『妖怪博士』江戸川乱歩50
○少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
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順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
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1 | berry | 7012 | 王 | 7.2 | 96.9% | 561.6 | 4064 | 126 | 88 | 2024/10/12 |
2 | みき | 6265 | S | 6.3 | 98.3% | 641.4 | 4089 | 70 | 88 | 2024/10/05 |
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問題文
(「じゃ、ふかくはいれば、みちにまようかもしれないのだな」)
「じゃ、深く入れば、道に迷うかもしれないのだな」
(「そうです。わしがあんないするっていっても、おくのおく)
「そうです。わしが案内するっていっても、奥の奥
(までいくわけじゃねえし、ましてひとりではいるけんぶつにんは)
まで行く訳じゃねえし、まして一人で入る見物人は
(こわがって、ほんのいりぐちでひきかえしちまうからね。)
怖がって、ほんの入り口で引き返しちまうからね。
(ほんとうのことをいえば、だれもこのあなのおくをみとどけた)
本当のことを言えば、だれもこの穴の奥を見届けた
(ものはいねえです」「そうするとこどもたちは、)
者はいねえです」「そうすると子どもたちは、
(おくふかくにはいりすぎたのかもしれない。ともかく、いちど)
奥深くに入り過ぎたのかもしれない。ともかく、一度
(ぼくじしんでしょうにゅうどうのなかをしらべてみたいのだが、あんない)
ぼく自身で鍾乳洞の中を調べてみたいのだが、案内
(してくれるだろうね。こうして、かいちゅうでんとうもよういして)
してくれるだろうね。こうして、懐中電灯も用意して
(きているんだよ」あけちたんていは、ぽけっとからこがたの)
来ているんだよ」 明智探偵は、ポケットから小型の
(かいちゅうでんとうをとりだしてみせました。「よいです。)
懐中電灯を取り出して見せました。「よいです。
(じゃあ、これからすぐにあなのなかへはいってみます」)
じゃあ、これからすぐに穴の中へ入ってみます」
(じいさんはきがるにそういうと、たっておくのまへいき)
じいさんは気軽にそう言うと、立って奥の間へ行き
(ましたが、なにかごとごとやっていたかとおもうと、すぐ)
ましたが、何かゴトゴトやっていたかと思うと、すぐ
(みせさきへひきかえしてきて、そこのどまにあった、きたない)
店先へ引き返して来て、そこの土間にあった、汚い
(ぞうりをひっかけ、さきにたってあるきだすのでした。)
草履をひっかけ、先に立って歩きだすのでした。
(あけちたんていもすてっきをつきながら、そのあとをおい)
明智探偵もステッキをつきながら、そのあとを追い
(ましたが、ふたりがりょうしのいえをじゅうめーとるもはなれたころ、)
ましたが、二人が猟師の家を十メートルも離れた頃、
(そのいえのかげから、ひとりのみょうなじんぶつがそっとすがたを)
その家の影から、一人のみょうな人物がソッと姿を
(あらわしました。そのじんぶつは、あたたかいのにくろいまんとの)
現しました。その人物は、暖かいのに黒いマントの
(ようなものをあたまからすっぽりかぶって、かおはもちろん)
ような物を頭からスッポリかぶって、顔はもちろん
(からだじゅうをおおいかくし、まるでどろぼうかなんぞのようにあしおとを)
体中を覆い隠し、まるで泥棒かなんぞのように足音を
(しのばせて、ふたりのあとをびこうしはじめたのです。)
しのばせて、二人のあとを尾行し始めたのです。
(このあやしげなじんぶつはいったい、なにものでしょう。)
