Q これが幽霊にみえますか -10-

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投稿者投稿者紅はるかいいね0お気に入り登録
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カンテサンス文章1

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問題文

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(かれのことばにどこからかぱちぱちとはくてがあがり、)

彼の言葉にどこからかぱちぱちと拍手が上がり、

(「せんぱい」もえがおでそのようすをみつめています。)

「先輩」も笑顔でその様子を見つめています。

(かれら、かのじょらのわだいはやはり、どこかできいたことのあるようなはなしや、)

彼ら、彼女らの話題はやはり、どこかで聞いたことのあるような話や、

(なんとなく「れいてきな」いめーじをもっておもいおこされることばをよせあつめた)

何となく「霊的な」イメージを持って想起される言葉を寄せ集めた

(そまつなものでした。いわばかもなくふかもない、すこしだけすぴりちゅあるほうこうに)

粗末なものでした。いわば可もなく不可もない、少しだけスピリチュアル方向に

(かたむいたじこけいはつさーくるのかいぎといったいんしょうをうけるものです。)

傾いた自己啓発サークルの会議といった印象を受けるものです。

(それが「どうすればゆうれいがみえるようになるか」というぎだいで、)

それが「どうすれば幽霊が見えるようになるか」という議題で、

(このよのものではないひとびとがだれもいないはずのあきやにとつじょとしてあらわれ、)

この世のものではない人々が誰もいないはずの空き家に突如として現れ、

(とうぜんのようにかいわをしているというてんをのぞけば。)

当然のように会話をしているという点を除けば。

(「なんで」)

「なんで」

(そのこえはいまちゃくせきしているかれらではなく、)

その声は今着席している彼らではなく、

(へやのすみでかれらをふるえながらみていたさんめいのうちのひとり、)

部屋の隅で彼らを震えながら見ていた三名のうちの一人、

(cさんによるものでした。)

Cさんによるものでした。

(cさんはうすむらさきいろのくちびるをへうへうとうごかし、となりにいるaさんやbさんのりょうめいが)

Cさんは薄紫色の唇をへうへうと動かし、隣にいるAさんやBさんの両名が

(なんとかききとれるれべるのこえを、むりやりにつないでいきました、)

何とか聞き取れるレベルの声を、無理矢理に繋いでいきました、

(「なんで、こうなるんだよ」)

「なんで、こうなるんだよ」

(それは、いまめのまえでおこっているふじょうりそのものにたいする、)

それは、今目の前で起こっている不条理そのものに対する、

(ぎもんのようなことばだとおもっていました。)

疑問のような言葉だと思っていました。

(「なんでこうなるんだよ、だって」)

「なんでこうなるんだよ、だって」

(しかし、そこからcさんがふるえるこえでつないだことばは。)

しかし、そこからCさんが震える声で繋いだ言葉は。

など

(およそしんじがたい、というよりもしんじたくないないようでした。)

およそ信じ難い、というよりも信じたくない内容でした。

(「こいつらとまってないだろ、このいえ」)

「こいつら泊まってないだろ、この家」

(「え?」)

「え?」

(そのことばにこおうしたのは、きもだめしをきかくしたaさんでした。)

その言葉に呼応したのは、肝試しを企画したAさんでした。

(しかしaさんのことばをきいているのかいないのか、)

しかしAさんの言葉を聞いているのかいないのか、

(cさんはそのばでじぶんだけがしっていたふじょうりを、)

Cさんはその場で自分だけが知っていた不条理を、

(そのばでじぶんだけがしっているということにたえられなくなったふじょうりを、)

その場で自分だけが知っているということに耐えられなくなった不条理を、

(おうとするようにはなしつづけました。)

嘔吐するように話し続けました。

(へいじからゆうじんかんでずいいちのじょうほうつうをじしょうし、こんかいもおそろしいさーくるの)

平時から友人間で随一の情報通を自称し、今回も恐ろしいサークルの

(いわくいんねんがあるたてものをつきとめ、とうじつにそのばしょのしたみとみちあんないを)

曰く因縁がある建物を突き止め、当日にその場所の下見と道案内を

(たんとうしたcさんは。)

担当したCさんは。

(「おれどこのせみなーはうすかわかんなかったから、)

「俺どこのセミナーハウスか分かんなかったから、

(てきとうにさいきんはいきょになったがっしゅくようのばしょみつくろってきたのに。)

適当に最近廃墟になった合宿用の場所見繕ってきたのに。

(だからしたみいったときも、おかしなこととかなかったのに。)

だから下見行った時も、おかしなこととか無かったのに。

(そもそもこいつらとまったことないだろここ、なんでこいつらが」)

そもそもこいつら泊まったことないだろここ、なんでこいつらが」

(「ちょっとちょっとまて、は?)

