『妖怪博士』江戸川乱歩54
○少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
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順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
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1 | ヌオー | 6536 | S+ | 7.0 | 93.2% | 667.3 | 4702 | 340 | 100 | 2024/12/17 |
2 | baru | 3638 | D+ | 4.2 | 86.7% | 1110.8 | 4767 | 725 | 100 | 2024/12/04 |
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問題文
(どくしゃしょくん、そのじんぶつがだれだったとおもいますか。)
読者諸君、その人物がだれだったと思いますか。
(いがいもいがい、そのいようなじんぶつこそ、われらのめいたんてい)
意外も意外、その異様な人物こそ、我らの名探偵
(あけちこごろうだったのです。にじゅうめんそうはあっけに)
明智小五郎だったのです。二十面相はあっけに
(とられて、しばらくあいたくちがふさがらず、まるで)
とられて、しばらくあいた口がふさがらず、まるで
(あほのようなかおをしてたちすくんでいました。)
アホのような顔をして立ちすくんでいました。
(まったくふかのうなことがおこったのです。にじゅうめんそうは)
まったく不可能なことが起こったのです。二十面相は
(ついいましがた、あけちたんていをあのひろいくうかんにおきざりに)
つい今しがた、明智探偵をあの広い空間に置き去りに
(してきたばかりではありませんか。あのくうかんから)
してきたばかりではありませんか。あの空間から
(ここへくるには、はしのないあなのうえをとりのようにとび)
ここへ来るには、橋のない穴の上を鳥のように飛び
(こすか、いまのひみつのつうろをとおるいがいないのですが、)
越すか、今の秘密の通路を通る以外ないのですが、
(そのどちらもにんげんわざではできないことです。あなは)
そのどちらも人間業では出来ないことです。穴は
(つばさでもはえていないかぎり、どんなはばとびのせんしゅだって)
翼でも生えていない限り、どんな幅跳びの選手だって
(とびこせないほどひろいですし、いっぽうのひみつのつうろの)
飛び越せないほど広いですし、一方の秘密の通路の
(こんくりーとのとびらのひらきかたは、にじゅうめんそうのほかには)
コンクリートの扉のひらき方は、二十面相の他には
(だれもしらないことです。だいいち、つうろのいりぐちが)
だれも知らないことです。第一、通路の入り口が
(どこにあるかさえ、ほかのひとにはわからないはずです。)
どこにあるかさえ、他の人には分からないはずです。
(ではいったい、あけちたんていはどこをどうして、ここへさきまわり)
では一体、明智探偵はどこをどうして、ここへ先回り
(していたのでしょう。まるで、まほうつかいでは)
していたのでしょう。まるで、魔法使いでは
(ありませんか。にじゅうめんそうはかんがえているうちに、こころのそこ)
ありませんか。二十面相は考えているうちに、心の底
(からこわくなってきました。めのまえでにこにこして、)
から怖くなってきました。目の前でニコニコして、
(つったっているめいたんていのすがたが、なにかゆうれいででもある)
突っ立っている名探偵の姿が、何か幽霊ででもある
(ように、おそろしくおもわれてきました。ごらんなさい。)
ように、恐ろしく思われてきました。 ご覧なさい。
(にじゅうめんそうのかいちゅうでんとうをもつてが、ぶるぶるふるえている)
二十面相の懐中電灯を持つ手が、ブルブル震えている
(ではありませんか。それにつれて、あけちたんていをてらす)
ではありませんか。それにつれて、明智探偵を照らす
(まるいひかりがうごくものですから、たんていのすがたまでゆうれいの)
丸い光が動くものですから、探偵の姿まで幽霊の
(ようにふわふわとゆれてみえるのです。「き、きさま、)
ようにフワフワと揺れて見えるのです。「き、貴様、
(あ、あ、あけちだな」にじゅうめんそうはきょせいをはって、おおきな)
あ、あ、明智だな」二十面相は虚勢を張って、大きな
(こえでどなりつけました。しかし、おびえきっている)