この怪しげな人物は一体、何者でしょう。
(もしかしたら、にじゅうめんそうのてしたではないか。いや、)
もしかしたら、二十面相の手下ではないか。いや、
(てしたではなく、にじゅうめんそうじしんかもしれません。)
手下ではなく、二十面相自身かもしれません。
(にじゅうめんそうは、そうしてあけちたんていのあとをつけて、)
二十面相は、そうして明智探偵のあとをつけて、
(どうくつのくらやみのなかで、なにかおそろしいたくらみをしようと)
洞窟の暗闇の中で、何か恐ろしいたくらみをしようと
(いうのではないでしょうか。それがはたして)
いうのではないでしょうか。それが果たして
(にじゅうめんそうであったか、それともにじゅうめんそうよりもっと)
二十面相であったか、それとも二十面相よりもっと
(いがいなじんぶつであったかは、まもなくわかるときがくる)
意外な人物であったかは、間もなく分かる時がくる
(でしょう。いずれにせよ、どくしゃしょくんには、)
でしょう。いずれにせよ、読者諸君には、
(このあやしげなじんぶつのことを、よくきおくしておいて)
この怪しげな人物のことを、よく記憶しておいて
(いただきたいのです。りょうしのじいさんもあけちたんていも、)
いただきたいのです。 猟師のじいさんも明智探偵も、
(そんなびこうしゃがいるとはすこしもきづかないようすで、)
そんな尾行者がいるとは少しも気づかない様子で、
(なにかはなしながらしょうにゅうどうのいりぐちにちかづき、そのまま)
何か話しながら鍾乳洞の入り口に近付き、そのまま
(どうくつのなかへはいっていきました。するとくろまんとの)
洞窟の中へ入って行きました。すると黒マントの
(じんぶつも、ふたりのあとからそっとすべりこむように、)
人物も、二人のあとからソッとすべりこむように、
(そのどうくつのなかへすがたをけしたではありませんか。)
その洞窟の中へ姿を消したではありませんか。
(しょうにゅうどうにはいると、あけちたんていはすぐさまかいちゅうでんとうをてんか)
鍾乳洞に入ると、明智探偵はすぐさま懐中電灯を点火
(して、それをふりてらしながら、じいさんのあとに)
して、それを振り照らしながら、じいさんのあとに
(ついてすすみました。じいさんはなれたもので、せまい)
付いて進みました。じいさんは馴れたもので、狭い
(いわあなのなかをすこしもためらわず、ぐんぐんはいっていき)
岩穴の中を少しもためらわず、グングン入って行き
(ます。ところが、にじゅうめーとるほどあるいたときでした。)
ます。ところが、二十メートルほど歩いた時でした。
(じいさんのあとにしたがっていたあけちたんていが、あっと)
じいさんのあとにしたがっていた明智探偵が、アッと
(さけんだかとおもうと、かいちゅうでんとうのひかりがきえて、あたりは)
叫んだかと思うと、懐中電灯の光が消えて、あたりは
(まっくらやみになってしまいました。「おや、どうした)
真っ暗闇になってしまいました。「おや、どうした
(のだ。ころんだのかね。きをつけねえと、あしもとがあぶねえ)
のだ。転んだのかね。気をつけねえと、足元が危ねえ
(から」じいさんが、やみのなかでうしろをふりかえりました。)
から」じいさんが、闇の中で後ろを振り返りました。
(「いや、ちょっとつまずいたんだよ。そのひょうしに)
「いや、ちょっとつまずいたんだよ。その拍子に
(かいちゅうでんとうをおとしてしまって、ああ、あったあった。)
懐中電灯を落としてしまって、ああ、あったあった。
(さあ、もうだいじょうぶだから、かまわないですすんでくれ)
さあ、もう大丈夫だから、構わないで進んでくれ
(たまえ」あけちは、ひろいあげたかいちゅうでんとうをふたたびてんか)
たまえ」明智は、拾い上げた懐中電灯を再び点火
(して、げんきにふりてらしてみせました。そうして)
して、元気に振り照らして見せました。 そうして
(でんとうがきえていたのは、ほんのさんじゅうびょうほどのあいだ)
電灯が消えていたのは、ほんの三十秒ほどの間
(でしたが、それにしてもしょうねんたちでさえ、そんな)
