天使-5-

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師匠シリーズ
マイタイピングに師匠シリーズが沢山あったと思ったのですが、なくなってしまっていたので、作成しました。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 daifuku 3641 D+ 3.8 93.9% 992.9 3866 250 69 2024/11/08

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問題文

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(そのえらびかたのことをかーどをならべるてんかいほう、「すぷれっど」といい、)

その選び方のことをカードを並べる展開法、『スプレッド』と言い、

(それぞれならべるまいすうもちがえばならべかたによるかーどのいみもちがってくる。)

それぞれ並べる枚数も違えば並べ方によるカードの意味も違ってくる。

(そしてそのすぷれっどのなかで、「つち」のかたちと)

そしてそのスプレッドのなかで、『土』の形と

(むすびつくものがあった。(けるとじゅうじか・・・・・・))

結びつくものがあった。(ケルト十字か……)

(おーそどっくすなすぷれっどで、10まいのかーどをならべるのだが、)

オーソドックスなスプレッドで、10枚のカードを並べるのだが、

(さいごまでならべると「じゅういち」というじゅうじかのみぎどなりに)

最後まで並べると『十|』という十字架の右隣に

(たてぼうをおいたようなかたちになるのだ。)

縦棒を置いたような形になるのだ。

(それはとけいまわりに90どたおすとそのまま「つち」というかんじにみえる。)

それは時計回りに90度倒すとそのまま『土』という漢字に見える。

(わたしはじゅぎょうがおわるとすぐにきょうしつをでて、もういちどまさききょうこのきょうしつへむかった。)

私は授業が終わるとすぐに教室を出て、もう一度間崎京子の教室へ向かった。

(たろっとかーどならばじぶんもよくしっている。)

タロットカードならば自分もよく知っている。

(そこからなにかひんとがつかめるのではないかとおもったのだ。)

そこからなにかヒントがつかめるのではないかと思ったのだ。

(「いしかわさん」ひるやすみのおべんとうのためにつくえをならびかえようとしていたいしかわさんは、)

「石川さん」昼休みのお弁当のために机を並び替えようとしていた石川さんは、

(おどろいたかおでこちらをみた。それでもめいわくそうなそぶりもみせずに、)

驚いた顔でこちらを見た。それでも迷惑そうなそぶりも見せずに、

(なかまたちをおいてきょうしつからでてきてくれた。)

仲間たちを置いて教室から出てきてくれた。

(「たろっとかーど」ということばをだしてもぴんとこなかったかのじょに、)

「タロットカード」という言葉を出してもピンとこなかった彼女に、

(なんとかそのときのことをおもいだしてほしいとたたみかける。)

なんとかその時のことを思い出して欲しいと畳み掛ける。

(「え~と、たしかたいようのかーどがあったかな。それからあとは、あれ、)

「え~と、確か太陽のカードがあったかな。それからあとは、あれ、

(けんがささってたおれちゃってるひとのかーど。う~ん、あとはおぼえてない。)

剣が刺さって倒れちゃってる人のカード。う~ん、あとは覚えてない。

(そんなまじまじみてたわけじゃないし」)

そんなマジマジ見てたわけじゃないし」

(けんがささったおとこ?!わたしはいきをのんだ。)

剣が刺さった男?!私は息をのんだ。

など

(「それ、「つち」のどのぶぶんにあった?それからどっちのほうこうにむいてた?)

「それ、『土』のどの部分にあった? それからどっちの方向にむいてた?

(けんのえはまさきさんからみてどっちだった?」)

剣の柄は間崎さんから見てどっちだった?」

(いしかわさんはしばらくかんがえたあと、たしか・・・・・・とまえおきしてからこたえた。)

石川さんは暫く考えたあと、確か……と前置きしてから答えた。

(「はしっこだったから、「つち」のさいごのとめのぶぶんかな。えのむきは、)

「端っこだったから、『土』の最後の止めの部分かな。柄の向きは、

(あんまりじしんないけどわたしのほうにむいてたとおもうから、)

あんまり自信ないけど私の方に向いてたと思うから、

(まさきさんからみたらけんのさきがしょうめんになるのかな」)

間崎さんから見たら剣の先が正面になるのかな」

(いしかわさんはそれがどうしたのとけげんそうなかおでわたしをみつめる。)

石川さんはそれがどうしたのと怪訝そうな顔で私を見つめる。

(けんがささったおとこは、しょうあるかなのけんの10。)

剣が刺さった男は、小アルカナの剣の10。

(そしてまさききょうこにきっさきがむいていたということは”せいいおき”。)

そして間崎京子に切っ先が向いていたということは”正位置”。

(さいあくのかーどだ。こじんてきには「とう」のせいいちよりも)

最悪のカードだ。個人的には『塔』の正位置よりも

(ふきつなかんじのするかーどだった。そして「つち」のとめのぶぶんということは、)

不吉な感じのするカードだった。そして『土』の止めの部分ということは、

(けるとじゅうじにおける「さいしゅうけっか」をあらわすかーど。)

ケルト十字における「最終結果」を表すカード。

(わたしはしんぞうがたかなりはじめたのをかんじていた。)

私は心臓が高鳴りはじめたのを感じていた。

(けんの10があんじするものは、<はめつ><けっていてきなはいぼく><きぼうのそうしつ>)

