カラマーゾフの兄弟 著者より

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フョードル・ドストエフスキー 米川正夫訳
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問題文

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(よはじぶんのしゅじんこうあれくせいふょーどろヴぃっちからまーぞふの)

余は自分の主人公アレクセイ・フョードロヴィッチ・カラマーゾフの

(でんきにちゃくしゅするにあたっていっしゅのぎわくにおちいっている。)

伝記に着手するに当って一種の疑惑に陥っている。

(ほかでもない、よはあれくせいをじぶんのしゅじんこうとよんでいるけれど、)

ほかでもない、余はアレクセイを自分の主人公と呼んでいるけれど、

(かれがけっしていだいなじんぶつでないことは、じぶんでよくしょうちしている。)

彼が決して偉大な人物でないことは、自分でよく承知している。

(したがって、「あなたがあれくせいをしゅじんこうにえらんだのは、)

従って、『あなたがアレクセイを主人公に選んだのは、

(なにかえらいところがあるからですか?だれになんでしられているのですか?)

何か豪い所があるからですか?誰になんで知られているのですか?

(いったいこのおとこはどんなことをしたのです?)

いったいこの男はどんなことをしたのです?

(どういうわけでわれわれどくしゃはこのおとこのじせきのけんきゅうに、)

どういうわけでわれわれ読者はこの男の事績の研究に、

(ひまをつぶさなければならないのです?」)

暇をつぶさなければならないのです?』

(といったふうのしつもんのさくべからざることをよけんしている。)

といったふうの質問の避くべからざることを予見している。

(なかでもさいごのしつもんはもっともちめいてきなものである。)

中でも最後の質問は最も致命的なものである。

(なんとなれば、これにたいしてはただ)

なんとなれば、これに対してはただ

(「ごじぶんでしょうせつをよんでごらんになったらわかるでしょう」)

『ご自分で小説を読んでご覧になったらわかるでしょう』

(とこたえるほかないからである。)

と答えるほかないからである。

(ところで、もししょうせつをつうどくしたあとも、)

ところで、もし小説を通読した後も、

(わがあれくせいのすぐれたてんをみとめることができない、)

我がアレクセイの優れた点を認めることが出来ない、

(だんじてふどういだといわれたらどうしよう?)

断じて不同意だと言われたらどうしよう?

(かなしいことだが、これがいまからみえすいているので、)

悲しいことだが、これが今から見え透いているので、

(こんなことをいうのである。)

こんなことを言うのである。

(よにとってはたしかにすぐれたじんぶつであるが、)

余にとっては確かに優れた人物であるが、

など

(はたしてこれをどくしゃにしょうめいすることができるかどうか、)

果してこれを読者に証明することが出来るかどうか、

(それがきわめてあやしいのである。)

それが極めて怪しいのである。

(つまりかれはじぎょうかであるけれど、)

つまり彼は事業家であるけれど、

(あいまいではっきりしないじぎょうかなのである。)

曖昧ではっきりしない事業家なのである。

(もっともいまのようなじだいにめいりょうをようきゅうするのは、)

もっとも今のような時代に明瞭を要求するのは、

(かえってきかいなさたかもしれない。)

かえって奇怪な沙汰かもしれない。

(ただひとつほぼかくじつらしくおもわれるのは、)

ただ一つほぼ確実らしく思われるのは、

(かれがきみょうな、むしろへんじんともなづくべきおとこだということである。)

彼が奇妙な、むしろ変人とも名づくべき男だということである。

(しかし、きみょうなことやへんくつなことは、)

しかし、奇妙なことや変屈なことは、

(ちゅうもくのけんりをあたえるより、むしろきずつけるばあいのほうがおおい。)

注目の権利を与えるより、むしろ傷ける場合の方が多い。

(ことにげんだいのごとくすべてのひとが、ぶぶんをとういつして、せかいぜんたいのこんとんのなかに、)

殊に現代の如くすべての人が、部分を統一して、世界全体の混沌の中に、

(ふへんてきいぎをはっけんしようとつとめているじだいにはなおさらである。)

普遍的意義を発見しようと努めている時代にはなおさらである。

(そうではないか?)

