『妖怪博士』江戸川乱歩52
○少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
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順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
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1 | ヌオー | 6103 | A++ | 6.5 | 93.7% | 711.6 | 4652 | 309 | 98 | 2024/12/17 |
2 | baru | 4312 | C+ | 4.8 | 90.7% | 986.8 | 4737 | 481 | 98 | 2024/12/04 |
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問題文
(「おい、こどもたち、きみたちのそんけいしているあけち)
「おい、子どもたち、きみたちの尊敬している明智
(だいせんせいのごにゅうじょうだぞ。あけちせんせいはしんせつにも、)
大先生のご入場だぞ。明智先生は親切にも、
(きみたちをすくいだすために、はるばるとうきょうから)
きみたちを救い出すために、はるばる東京から
(おでかけになったのだ。だが、おきのどくなことに)
お出かけになったのだ。だが、お気の毒なことに
(せんせいは、このにじゅうめんそうにつかまってしまわれた)
先生は、この二十面相に捕まってしまわれた
(のだよ。わはは、さああけちせんせい、かわいいぶかたちに)
のだよ。ワハハ、さあ明智先生、可愛い部下たちに
(あってやるがいい。そしてみんないっしょに、このあなの)
会ってやるがいい。そしてみんな一緒に、この穴の
(なかでがしするんだね。にじゅうめんそうをつかまえようなんて、)
中で餓死するんだね。二十面相を捕まえようなんて、
(だいそれたことをかんがえるやつは、しまいにはこんなめに)
大それたことを考える奴は、しまいにはこんな目に
(あうんだよ。じごうじとくというものだ。ざまあみるが)
あうんだよ。自業自得というものだ。ざまあみるが
(いい。ははは」まるでじごくのそこからでもきこえてくる)
いい。ハハハ」まるで地獄の底からでも聞こえて来る
(ような、ものおそろしいこえがどうくつにこだまして、)
ような、物恐ろしい声が洞窟に木霊して、
(がーんがーんとひびくのです。しょうねんたちはそれを)
ガーンガーンと響くのです。少年たちはそれを
(きくと、ごうれいでもかけられたようにすっくとたち)
聞くと、号令でもかけられたようにスックと立ち
(あがり、こえのするほうをにらみつけました。いくら)
上がり、声のするほうをにらみつけました。いくら
(おなかがすいていても、うらみかさなるにじゅうめんそうのこえには、)
お腹がすいていても、恨み重なる二十面相の声には、
(こぶしをにぎってたちあがらないではいられません。)
こぶしを握って立ち上がらないではいられません。
(なかでもだんちょうのこばやししょうねんは、あけちせんせいときいてじっと)
中でも団長の小林少年は、明智先生と聞いてジッと
(していることはできませんでした。いきなり、)
していることは出来ませんでした。いきなり、
(おそろしいにじゅうめんそうがいるのもわすれたように、)
恐ろしい二十面相が居るのも忘れたように、
(あけちたんていとおぼしいくろいひとかげにむかってとびつき)
明智探偵とおぼしい黒い人影に向かって飛びつき
(ました。「せんせい」こばやしくんがあけちたんていにちかづいて、)
ました。「先生」小林君が明智探偵に近づいて、
(てさぐりでそのうでにすがりつくと、「おお、)
手さぐりでその腕にすがりつくと、「おお、
(こばやしくんか」と、あけちたんていもなつかしそうにかたをだく)
小林君か」と、明智探偵も懐かしそうに肩を抱く
(のでした。「うふふ、していのたいめんというやつか。)
のでした。「ウフフ、師弟の対面というやつか。
(ひげきにでもありそうなばめんだね。まあ、せいぜいてを)
悲劇にでもありそうな場面だね。まあ、せいぜい手を
(とりあってなげくがいい。きみたちは、もうにどと)
取り合って嘆くがいい。きみたちは、もう二度と
(ひのめをみることはできないのだからね。このどうくつに)
日の目を見ることは出来ないのだからね。この洞窟に
