怪物 「転」-3-

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師匠シリーズ
マイタイピングに師匠シリーズが沢山あったと思ったのですが、なくなってまっていたので、作成しました。
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1 daifuku 3785 D++ 4.0 94.4% 1139.5 4585 271 80 2024/10/03

関連タイピング

問題文

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(ろーぜんはいむじけんではべんごしじむしょのひしょ、)

ローゼンハイム事件では弁護士事務所の秘書、

(あんねまりーしゅないだーがげんしょうのちゅうしんにいたとされているが、)

アンネマリー・シュナイダーが現象の中心にいたとされているが、

(かのじょはとうじまだ18さいであり、かいげんしょうはかのじょがしゅっきんしているときにばかり)

彼女は当時まだ18歳であり、怪現象は彼女が出勤している時にばかり

(おこっていることをちょうしんりがくけんきゅうじょのはんすべんだーきょうじゅにしてきされている。)

起こっていることを超心理学研究所のハンス・ベンダー教授に指摘されている。

(そのあとあんねまりーがかいこされるとかいげんしょうはぴたりとおさまった。)

その後アンネマリーが解雇されると怪現象はピタリと収まった。

(ぽるたーがいすとげんしょうとはそのなのとおり、)

ポルターガイスト現象とはその名の通り、

(ぽるたー(さわがしい)がいすと(れい)のおこすげんしょうとされることが)

ポルター(騒がしい)・ガイスト(霊)の起こす現象とされることが

(おおかったが、きんねんではさまざまなかいしゃくがなされている。)

多かったが、近年では様々な解釈がなされている。

(ていしゅうはすいげきおんなどでかがくてきにせつめいしようとするものや、)

低周波や水撃音などで科学的に説明しようとするものや、

(ばいめいもくてきのでっちあげとするせつ、またちょうしんりがくしゃなどはこれを)

売名目的のでっちあげとする説、また超心理学者などはこれを

(ちょうじょうげんしょうのいっしゅであるといちづけている。そのちょうじょうげんしょうせつでは)

超常現象の一種であると位置づけている。その超常現象説では

(げんしょうのしょうてんになっているのがじゃくねんしゃであることにちゅうもくし、)

現象の焦点になっているのが若年者であることに注目し、

(せいしんてきにふあんていであるししゅんきぜんごのかのじょらがよくあつされた)

精神的に不安定である思春期前後の彼女らが抑圧された

(ふらすとれーしょんのはけぐちとして、むいしきてきにさいこきねしすげんしょうを)

フラストレーションの捌け口として、無意識的にサイコキネシス現象を

(はつどうしているのではないかとした。ちょうしんりがくしゃたちはこのげんしょうを)

発動しているのではないかとした。超心理学者たちはこの現象を

(rspk(はんぷくせいぐうはつせいねんりき)とよぶ。むいしきにおこるpkなので、)

RSPK(反復性偶発性念力)と呼ぶ。無意識に起こるPKなので、

(そのとうじしゃもきほんてきにはみずからをひがいしゃであるとにんしきしている。)

その当事者も基本的には自らを被害者であると認識している。

(えんふぃーるどじけんではしょうてんとなったじゃねっとじしん、)

エンフィールド事件では焦点となったジャネット自身、

(べっどからはねとばされてねれないというひがいをうけている。)

ベッドから跳ね飛ばされて寝れないという被害を受けている。

(そのしゅんかんをとらえたというしゃしんがほんにけいさいされていたが、)

その瞬間を捉えたという写真が本に掲載されていたが、

など

(なんともこめんとしづらいしゃしんだ。ちゅうにはういているのだが、)

なんともコメントしづらい写真だ。宙には浮いているのだが、

(じぶんでとんでいるようにもみえる。)

自分で跳んでいるようにも見える。

(「rspkか」ぼそりとくちにすると、なんだかおもはゆい。そんなへんなことばで)

「RSPKか」ボソリと口にすると、なんだか面映い。そんな変な言葉で

(せつめいするより、もっとたんじゅんなかいしゃくがあるようにおもえてならない。)

説明するより、もっと単純な解釈があるように思えてならない。

(ししゅんきのこどもがいるいえでおこったげんしょうなら、)

