『妖怪博士』江戸川乱歩51
○少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
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順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
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1 | berry | 7039 | 王 | 7.2 | 97.4% | 633.4 | 4581 | 122 | 100 | 2024/10/12 |
2 | みき | 6239 | A++ | 6.3 | 97.5% | 723.6 | 4629 | 114 | 100 | 2024/10/05 |
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問題文
(「だれだとおもうね。え、あけちせんせい、こわくていえない)
「だれだと思うね。え、明智先生、怖くて言えない
(のかね。ははは、きみがさがしまわっている、)
のかね。ハハハ、きみが探し回っている、
(ひるたはかせさ。もうひとつのなは、にじゅうめんそうとも)
ヒルタ博士さ。もう一つの名は、二十面相とも
(いうよ。ははは、どうだね。いくらめいたんていでも、)
言うよ。ハハハ、どうだね。いくら名探偵でも、
(まさかしょうにゅうどうのあんないにんがにじゅうめんそうとはきがつきまい。)
まさか鍾乳洞の案内人が二十面相とは気がつきまい。
(きみがさがしているしょうねんたちはいうまでもなく、)
きみが探している少年たちは言うまでもなく、
(おれがどうくつのおくへとじこめたのだよ。きみはしらない)
おれが洞窟の奥へ閉じ込めたのだよ。きみは知らない
(だろうが、このどうくつにはにんげんほどもある、きょだい)
だろうが、この洞窟には人間ほどもある、巨大
(こうもりのばけものがすんでいるのだ。しょうねんたちは、)
コウモリのバケモノがすんでいるのだ。少年たちは、
(そのきょだいこうもりにおそろしいめにあったのだよ。)
その巨大コウモリに恐ろしい目にあったのだよ。
(そして、いまではじゅういちにんがじゅういちにんとも、めいろのなかで)
そして、今では十一人が十一人とも、迷路の中で
(がしをまつだけのあわれなみのうえなのさ。そのきょだい)
餓死を待つだけの哀れな身の上なのさ。その巨大
(こうもりも、じつはおれがばけたのだ。にじゅうめんそうは)
コウモリも、実はおれが化けたのだ。二十面相は
(にんげんだけでなく、どうぶつにもへんそうするじゅつをこころえている)
人間だけでなく、動物にも変装する術を心得ている
(のだよ。ははは」「で、ぼくをどうしようというの)
のだよ。ハハハ」「で、ぼくをどうしようと言うの
(だね」あけちたんていはすこしもうろたえないで、しずかに)
だね」明智探偵は少しもうろたえないで、静かに
(たずねました。「じゅういちにんのしょうねんたちと、おなじめに)
たずねました。「十一人の少年たちと、同じ目に
(あわせてやるのさ。がしだよ。きさまがいきていては、)
あわせてやるのさ。餓死だよ。貴様が生きていては、
(どうもじゃまになってしかたがないのだ。おれはなんど、)
どうも邪魔になって仕方がないのだ。おれは何度、
(きさまにあぶないめにあわされてきたか、しれやしない。)
貴様に危ない目にあわされてきたか、知れやしない。
(だからこれからは、まったくてだしができないように)
だからこれからは、まったく手出しが出来ないように
(してやるのさ。おれはひとごろしがきらいだ。だが、きさまと)
してやるのさ。 おれは人殺しが嫌いだ。だが、貴様と
(きさまのてしたのこぞうたちがかってにがしするのは、)
貴様の手下の小僧たちが勝手に餓死するのは、
(おれのしったことじゃないからね。ははは、なんと)
おれの知ったことじゃないからね。ハハハ、なんと
(うまいかんがえじゃないか。きさまたちのはかばには、この)
上手い考えじゃないか。貴様たちの墓場には、この
(しょうにゅうどうがじつにおあつらえむきのばしょだぜ。おっと、)
鍾乳洞が実におあつらえ向きの場所だぜ。おっと、
(ぽけっとへてをやっちゃいけない。それより、)
ポケットへ手をやっちゃいけない。それより、
(こちらのだんがんがとびだすほうがはやいのだからね」)