声でどなりつけました。しかし、おびえきっている
(しょうこに、そのこえがひどくふるえているのです。「ははは、)
証拠に、その声が酷く震えているのです。「ハハハ、
(ぼくはあけちだよ。どうかしたのかね。きみは、ひどく)
ぼくは明智だよ。どうかしたのかね。きみは、酷く
(おどろいているようだね。なにをそんなにびっくりして)
驚いているようだね。何をそんなにビックリして
(いるんだね。え、にじゅうめんそうくん」あけちたんていはうでぐみを)
いるんだね。え、二十面相君」明智探偵は腕組みを
(したままいっぽまえにすすんで、あざけるようにかいとうのかおを)
したまま一歩前に進んで、あざけるように怪盗の顔を
(みつめました。「お、おどろいてなんぞいるものか。)
見つめました。「お、驚いてなんぞいるものか。
(だが、き、きさま、ここへどうやってきたんだ」)
だが、き、貴様、ここへどうやって来たんだ」
(「どうやってって、いりぐちからはいってきたのさ。)
「どうやってって、入り口から入って来たのさ。
(それがどうかしたのかね」あけちはゆかいらしく、また)
それがどうかしたのかね」明智は愉快らしく、また
(にこにことわらいました。「え、いりぐちからだと。ば、)
ニコニコと笑いました。「え、入り口からだと。バ、
(ばかな。そんなことがあるもんか。おれは、きさまを)
バカな。そんなことがあるもんか。おれは、貴様を
(いっしょうがいでられないばしょへとじこめておいたはずだ」)
一生涯出られない場所へ閉じこめておいたはずだ」
(「とじこめられているのは、ほかのだれかだろうよ。)
「閉じこめられているのは、他のだれかだろうよ。
(ぼくはいま、ここへはいってきたばかりなんだからね」)
ぼくは今、ここへ入って来たばかりなんだからね」
(「そ、そんなばかなことはない。おれはたしかに)
「そ、そんなバカなことはない。おれは確かに
(きさまを」にじゅうめんそうはとびだすばかりにみひらいためで、)
貴様を」二十面相は飛び出すばかりに見開いた目で、
(あけちたんていのかおをあなのあくほどにらみつけました。)
明智探偵の顔を穴のあくほどにらみつけました。
(しかし、けっしてにせものではありません。しょうしんしょうめいの)
しかし、決して偽者ではありません。正真正銘の
(あけちこごろうにちがいないのです。「ははは、めんくらって)
明智小五郎に違いないのです。「ハハハ、面食らって
(いるね。ゆかいゆかい、まほうつかいといわれるにじゅうめんそうが、)
いるね。愉快愉快、魔法使いと言われる二十面相が、
(きょうはぼくのまほうにかかったのだからね。ははは、)
今日はぼくの魔法にかかったのだからね。ハハハ、
(こんなゆかいなことはないよ。え、ぼくがにせものだという)
こんな愉快なことはないよ。え、ぼくが偽者だという
(のかね。ははは、にせものはぼくではなくて、このおくに)
のかね。ハハハ、偽者はぼくではなくて、この奥に
(とじこめられているおとこだよ」「え、え、なんだって」)
閉じこめられている男だよ」「え、え、なんだって」
(にじゅうめんそうはほんとうにめんくらってしまって、なにがなんだか)
二十面相は本当に面食らってしまって、何が何だか
(わからないようです。「きみがあけちこごろうだと)
分からないようです。「きみが明智小五郎だと
(しんじて、どうくつのおくへとじこめたおとこがにせものなのさ」)
信じて、洞窟の奥へ閉じこめた男が偽者なのさ」
(「そんなことはない。いくらどうくつのなかがくらい)
「そんなことはない。いくら洞窟の中が暗い
(からって、にせものにだまされるようなおれじゃない。)
からって、偽者にだまされるようなおれじゃない。
(だいいちあのおとことは、おれのいえではなしをしたのだし、おれの)
第一あの男とは、おれの家で話をしたのだし、おれの
(いえからどうくつのいりぐちまでかたをならべてあるいて、たいようの)
家から洞窟の入り口まで肩を並べて歩いて、太陽の
(ひかりでよくかおをみておいたのだから、まちがいはない。)
光で良く顔を見ておいたのだから、間違いはない。
(あいつは、たしかにあけちこごろうだった」にじゅうめんそうは)
あいつは、確かに明智小五郎だった」二十面相は
(はんぶんはひとりごとのようにつぶやいて、まだなっとくして)
半分は独り言のようにつぶやいて、まだ納得して
(いないようです。「ははは、さすがのにじゅうめんそうも、)
いないようです。「ハハハ、さすがの二十面相も、
(きょうはすこしあたまがにぶいようだね。わからなければせつめい)
今日は少し頭が鈍いようだね。分からなければ説明