そうではないか?

(ところが、もしどくしゃがこのさいごのめいだいにどういしないで、)

ところが、もし読者がこの最後の命題に同意しないで、

(「そうではない」とか、「いつもそうとかぎらない」とこたえるならば、)

『そうではない』とか、『いつもそうと限らない』と答えるならば、

(おそらくよもじぶんのしゅじんこうあれくせいのかちについて、)

おそらく余も自分の主人公アレクセイの価値について、

(おおいにこころじょうぶにかんじることとおもわれる。)

大いに心丈夫に感じることと思われる。

(なんとなれば、へんじんはいつもぶぶんもしくはとくしゅにかぎらないのみか、)

なんとなれば、変人はいつも部分もしくは特殊に限らないのみか、

(かえってへんじんこそぜんたいのかくにんをほうぞうして、)

かえって変人こそ全体の確認を包蔵して、

(そのほかのどうじだいのにんげんはなにかのかぜのふきまわしで、)

その他の同時代の人間は何かの風の吹き廻しで、

(いちじじょうじんからはなれたものにすぎない、)

一時常人から離れたものにすぎない、

(というようなばあいがしばしばだからである・・・・・・)

というような場合がしばしばだからである……

(もっとも、よはこんなおもしろくないばくぜんとしたせつめいをのべたてないで、)

もっとも、余はこんな面白くない漠然とした説明を陳立てないで、

(まえおきぬきでいきなりほんぶんにとりかかってもよかったのである。)

前置ぬきでいきなり本文にとりかかっても良かったのである。

(もしきにいったら、みんなよんでくれるにそういない。)

もし気に入ったら、みんな読んでくれるに相違ない。

(ところがこまったことに、でんきはひとつなのに、しょうせつはふたつにわかれるのである。)

ところが困ったことに、伝記は一つなのに、小説は二つに分れるのである。

(しかも、じゅうようなぶぶんは、だいにのしょうせつにぞくしている--)

しかも、重要な部分は、第二の小説に属している--

(これはわがしゅじんこうのげんだいにおけるかつどうなのである。)

これは我が主人公の現代における活動なのである。

(いまわれわれがけいけんしつつあるじだいにおけるかつどうなのである。)

今われわれが経験しつつある時代における活動なのである。

(だいいちのしょうせつはじゅうさんねんもまえのできごとで、)

第一の小説は十三年も前の出来事で、

(しょうせつというよりも、むしろわがしゅじんこうのしょうがいにおけるいっしゅんかんにすぎない。)

小説というよりも、むしろ我が主人公の生涯における一瞬間に過ぎない。

(けれどこのしょうせつをぬきにするわけにゆかない。)

けれどこの小説を抜きにするわけにゆかない。

(そうすると、だいにのしょうせつちゅうでわからないところがたくさんできるからである。)

そうすると、第二の小説中で分からないところがたくさんできるからである。

(こういうわけで、よのさいしょのこんなんはますますどをつよめられる。)

こういうわけで、余の最初の困難はますます度を強められる。

(もしでんきしゃたるよじしんが、こんなつつましやかな、)

もし伝記者たる余自身が、こんなつつましやかな、

(とりとめのないしゅじんこうのためには、)

取り留めのない主人公のためには、

(いちぶのしょうせつだけでもよけいなくらいだとかんがえるならば、)

一部の小説だけでもよけいなくらいだと考えるならば、

(にぶにしたてたらどんなものになるだろう?)

二部に仕立てたらどんなものになるだろう?

(そして、よのこうしたなまいきなこころみをなんとせつめいしたらいいだろう?)

そして、余のこうした生意気な試みをなんと説明したらいいだろう?

