『妖怪博士』江戸川乱歩53

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プレイ回数734難易度(4.2) 4644打 長文 長文モードのみ
少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
※分かりやすくする為、表記等を一部改変しております

○少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
前回→https://typing.twi1.me/game/372414
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第1作品→https://typing.twi1.me/game/314206
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 ヌオー 6245 A++ 6.6 94.1% 686.9 4576 286 100 2024/12/17
2 baru 4011 C 4.5 88.9% 1016.6 4656 578 100 2024/12/04

関連タイピング

問題文

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(ぜんごあわせてごひきのおばけこうもりです。しかも、)

前後合わせて五匹のお化けコウモリです。しかも、

(それらのかいぶつが、みないっちょうずつぴすとるをまえあしのゆびに)

それらの怪物が、みな一丁ずつピストルを前足の指に

(はさんで、あけちたんていやしょうねんたちにねらいをさだめている)

はさんで、明智探偵や少年たちに狙いをさだめている

(のです。こうもりがぴすとるをもつなんて、なんだか)

のです。 コウモリがピストルを持つなんて、何だか

(おかしいはなしですが、それらのきょだいこうもりは、みな)

おかしい話ですが、それらの巨大コウモリは、みな

(にじゅうめんそうのぶかのにんげんがへんそうしているのですから、)

二十面相の部下の人間が変装しているのですから、

(ぴすとるのねらいをさだめたところで、すこしもふしぎ)

ピストルの狙いをさだめたところで、少しも不思議

(ではありません。「わはは」とつぜん、にじゅうめんそうががまん)

ではありません。「ワハハ」突然、二十面相が我慢

(できないようにわらいだしました。すると、そのこえが)

出来ないように笑いだしました。すると、その声が

(どうくつにこだまして、あちこちからぶきみなわらいごえが)

洞窟に木霊して、あちこちから不気味な笑い声が

(きこえてくるのです。いや、こだまだけでは)

聞こえてくるのです。 いや、木霊だけでは

(ありません。ごひきのきょだいこうもりが、こえをそろえて)

ありません。五匹の巨大コウモリが、声をそろえて

(わらっているのです。いやらしいまっかなくちを)

笑っているのです。いやらしい真っ赤な口を

(ひらいて、しろいきばのようなはをむきだして、)

ひらいて、白い牙のような歯をむきだして、

(げらげらとわらっているのです。「おいたんていせんせい、)

ゲラゲラと笑っているのです。「おい探偵先生、

(おどろいたかい。わはは、おれが、たったひとりだとおもって)

驚いたかい。ワハハ、おれが、たった一人だと思って

(いたのかね。きみたちのようなたいてきをあいてに、いざと)

いたのかね。きみたちのような大敵を相手に、いざと

(いうときのよういをしておかなかったとでもおもっている)

いう時の用意をしておかなかったとでも思っている

(のかね。さあ、そのぴすとるとかいちゅうでんとうを、こちらへ)

のかね。さあ、そのピストルと懐中電灯を、こちらへ

(わたしたまえ。え、いやかね。ははは、まさかいやとは)

渡したまえ。え、嫌かね。ハハハ、まさか嫌とは

など

(いえまい。あのこどものいのちとひきかえだからね。)

言えまい。あの子どもの命と引き換えだからね。

(さあ、わたせ。わたさなきゃ、おれのあいずひとつで、)

さあ、渡せ。渡さなきゃ、おれの合図一つで、

(あのこどものひたいにあながあくんだぞ」あのこども)

あの子どものひたいに穴があくんだぞ」 あの子ども

(とはいうまでもなく、いっぴきのきょだいこうもりにおさえ)

とは言うまでもなく、一匹の巨大コウモリに押さえ

(つけられている、はしばそうじくんのことです。いくら)

つけられている、羽柴壮二君のことです。いくら

(くやしくても、はしばくんがうちころされるのをみごろしにする)

悔しくても、羽柴君が撃ち殺されるのを見殺しにする

(わけにはいきません。あけちたんていは、ざんねんそうにむごんの)

訳にはいきません。明智探偵は、残念そうに無言の

(まま、ぴすとるをぞくにわたしました。こばやしくんもそれに)

まま、ピストルを賊に渡しました。小林君もそれに

(ならって、かいちゅうでんとうをぞくのほうへさしだしました。)

ならって、懐中電灯を賊のほうへ差し出しました。

(にじゅうめんそうはぴすとるとかいちゅうでんとうをうけとると、また)

二十面相はピストルと懐中電灯を受け取ると、また

(げらげらとわらいだしました。「わはは、たんていさん、)