思春期の子どもがいる家で起こった現象なら、

(まっさきにいたずらじゃないかとうたがうべきだろう。)

真っ先にイタズラじゃないかと疑うべきだろう。

(じっさいはいずびるじけんではふぉっくすしまいがあとに、)

実際ハイズビル事件ではフォックス姉妹が後に、

(あれはかんせつをならすなどしたじぶんたちのとりっくだったとこくはくしているらしい。)

あれは関節を鳴らすなどした自分たちのトリックだったと告白しているらしい。

(ひとつのじれいがとりっくだったからといってすべてのじれいがとりっくだと)

一つの事例がトリックだったからといってすべての事例がトリックだと

(だんげんするのはらんぼうだが、うたがわれてしかるべきだろう。)

断言するのは乱暴だが、疑われてしかるべきだろう。

(ただろーぜんはいむのじけんではじむしょのびひんがはそんしたり、)

ただローゼンハイムの事件では事務所の備品が破損したり、

(かけていないはずのでんわでたがくのでんわだいをせいきゅうされたりといったじつがいが)

掛けていないはずの電話で多額の電話代を請求されたりといった実害が

(あったためにでんきけいとうのぎじゅつしゃやぶつりがくしゃ、けいさつなどがちょうさにあたったが)

あったために電気系統の技術者や物理学者、警察などが調査にあたったが

(いずれもごうりてきなせつめいをできなかったという。)

いずれも合理的な説明を出来なかったという。

(のいろーぜぎみだったというひしょのあんねまりーがおこした)

ノイローゼ気味だったという秘書のアンネマリーが起こした

(いたずらだとするには、ふくすうのにんげんのめのまえでうごいた180きろの)

イタズラだとするには、複数の人間の目の前で動いた180キロの

(きゃびねっとはおもすぎた。そのためろーぜんはいむじけんは)

キャビネットは重すぎた。そのためローゼンハイム事件は

(もっともしんぴょうせいのたかいぽるたーがいすとげんしょうのれいとされているそうだ。)

最も信憑性の高いポルターガイスト現象の例とされているそうだ。

(しんじるか、いなか。それがもんだいだ。)

信じるか、否か。それが問題だ。

(ほんをとじ、きのういちにちでこのまちにおこったできごとをひとつひとつかんがえてみる。)

本を閉じ、昨日一日でこの街に起こった出来事をひとつひとつ考えてみる。

(おとだけのこうじ。たなからとびだしたとしょかんのほん。こんびにないのかいげんしょう。)

音だけの工事。棚から飛び出した図書館の本。コンビニ内の怪現象。

(えきまえのびるのきみょうなていでん。ほりだされたなみき。)

駅前のビルの奇妙な停電。掘り出された並木。

(がそりんすたんどのゆれるきゅうゆほーす。)

ガソリンスタンドの揺れる給油ホース。

(はりがでたらめにうごくあーけーどのおおどけい。そしていしのあめ。)

針がでたらめに動くアーケードの大時計。そして石の雨。

(いずれもぽるたーがいすとげんしょうのれいにふくまれてもおかしくないないようだ。)

いずれもポルターガイスト現象の例に含まれてもおかしくない内容だ。

(ぎゃくにいうと、ぽるたーがいすとげんしょうがそれだけまぐちのひろい、)

逆に言うと、ポルターガイスト現象がそれだけ間口の広い、

(いわばなんでもありのくくりかたをされているということだろう。)

言わばなんでもありの括り方をされているということだろう。

(せんぱいはけいけんしなかったといういしがふるというげんしょうも、)

先輩は経験しなかったという石が降るという現象も、

(かこのじれいをひもとくとさんけんできた。)

過去の事例を紐解くと散見できた。

(いしふりげんしょうはどちらかというとしんれいげんしょうというより、)

石降り現象はどちらかというと心霊現象というより、

(rspkせつをほきょうするようなものといえそうだ。)

RSPK説を補強するようなものと言えそうだ。

(ただきのうまちでおきたじけんのうち、ぽるたーがいすとげんしょうとよぶには)

ただ昨日街で起きた事件のうち、ポルターガイスト現象と呼ぶには

(すこしおかしいぶぶんがある。それはこうじのおとと、なみき、おおどけい、)

