中島敦 光と風と夢 28

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投稿者投稿者神楽@社長推しいいね0お気に入り登録
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中島敦の中編小説です
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 HAKU 6875 S++ 7.1 96.6% 156.5 1115 39 19 2024/03/20
2 ふるしまさん 6850 S++ 7.4 92.0% 148.9 1116 96 19 2024/03/25
3 ヤス 6257 S 6.5 95.7% 170.2 1115 50 19 2024/03/11
4 BEASTななせ 6069 A++ 6.2 96.5% 181.4 1142 41 19 2024/03/11
5 りく 5208 B+ 5.3 97.9% 210.6 1121 24 19 2024/04/01

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問題文

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(よくあさ、ヴぁいりまは、どじんのちょうもんきゃくたちからおくられたやせいのはな・はな・はなで)

翌朝、ヴァイリマは、土人の弔問客達から贈られた野生の花・花・花で

(うめられた。)

埋められた。

(ろいどは、じはつてきにきんろうをもうしでたにひゃくにんのどじんをしきして、みめいから、)

ロイドは、自発的に勤労を申出た二百人の土人を指揮して、未明から、

(ヴぁえあさんてんへのみちをきりひらいていた。)

ヴァエア山巓[さんてん]への道を斫[き]り拓[ひら]いていた。

(そのさんちょうこそ、すてぃヴんすんが、せいぜん、まいこつのちとしていしておいたところだった。)

其の山頂こそ、スティヴンスンが、生前、埋骨の地と指定して置いた所だった。

(かぜのしんだごごにじ、ひつぎがでた。たくましいさもあせいねんたちのりれーによって、)

風の死んだ午後二時、棺が出た。逞しいサモア青年達のリレーによって、

(そうりんちゅうのあたらしいみちを、さんてんにむかってはこばれるのである。)

叢林[そうりん]中の新しい道を、山巓に向って運ばれるのである。

(しじ、ろくじゅうにんのさもあじんと、じゅうきゅうにんのよーろっぱじんとのまえで、)

四時、六十人のサモア人と、十九人の欧羅巴人との前で、

(すてぃヴんすんのからだはうめられた。)

スティヴンスンの身体は埋められた。

(かいばつせんさんびゃくふぃーと、しとろんやたこのきにとりかこまれたさんちょうのあきちである。)

海抜千三百呎、シトロンやたこの木に取囲まれた山頂の空地である。

(こじんが、せいぜん、かぞくやめしつかいたちのためにつくったきとうのひとつが、そのまま、)

故人が、生前、家族や召使達の為に作った祈祷の一つが、その儘、

(となえられた。むせるほどつよいしとろんのこうのたちこめるあついくうきのなかで、)

唱えられた。噎せる程強いシトロンの香の立ちこめる熱い空気の中で、

(かいしゅうはしずかにこうべをたれた。ぼぜんをうめつくしたまっしろなゆりのかべんのうえに、)

会衆は静かに頭を垂れた。墓前を埋めつくした真白な百合の花弁の上に、

(びろーどのつやをおびただいこくあげはちょうが、はねをやすめて、)

天鵞絨[ビロード]の艶を帯びた大黒揚羽蝶が、翅[はね]を休めて、

(いきづいておった。・・・・・・・・・・・・)

息づいておった。・・・・・・・・・・・・

(ろうしゅうちょうのひとりが、しゃくどういろのしわだらけのかおになみだのすじをみせながら、せいのよろこびに)

老酋長の一人が、赤銅色の皺だらけの顔に涙の筋を見せながら、生の歓びに

(よいしれるなんごくじんの・それゆえにこそ、しにたいしていだくぜつぼうてきな)

酔いしれる南国人の・それ故にこそ、死に対して抱く絶望的な

(あいしょうをもってひくくつぶやいた。)

哀傷を以て低く呟いた。

(「とふぁ(ねむれ)!つしたら。」)

「トファ(眠れ)!ツシタラ。」

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