剣の10が暗示するものは、<破滅><決定的な敗北><希望の喪失>

(<さらなるくるしみ>・・・・・・)

<さらなる苦しみ>……

(まさききょうこはそのさいしゅうけっかをしまざきいずみにかざることなくつげたのだろう。)

間崎京子はその最終結果を島崎いずみに飾ることなく告げたのだろう。

(そしてかのじょはないた。なやみごとにたいするこたえとして、)

そして彼女は泣いた。悩み事に対する答えとして、

(このしうちはあんまりだった。それがよいとこどりばかりをしない、)

この仕打ちはあんまりだった。それが良いとこ取りばかりをしない、

(うらないのあるべきすがただとしても。ましてそれが、しまざきいずみじしんの)

占いのあるべき姿だとしても。ましてそれが、島崎いずみ自身の

(うんめいだったとしても。わたしはだれにむけるべきなのかもわからない)

運命だったとしても。私は誰に向けるべきなのかも分からない

(なみだつようないかりがみのうちにわいてくるのをかんじていた。)

波立つような怒りが身の内に湧いて来るのを感じていた。

(わたしのようすをふしんげにみていたいしかわさんが、)

私の様子を不審げに見ていた石川さんが、

(「もうきょうしつにもどるけど」というのをせいして、)

「もう教室に戻るけど」と言うのを制して、

(これがさいごだからと、「たいよう」のかーどのいちをきいた。)

これが最後だからと、『太陽』のカードの位置を聞いた。

(「たしか、まんなかのへん。ごめん、ほんとわすれた。え?むき?)

「確か、真ん中のへん。ごめん、ホント忘れた。え? 向き?

(たいようにむきなんてあるの?」ききだせたのはそこまでだった。)

太陽に向きなんてあるの?」聞き出せたのはそこまでだった。

(れいをいって、きょうしつのまえからたちさる。かのじょはきっとこれからひるごはんを)

礼を言って、教室の前から立ち去る。彼女はきっとこれから昼ごはんを

(いっしょにたべるなかまたちとわたしのうわさばなしをするのだろう。)

一緒に食べる仲間たちと私の噂話をするのだろう。

(なんか、きもちわるいよね。うらないとかしてるひとって。)

なんか、気持ち悪いよね。占いとかしてる人って。

(いしかわさんもうらないばかりしていたちゅうがくじだいのわたしに、)

石川さんも占いばかりしていた中学時代の私に、

(うしろゆびをさしていたひとりだったはずだ。)

後ろ指をさしていた一人だったはずだ。

(むねのなかにうずまくいかりとかすかなとげのいたみがわたしのこころをゆさぶり、)

胸の中に渦巻く怒りと微かな棘の痛みが私の心を揺さぶり、

(へいじょうなせいしんでいられなくした。わたしはきょうしつにもどらず、ひるごはんもたべないまま)

平常な精神でいられなくした。私は教室に戻らず、昼ごはんも食べないまま

(こうしゃうらのひみつのばしょでじかんがすぎるのをまった。)

校舎裏の秘密の場所で時間が過ぎるのを待った。

(けっきょくすうぎょうよんだだけですてたあのらぶれたーには)

結局数行読んだだけで捨てたあのラブレターには

(こうないでみかけたというわたしのようしのことばかりならんでいた。)

校内で見かけたという私の容姿のことばかり並んでいた。

(さしだしにんもこんなわたしのほんしょうをしればだすのをとめただろうか。)

差出人もこんな私の本性を知れば出すのを止めただろうか。

(たばこのすいがらがなんぼんあしもとにおちても、だれもこなかった。)

煙草の吸殻が何本足元に落ちても、誰も来なかった。

(かぜがとおくのけんそうをはこんでくる。すこしずつ、からだのなかにかたいからが)

風が遠くの喧騒を運んで来る。すこしずつ、身体の中に硬い殻が

(けいせいされるようないめーじ。だれもきずつけない。だれからもきずつけられない。)

形成されるようなイメージ。誰も傷つけない。誰からも傷つけられない。

(そらはたかかったけれど、まがいもののようなあおだった。)

空は高かったけれど、まがい物のような青だった。

(よっかご、あのひそうたいしていらいやすんでいたたかのしほがようやくとうこうしてきた。)

4日後、あの日早退して以来休んでいた高野志穂がようやく登校してきた。

(あおじろいかおをして、きんちょうぎみにくちびるをかたくひきむすんだまま)

青白い顔をして、緊張気味に唇を固く引き結んだまま

(だれともあいさつをかわそうとしない。きがついていなかっただけで、)

誰とも挨拶を交わそうとしない。気がついていなかっただけで、

(あるいはかのじょはいつもそうだったのかもしれない。)

あるいは彼女はいつもそうだったのかも知れない。

(まわりのくらすめーとたちは、とおまきに、そしてはれものにさわるようにせっしていた。)

周りのクラスメートたちは、遠巻きに、そして腫れ物に触るように接していた。

(かのじょたちにとって、しまざきいずみとたかのしほはくべつのない)

彼女たちにとって、島崎いずみと高野志穂は区別のない

(おなじそんざいなのだろう。しまざきいずみはまだがっこうにこない。)

同じ存在なのだろう。島崎いずみはまだ学校に来ない。

(たいいんしたといううわさはきいたが、いまもいえにとじこもっているのだろうか。)

退院したという噂は聞いたが、今も家に閉じこもっているのだろうか。

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