「ちょっとちょっと待て、は?

(おまえここ、あのさーくるのつかってたばしょじゃないのか?」)

お前ここ、あのサークルの使ってた場所じゃないのか?」

(aさんはそこでようやく、かれのはなしをさえぎりました。)

Aさんはそこで漸く、彼の話を遮りました。

(cさんがみつけてきたというこのたてものは、そのばではcさんいがい)

Cさんが見つけてきたというこの建物は、その場ではCさん以外

(だれもしらなかったばしょであったため、「ようやくつきとめた」ととくいげにはなす)

誰も知らなかった場所であったため、「漸く突き止めた」と得意げに話す

(かれのことばをわざわざうたがうひとはいませんでした。)

彼の言葉をわざわざ疑う人はいませんでした。

(それなのに。)

それなのに。

(「ただ、たださいさんがとれなくてつぶれたろっじだよここは。)

「ただ、ただ採算が取れなくて潰れたロッジだよここは。

(さいさんとれなくなって、かいたいするにもかねがかかるからっつって)

採算取れなくなって、解体するにも金がかかるからっつって

(なんねんかほっとかれたままになってて」)

何年か放っとかれたままになってて」

(かれははんきょうらんでそういって、aさんもたしかにそれをしんじそうになって、)

彼は半狂乱でそう言って、Aさんも確かにそれを信じそうになって、

(しかし、それをみとめることはどうしてもできませんでした。)

しかし、それを認めることはどうしても出来ませんでした。

(たしかに、このばしょがなんのいわくもない、ただのほうちされたろっじであれば、)

確かに、この場所が何の曰くもない、ただの放置されたロッジであれば、

(それでいろいろなりくつはとおる。)

それで色々な理屈は通る。

(あるじきからきゃくのしゅくはくよやくをしぶってほうちされたいわくつきのたてものが、)

或る時期から客の宿泊予約を渋って放置された曰く付きの建物が、

(いつでもしようできそうなくらいにせいとんされたままのないそうだったのは、)

いつでも使用できそうなくらいに整頓されたままの内装だったのは、

(そもそもしゅくはくをしぶったかこがなかったからだろう。)

そもそも宿泊を渋った過去が無かったからだろう。

(ちいきではそれなりにゆうめいなかいだんばなしにかかわるしゅくはくしせつのはいきょなのに、)

地域ではそれなりに有名な怪談話に関わる宿泊施設の廃墟なのに、

(とくにあとからあらされたあとやめだったよごれがなかったのは、)

特に後から荒らされた跡や目立った汚れが無かったのは、

(まずもってそのゆうめいなかいだんばなしにかかわっていなかったからだろう。)

まずもってその有名な怪談話に関わっていなかったからだろう。

(いえのなかをみてまわっただんかいでなにのへんてつもないあきやとしかかんじられなかったのは、)

家の中を見て回った段階で何の変哲もない空き家としか感じられなかったのは、

(ほんとうになにのへんてつもないあきやだったからだろう。)

本当に何の変哲もない空き家だったからだろう。

(でも。)

でも。

(かりにそうだとして、じゃあいまおきている「これ」はなんだ。)

仮にそうだとして、じゃあ今起きている「これ」は何だ。

(aさんはどこかこんがんするように、cさんにむかってはなしかけました。)

Aさんはどこか懇願するように、Cさんに向かって話しかけました。

(せめて、せめてcさんにはこれいじょうこわいはなしをしてほしくなかったから。)

せめて、せめてCさんにはこれ以上怖い話をしてほしくなかったから。

(これいじょうじぶんたちのみにおきているふじょうりをふやすのではなくて、)

これ以上自分たちの身に起きている不条理を増やすのではなくて、

(「うわさはほんとうだったんだ」とかそういうぶなんなことをいって)

「噂は本当だったんだ」とかそういう無難なことを言って

(いっしょにふるえていてほしかったから。)

一緒に震えていてほしかったから。

(「いや、その、だいじょうぶだよおまえ、おまえさ、ちがうんだろ?)

