Q これが幽霊にみえますか -12-

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投稿者投稿者紅はるかいいね0お気に入り登録
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カンテサンス
カンテサンス文章1

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問題文

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(いちばんさいしょにはなしたとおり、きもだめしをしゅだいとしたかいだんばなしのばあいは、)

一番最初に話した通り、肝試しを主題とした怪談話の場合は、

(そこでかいいをたいけんするじんぶつがきほんてきにのうどうてきであればあるほど、)

そこで怪異を体験する人物が基本的に能動的であればあるほど、

(しせいにひろくつたわりやすくなります。)

市井に広く伝わりやすくなります。

(「こわいことがおこるとしっていながらそのばしょをおとずれたじんぶつが、)

「怖いことが起こると知っていながらその場所を訪れた人物が、

(けっかとしてこわいめにあう」という、)

結果として怖い目に遭う」という、

(あるいみでせつわてきないんがばなしにおとしこんだほうが、)

ある意味で説話的な因果話に落とし込んだ方が、

(それはたのしいおはなしとしてひろくうけいれられやすくなるからです。)

それは楽しいお話として広く受け入れられやすくなるからです。

(かつてとあるけんのとあるちくでかつどうし、いつのまにかなまえをかえて)

嘗てとある県のとある地区で活動し、いつの間にか名前を変えて

(いなくなった「たいわのいこいかんてさんす」というだんたいはおそらく、)

いなくなった「対話の憩い カンテサンス」という団体は恐らく、

(そこにつけこんだのだろうとおもいます。)

そこに付け込んだのだろうと思います。

(わたしがこのはなしをきいたのは、せんじゅつしたがくせいがいからすこしはなれたところにある、)

私がこの話を聞いたのは、先述した学生街から少し離れた所にある、

(ちゅうとはんぱにしぜんがゆたかないなかまちでした。)

中途半端に自然が豊かな田舎町でした。

(そこははんかがいにあるようなはなやかさにとぼしく、)

そこは繁華街にあるような華やかさに乏しく、

(かわりにがっしゅくようせみなーはうすやしょうねんしぜんのいえといった、)

代わりに合宿用セミナーハウスや少年自然の家といった、

(ひとざとはなれたことをいかしたたいぷのたてものがおおいばしょでした。)

人里離れたことを活かしたタイプの建物が多い場所でした。

(そしてかれらも、aさん、bさん、cさんのさんめいもそんなたてもので、)

そして彼らも、Aさん、Bさん、Cさんの三名もそんな建物で、

(せんじゅつしたできごとをたいけんしたのだそうです。)

先述した出来事を体験したのだそうです。

(かつてはつかわれていたが、しきんぐりがうまくいかずにへいさしたやまおくのろっじ。)

嘗ては使われていたが、資金繰りが上手くいかずに閉鎖した山奥のロッジ。

(もともとはがくせいようにかしだされていた、そのたてもののちかくにあるひろばをもくてきちとして、)

元々は学生用に貸し出されていた、その建物の近くにある広場を目的地として、

(かれらはひがえりでばーべきゅーをしにいきました。)

彼らは日帰りでバーベキューをしに行きました。

など

(ろっじへきもだめしにいったのではなく、)

ロッジへ肝試しに行ったのではなく、

(そのちかくにあるひろばへ、ばーべきゅーをしにいきました。)

その近くにある広場へ、バーベキューをしに行きました。

(そのぐるーぷはだんせいがふたりと、じょせいがひとり。)

そのグループは男性が二人と、女性が一人。

(めんきょをとったおいわいにとこうにゅうしたちゅうこしゃにのって、)

免許を取ったお祝いにと購入した中古車に乗って、

(かれらはいきようようとくるまをはしらせました。)

彼らは意気揚々と車を走らせました。

(ひがえりなのでとうぜん、ごごのはやいじかんからおさけやたべもの、)

日帰りなので当然、午後の早い時間からお酒や食べ物、

(ばーべきゅーどうぐなどをもって。)

バーベキュー道具などを持って。

(もともとそのろっじは、ちゅうしゃじょうちかくのひろばでそとあそびやきゃんぷのようなことが)

元々そのロッジは、駐車場近くの広場で外遊びやキャンプのようなことが

(できるようにせいびされていたため、たてもののほうがへいさしてしまってもひろばは)