ゲラゲラと笑いだしました。「ワハハ、探偵さん、

(にじゅうめんそうのうでまえがわかったかね。じゃあ、きみたちは)

二十面相の腕前が分かったかね。じゃあ、きみたちは

(そこでゆっくりかんがえるがいい。いっかげつでもにかげつ)

そこでゆっくり考えるがいい。一カ月でも二カ月

(でも、いちねんでもにねんでも、うふふ」といったかと)

でも、一年でも二年でも、ウフフ」と言ったかと

(おもうと、ぱっとかいちゅうでんとうをけして、そのままどこかへ)

思うと、パッと懐中電灯を消して、そのままどこかへ

(たちさっていくようすです。あとにはただ、めが)

立ち去っていく様子です。 あとにはただ、目が

(つぶれてでもしまったような、ほんとうのやみがあるのみ)

つぶれてでもしまったような、本当の闇があるのみ

(でした。そのまっくらやみのなか、ばさばさとおおきなとりが)

でした。その真っ暗闇の中、バサバサと大きな鳥が

(はばたくようなものおとがきこえるのは、あのぶきみな)

羽ばたくような物音が聞こえるのは、あの不気味な

(ごひきのきょだいこうもりがどこかへたちさっていくものおとに)

五匹の巨大コウモリがどこかへ立ち去っていく物音に

(ちがいありません。しょうねんたちがもっていたさんこの)

違いありません。 少年たちが持っていた三個の

(かいちゅうでんとうは、とっくにぞくにとりあげられており、さらに)

懐中電灯は、とっくに賊に取り上げられており、更に

(あけちたんていのかいちゅうでんとうもわたしてしまったのですから、)

明智探偵の懐中電灯も渡してしまったのですから、

(たんていとじゅういちにんのしょうねんは、もうおたがいのかおをみるのぞみ)

探偵と十一人の少年は、もうお互いの顔を見る望み

(さえなく、ただてさぐりでやみのなかをはいまわるほかはない)

さえなく、ただ手探りで闇の中を這い回る他はない

(のでした。ひかりがないなか、まよいやすいこのめいろを、めの)

のでした。光が無い中、迷いやすいこの迷路を、目の

(ふじゆうなひとのようにてさぐりで、どうやってとおいいりぐち)

不自由な人のように手探りで、どうやって遠い入り口

(までたどりつくことができるでしょう。いや、たとえ)

までたどり着くことが出来るでしょう。いや、例え

(それができたとしても、とちゅうにはいたのはしがかかって)

それが出来たとしても、途中には板の橋がかかって

(いないおおきなあなが、みんなをひとのみにしようとくちを)

いない大きな穴が、みんなを一飲みにしようと口を

(あけているのです。ああ、にほんいちのめいたんていも)

あけているのです。 ああ、日本一の名探偵も

(めいしょうねんじょしゅのこばやしよしおくんも、それからじゅうにんのゆうかんな)

名少年助手の小林芳雄君も、それから十人の勇敢な

(しょうねんたんていだんいんも、このおそろしいしょうにゅうどうのおくでいきうめ)

少年探偵団員も、この恐ろしい鍾乳洞の奥で生き埋め

(になってしまううんめいなのでしょうか。)

になってしまう運命なのでしょうか。

(くらやみのなかでてをとりあいながら、うえじにしなければ)

暗闇の中で手を取り合いながら、飢え死にしなければ

(ならないのでしょうか。)

ならないのでしょうか。

(「にじゅうめんそうのさいご」)

「二十面相の最後」

(「かったぞ、かったぞ。うらみかさなるあけちのやつを、)

「勝ったぞ、勝ったぞ。恨み重なる明智の奴を、

(とうとういきうめにしてしまった。ああ、おれは)

とうとう生き埋めにしてしまった。ああ、おれは

(うまれてから、こんなにせいせいしたことはない。もう、)

生まれてから、こんなに清々したことはない。もう、

(これからはおれのてんかだぞ。おもうぞんぶん、あばれてやる」)

これからはおれの天下だぞ。思う存分、暴れてやる」

(にじゅうめんそうはかいちゅうでんとうをけして、やみのめいろをいりぐちの)

二十面相は懐中電灯を消して、闇の迷路を入り口の

(ほうへいそぎながら、ゆかいでたまらないというように、)

ほうへ急ぎながら、愉快でたまらないというように、

(こえにだしてつぶやくのでした。ですが、あのいたのはしが)

声に出してつぶやくのでした。 ですが、あの板の橋が

(かかっていないあなを、どうやってこすつもりなの)

