【2ch洒落怖】『テンソウメツ』
●ヤマノケ
・体が白くて、滅茶苦茶な動きをする
・「テン、ソウ、メツ」と繰り返しつぶやく
・女性に憑く
●四十九日
・仏教用語
・仏教では人が亡くなると、
あの世で7日ごとに極楽浄土へ行けるかの裁判が行われ、
その最後の判決日が49日目に当たる
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問題文
(いっしゅうかんまえのはなし。)
一週間前の話。
(むすめをつれて、どらいぶにいった。)
娘を連れて、ドライブに行った。
(なんてことないやまみちをすすんでいって、)
なんてことない山道を進んで行って、
(とちゅうのどらいぶいんでめしをくった。)
途中のドライブインで飯を食った。
(で、むすめをおどかそうとおもって、)
で、娘をおどかそうと思って、
(ほそうされていないわきみちにはいりこんだ。)
舗装されていない脇道に入り込んだ。
(むすめのせいしがぎゃくにおもしろくって、)
娘の制止が逆に面白くって、
(どんどんすすんでいったんだ。)
ドンドン進んでいったんだ。
(そしたら、きゅうにえんじんがとまってしまった。)
そしたら、急にエンジンが停まってしまった。
(やまおくだからけーたいもつながらないし、)
山奥だからケータイもつながらないし、
(くるまのちしきもないから、むすめととほうにくれてしまった。)
車の知識もないから、娘と途方に暮れてしまった。
(めしをくったどらいぶいんも、)
飯を食ったドライブインも、
(あるいたらなんじかんかかるか。で、しょうがないから、)
歩いたら何時間かかるか。で、しょうがないから、
(そのひはしゃちゅうはくして、つぎのひのあさからあるいて、)
その日は車中泊して、次の日の朝から歩いて、
(どらいぶいんにいくことにしたんだ。)
ドライブインに行くことにしたんだ。
(しゃないでさむさをしのいでるうち、よるになった。)
車内で寒さをしのいでるうち、夜になった。
(よるのやまって、なにもおとがしないんだな。)
夜の山って、なにも音がしないんだな。
(たまにかぜがふいて、きがざわざわいうぐらいで。)
たまに風が吹いて、木がザワザワ言うぐらいで。
(で、どんどんじかんがすぎてって、)
で、ドンドン時間が過ぎていって、
(むすめは、じょしゅせきでねてしまった。)
娘は、助手席で寝てしまった。
(おれもねるか、とおもってめをとじていたら、)
俺も寝るか、と思って目を閉じていたら、
(なにかきこえてきた。いま、おもいだしてもきみがわるい。)
何か聞こえてきた。今、思い出しても気味が悪い。
(こえだかおとだかわからないかんじで、)
声だか音だか分らない感じで、
(「てん、そう、めつ」ってなんどもくりかえしてるんだ。)
「テン、ソウ、メツ」って何度も繰り返してるんだ。
(さいしょはききまちがいだとおもいこもうとして、)
最初は聞き間違いだと思い込もうとして、
(めをとじたままにしていたけど、)
目を閉じたままにしていたけど、
(おとがどんどんちかづいてきてるきがして、)
音がドンドン近づいてきてる気がして、
(たまらなくなってめをあけたんだ。)
たまらなくなって目をあけたんだ。
(そしたら、しろいのっぺりしたなにかが、)
そしたら、白いノッペリしたなにかが、
(めちゃくちゃなうごきをしながら、)
滅茶苦茶な動きをしながら、
(くるまにちかづいてくるのがみえた。)
車に近づいてくるのが見えた。
(かたちは「うるとらまん」のじゃみらみたいに、)
形は「ウルトラマン」のジャミラみたいに、
(あたまのないしるえっとで、あしはいっぽんにみえた。)
頭のないシルエットで、足は一本に見えた。
(そいつが、たとえるなら「けんけんしながら)
そいつが、例えるなら「ケンケンしながら
(りょうてをめちゃくちゃにふりまわして、)
両手を滅茶苦茶に振り回して、
(からだぜんたいをぶれさせながら」むかってくる。)
体全体をぶれさせながら」向かってくる。
(めちゃくちゃこわくて、さけびそうになったけど、)
滅茶苦茶怖くて、叫びそうになったけど、
(なぜかそのときは「となりでねているむすめが、)
なぜかそのときは「隣で寝ている娘が、
(おきないように」ってへんなとこにきがまわって、)
起きないように」って変なとこに気が回って、
(さけぶこともにげることもできないでいた。)
叫ぶことも逃げることもできないでいた。
(そいつはどんどんくるまにちかづいてきたんだけど、)
そいつはドンドン車に近づいてきたんだけど、
(どうもくるまのわきをとおりすぎていくようだった。)
どうも車の脇を通り過ぎていくようだった。
(とおりすぎるあいだも、「てん、そう、めつ」って)
通り過ぎるあいだも、「テン、ソウ、メツ」って
(おとが、ずっときこえていた。)
音が、ずっと聞こえていた。
(おとがとおざかっていって、うしろをふりかえっても、)
音が遠ざかっていって、後ろを振り返っても、
(そいつのすがたがみえなかったから、)
そいつの姿が見えなかったから、
(ほっとしてむすめのほうへむきなおったら、)
ホッとして娘の方へ向き直ったら、
(そいつがじょしゅせきのまどのそとにいた。)
そいつが助手席の窓の外にいた。
(ちかくでみたら、あたまがないとおもっていたのに、)
近くで見たら、頭がないと思っていたのに、
