろう。まだ会話もしたことがない子たちだ。名前も出てこない。

(くらすのなかでもいちばんいんしょうがうすいかもしれない。)

クラスの中でも一番印象が薄いかも知れない。

(「ちひろ。こわがらせちゃだめよ」よーこがたのしそうにいう。)

「ちひろ。怖がらせちゃダメよ」ヨーコが楽しそうに言う。

(あなたみためこわいんだから。)

あなた見た目怖いんだから。

(そんなことをいって、ちくりとわたしのこころのきずをさす。)

そんなことを言って、チクリと私の心のキズを刺す。

など

(めつきがするどいのはうまれつきで、けっしておこっているわけではないのだが)

目つきが鋭いのは生まれつきで、けっして怒っているわけではないのだが

(ときとしてぜんりょうなじょしからこわがられることがあった。ふほんいなことに、)

時として善良な女子から怖がられることがあった。不本意なことに、

(せがたかいというだけでそのいめーじがさらにぞうふくされるようだ。)

背が高いというだけでそのイメージがさらに増幅されるようだ。

(めがねをかけているほうがしまざきいずみ、ほおにばんそうこうをはっているのが)

眼鏡を掛けている方が島崎いずみ、頬に絆創膏を貼っているのが

(たかのしほだとよーこがおしえてくれた。)

高野志穂だとヨーコが教えてくれた。

(あしたにはすくなくともどちらかはわすれてしまいそうだ。)

明日には少なくともどちらかは忘れてしまいそうだ。

(まいなーきゃらねとよーこはわらった。)

マイナーキャラねとヨーコは笑った。

(ほんにんたちにもきこえるかもしれないこえで。)

本人たちにも聞こえるかも知れない声で。

(ごじかんめがきゅうにじしゅうになり、わたしはてきとうなじかんにきょうしつをぬけだした。)

5時間目が急に自習になり、私は適当な時間に教室を抜け出した。

(こうしゃうらのひとけのないいっかくがわたしのひそかなおきにいりだった。)

校舎裏の人気のない一角が私の密かなお気に入りだった。

(かべのこうぞうにそってかすかなかぜがふき、かみのさきをゆらす。)

壁の構造に沿って微かな風が吹き、髪の先を揺らす。

(わたしはきりとられたようなちいさなそらをみあげながら、)

私は切り取られたような小さな空を見上げながら、

(どこからかきこえてくるおくがいすぽーつのざわめきにみみをかたむける。)

どこからか聞こえてくる屋外スポーツのざわめきに耳を傾ける。

(こうしているじかんはすきだ。)

こうしている時間は好きだ。

(たくさんのひとがいるばしょのかたすみに、ぽっかりとあいたあなのような)

たくさんの人がいる場所の片隅に、ぽっかりとあいた穴のような

(こどくなくうかんがある。そうおもえるからがっこうなんていういきのつまるところに)

孤独な空間がある。そう思えるから学校なんていう息の詰まる所に

(まいにちこられるのだし、そんなくうかんこそじぶんのほんとうのいばしょであるようなきがして)

毎日来られるのだし、そんな空間こそ自分の本当の居場所であるような気がして

(こころがじゅうそくしていくきがする。にほんめのたばこにひをつけたとき、)

心が充足していく気がする。2本目の煙草に火をつけたとき、

(かべのまがりかどにだれかのけはいをかんじた。)

壁の曲がり角に誰かの気配を感じた。

(あわててあしもとにおとそうとみがまえると、そのだれかは)

慌てて足元に落とそうと身構えると、その誰かは

(のうてんきなこえをはっしながらすがたをあらわした。「あ~、ふりょうはっけーん」)

能天気な声を発しながら姿を現した。「あ~、不良はっけーん」

(よーこだった。しんぞうにわるい。)

ヨーコだった。心臓に悪い。

(「ときどきいなくなるのはここだったのね。しずかでいいねぇ。)

「時々いなくなるのはココだったのね。静かでいいねぇ。

(あ、おこっちゃった?」いかりはしないが、ひみつのばしょのせんゆうがくずされたことに)

あ、怒っちゃった?」怒りはしないが、秘密の場所の占有が崩されたことに

(わずかなしつぼうをおぼえたことはたしかだった。)

わずかな失望を覚えたことは確かだった。

(よーこはとなりにつつつとよってきてかべにせなかをあずける。)

ヨーコは隣にツツツと寄って来て壁に背中をあずける。

(「ひるやすみにさあ、なんかいかついせんぱいきてたけど、あれなにはなしてたの?」)

「昼休みにさあ、なんかイカツイ先輩来てたけど、あれなに話してたの?」

(「ああ、あれは・・・・・・」ちゅうがくじだいにやっていたけんどうぶのせんぱいだったひとが、)

「ああ、あれは……」中学時代にやっていた剣道部の先輩だった人が、

(こうこうでもやらないかとわたしをかんゆうしにきているのだ。)

高校でもやらないかと私を勧誘しに来ているのだ。

(なんどかことわったがなかなかにしつこい。)

何度か断ったがなかなかにしつこい。

(「どうしてはいんないの」べつにたいしたりゆうはない。)

「どうして入んないの」別に大した理由はない。

(こどものころ、ちちおやにいわれるままにかよいはじめたけんどうのどうじょうには)

子どものころ、父親に言われるままに通い始めた剣道の道場には

(いまでもしゅうににかいはかおをだしているし、がっこうではもういいや、とおもっただけだ。)

今でも週に2回は顔を出しているし、学校ではもういいや、と思っただけだ。

(「ふうん。やればいいのに。もったいない」)

「ふうん。やればいいのに。もったいない」

(それからふたりでとりとめもないはなしをした。じかんはゆっくりとながれていた。)

それから二人でとりとめもない話をした。時間はゆっくりと流れていた。

(きょうしつにのこしたのーとはすがすがしいほどまっしろのまま。)

教室に残したノートは清清しいほど真っ白のまま。

(それでも、わるくないきぶんだった。)

それでも、悪くない気分だった。

(ちゃいむがあたまのうえからなりひびき、ためいきをついてからだをおこす。)

チャイムが頭の上から鳴り響き、ため息をついて体を起こす。

(そのとき、よーこがいった。)

そのとき、ヨーコが言った。

(「あのさ、ちひろ。じぶんがやんきーとかってうわさがあるのしってる?」)

「あのさ、ちひろ。自分がヤンキーとかって噂があるの知ってる?」

(「わたしが?」わらってしまう。)

「私が?」笑ってしまう。

(「いや、けっこうまじで。どっかのふりょうこうのおとことつるんでるとか、)

「いや、結構マジで。どっかの不良高の男とつるんでるとか、

(なつやすみまではおとなしくしてるだけとか、そんなうわさがあるし。)

夏休みまでは大人しくしてるだけとか、そんな噂があるし。

(じっさいこわがってるこ、おおいよ」)

じっさい怖がってるコ、多いよ」

(しんけんなかおでそんなことをいわれ、おもわずてもとのたばこをみつめる。)

真剣な顔でそんなことを言われ、思わず手元の煙草を見つめる。

(どうでもいいや、めんどくさい。そうおもいながらひをふみつけた。)

どうでもいいや、めんどくさい。そう思いながら火を踏みつけた。

(そのひのほうかご、かばんをつくえのうえにのせてみじたくをしていると)

その日の放課後、鞄を机の上に乗せて身支度をしていると

(よーこがあそびにいこうとさそってきた。)

ヨーコが遊びに行こうと誘って来た。

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