こちらの弾丸が飛び出す方が早いのだからね」
(じいさんにばけたにじゅうめんそうは、いつのまにか)
じいさんに化けた二十面相は、いつの間にか
(ぴすとるをにぎって、じっとあけちたんていのむねにねらいを)
ピストルを握って、ジッと明智探偵の胸にねらいを
(さだめていました。わがみをまもるためならば、きらいな)
さだめていました。我が身を守るためならば、嫌いな
(ひとごろしもしかねないけんまくです。あけちたんていは、)
人殺しもしかねない剣幕です。明智探偵は、
(ぽけっとにいれていたぴすとるをとりだすことも)
ポケットに入れていたピストルを取り出すことも
(できないで、たちすくんでしまいました。ああ、)
出来ないで、立ちすくんでしまいました。ああ、
(じゅういちにんのしょうねんたんていだんいんはもとより、めいたんていあけちこごろう)
十一人の少年探偵団員はもとより、名探偵明智小五郎
(までもが、まんまとにじゅうめんそうのわなにかかったのです。)
までもが、まんまと二十面相の罠にかかったのです。
(かんじんのあんないにんがにじゅうめんそうにはやがわりしてしまった)
肝心の案内人が二十面相に早変わりしてしまった
(うえに、いたのはしまでとりさられたのですから、いくら)
上に、板の橋まで取り去られたのですから、いくら
(めいたんていのちえでも、このくらやみのめいろをぬけだすことは)
名探偵の知恵でも、この暗闇の迷路を脱け出すことは
(できません。では、われらのあけちたんていは、ついに)
出来ません。 では、我らの明智探偵は、遂に
(にじゅうめんそうにうちまかされたのでしょうか。そして、)
二十面相に打ち負かされたのでしょうか。そして、
(じゅういちにんのしょうねんたちとともに、このしょうにゅうどうのなかでがしする)
十一人の少年たちと共に、この鍾乳洞の中で餓死する
(うんめいなのでしょうか。「わはは、ゆかいゆかい。おれは、)
運命なのでしょうか。「ワハハ、愉快愉快。おれは、
(こんなゆかいなことはうまれてからはじめてだよ。)
こんな愉快なことは生まれてから初めてだよ。
(めいたんていがにじゅうめんそうにつかまって、てもあしもでない)
名探偵が二十面相に捕まって、手も足も出ない
(なんて。ではたんていさん、きみのぶかのしょうねんたちの)
なんて。では探偵さん、きみの部下の少年たちの
(ところへあんないしようかね。あのしょうねんたちが、なまいきに)
所へ案内しようかね。あの少年たちが、生意気に
(おれのしごとのじゃまをしたばかりに、どんなみじめな)
おれの仕事の邪魔をしたばかりに、どんな惨めな
(ようすでなきわめいているか、ひとまずそれを)
様子で泣きわめいているか、ひとまずそれを
(ゆっくりけんぶつするんだね。ははは」にじゅうめんそうは)
ゆっくり見物するんだね。ハハハ」二十面相は
(にくにくしくいいながら、あけちのせなかにぴすとるの)
憎々しく言いながら、明智の背中にピストルの
(つつぐちをおしつけて、どうくつのおくへおくへとつれていく)
筒口を押し付けて、洞窟の奥へ奥へと連れて行く
(のです。)
のです。
(「めいたんていのはいぼく」)
「名探偵の敗北」
(さすがのあけちたんていもふいをうたれて、はむかうすきも)
さすがの明智探偵も不意を打たれて、歯向かう隙も
(なく、にじゅうめんそうのめいずるままに、どうくつのおくへおくへと)
無く、二十面相の命ずるままに、洞窟の奥へ奥へと
(すすむほかはありませんでした。たんていのせなかには、)
進む他はありませんでした。探偵の背中には、
(にじゅうめんそうのぴすとるのつつぐちがぴったりおしつけられて)
二十面相のピストルの筒口がピッタリ押し付けられて
(いるのです。すこしでもたちどまったりすれば、その)
いるのです。少しでも立ち止まったりすれば、その
(つつぐちから、いつだんがんがとびだすかもしれないのです。)
筒口から、いつ弾丸が飛び出すかも知れないのです。
(いくらめいたんていでも、これにはどうしようも)
いくら名探偵でも、これにはどうしようも
(ありません。そうしてふたりはだんだん、どうくつのおくへすすんで)
ありません。そうして二人は段々、洞窟の奥へ進んで
(いきました。にじゅうめんそうはあけちたんていのかいちゅうでんとうを)
行きました。二十面相は明智探偵の懐中電灯を
(うばって、それでうしろからみちをてらしているのです。)
奪って、それで後ろから道を照らしているのです。