少しおかしい部分がある。それは工事の音と、並木、大時計、

(そしていしのあめのよっつだ。これらはいずれもかおくのなかでおこったものではない。)

そして石の雨の4つだ。これらはいずれも家屋の中で起こったものではない。

(ぽるたーがいすとげんしょうはきほんてきにはかおくのなかでおこるものとされているのに。)

ポルターガイスト現象は基本的には家屋の中で起こるものとされているのに。

(あるいはがそりんすたんどのじけんもおくがいとしてもいいかもしれない。)

あるいはガソリンスタンドの事件も屋外としてもいいかも知れない。

(いたずらにせよ、rspkにせよ、おくがいでえいきょうをなした「しょうてん」とは)

イタズラにせよ、RSPKにせよ、屋外で影響を成した「焦点」とは

(いったいだれなのか。おおどけいはなにかしかけができたとしても、)

いったい誰なのか。大時計はなにか仕掛けが出来たとしても、

(たんじかんでだれにもきづかれずになみきをほりおこすことと、)

短時間で誰にも気づかれずに並木を掘り起こすことと、

(100めーとるにもわたってろじにいしのあめをふらせることは)

100メートルにも渡って路地に石の雨を降らせることは

(いったいなにものにかのうだというのだろう。)

一体何者に可能だというのだろう。

(そしてなによりこれらがきのうのたったいちにちでおこったできごとだというじじつ。)

そしてなによりこれらが昨日のたった一日で起こった出来事だという事実。

(わたしのなかで、あるきみのわるいかていがうまれつつあった。)

私の中で、ある気味の悪い仮定が生まれつつあった。

(そのかていはわたしのもうそうのふかいきりのなかから、きかいなおぶじぇとしてあらわれてきた。)

その仮定は私の妄想の深い霧の中から、奇怪なオブジェとして現れてきた。

(まだそのすべてがみえているわけではない。)

まだそのすべてが見えているわけではない。

(けれどわずかにのぞくそれは、どうしようもなくふきつなすがたをしている。)

けれどわずかに覗くそれは、どうしようもなく不吉な姿をしている。

(きのういちにちでおきたかいげんしょうが、それぞれぐうはつてきなこべつの)

昨日一日で起きた怪現象が、それぞれ偶発的な個別の

(ぽるたーがいすとげんしょうでないとすると・・・・・・)

ポルターガイスト現象でないとすると……

(わたしはたちあがり、まどのかーてんのすきまをゆびでひろげる。)

私は立ち上がり、窓のカーテンの隙間を指で広げる。

(そのむこう、やみのなかにはまだおきているいえのあかりがぽつぽつとてんざいしている。)

その向こう、闇の中にはまだ起きている家の明かりがぽつぽつと点在している。

(それはよるのうみにうかぶはかないこぶねのあかりのようにみえて、)

それは夜の海に浮かぶ儚い小船の明かりのように見えて、

(わたしをこころぼそいきもちにさせる。)

私を心細い気持ちにさせる。

(めをとじてこころをおちつかせ、よるのしっとりとしたあまいにおいをはなからすいこむ。)

目を閉じて心を落ち着かせ、夜のしっとりとした甘い匂いを鼻から吸い込む。

(まさききょうこは「えきどなをさがせ」とつげている。)

間崎京子は『エキドナを探せ』と告げている。

(わたしはさがさなくてはならないのだろうか?)

私は探さなくてはならないのだろうか?

(かいぶつたちのまりあを。こわいゆめをみていたきがする。)

怪物たちのマリアを。怖い夢を見ていた気がする。

(つぎのひ、きんようびのあさ。わたしはねぶそくのまぶたをすりながらめざましどけいをたたく。)

次の日、金曜日の朝。私は寝不足の瞼を擦りながら目覚まし時計を叩く。

(きのうはなんじにねたのだったか。ぜんしんがだるい。そしてねあせをかいている。)

昨日は何時に寝たのだったか。全身がだるい。そして寝汗をかいている。

(べっどのうえにあぐらをかいて、かみのなかにゆびをつっこむ。)

ベッドの上に胡坐をかいて、髪の中に指を突っ込む。

(ふつふつときおくがよみがえってくる。)

ふつふつと記憶が蘇ってくる。

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