出来るように整備されていたため、建物の方が閉鎖してしまっても広場は

(あるていどつかえるのではないか、とかれらはよそうしていたのです。)

或る程度使えるのではないか、と彼らは予想していたのです。

(わたしをふくめたすうめいのゆうじんは、すでにへいさされかんりされなくなったばしょでひを)

私を含めた数名の友人は、すでに閉鎖され管理されなくなった場所で火を

(つかうことにていこうがあったためそのさそいをことわりました。)

使うことに抵抗があったためその誘いを断りました。

(しかしもともとふくすうめいあつまったのであればなんにんでもけっこうするよていだったようで、)

しかし元々複数名集まったのであれば何人でも決行する予定だったようで、

(かれらはそのまま、ややしょうにんずうでのひがえりしょうりょこうけいかくをけっこうしたようです。)

彼らはそのまま、やや少人数での日帰り小旅行計画を決行したようです。

(それからすうじつかん、かれらとおんしんふつうになりました。)

それから数日間、彼らと音信不通になりました。

(わたしたちもしんぱいしていたのですが、いまほどけいたいでんわもこうせいのうでなければ、)

私たちも心配していたのですが、今ほど携帯電話も高性能でなければ、

(snsなんてふきゅうどころかそんざいしているかもあやしいじだいです。)

SNSなんて普及どころか存在しているかも怪しい時代です。

(あまりおもてだったあくしょんをおこすこともできず、やきもきしていたのですが、)

あまり表立ったアクションを起こすことも出来ず、やきもきしていたのですが、

(ほどなくしてかれらはもどってきました。)

ほどなくして彼らは戻ってきました。

(とくにけがなどはなかったため、わたしたちもあんしんしていました。)

特に怪我などは無かったため、私たちも安心していました。

(そしてもどってきたかれらは、わたしをふくめたゆうじんたちに、)

そして戻ってきた彼らは、私を含めた友人たちに、

(せんじゅつした「きもだめしにいったさきでおこったたいけんだん」を、)

先述した「肝試しに行った先で起こった体験談」を、

(ききとしてはなしだしたのです。)

嬉々として話し出したのです。

(もちろんこのじてんで、もくてきはばーべきゅーではなかったかとすこしぎもんにおもう)

勿論この時点で、目的はバーベキューではなかったかと少し疑問に思う

(きもちはありました。)

気持ちはありました。

(しかしばーべきゅーかいじょうはくだんのろっじふきんにあるひろばであるため、)

しかしバーベキュー会場は件のロッジ付近にある広場であるため、

(そこでもりあがったかれらがはなしのながれで、はいきょとかしたそのたてものへきもだめしに)

そこで盛り上がった彼らが話の流れで、廃墟と化したその建物へ肝試しに

(いこうとなることには、さほどいわかんもありません。)

行こうとなることには、然程違和感もありません。

(かんてさんすなるあやしいだんたいがこのふきんにいたらしいといううわさはわたしたちも)

カンテサンスなる怪しい団体がこの付近にいたらしいという噂は私たちも

(きいたことがありましたので、そういうでぃてーるのしんぴょうせいもあいまって、)

聞いたことがありましたので、そういうディテールの信憑性も相まって、

(わたしはどちらかというとこうきしんをもって、かれらのはなしをこわいこわいときいていました。)

私はどちらかというと好奇心を持って、彼らの話を怖い怖いと聞いていました。

(じじつ、さんめいがはなすそのたいけんだんはたしょうなりともきもちのわるいものであったため、)

事実、三名が話すその体験談は多少なりとも気持ちの悪いものであったため、

(そのかたりくちとできごとのいんぱくとにつられ、ひがえりりょこうのもくてきがちがうていどの)

その語り口と出来事のインパクトにつられ、日帰り旅行の目的が違う程度の

(いわかんはこのじてんでそれほどこうりょしていなかったのです。)

違和感はこの時点でそれほど考慮していなかったのです。

(あきらかにおかしいとかんじたのは、それからしばらくたったころでした。)

明らかにおかしいと感じたのは、それから暫く経った頃でした。

(かれらのたいけんした「かいだんばなし」は、そのあともおりにふれてはなされることになりました。)

彼らの体験した「怪談話」は、その後も折に触れて話されることになりました。

(たとえばわたしたちがこのはなしをきいたよくじつにも)