(おそろしいいわはだがつぎつぎとゆくてにあらわれてきます。)
恐ろしい岩肌が次々とゆく手に現れてきます。
(あるばしょでは、よつんばいにならなければとおれない)
ある場所では、四つん這いにならなければ通れない
(ほどせまくなり、またあるばしょでは、からだをよこにして)
ほど狭くなり、またある場所では、体を横にして
(やっとすりぬけるようなほそいみちもあり、それが)
やっとすり抜けるような細い道もあり、それが
(ぐるぐるとまがりくねって、どこまでもつづいている)
グルグルと曲がりくねって、どこまでも続いている
(のです。やがてご、ろくじゅうめーとるもあるいたかと)
のです。 やがて五、六十メートルも歩いたかと
(おもうころ、にわかにあたりがひろくなって、どうくつのなかの)
思う頃、にわかにあたりが広くなって、洞窟の中の
(おおきなへやのようなばしょにでました。「さあ、)
大きな部屋のような場所に出ました。「さあ、
(みたまえ。きみのかわいいしょうねんたちが、あのへんに)
見たまえ。きみの可愛い少年たちが、あのへんに
(かたまって、べそをかいているから」にじゅうめんそうは)
固まって、べそをかいているから」二十面相は
(にくにくしくいいながら、かいちゅうでんとうのひかりをさっと)
憎々しく言いながら、懐中電灯の光をサッと
(そのほうにさしむけました。するとひかりのなかに、ひろい)
そのほうに差し向けました。 すると光の中に、広い
(どうくつのむこうがわのいわはだがあらわれ、そのすみにひとかたまりに)
洞窟の向こう側の岩肌が現れ、その隅に一塊に
(なって、ちからなさげにうずくまっているじゅういちにんの)
なって、力なさげにうずくまっている十一人の
(しょうねんたちのすがたが、つぎつぎとてらしだされました。)
少年たちの姿が、次々と照らし出されました。
(しょうねんたちは、きのうからたべものものみものもなく、くうふくと)
少年たちは、昨日から食べ物も飲み物も無く、空腹と
(ひろうによりしにんのようになって、そこにうずくまって)
疲労により死人のようになって、そこにうずくまって
(いるのでした。むろん、はじめのうちは、どうにかして)
いるのでした。無論、始めのうちは、どうにかして
(ここをぬけだそうと、まっくらなめいろのなかをきちがい)
ここを脱け出そうと、真っ暗な迷路の中をキチガイ
(のようにあるきまわってみたのですが、いつまでたっても)
のように歩き回ってみたのですが、いつまで経っても
(おなじようないわあなをぐるぐるまわっているのみで、)
同じような岩穴をグルグル回っているのみで、
(あのいたのはしがかかっていたあなのところへさえでられない)
あの板の橋がかかっていた穴の所へさえ出られない
(のでした。そのうちにからだはわたのようにつかれはて、)
のでした。 そのうちに体はワタのように疲れ果て、
(おなかはぺこぺこにへってしまって、さすがにゆうかんな)
お腹はペコペコに減ってしまって、さすがに勇敢な
(しょうねんたちであっても、もうそれいじょうあるきまわるちからは)
少年たちであっても、もうそれ以上歩き回る力は
(ありません。でもしょうねんたちは、けっしてこれがうんの)
ありません。でも少年たちは、決してこれが運の
(つきだとはおもっていませんでした。「きっと)
つきだとは思っていませんでした。「きっと
(あけちせんせいがたすけにきてくださる。あけちせんせいはなんでも)
明智先生が助けに来てくださる。明智先生は何でも
(おわかりになっているのだから、ぼくたちが、)
お分かりになっているのだから、ぼくたちが、
(こうしてひどいめにあっていることも、せんせいはしって)
こうして酷い目にあっていることも、先生は知って
(いるにちがいない」くちにだしてはいいませんでしたが、)
いるに違いない」口に出しては言いませんでしたが、
(みんなそうかんがえて、いまにもあけちたんていの、あのにこにこ)
みんなそう考えて、今にも明智探偵の、あのニコニコ
(したかおがあらわれるのではないかと、そればかりをねんじて)
した顔が現れるのではないかと、そればかりを念じて
(いたのです。ちょうどそこへ、どうくつのむこうがわに)
いたのです。 ちょうどそこへ、洞窟の向こう側に
(ひとのけはいがして、ぱっとまぶしいかいちゅうでんとうのひかりが)
人の気配がして、パッとまぶしい懐中電灯の光が
(さし、にじゅうめんそうのにくにくしいこえがきこえてきました。)
差し、二十面相の憎々しい声が聞こえてきました。