(いきうめどうようになってしまうのだからね」にじゅうめんそうは)
生き埋め同様になってしまうのだからね」二十面相は
(そんなことをつぶやきながら、きみよさそうに)
そんなことをつぶやきながら、気味良さそうに
(めいたんていとしょうねんじょしゅのくろいかげをみまもっています。もう、)
名探偵と少年助手の黒い影を見守っています。もう、
(とくいのぜっちょうなのです。ながいあいだくるしめられた)
得意の絶頂なのです。長いあいだ苦しめられた
(あけちたんていと、そのかたうでといわれるこばやししょうねんをしゅびよく)
明智探偵と、その片腕と言われる小林少年を首尾よく
(つかまえてしまったのです。これがうれしくなくて)
捕まえてしまったのです。これが嬉しくなくて
(どうしましょう。ほんのじゅうびょうかにじゅうびょうのあいだでしたが、)
どうしましょう。 ほんの十秒か二十秒の間でしたが、
(さすがのきょうぞくもじぶんのせいこうによったようになって、)
さすがの凶賊も自分の成功に酔ったようになって、
(ついぴすとるをもつてもとがおるすになってしまい)
ついピストルを持つ手元がお留守になってしまい
(ました。ゆだんをしたのです。まさか、おなかのすいた)
ました。油断をしたのです。まさか、お腹のすいた
(しょうねんたちに、そんなげんきがのこっていようとはしらず、)
少年たちに、そんな元気が残っていようとは知らず、
(とんだゆだんをしてしまったのです。そのとき、すもう)
とんだ油断をしてしまったのです。 その時、相撲
(せんしゅのかつらくんをせんとうに、ごにんのしょうねんたんていだんいんがくらやみの)
選手の桂君を先頭に、五人の少年探偵団員が暗闇の
(なか、じめんをはうようにしておともなく、にじゅうめんそうの)
中、地面を這うようにして音もなく、二十面相の
(あしもとへちかづいていました。そしてあいてがいいきに)
足元へ近づいていました。そして相手がいい気に
(なってしゃべりながら、ぴすとるをもつてをだらんと)
なってしゃべりながら、ピストルを持つ手をダランと
(さげているのをみると、いきなりごにんがひとかたまりに)
下げているのを見ると、いきなり五人が一塊に
(なって、そのてにとびついたのです。「あ、いたい」)
なって、その手に跳びついたのです。「あ、痛い」
(にじゅうめんそうはふいをうたれて、おもわずさけびました。)
二十面相は不意を打たれて、思わず叫びました。
(それもどうりです。ごにんのうちのひとり、しのざきくんはおおきな)
それも道理です。五人のうちの一人、篠崎君は大きな
(くちをあけて、ぞくのてくびにかみついたのですから、)
口をあけて、賊の手首に噛みついたのですから、
(いくらかいとうでもかないません。いたさにたえかねて、)
いくら怪盗でもかないません。痛さにたえかねて、
(ぴすとるをにぎるゆびがゆるむのを、ちからのつよいかつらくんが)
ピストルを握る指がゆるむのを、力の強い桂君が
(うむをいわさず、もぎとってしまいました。きびんな)
有無を言わさず、もぎ取ってしまいました。 機敏な
(あけちたんていが、このさわぎをぼんやりみているはずは)
明智探偵が、この騒ぎをボンヤリ見ているはずは
(ありません。たんていはにじゅうめんそうがおそわれたとしると、)
ありません。探偵は二十面相が襲われたと知ると、
(すぐさまぽけっとのぴすとるをとりだして、ぞくのむねに)
すぐさまポケットのピストルを取り出して、賊の胸に
(ねらいをさだめました。そしてこばやししょうねんもりすの)
ねらいをさだめました。そして小林少年もリスの
(ように、すばしっこいのでした。ぞくがおどろきのあまり、)
ように、すばしっこいのでした。賊が驚きのあまり、
(おとしたかいちゅうでんとうをすばやくひろいあげて、そのまるいひかりを)
落した懐中電灯を素早く拾い上げて、その丸い光を
(さっとにじゅうめんそうのじょうはんしんにさしむけました。だれも)
サッと二十面相の上半身に差し向けました。だれも
(ものをいいません。ただ、やみのなかにはげしいいきづかいが)
物を言いません。ただ、闇の中に激しい息遣いが
(きこえるのみです。にじゅうめんそうはおもわずりょうてをたかく)
聞こえるのみです。 二十面相は思わず両手を高く
(あげて、だんだんあとずさりをはじめました。そのすがたを)
上げて、段々あとずさりを始めました。その姿を
(おってかいちゅうでんとうのひかりと、それからあけちたんていの)
追って懐中電灯の光と、それから明智探偵の