(よはこれらのもんだいをかいけつしようとして、なすところをしらなかったので、)

余はこれらの問題を解決しようとして、なすところを知らなかったので、

(ついにあらゆるかいけつをさけてしまうことにけっしんした。)

ついにあらゆる解決を避けてしまうことに決心した。

(もちろん、けいがんなるどくしゃは「さいしょからこんなことをいいそうだった」)

もちろん、慧眼なる読者は『最初からこんなことを言いそうだった』

(ととっくにみぬいてしまって、なんだってこんなやくにもたたないもんくをならべて、)

ととっくに見抜いてしまって、なんだってこんな役にも立たない文句を並べて、

(きちょうなるじかんをろうひするのだろう?といまいましくおもわれるにそういない。)

貴重なる時間を浪費するのだろう?といまいましく思われるに相違ない。

(しかしこれにたいしてよはせいかくにこうこたえるのであろう。)

しかしこれに対して余は正確にこう答えるのであろう。

(よがやくにもたたないことばをならべて、きちょうなるじかんをろうひしたのは、)

余が役にも立たない言葉を並べて、貴重なる時間を浪費したのは、

(だいいちにれいぎのためであるし、だいにには、)

第一に礼儀のためであるし、第二には、

(「なんといっても、あらかじめどくしゃにあるかんねんをちゅうにゅうすることができる」)

『なんと云っても、あらかじめ読者にある観念を注入することが出来る』

(というずるいかんがえなのである。)

というずるい考えなのである。

(もっとも、よはじぶんのしょうせつが「ほんしつてきとういつをたもちながら」)

もっとも、余は自分の小説が『本質的統一を保ちながら』

(しぜんとふたつのものがたりにわかたれたのを、かえってよろこんでいる。)

自然と二つの物語に分たれたのを、かえって悦んでいる。

(だいいちのしょうせつをどくりょうしたどくしゃは、もうじぶんのかんがえで)

第一の小説を読了した読者は、もう自分の考えで

(だいにのしょうせつにとりかかるかちがあるかないかをけっていされるであろう。)

第二の小説にとりかかる価値があるかないかを決定されるであろう。

(もちろん、だれとてなんらかのそくばくをゆうしているわけでもないから、)

もちろん、誰とてなんらかの束縛を有しているわけでもないから、

(さいしょのものがたりのにぺーじあたりから、)

最初の物語の二頁あたりから、

(もうえいきゅうにあけてみないつもりでほんをとうじてもかまわない。)

もう永久に開けてみないつもりで本を投じてもかまわない。

(しかしなかにはこうへいなるはんだんをあやまらないために、)

しかし中には公平なる判断を誤らないために、

(ぜひおわりまでよんでしまいたいというやさしいどくしゃもある。)

ぜひ終りまで読んでしまいたいという優しい読者もある。

(たとえば、すべてのろしあのひひょうかのごときそれである。)

例えば、すべてのロシアの批評家の如きそれである。

(こういうひとびとにたいしては、なんといってもこころがたいらかになる。)

こういう人々に対しては、なんといっても心が平らかになる。

(とはいえ、これらのひとびとのげんせいかつちゅうじつなるたいどにかかわらず、)

とはいえ、これらの人々の厳正かつ忠実なる態度に拘わらず、

(よはこのしょうせつのだいいちそうわのあたりで、)

余はこの小説の第一挿話の辺で、

(しょもつをなげだすことのできるように、もっともせいとうなるこうじつをていきょうしておく。)

書物を投げ出すことのできるように、最も正当なる口実を提供しておく。

(じょげんはこれでしまいだ。)

序言はこれでしまいだ。

(よはこれがぜんぜんよけいなものだ、ということにどういするけれど、)

余はこれが全然よけいなものだ、ということに同意するけれど、

(もうかいたものであるからそのままにしておく。)

もう書いたものであるからそのままにしておく。

(さてこれからほんぶんにとりかからねばならぬ。)

さてこれから本文にとりかからねばならぬ。

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