怖い話《ラーナチョコのおまけ》

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タグ怖い話

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問題文

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(これはわたしがしょうがっこうよねんせいのころのはなしです。)

これは私が小学校四年生の頃の話です。

(6じかんめをおえたほうかご。)

6時間目を終えた放課後。

(そのひはなまりいろのくもりぞらだったことをおぼえています。)

その日は鉛色の曇り空だった事を覚えています。

(がっこうのすぐそばにあるだがしやへ、しんゆうのおんなのことふたりでいきました。)

学校のすぐ傍にある駄菓子屋へ、親友の女の子と二人で行きました。

(すーぱーのよこにあるそのだがしやはこぢんまりとしていて、)

スーパーの横にあるその駄菓子屋はこぢんまりとしていて、

(せまいてんないにはところせましとおかしがならんでいます。)

狭い店内には所狭しとお菓子が並んでいます。

(こしのまがったおばちゃんがひとりできりもりしていました。)

腰の曲がったおばちゃんが一人で切り盛りしていました。

(いつものおかしをてにとったあと、あるおかしをはっけんします。)

いつものお菓子を手に取った後、あるお菓子を発見します。

(ちいさなちょこなのですがおまけとして「みずてんしゃしーる」がふうにゅうされていました。)

小さなチョコなのですがおまけとして「水転写シール」が封入されていました。

(みずてんしゃしーるははだにはるすてっかーのようなもので、)

水転写シールは肌に貼るステッカーの様なもので、

(はだにのせてみずをつけると、えがらがはだにうつしするというもの。)

肌に乗せて水をつけると、絵柄が肌に写するというもの。

(そのおかしはいままでみたことがなく、でもえがらがかわいかったので)

そのお菓子は今まで見た事がなく、でも絵柄が可愛かったので

(ふたりでひとつずつこうにゅう。かいけいをおえ、きんじょのこうえんへむかいました。)

二人で一つずつ購入。会計を終え、近所の公園へ向かいました。

(かったおかしをむさぼりながら、ふたりであのみずてんしゃしーるをやろうというはなしに。)

買ったお菓子を貪りながら、二人であの水転写シールをやろうという話に。

(ちょこをひとくちたべおえ、さっそくしーるをてのこうにはりました。)

チョコを一口食べ終え、早速シールを手の甲に貼りました。

(ともだちはひだりかたのあたりにはっていたとおもいます。)

友達は左肩の辺りに貼っていたと思います。

(おもいのほかきれいにつけられて、うれしかったのをおぼえています。)

思いのほか綺麗につけられて、嬉しかったのを覚えています。

(それでしばらくぶらんこやすべりだいであそんでいたのですが、)

それで暫くブランコや滑り台で遊んでいたのですが、

(そこへかおみしりのおばさんがやってきました。)

そこへ顔見知りのおばさんがやってきました。

(「いつもげんきだねぇ。もうすぐあめらしいから、はやめにかえりなよ」)

「いつも元気だねぇ。もうすぐ雨らしいから、早めに帰りなよ」

など

(まとなことをいっていたかとおもいます。)

的な事を言っていたかと思います。

(「はーい!」とげんきにへんじをしながらあそんでいたのですが、)

「はーい!」と元気に返事をしながら遊んでいたのですが、

(おばさんがめのいろをかえてわたしのほうへちかづいてきました。)

おばさんが目の色を変えて私の方へ近づいてきました。

(どうしたのかなとかたまっていると、てのこうのしーるをみるなり、)

どうしたのかなと固まっていると、手の甲のシールを見るなり、

(けっそうをかえていいました。)

血相を変えて言いました。

(「あんたなんてものはってるの!!こんなのはっちゃだめでしょ!!」)

「あんたなんてもの貼ってるの!!こんなの貼っちゃだめでしょ!!」

(いつもやさしいおばさんが、おにのようなかおでいかったのです。)

いつも優しいおばさんが、鬼の様な顔で怒ったのです。

(そしてゆびをちからづよくこすり、しーるをけしてしまいました。)

そして指を力強くこすり、シールを消してしまいました。

(わたしはなにがなんだかわからず、すこしめになみだをうかべながらぼうぜんとしていました。)

私は何が何だか分からず、少し目に涙を浮かべながら呆然としていました。

(もしかしたら、からだにしーるをはるのがいやなひとだったのかな・・・)

もしかしたら、体にシールを貼るのが嫌な人だったのかな・・・

(たとぅーとかきらいなひともいるもんね・・・)

