怖い話《ドーベルマン》
問題文
(あめりかさくらめんとのこうきゅうじゅうたくがいでのできごと)
アメリカ・サクラメントの高級住宅街での出来事
(あるふじんがしごとからかえってくると、)
ある婦人が仕事から帰ってくると、
(あいけんのどーべるまんがゆかでくるしそうにあえいでいた。)
愛犬のドーベルマンが床で苦しそうに喘いでいた。
(いぬのくちのまわりはちだらけで、あたりのゆかもちだまりであかくそまり、)
犬の口の周りは血だらけで、辺りの床も血だまりで赤く染まり、
(2かいへつづくかいだんのほうにまでちがてんてんとおちていた。)
2階へ続く階段の方にまで血が点々と落ちていた。
(ふじんはすぐにあいけんをくるまにのせて、かかりつけのじゅういのもとへむかった。)
婦人はすぐに愛犬を車に乗せて、かかりつけの獣医の元へ向かった。
(なみだながらにしんさつにたちあっているふじんだが、)
涙ながらに診察に立ち会っている婦人だが、
(しんさつしつでのかんたんなけんさではじゅういにもこきゅうこんなんをかいぜんすることはできなかった。)
診察室での簡単な検査では獣医にも呼吸困難を改善することはできなかった。
(「のどになにかいぶつがつまっているようです。)
「喉に何か異物が詰まっているようです。
(いまのままではきどうがかんぜんにふさがれるおそれがあるので、)
今のままでは気道が完全に塞がれる恐れがあるので、
(まずはこきゅうできるようにします」)
まずは呼吸できるようにします」
(ふじんはめをあかくはらせてあいけんをじっとみつめている。)
婦人は目を赤く腫らせて愛犬をジッと見つめている。
(「あさからいえにひとりきりで、どんなにくるしんだことでしょう・・・」)
「朝から家に一人きりで、どんなに苦しんだことでしょう・・・」
(じゅういはあたたかいえがおでおおきくうなずくと、)
獣医は温かい笑顔で大きく頷くと、
(「のどのいぶつをとりのぞくためにきかんをせっかいし、)
「喉の異物を取り除くために器官を切開し、
(のどにちゅーぶをいれるげかてきなしゅじゅつをします。)
喉にチューブを入れる外科的な手術をします。
(むずかしいしゅじゅつではありませんが、すこしじかんがかかりますので、)
難しい手術ではありませんが、少し時間がかかりますので、
(いったんごじたくにもどられて、またあしたこちらへおこしください。)
一旦ご自宅に戻られて、また明日こちらへお越しください。
(だいじょうぶ、あしたにはげんきになっていますよ」)
大丈夫、明日には元気になっていますよ」
(ふじんはじゅういのことばにすこしだけあんしんしてじたくにもどることにした。)
婦人は獣医の言葉に少しだけ安心して自宅に戻ることにした。
(げんかんのまえでかぎをだしていると、いえのなかででんわがなりだした。)
玄関の前で鍵を出していると、家の中で電話が鳴り出した。
(あわててかぎをあけ、でんわにでてみるとさきほどのじゅういからのでんわだった。)
慌てて鍵を開け、電話に出てみると先程の獣医からの電話だった。
(でんわにでるなり、じゅういははやくちでまくしたてた。)
電話に出るなり、獣医は早口でまくし立てた。
(「すぐにいえからでるんだ!はやくとなりのいえにいってけいさつをよびなさい!」)
「すぐに家から出るんだ!早く隣の家に行って警察を呼びなさい!」
(なにがなんだかわからないが、じょうきをいっしたこえにおどろいたふじんは、)
何が何だか分からないが、常軌を逸した声に驚いた婦人は、
(となりのいえにたすけをもとめた。)
隣の家に助けを求めた。
(じゅういはふじんがかえるなりしゅじゅつをして、)
獣医は婦人が帰るなり手術をして、
(どーべるまんのこきゅうこんなんのげんいんをつきとめた。)
ドーベルマンの呼吸困難の原因を突き止めた。
(おもっていたとおり、いぬはのどにいぶつをつまらせていた。)
思っていた通り、犬は喉に異物を詰まらせていた。
(いぬののどからは、にんげんのゆびが4ほんみつかったのだ。)
犬の喉からは、人間の指が4本見つかったのだ。
(あさからひとがいなかったはずなのににんげんのゆび・・・)
朝から人が居なかったはずなのに人間の指・・・
(じゅういはそくざにごうとうということばがあたまにうかんだのだ。)
獣医は即座に強盗という言葉が頭に浮かんだのだ。
(けいさつがふじんのいえにとうちゃくし、こんせきをたどって2かいにいくと、)
警察が婦人の家に到着し、痕跡を辿って2階に行くと、
(そこにはちだらけのてをおさえているどろぼうが、)
そこには血だらけの手を押さえている泥棒が、
(ちのけがなくなったかおでうずくまっていた。)
血の気がなくなった顔でうずくまっていた。