例えば私たちがこの話を聞いた翌日にも

(「このこ、まえすっごいこわいたいけんしてさ」とさーくるなかまにはなしましたし、)

「この子、前すっごい怖い体験してさ」とサークル仲間に話しましたし、

(それこそみなで(せいきの)きゃんぷじょうへいったときのしんやにおこなわれたかいだんたいかいでも、)

それこそ皆で(正規の)キャンプ場へ行った時の深夜に行われた怪談大会でも、

(かれらのたいけんだんがもういをふるうこととなりました。)

彼らの体験談が猛威を振るうこととなりました。

(するととうぜん、そのはなしをくりかえしきくことになるゆうじんもでてくることになり、)

すると当然、その話を繰り返し聞くことになる友人も出てくることになり、

(わたしもそのひとりでした。ただ、なかまうちでくりかえしはなされるえぴそーどとーくなど)

私もその一人でした。ただ、仲間内で繰り返し話されるエピソードトークなど

(いくらでもありますので、さいしょはきにしていなかったのです。)

幾らでもありますので、最初は気にしていなかったのです。

(ですが、あるときにだれかがきづきました。)

ですが、或る時に誰かが気付きました。

(かれらのかたるはなしが、あまりにもせいかくなのです。)

彼らの語る話が、あまりにも正確なのです。

(たとえば、せんじゅつのはなしでいうところのaさん、bさん、cさんというたいけんしゃの)

例えば、先述の話でいうところのAさん、Bさん、Cさんという体験者の

(ちがいによって、かたられるないようそれじたいのそういてんはあります。)

違いによって、語られる内容それ自体の相違点はあります。

(しかし、たとえばaさんがじぶんのたいけんだんとしてかたるはなしは、)

しかし、例えばAさんが自分の体験談として語る話は、

(いつきいてもまったくおなじなのです。)

いつ聞いても全く同じなのです。

(ばなしなれたえぴそーどとーくであっても、こまかなひょうげんのちがいはとうぜんはっせいします。)

話し慣れたエピソードトークであっても、細かな表現の違いは当然発生します。

(「あのみせ」が「あのこんびに」になったり、「どようにいったげーせん」が)

「あの店」が「あのコンビニ」になったり、「土曜に行ったゲーセン」が

(「しゅうまつのらうんどわん」になったり、でぃてーるやじょしのぶれははなすたびに)

「週末のROUND1」になったり、ディテールや助詞のぶれは話すたびに

(まいかいおこることでしょう。)

毎回起こることでしょう。

(しかし、それはほんとうにいちごんいっく、まったくおなじなのです。)

しかし、それは本当に一言一句、全く同じなのです。

(かれらがおのおの、「じぶんのたいけんだん」をあんしょうしているかのように。)

彼らが各々、「自分の体験談」を暗誦しているかのように。

(いつはなしても、じょしやこまかなせりふまわしにいたるまで、すべてがかんぜんにおなじでした。)

いつ話しても、助詞や細かな台詞回しに至るまで、全てが完全に同じでした。

(このたぐいのかいだんばなしでよく、なぜたいけんしゃはさいぶまでのじょうけいをきおくしていたり、)

この類の怪談話でよく、何故体験者は細部までの情景を記憶していたり、

(ひとつひとつのせりふをもじにおこせるのかというわだいがあがります。)

ひとつひとつの台詞を文字に起こせるのかという話題が挙がります。

(わたしもさいしょにこのはなしをきいたとき、そういったぎねんを)

私も最初にこの話を聞いた時、そういった疑念を

(いだかないではなかったのですが、それはわたしたちにはなすさいにつどほかんして)

抱かないではなかったのですが、それは私たちに話す際に都度補完して

(いるのだろうと、じぶんなりになっとくしていました。)

いるのだろうと、自分なりに納得していました。

(それがかんぜんにいちごんいっく、かれらのあたまのなかにはいっているからだと、)

それが完全に一言一句、彼らの頭の中に入っているからだと、

(そんなふうにかんがえるはずがありません。)

そんな風に考えるはずがありません。

(そしてもうひとつ、わたしたちにとっててんきとなるできごとがおこりました。)

そしてもう一つ、私たちにとって転機となる出来事が起こりました。

(きっかけは、せんじゅつのはなしでいうところの「cさん」の、かのじょでした。)

きっかけは、先述の話でいうところの「Cさん」の、彼女でした。

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