(ぴすとるのつつぐちがじりじりとせまっていきます。じゅっぽ、)
ピストルの筒口がジリジリと迫っていきます。十歩、
(にじゅっぽ、ぞくはどうくつのいわはだにそってかにのように、よこに)
二十歩、賊は洞窟の岩肌に沿ってカニのように、横に
(あるいていきましたが、ふときがつくと、その)
歩いて行きましたが、ふと気がつくと、その
(かいちゅうでんとうにてらされたろうじんのかおが、なぜかにやにやと)
懐中電灯に照らされた老人の顔が、なぜかニヤニヤと
(きみわるくわらっているではありませんか。おや、これは)
気味悪く笑っているではありませんか。 おや、これは
(どうしたというのでしょう。ぴすとるをつきつけ)
どうしたというのでしょう。ピストルを突きつけ
(られてぜったいぜつめいのかいとうが、おかしそうにわらいだした)
られて絶体絶命の怪盗が、おかしそうに笑い出した
(のです。それをみるとあけちたんていもしょうねんたちも、はっと)
のです。 それを見ると明智探偵も少年たちも、ハッと
(してたちすくんでしまいました。にじゅうめんそうが、こんな)
して立ちすくんでしまいました。二十面相が、こんな
(わらいかたをするからには、なにかわながあるのです。ゆだんが)
笑い方をするからには、何か罠があるのです。油断が
(できません。たちすくんでじっとめをこらしている)
出来ません。 立ちすくんでジッと目をこらしている
(うちに、おお、あれはいったいなんでしょう。にじゅうめんそうの)
うちに、おお、あれは一体なんでしょう。二十面相の
(うしろのやみのなかからぼんやりと、なにかおおきなものがあらわれて)
後ろの闇の中からボンヤリと、何か大きな物が現れて
(きたではありませんか。あけちたんていには、そのきかいな)
きたではありませんか。 明智探偵には、その奇怪な
(もののすがたがきゅうにはなんともけんとうがつきませんでしたが、)
物の姿が急には何とも検討がつきませんでしたが、
(しょうねんたちはひとめでそれをみわけることができました。)
少年たちは一目でそれを見分けることが出来ました。
(こうもりです。あの、いやらしいきょだいこうもりです。)
コウモリです。あの、いやらしい巨大コウモリです。
(にんげんほどのおおきさのかいじゅうがにひきも、ばけものの)
人間ほどの大きさの怪獣が二匹も、バケモノの
(ようにすがたをあらわしたのです。「せんせい、あれはにんげんです。)
ように姿を現したのです。「先生、あれは人間です。
(にんげんがこうもりにばけているのです」こばやしくんが)
人間がコウモリに化けているのです」小林君が
(あけちたんていのてくびをにぎって、ささやきました。)
明智探偵の手首を握って、ささやきました。
(と、そのときです。たんていたちのうしろのくらやみから、あっと)
と、その時です。探偵たちの後ろの暗闇から、アッと
(いうするどいさけびごえがきこえてきました。そのこえの)
いう鋭い叫び声が聞こえてきました。その声の
(ちょうしが、どうやらさいねんしょうのはしばそうじくんらしいのです。)
調子が、どうやら最年少の羽柴壮二君らしいのです。
(あけちたんていとこばやしくんはぎょっとして、こえのしたほうを)
明智探偵と小林君はギョッとして、声のしたほうを
(ふりむき、かいちゅうでんとうをさしむけました。すると、)
振り向き、懐中電灯を差し向けました。 すると、
(どうでしょう。そのでんとうのひかりのなかに、ぞーっとはだざむく)
どうでしょう。その電灯の光の中に、ゾーッと肌寒く
(なるような、おそろしいこうけいがうきあがったでは)
なるような、恐ろしい光景が浮き上ったでは
(ありませんか。こうもりは、しょうめんのにひきだけでは)
ありませんか。コウモリは、正面の二匹だけでは
(なかったのです。そこにもいっぴき、きょだいこうもりが)
なかったのです。そこにも一匹、巨大コウモリが
(うしろあしでたちあがって、はしばしょうねんをてもとにひきよせ、)
後ろ足で立ち上がって、羽柴少年を手元に引き寄せ、
(そのひたいにぴすとるのつつぐちをあてて、いまにも)
そのひたいにピストルの筒口をあてて、今にも
(ひきがねをひこうとみがまえていたのです。いや、)
引き金を引こうと身構えていたのです。 いや、
(それだけではありません。そのきょだいこうもりのうしろの)
それだけではありません。その巨大コウモリの後ろの
(やみに、まだにひきのかいぶつがぼんやりとみえています。)
闇に、まだ二匹の怪物がボンヤリと見えています。