(してあげよう。いいかね。ぼくはしょうねんたんていだんの)
してあげよう。いいかね。ぼくは少年探偵団の
(こどもたちがゆくえふめいになったときいたとき、すぐさま)
子どもたちが行方不明になったと聞いた時、すぐさま
(きみのことをおもいだした。これは、にじゅうめんそうのしわざに)
きみのことを思い出した。これは、二十面相の仕業に
(ちがいないとかんがえた。にじゅうめんそうは、このしょうにゅうどうの)
違いないと考えた。 二十面相は、この鍾乳洞の
(ふきんで、だれにもきづかれないじんぶつにへんそうして、)
付近で、だれにも気づかれない人物に変装して、
(すんでいるのかもしれない。そして、こどもたちを)
住んでいるのかもしれない。そして、子どもたちを
(しょうにゅうどうのなかへおびきよせ、みちにまよわせて、でられなく)
鍾乳洞の中へおびき寄せ、道に迷わせて、出られなく
(してしまったのかもしれないとおもった。そこで、)
してしまったのかもしれないと思った。そこで、
(ぼくはけいさつともうちあわせたうえ、ぼくとよくにた)
ぼくは警察とも打ち合わせた上、ぼくと良く似た
(たいかくのおとこをつれてここへやってきたのだ。そのおとこ)
体格の男を連れてここへやって来たのだ。その男
(には、ぼくとまったくおなじふくそうをさせ、それをかくす)
には、ぼくとまったく同じ服装をさせ、それを隠す
(ためにおおきなまんとをきせて、ぼくのあとからひとに)
ために大きなマントを着せて、ぼくのあとから人に
(きづかれないよう、そっとついてくるようにめいじて)
気づかれないよう、ソッと付いて来るように命じて
(おいた。そして、ここへやってきて、だいいちにぼくの)
おいた。そして、ここへやって来て、第一にぼくの
(めをひいたのは、きみのこやだ。しょうにゅうどうのあんないにんの)
目を引いたのは、きみの小屋だ。鍾乳洞の案内人の
(じいさんのこやだ。ぼくはすぐさま、このこやへ)
じいさんの小屋だ。ぼくはすぐさま、この小屋へ
(はいって、きみにあった。あってはなしをしてみると、)
入って、きみに会った。会って話をしてみると、
(ことばのはしばしになんとなくあやしいところがある。ひじょうにじょうずに)
言葉の端々に何となく怪しい所がある。非常に上手に
(へんそうしているけれど、きみのかおには、どこかしら)
変装しているけれど、きみの顔には、どこかしら
(ふしぜんなところがある。ぼくは「ははあ、これだな」)
不自然なところがある。ぼくは「ハハア、これだな」
(と、さとったのだ。そこで、なにくわぬかおできみにあんないを)
と、悟ったのだ。そこで、何食わぬ顔できみに案内を
(たのんで、しょうにゅうどうのいりぐちからすこしはいったところまでは)
頼んで、鍾乳洞の入り口から少し入った所までは
(たしかに、このぼくがどうこうした。だが、きみはすこしも)
確かに、このぼくが同行した。 だが、きみは少しも
(きづかなかったけれど、そのとき、ぼくたちふたりの)
気づかなかったけれど、その時、ぼくたち二人の
(あとをまっくろなひとかげがそっとびこうしていたのだ。)
あとを真っ黒な人影がソッと尾行していたのだ。
(ほかでもない。ぼくがつれてきた、かえだまのおとこだよ。)
他でもない。ぼくが連れて来た、替え玉の男だよ。
(それがぼくとおなじふくそうをかくすために、あたまからまんとを)
それがぼくと同じ服装を隠すために、頭からマントを
(かぶって、ぼくたちのあとからついてきたのだ。)
かぶって、ぼくたちのあとから付いて来たのだ。
(きみはおぼえているかね。あなにはいってまもなく、ぼくが)
きみは覚えているかね。穴に入って間もなく、ぼくが
(いわにつまずいて、かいちゅうでんとうをおとしたのを。うん、そう)
岩につまずいて、懐中電灯を落したのを。うん、そう
(だよ。あのときほんのしばらくのあいだ、かいちゅうでんとうが)
だよ。あの時ほんのしばらくの間、懐中電灯が
(きえて、あたりがまっくらになってしまったね。むろん、)
消えて、あたりが真っ暗になってしまったね。無論、
(わざとかいちゅうでんとうをおとしたのさ。このぼくがふちゅういで、)
わざと懐中電灯を落したのさ。このぼくが不注意で、
(つまずくものか。きみのめをくらますさくりゃくだった)
つまずくものか。きみの目をくらます策略だった
(のさ。そのくらやみをりようして、すぐあとからついてきて)
のさ。その暗闇を利用して、すぐあとから付いて来て
(いたかえだまのおとこと、すばやくいれかわったのだよ」)
いた替え玉の男と、素早く入れ替わったのだよ」