Q これが幽霊にみえますか -3-

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カンテサンス
カンテサンス文章 1

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問題文

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(ことのおこりは、げんごうがへいせいにかわって)

ことの起こりは、元号が平成に変わって

(なんねんかたったくらいのころだったといいます。)

何年か経ったくらいの頃だったといいます。

(とうじはだいがくのせきゅりてぃいしきがいまとはべっしゅといってもよいものであったため、)

当時は大学のセキュリティ意識が今とは別種と言っても良いものであったため、

(がくせいしょうをもっているのかもわからないいっぱんじんが)

学生証を持っているのかも分からない一般人が

(だいがくのじゅぎょうをさいぜんれつでうけていたり、じったいふしょうのいんかれさーくるが)

大学の授業を最前列で受けていたり、実体不詳のインカレサークルが

(ほうぼうでぱんふれっとをはいふしたりしていました。)

方々でパンフレットを配布したりしていました。

(とうぜん、あまりにめにあまるじんぶつやさーくるはとうじにおいても)

当然、あまりに目に余る人物やサークルは当時においても

(かんしはいじょのたいしょうとされていましたが、)

監視・排除の対象とされていましたが、

(それでもおおっぴらにとりしまられるようなじあんは(そのれべるできけんなものは)

それでも大っぴらに取り締まられるような事案は(そのレベルで危険な者は

(そもそもきんしょうであるため)それほどはっせいしていなかったようです。)

そもそも僅少であるため)それほど発生していなかったようです。

(ようは、だいがくのにゅうがくしきぜんごにぱんふれっとをもらったきおくはあるが、)

要は、大学の入学式前後にパンフレットを貰った記憶はあるが、

(それいごどんなかつどうをしているのかはよくしらない、そういうだんたい。)

それ以後どんな活動をしているのかはよく知らない、そういう団体。

(そういうだんたいのひとつとして、とあるさーくるがそんざいしていました。)

そういう団体の一つとして、とあるサークルが存在していました。

(だんたいめいは「たいわのいこいかんてさんす」。)

団体名は「対話の憩い カンテサンス」。

(とうじにそれがしせいでどのようなこしょうをされていたかはわかりませんが、)

当時にそれが市井でどのような呼称をされていたかはわかりませんが、

(いわゆる「じこけいはつ」をもくてきとしたさーくるであったようです。)

いわゆる「自己啓発」を目的としたサークルであったようです。

(そのとうじのぱんふれっとをみても、あるいはとうじそのせいいんとはなしたという)

その当時のパンフレットを見ても、或いは当時その成員と話したという

(もとがくせいらにきいてみても、そのさーくるがぐたいてきに)

元学生らに聞いてみても、そのサークルが具体的に

(どういうかつどうをしていたのかはいまいちはんぜんとしないのですが、)

どういう活動をしていたのかはいまいち判然としないのですが、

(それはがいぶのひとびとのひょうげんをかりるならば)

それは外部の人々の表現を借りるならば

など

(「よくあるたぐいの」さーくるだったそうです。)

「よくある類の」サークルだったそうです。

(「じぶんのなかにねむったちからをめざめさせ、)

「自分の中に眠った力を目覚めさせ、

(うちゅうてきりょくをえることをもくてきとしています」)

宇宙的力(カンテサンス)を得ることを目的としています」

(「わたしたちとたいわして、あたらしいじぶんをいっしょにたんきゅうしませんか」)

「わたしたちと対話して、新しい自分を一緒に探求しませんか」

(とうじのぱんふれっとにもそういった)

当時のパンフレットにもそういった

(くうをつかむようなもんごんがならんでいたそうなのですが、)

空を掴むような文言が並んでいたそうなのですが、

(しかしそのちゅうしょうてきないいまわしそれじたいが、)

しかしその抽象的な言い回しそれ自体が、

(がいぶのひとびとにとってはぎゃくせつてきにかれらのじったいをしめすものとなっていました。)

外部の人々にとっては逆説的に彼らの実態を示すものとなっていました。

(ここでじぜんにきょうちょうしておかなければならないのは、)

ここで事前に強調しておかなければならないのは、

(かれらはおそらく、ほんとうに「ありきたりな」だんたいだったということです。)

彼らは恐らく、本当に「ありきたりな」団体だったということです。

(かるとすりらーもののほらーえいがにあるような、)

カルトスリラーもののホラー映画にあるような、

(てまとじかんをかけてこうしょうされたしゅうきょうてきなぎしきたいけいも、)

手間と時間をかけて考証された宗教的な儀式体系も、

(かりすまてきしはいによるたくえつしたじんしんしょうあくろんも、)

カリスマ的支配による卓越した人心掌握論も、

(おそろしくかつこうどにそしきかされたしゅうだんてきとうせいもまったくない、)

恐ろしく且つ高度に組織化された集団的統制も全くない、

(どうこうかいれべるのじこけいはつさーくるでした。)

同好会レベルの自己啓発サークルでした。

(ゆうはんだいをうかすためにかんてさんすのしんかんへいったことのあるとうじの)

夕飯代を浮かすためにカンテサンスの新歓へ行ったことのある当時の

(しんにゅうせいは、かれらがぺらぺらのたろっとをつかってうらないにきょうじたり、)

