ビデオ 後編-1-

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師匠シリーズ
マイタイピングに師匠シリーズが沢山あったと思ったのですが、なくなってまっていたので、作成しました。
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問題文

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(「びでお」これまでのあらすじ)

「ビデオ」これまでのあらすじ

(ぜんぺん)

・前編

(わけありぶっけんをよこながししてくれるあくとくぼうずからごまんでかいとった)

ワケあり物件を横流ししてくれる悪徳坊主から5万で買い取った

(「やばいびでお」。そこにはれっしゃにとびこむこーとをきたじんぶつがうつっていた。)

「やばいビデオ」。そこには列車に飛び込むコートを着た人物が映っていた。

(これはとうしんじさつのしゅんかんをうつしたびでおなのだろうか。)

これは投身自殺の瞬間を写したビデオなのだろうか。

(しらべてみるとじじつそのばしょそのじかんにじんしんじこはおきていた。)

調べてみると事実その場所その時間に人身事故は起きていた。

(ぎせいしゃのなまえは「さとういちろう」。)

犠牲者の名前は「サトウイチロウ」。

(ちゅうへん)

・中編

(おどろくべきことがはんめいした。「さとういちろう」は、しょうわのじだいから、)

驚くべき事が判明した。「サトウイチロウ」は、昭和の時代から、

(いくつものえきで、なんどもれきしたいとしてしょりされていた。)

いくつもの駅で、何度も轢死体として処理されていた。

(かくちでみつかる「さとういちろう」のれきしたい。)

各地で見つかる「サトウイチロウ」の轢死体。

(しかし「さとういちろう」のとびこむしゅんかんをみたものはだれもおらず、)

しかし「サトウイチロウ」の飛び込む瞬間を見たものは誰もおらず、

(せいぜんのすがたをみたものはいない。)

生前の姿を見たものはいない。

(さらに「さとういちろう」のれきしたいには、あっとうてきにふかかいなてんがのこるのだ。)

更に「サトウイチロウ」の轢死体には、圧倒的に不可解な点が残るのだ。

(はたして「さとういちろう」とはなんなのか。)

果たして「サトウイチロウ」とは何なのか。

(そしてこのびでおの「やばいりゆう」とは?)

そしてこのビデオの「やばい理由」とは?

(ししょうのへやをでてから、じてんしゃにのってまちなかをしばらくうろうろしていた。)

師匠の部屋を出てから、自転車に乗って街なかをしばらくうろうろしていた。

(かんがえがまとまらない。じょうほうがおおすぎる。かんぽうのむきしつなきじのなかで、)

考えがまとまらない。情報が多すぎる。官報の無機質な記事の中で、

(むすうのひとびとのさまざまなしをついたいけんしたおれは、にんげんのしとはなにか、)

無数の人々の様々な死を追体験した俺は、人間の死とはなにか、

(にんげんのそんげんとはなにか、かってにうかんでくるそんなといのこたえを)

人間の尊厳とはなにか、勝手に浮かんでくるそんな問いの答えを

など

(ぐるぐるとかんがえていた。けっきょく、くろたにというししょうのしりあいからかいとった)

ぐるぐると考えていた。結局、黒谷という師匠の知り合いから買い取った

(あのびでおは、えきいんたちのかいだんじみたうわさばなしのなかにだけそんざいしていたはずの、)

あのビデオは、駅員たちの怪談じみた噂話の中にだけ存在していたはずの、

(きかいなししゃのすがたをがめんのはしにとらえていたものだった。)

奇怪な死者の姿を画面の端にとらえていたものだった。

(そしてそのびでおはくようのためにてらにもちこまれた。)

そしてそのビデオは供養のために寺に持ち込まれた。

(なにかへんだ。もとえきいんのふたりからはなしをきき、かんぽうまでしらべておれたちは)

なにか変だ。元駅員の二人から話を聞き、官報まで調べて俺たちは

(そのししゃのしょうたい、いやそのしっぽにたどりついた。)

その死者の正体、いやそのしっぽにたどり着いた。

(だからあのびでおがおそろしいしろものだということをしっている。)

だからあのビデオが恐ろしい代物だということを知っている。

(けれど、びでおをさつえいしたにんげんにとってはどうだ。)

けれど、ビデオを撮影した人間にとってはどうだ。

(ただ、しろうとのえいぞうげきのさつえいちゅうにぐうぜんとれたてつどうじこのしゅんかんにすぎない。)

ただ、素人の映像劇の撮影中に偶然撮れた鉄道事故の瞬間に過ぎない。

(たしかにきもちのよいものではないが、そこまでおびえるべきものだろうか。)

確かに気持ちの良いものではないが、そこまで怯えるべきものだろうか。

(おれたちは、このびでおがやばいときかされて、せっきょくてきにじょうほうをあつめたからこそ)

俺たちは、このビデオがヤバイと聞かされて、積極的に情報を集めたからこそ

(さとういちろうにたどりついたのだ。ただのてつどうじこのえいぞうから、)

サトウイチロウにたどり着いたのだ。ただの鉄道事故の映像から、

(おなじようにじょうほうをたどれるものだろうか。)

同じように情報を辿れるものだろうか。

(なにかおれのしらないべつのふぁくたーがあるのかもしれない。)

なにか俺の知らない別のファクターがあるのかも知れない。

(・・・・・・きがつくとえきまえまできていた。)