かかっていない穴を、どうやって越すつもりなの

(でしょう。そこをとおらなければ、どうくつのそとへ)

でしょう。そこを通らなければ、洞窟の外へ

(でられないではありませんか。ところがにじゅうめんそうは、)

出られないではありませんか。ところが二十面相は、

(あなからじゅうめーとるほどてまえまでくるとひょいと)

穴から十メートルほど手前まで来るとヒョイと

(たちどまってかいちゅうでんとうをつけ、そこのいわはだをてらし)

立ち止まって懐中電灯を点け、そこの岩肌を照らし

(ました。「ふふん、こんなしかけがあろうとは、)

ました。「フフン、こんな仕掛けがあろうとは、

(いくらめいたんていでもきがつきまい。よしよし、ここだ。)

いくら名探偵でも気がつきまい。よしよし、ここだ。

(これが、おれいがいにはだれもしらないめじるしだ」)

これが、おれ以外にはだれも知らない目印だ」

(にじゅうめんそうはかいちゅうでんとうをじめんにおいて、そこに)

二十面相は懐中電灯を地面に置いて、そこに

(うずくまり、いわといわのあいだのせまいすきまにみぎてを)

うずくまり、岩と岩の間の狭い隙間に右手を

(さしいれて、なにかしたかとおもうと、これはどう)

差し入れて、何かしたかと思うと、これはどう

(でしょう。そのそばのおおきないわのかたまりがおともなく、)

でしょう。そのそばの大きな岩の塊が音もなく、

(まるでどあでもあくようにすーっとうごいて、)

まるでドアでもあくようにスーッと動いて、

(そのあとにごじゅっせんちしほうほどのふきそくなあなが、)

そのあとに五十センチ四方ほどの不規則な穴が、

(ぽっかりとくちをあけたではありませんか。ひみつのつうろ)

ポッカリと口をあけたではありませんか。秘密の通路

(なのです。それは、ちょっとみただけでは、いわはだの)

なのです。それは、ちょっと見ただけでは、岩肌の

(ほかのぶぶんとすこしもちがわないのですが、じつはせめんとを)

他の部分と少しも違わないのですが、実はセメントを

(かためていろをつけた、ひみつのとびらだったのです。)

固めて色をつけた、秘密の扉だったのです。

(にじゅうめんそうはそのあなのなかへはいりこんで、せめんとのとびらを)

二十面相はその穴の中へ入り込んで、セメントの扉を

(もとどおりにしめて、せまくてまっくらなあなを、まるでもぐら)

元通りに閉めて、狭くて真っ暗な穴を、まるでモグラ

(のようにじゅうご、ろくめーとるはいすすみました。そして、)

のように十五、六メートル這い進みました。そして、

(そのいきどまりまでくると、またそこのひみつの)

その行き止まりまで来ると、またそこの秘密の

(しかけをはずして、おなじようなこんくりーとのとびらを)

仕掛けを外して、同じようなコンクリートの扉を

(ひらき、あなのそとにはいだして、またそのとびらをもとの)

ひらき、穴の外に這い出して、またその扉を元の

(ようにしめました。これが、いどのようにおおきいあなを)

ように閉めました。これが、井戸のように大きい穴を

(こさないでいりぐちにでられる、ひみつのぬけみちだった)

越さないで入り口に出られる、秘密の抜け道だった

(のです。あなからはいでたといっても、あなのそともどうくつの)

のです。 穴から這い出たといっても、穴の外も洞窟の

(なかのめいろのいちぶです。にじゅうめんそうはきもののつちをはらって、)

中の迷路の一部です。二十面相は着物の土を払って、

(かいちゅうでんとうをてらしながら、いりぐちのほうへつづくほそい)

懐中電灯を照らしながら、入り口のほうへ続く細い

(みちをあるきだしました。ところが、そうしてご、ろっぽも)

道を歩きだしました。 ところが、そうして五、六歩も

(すすんだかとおもうと、なにをみたのか、にじゅうめんそうは)

進んだかと思うと、何を見たのか、二十面相は

(ぎょっとしたようにたちどまり、かいちゅうでんとうをぜんぽうへ)

ギョッとしたように立ち止まり、懐中電灯を前方へ

(むけました。おお、これはなんとしたことでしょう。)

向けました。おお、これはなんとしたことでしょう。

(ゆめではないのでしょうか。そこにはひとりのじんぶつが、)

夢ではないのでしょうか。そこには一人の人物が、

(じっとこちらをにらみつけて、うでぐみをして)

ジッとこちらをにらみつけて、腕組みをして

(つったっていたのです。)

突っ立っていたのです。

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