新入生は、彼らがぺらぺらのタロットを使って占いに興じたり、

(いざかやでおこなわれたさん、よんめいのじょうきゅうせいによるぜん40ふんにわたるでぃすかっしょんが)

居酒屋で行われた三、四名の上級生による全四十分にわたるディスカッションが

(「ゆめはかならずかなう、じぶんらしくいきていこう」というけつろんにたっするようすを)

「夢は必ず叶う、自分らしく生きていこう」という結論に達する様子を

(みていたそうで、つまりはよくもわるくもじんちくむがいなだんたい、)

見ていたそうで、つまりは良くも悪くも人畜無害な団体、

(といういんしょうをもたれていたようでした。)

という印象を持たれていたようでした。

(そんなかれらが、しんかんもおちついたつゆのじき、)

そんな彼らが、新歓も落ち着いた梅雨の時期、

(さーくるではじめてのなつがっしゅくをきかくしたのだそうです。)

サークルで初めての夏合宿を企画したのだそうです。

(かれらとざつだんくらいはするさーくるがいのゆうじんのじょうほうやたんなるうわさをよせあつめたため、)

彼らと雑談くらいはするサークル外の友人の情報や単なる噂を寄せ集めたため、

(これいこうはとくにしんぴょうせいがうすいのですが。)

これ以降は特に信憑性が薄いのですが。

(ふだんはながくてもすうじかん、よていをあわせてあつまるくらいしかしていないが、)

普段は長くても数時間、予定を合わせて集まるくらいしかしていないが、

(なつやすみちゅうにみなでおなじばしょにれんぱくして、ふだんはできないはなしをしつつ、)

夏休み中に皆で同じ場所に連泊して、普段は出来ない話をしつつ、

(きょうどうせいかつをつうじてめんばーかんのれんたいをつよめようそういったもくてきから、)

共同生活を通じてメンバー間の連帯を強めようそういった目的から、

(かれらはそれこそいっぱんてきながくせいさーくるとおなじように)

彼らはそれこそ一般的な学生サークルと同じように

(がっしゅくけいかくをたてていたそうで。)

合宿計画を立てていたそうで。

(そこでがっしゅくばしょとしてえらんだのが、がくせいがいからはすこしはなれたばしょにある、)

そこで合宿場所として選んだのが、学生街からは少し離れた場所にある、

(だいがくせいやしゃかいじんようのせみなーはうすのようなたてものだったのです。)

大学生や社会人用のセミナーハウスのような建物だったのです。

(かんてさんすにかぎらず、なんらかのだんたいのちゅうたいをつよめようとがっしゅくをおこなうばあい、)

カンテサンスに限らず、何らかの団体の紐帯を強めようと合宿を行う場合、

(こうがいのせみなーはうすはかならずといってよいほどこうほにあがるものです。)

郊外のセミナーハウスは必ずと言って良いほど候補に挙がるものです。

(がいぶからほどよくかくぜつされ、ないぶにあるせいかつにだけ)

外部から程よく隔絶され、内部にある生活にだけ

(めをむけられるしせつでのきょうどうせいかつは、ひにちじょうてきなたいけんにいわかんなく)

目を向けられる施設での共同生活は、非日常的な体験に違和感なく

(ぼつにゅうするにはさいてきなかんきょうといえます。)

没入するには最適な環境と言えます。

(まして「うちゅうてきなちから」をえるためのじこけいはつをおこなうのが)

まして「宇宙的な力」を得るための自己啓発を行うのが

(かんてさんすというだんたいなのですから、)

カンテサンスという団体なのですから、

(かれらがそういったばしょをつかおうとすることにさほどいわかんはないでしょう。)

彼らがそういった場所を使おうとすることに然程違和感はないでしょう。

(せんじゅつしたようにじんちくむがいなさーくるかつどうをつづけていたかれらのことだから、)

先述したように人畜無害なサークル活動を続けていた彼らのことだから、

(おそらくはなつやすみあけ、がっしゅくをつうじてどりょくのたいせつさをあらためてしった、)

恐らくは夏休み明け、合宿を通じて努力の大切さを改めて知った、

(といったはなしをすることになるだろうと)

といった話をすることになるだろうと

(ようは「へえよいね、たのしんできたら」と、)

要は「へえ良いね、楽しんできたら」と、

(まわりはおおむねそういったはんのうをかえしていたそうです。)

周りは概ねそういった反応を返していたそうです。

(しかし、そんなよそうはじっさいのけっかとはすこしちがっていました。)

しかし、そんな予想は実際の結果とは少し違っていました。

(なつやすみ、そしておそらくはかれらがとどこおりなくじっこうしたなつがっしゅくをさかいに)

夏休み、そして恐らくは彼らが滞りなく実行した夏合宿を境に

(「たいわのいこいかんてさんす」のせいいんは、)

「対話の憩い カンテサンス」の成員は、

(みょうなことをくちにするようになったのだといいます。)

妙なことを口にするようになったのだといいます。

(いわく、「ゆうれいがみえるようになれた」と。)

曰く、「幽霊が見えるようになれた」と。

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