……気がつくと駅前まで来ていた。

(とけいをみる。ごごよじはんすぎ。さいふをみる。いちまんえんさつがちらっとのぞく。)

時計を見る。午後四時半過ぎ。財布を見る。一万円札がチラッと覗く。

(「いってみるか」あのびでおのぶたいであるまえばらえきはたしょうとおいが)

「行ってみるか」あのビデオの舞台である前原駅は多少遠いが

(きょうじゅうにいってかえれるきょりにはある。)

今日中に行って帰れる距離にはある。

(さっきししょうのことばにびびらされたあとだというのに、われながらげんきんなものだ。)

さっき師匠の言葉にビビらされた後だというのに、我ながら現金なものだ。

(こうきしんがきょうふしんにもうかってしまっている。)

好奇心が恐怖心にもう勝ってしまっている。

(というよりもししょうのはなしかたのもんだいなのだ、というきがする。)

というよりも師匠の話し方の問題なのだ、という気がする。

(あのひとはひつよういじょうにおれをこわがらせようとするけいこうがある。)

あの人は必要以上に俺を怖がらせようとする傾向がある。

(それにはまってしまうおれもおれだが。きおすくでべんとうをかって、)

それに嵌ってしまう俺も俺だが。キオスクで弁当を買って、

(ちょうどしゅっぱつするところだったかいそくにのる。)

ちょうど出発するところだった快速に乗る。

(きたくらっしゅにはまだすこしはやいじかんだったので、よにんがけのせきのおくにすわれた。)

帰宅ラッシュにはまだ少し早い時間だったので、四人掛けの席の奥に座れた。

(もくもくとべんとうをかきこむ。かんがえたらあさからなにもたべていなかった。)

黙々と弁当をかきこむ。考えたら朝からなにも食べていなかった。

(ろくにじすいもしてないから、たべることにかんしてはほんとうにてきとうだ。)

ろくに自炊もしてないから、食べることに関しては本当に適当だ。

(それからすーつすがたのひとたちやがくせいふくのむれでしゃないはこみはじめ、)

それからスーツ姿の人たちや学生服の群れで車内は込み始め、

(おれはざわめきのなかでかんがえごとをしながらここちよいしんどうにみをまかせていた。)

俺はざわめきの中で考えごとをしながら心地よい振動に身を任せていた。

(いちどのりつぎをしてから、けっきょくとっきゅうりょうきんをはらわずにもくてきちにたどりついた。)

一度乗り継ぎをしてから、結局特急料金を払わずに目的地にたどり着いた。

(まえばらえきだ。ほんとうにいなかじみたしゅうへんのえきよりはたしょうましだが、)

前原駅だ。本当に田舎じみた周辺の駅よりは多少ましだが、

(それでもちいさなえきだといういんしょうはいなめない。)

それでも小さな駅だという印象は否めない。

(のびをしてから、いっしょにおりたすうにんのきゃくとかいさつへむかうりっきょうのかいだんをのぼる。)

伸びをしてから、一緒に降りた数人の客と改札へ向かう陸橋の階段を上る。

(ひがおちかけて、えきのこうないはうすぐらくなってきている。)

日が落ちかけて、駅の構内は薄暗くなってきている。

(かいさつのまえにたち、りょうてのひとさしゆびとおやゆびとでふれーむをつくって)

改札の前に立ち、両手の人差し指と親指とでフレームを作って

(いどうすることしばし。みおぼえのあるあんぐるをはっけんする。)

移動することしばし。見覚えのあるアングルを発見する。

(ここだ。あのびでおはここからさつえいしていたのだ。)

ここだ。あのビデオはここから撮影していたのだ。

(そうおもうと、なぜだかわからないけれどみぶるいするものがある。)

そう思うと、何故だか分からないけれど身震いするものがある。

(ほーむがわにちょっとおくまったところだ。このかくどではせんろはみえない。)

ホーム側にちょっと奥まったところだ。この角度では線路は見えない。

(がめんのはしにうつっていた「たかとおえき」のやじるしもかくにんする。)

画面の端に映っていた「高遠駅」の矢印も確認する。

(あのとっきゅうれっしゃがむかったえきだ。そういえば、さとういちろうにまつわる)

あの特急列車が向かった駅だ。そういえば、サトウイチロウにまつわる

(このまえばらえきのじけんのひとつまえはたかとおえきではっせいしている。)

この前原駅の事件の一つ前は高遠駅で発生している。

(とっきゅうれっしゃのつうかするえきのじゅんばんと、じけんはなにかかんけいがあるのだろうか。)

特急列車の通過する駅の順番と、事件はなにか関係があるのだろうか。

(あたまのなかでうろおぼえのちずをさいせいするが、じけんのはっせいじゅんとえきのならびには)

頭の中でうろ覚えの地図を再生するが、事件の発生順と駅の並びには

(ほうそくせいはないようだ。ばらばらにおきている。)

法則性はないようだ。バラバラに起きている。

(ばらばら・・・・・・)

バラバラ……

(そのたんごをおもいうかべたしゅんかん、しかいのすみ、むかいのほーむにはいいろのこーとが)

その単語を思い浮かべた瞬間、視界の隅、向かいのホームに灰色のコートが

(みえたきがしておもわずはっとする。)

見えた気がして思わずハッとする。

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