(むねのあたりにかおがついている。おもいだしたくもない。)
胸のあたりに顔がついている。思い出したくもない。
(おそろしいかおで、にたにたわらっている。)
恐ろしい顔で、ニタニタ笑っている。
(おれは、こわいをとおりこして、むすめにちかづかれたっていう)
俺は、怖いを通り越して、娘に近づかれたっていう
(いかりがわいてきて、「このやろう」ってさけんだんだ。)
怒りが沸いてきて、「この野郎」って叫んだんだ。
(さけんだとたん、そいつはきえて、むすめがはねおきた。)
叫んだ途端、そいつは消えて、娘が跳ね起きた。
(おれのどなりごえにびっくりしておきたのかとおもって、)
俺の怒鳴り声にビックリして起きたのかと思って、
(むすめにあやまろうとおもったら、)
娘に謝ろうと思ったら、
(むすめが「はいれたはいれたはいれたはいれた」って、)
娘が「はいれたはいれたはいれたはいれた」って、
(ぶつぶついっている。やばいとおもって、)
ブツブツ言っている。やばいと思って、
(なんとかこのばをはなれようとして、)
何とかこの場を離れようとして、
(えんじんをだめもとでかけてみた。)
エンジンをダメ元でかけてみた。
(そしたら、かかった。)
そしたら、かかった。
(いそいで、きたみちをもどった。)
急いで、来た道を戻った。
(むすめはとなりで、まだつぶやいている。)
娘は隣で、まだつぶやいている。
(はやくひとがいるところにいきたくて、くるまをとばした。)
早く人がいる所に行きたくて、車を飛ばした。
(ようやくまちのあかりがみえてきて、)
ようやく街の明かりが見えてきて、
(ちょっとあんしんしたが、むすめのつぶやきが)
ちょっと安心したが、娘のつぶやきが
(「はいれたはいれた」から「てん、そう、めつ」に、)
「はいれたはいれた」から「テン、ソウ、メツ」に、
(いつのまにかかわっていて、)
いつの間にか変わっていて、
(かおもむすめのかおじゃないみたいになっていた。)
顔も娘の顔じゃないみたいになっていた。
(「いえにかえるにも、むすめがこんなじょうたいじゃ」とおもって、)
「家に帰るにも、娘がこんな状態じゃ」と思って、
(めについたてらへかけこんだ。よなかだったが、)
目についた寺へ駆け込んだ。夜中だったが、
(てらのとなりのじゅうしょくがすんでいるところにはあかりがついていて、)
寺の隣の住職が住んでいる所には明かりがついていて、
(むすめをひきずりながらちゃいむをおした。)
娘を引きずりながらチャイムを押した。
(じゅうしょくらしきひとがでてきて、むすめをみるなり、)
住職らしき人が出てきて、娘を見るなり、
(おれにむかって「なにをやった」っていってきた。)
俺に向かって「何をやった」って言ってきた。
(やまにはいって、へんなやつをみたことをいうと、)
山に入って、変な奴を見たことを言うと、
(ざんねんそうなかおをして、)
残念そうな顔をして、
(「きやすめにしかならないだろうが」といいながら、)
「気休めにしかならないだろうが」と言いながら、
(おきょうをあげて、むすめのかたとせなかをばんばんたたきだした。)
お経をあげて、娘の肩と背中をバンバン叩き出した。
(じゅうしょくがとまっていけというので、)
住職が泊まっていけと言うので、
(むすめがしんぱいだったこともあって、)
娘が心配だったこともあって、
(とめてもらうことにした。)
泊めてもらうことにした。
(じゅうしょくがいうには、むすめは「やまのけ」に)
住職が言うには、娘は「ヤマノケ」に
(つかれたらしく、しじゅうくにちがたっても、)
憑かれたらしく、四十九日が経っても、
(このじょうたいがつづくなら、いっしょうこのままで、)
この状態が続くなら、一生このままで、
(しょうきにもどることはないらしい。)
正気に戻ることはないらしい。
(じゅうしょくは、そうならないようにむすめをあずかって、なんとか)
住職は、そうならないように娘を預かって、何とか
(やまのけをおいだすどりょくはしてみるといってくれた。)
ヤマノケを追い出す努力はしてみると言ってくれた。
(つまには、おれとじゅうしょくからでんわして、)
妻には、俺と住職から電話して、
(なんとかしんじてもらった。)
なんとか信じてもらった。
(じゅうしょくがいうには、あのままいえにかえっていたら、)
住職が言うには、あのまま家に帰っていたら、
(つまにもやまのけがついてしまっただろうと。)
妻にもヤマノケが憑いてしまっただろうと。
(やまのけはおんなにつくらしく、かんぜんにやまのけをぬく)
ヤマノケは女に憑くらしく、完全にヤマノケを抜く
(までは、つまもむすめにあえないらしい。)
までは、妻も娘に会えないらしい。
(あれからいっしゅうかんたったが、むすめはまだじゅうしょくのところにいる。)
あれから一週間たったが、娘はまだ住職の所にいる。
(まいにちようすをみにいっているが、)
毎日様子を見に行っているが、
(もうむすめじゃないみたいだ。にたにたわらって、)
もう娘じゃないみたいだ。ニタニタ笑って、
(なんともいえないめつきで、おれをみてくる。)
なんともいえない目つきで、俺を見てくる。
(はやく、もとのむすめにもどってほしい。)
早く、元の娘に戻って欲しい。
(あそびはんぶんで、やまにはいくな。)
遊び半分で、山には行くな。