タトゥーとか嫌いな人もいるもんね・・・

(そんなことをおもいながら、さっていくおばさんのせなかをながめていました。)

そんな事を思いながら、去っていくおばさんの背中を眺めていました。

(「なにだったんだろうね・・・」ともだちもおどろいたようすで、わたしをなぐさめてくれました。)

「何だったんだろうね・・・」友達も驚いた様子で、私を慰めてくれました。

(もうあそぶきにもなれず、わたしたちはかえることに。)

もう遊ぶ気にもなれず、私達は帰ることに。

(いえにかえるとははがいて、「どうしたの?くらいかおして」といわれました。)

家に帰ると母がいて、「どうしたの?暗い顔して」と言われました。

(てれびをみても、うわのそらでないようがはいってきません。)

テレビを見ても、上の空で内容が入って来ません。

(ゆうがたのあにめがながれているのを、ただながめているばかり。)

夕方のアニメが流れているのを、ただ眺めているばかり。

(するととつぜん、にゅーすそくほうにきりかわりました。)

すると突然、ニュース速報に切り替わりました。

(「とつぜんですがそくほうです。かこにはんばいちゅうしになっていたらーなちょこですが、)

「突然ですが速報です。過去に販売中止になっていたラーナチョコですが、

(ふたたびでまわっているとのじょうほうがはいりました。」)

再び出回っているとの情報が入りました。」

(らーなちょこ・・・?)

ラーナチョコ・・・?

(「らーなちょこにはみずてんしゃしーるがふうにゅうされており、)

「ラーナチョコには水転写シールが封入されており、

(ひじょうにきけんなしーるであるとして、1992ねんにはんばいがちゅうしされていました」)

非常に危険なシールであるとして、1992年に販売が中止されていました」

(しょうひんがぞうがうつしだされると、それはわたしたちがかったちょこと)

商品画像が映し出されると、それは私達が買ったチョコと

(おなじものであることがわかりました。)

同じものであることが分かりました。

(でも、ひじょうにきけんってどういうことなんだろう・・・)

でも、非常に危険ってどういう事なんだろう・・・

(あたまがこんらんして、じょうきょうがのみこめません。)

頭が混乱して、状況が呑み込めません。

(「このみずてんしゃしーるはしようしないでください。)

「この水転写シールは使用しないでください。

(もししようされたばあいは、ただちにはがすようにしてください。くりかえします・・・」)

もし使用された場合は、直ちに剥すようにして下さい。繰り返します・・・」

(ただちにはがすように・・・もしかしてあのおばさんは、)

直ちに剥すように・・・もしかしてあのおばさんは、

(このことをしっていたからはがしてくれたのだろうか。)

この事を知っていたから剥してくれたのだろうか。

(でも、いったいなにがどうきけんなんだろう。)

でも、一体何がどう危険なんだろう。

(えたいのしれないしーるのきょうふにせすじがこおり、)

得体の知れないシールの恐怖に背筋が凍り、

(だいどころでごはんをつくっていたははにだきつきました。)

台所でご飯を作っていた母に抱きつきました。

(ははにもしーるのことをはなしましたが、よくしらなかったようで、)

母にもシールの事を話しましたが、よく知らなかったようで、

(「はがしたならだいじょうぶじゃない?」とあしらわれました。)

「剥したなら大丈夫じゃない?」とあしらわれました。

(それから15ねんたったいまでも、とくにきけんなことはおきていません。)

それから15年経った今でも、特に危険な事は起きていません。

(もしあのままはっていたらとおもうと、すこしこわいですが・・・。)

もしあのまま貼っていたらと思うと、少し怖いですが・・・。

(ただ、あのひしーるをはったままだったしんゆうは、)

ただ、あの日シールを貼ったままだった親友は、

(そのいっしゅうかんごにじたくのかじでかおとからだのひだりがわにたいかきずをおいました。)

その一週間後に自宅の火事で顔と体の左側に大火傷を負いました。

(おんなのこだとわからないほどかおはやけただれ、かみはぬけおちていました。)

女の子だと分からないほど顔は焼け爛れ、髪は抜け落ちていました。

(いまはちりょうのかいもあり、じょじょにげんきをとりもどしつつあります。)

今は治療の甲斐もあり、徐々に元気を取り戻しつつあります。

(あのひいらい、らーなちょこのはなしはききませんが、)

あの日以来、ラーナチョコの話は聞きませんが、

(いまもどこかででまわっているのかもしれません。)

今もどこかで出回っているのかもしれません。

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