でしたが、それにしても少年たちでさえ、そんな
(いりぐちのちかくではだれもつまずかなかったのに、)
入り口の近くではだれもつまずかなかったのに、
(ひごろちゅういぶかいめいたんていがかいちゅうでんとうをおとすなんて、)
日頃注意深い名探偵が懐中電灯を落とすなんて、
(すこしへんではありませんか。それには、なにかふかいわけが)
少し変ではありませんか。それには、何か深い訳が
(あったのではないでしょうか。しかし、そのあとは)
あったのではないでしょうか。 しかし、そのあとは
(べつだんなにごともなく、ふたりはどうくつのおくへおくへとすすんでいき)
別段何事もなく、二人は洞窟の奥へ奥へと進んで行き
(ました。ちょうどしょうねんたちのとおったみちと、じいさんが)
ました。ちょうど少年たちの通った道と、じいさんが
(いつもあんないするみちはおなじだったらしく、ひろいへやの)
いつも案内する道は同じだったらしく、広い部屋の
(ようなくうかんをすぎて、やがてふかいいどのようなあなの)
ような空間を過ぎて、やがて深い井戸のような穴の
(あるみちへでました。「ここにはしがあるから、)
ある道へ出ました。「ここに橋があるから、
(きをつけて。いいかね、あしをふみはずしたら、ならくの)
気をつけて。いいかね、足を踏み外したら、奈落の
(そこへおっこちる」みれば、いつのまに、だれが)
底へ落っこちる」 見れば、いつのまに、だれが
(もとにもどしたのか、れいのいたのはしがちゃんとかかっている)
元に戻したのか、例の板の橋がちゃんとかかっている
(のです。ふたりはそのうえをしずかにわたりましたが、)
のです。二人はその上を静かに渡りましたが、
(じいさんはなにをおもったのか、わたったばかりのいたの)
じいさんは何を思ったのか、渡ったばかりの板の
(はしをいきなりもちあげて、あっというまにふかいあなの)
橋をいきなり持ち上げて、アッという間に深い穴の
(そこへなげてしまいました。「おい、なにをするんだ。)
底へ投げてしまいました。「おい、何をするんだ。
(はしがなくなったら、ぼくたちはかえることができない)
橋が無くなったら、ぼくたちは帰ることが出来ない
(じゃないか」あけちがおどろいてたずねると、じいさんは)
じゃないか」明智が驚いてたずねると、じいさんは
(かいちゅうでんとうのひかりのなかでにやにやとわらいながら、みょうな)
懐中電灯の光の中でニヤニヤと笑いながら、みょうな
(ことをいいだしました。「じゃあ、おまえさんはかえる)
ことを言いだしました。「じゃあ、お前さんは帰る
(つもりだったのかね」「わかりきったはなしじゃないか。)
つもりだったのかね」「分かりきった話じゃないか。
(きみはいったい、なにをかんがえているんだ」「えへへ、ここは)
きみは一体、何を考えているんだ」「エヘヘ、ここは
(じごくのいっちょうめといってね。いちどわたったら、にどと)
地獄の一丁目と言ってね。一度渡ったら、二度と
(かえれねえところさ」「え、なんだって。おい、じいさん、)
帰れねえ所さ」「え、なんだって。おい、じいさん、
(きみはきでもくるったのじゃないか」「うふふ、)
きみは気でも狂ったのじゃないか」「ウフフ、
(あけちせんせい、きょうはすこしさとりがにぶいようですね。)
明智先生、今日は少し悟りがにぶいようですね。
(まだわかりませんかね」ああ、これはどうしたこと)
まだ分かりませんかね」 ああ、これはどうしたこと
(でしょう。いままでやまおくのりょうしとばかりおもっていた)
でしょう。今まで山奥の猟師とばかり思っていた
(じいさんが、にわかにわかわかしいこえになったでは)
じいさんが、にわかに若々しい声になったでは
(ありませんか。「え、それじゃあ、きみは」さすがの)
ありませんか。「え、それじゃあ、きみは」さすがの
(あけちたんていもぎょっとしたらしく、てにもっている)
明智探偵もギョッとしたらしく、手に持っている
(かいちゅうでんとうのひかりがはげしくゆれうごきました。)
懐中電灯の光が激しく揺れ動きました。