「いや、その、大丈夫だよお前、お前さ、違うんだろ?

(ちょっとおかしくなってんだろきっとおまえ、はは。)

ちょっとおかしくなってんだろきっとお前、はは。

(ここがあのさーくるがとまってたいえで、ここでなつがっしゅくしてて、)

ここがあのサークルが泊まってた家で、ここで夏合宿してて、

(そこでなんかおこったんだよきっと、な?」)

そこでなんか起こったんだよきっと、な?」

(「ちがうって、だっておまえ、じきもちょっとずれてんだぞ。)

「違うって、だってお前、時期もちょっとずれてんだぞ。

(ここってあいつらがへんになるなつがっしゅくのまえからこのいえ、しばらくきゅうみますっつって)

ここってあいつらが変になる夏合宿の前からこの家、暫く休みますっつって

(かぎしめてしきんぐりしてて。そっからあけてやすんでくりかえしてるうちに)

鍵閉めて資金繰りしてて。そっから開けて休んで繰り返してるうちに

(つぶれたんだからな。あいつらがだいがくいたじきとかもうとっくに)

潰れたんだからな。あいつらが大学いた時期とかもうとっくに

(しまってたんだよ」)

閉まってたんだよ」

(「いやちがうってきっと、おまえもあれがいつあったかとか)

「いや違うってきっと、お前もあれがいつあったかとか

(はっきりしらないだろ、だからねんだいとかがまちがってつたわっただけで、)

はっきり知らないだろ、だから年代とかが間違って伝わっただけで、

(ほんとうはここにいたんだって。だからもう、これいじょうそういう」)

本当はここにいたんだって。だからもう、これ以上そういう」

(「おまえだっていえまわってたときいってただろうがちょっとちがうなって、)

「お前だって家回ってた時言ってただろうがちょっと違うなって、

(きもだめしっぽくないって。ただあきやまわってこわいこわいいってただけなんだよ)

肝試しっぽくないって。ただ空き家回って怖い怖い言ってただけなんだよ

(おれたちはさいしょっから。だからもっとくらくなってふんいきでてから)

俺たちは最初っから。だからもっと暗くなって雰囲気出てから

(まわるかっていったんだよおれ、なにもないってわかってただろおまえだって」)

回るかって言ったんだよ俺、何もないって分かってただろお前だって」

(「いやたぶん、それはあんときからこわかったからそういってただけでさ、つよがりで。)

「いや多分、それはあん時から怖かったからそう言ってただけでさ、強がりで。

(そうつよがりで、ほんとはおれずっとこわかったんだけど、なんにもないなって)

そう強がりで、ほんとは俺ずっと怖かったんだけど、何にもないなって

(へいきなふりしていってたんだよ、ごめんごめん。)

平気な振りして言ってたんだよ、ごめんごめん。

(だからほんとはゆうれいがいたんだよまえからここにさ、ゆうれいとか、)

だからほんとは幽霊がいたんだよ前からここにさ、幽霊とか、

(こわいはなしとかがこのいえにちゃんとあって」)

怖い話とかがこの家にちゃんとあって」

(「ねえよゆうれいもこわいはなしも、あるわけねえだろここに」)

「無えよ幽霊も怖い話も、ある訳ねえだろここに」

(そこでaさんも、いろいろなものがげんかいにたっしたのでしょう。)

そこでAさんも、色々なものが限界に達したのでしょう。

(だだをこねるように、さけぶようにいいました。)

駄々を捏ねるように、叫ぶように言いました。

(うるせえよ、じゃあおまえ、)

うるせえよ、じゃあお前、

(「じゃあおまえ、いまいるのはなになんだよ。なにがみえてんだよおれたちに」)

「じゃあお前、今いるのは何なんだよ。何が見えてんだよ俺たちに」

(「ゆうれいですよ」)

「幽霊ですよ」

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