携帯電話 -4-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 はく 7706 8.0 96.2% 279.5 2242 88 50 2025/03/24
2 berry 7556 7.7 97.7% 284.8 2202 50 50 2025/03/23
3 nao@koya 4487 C+ 4.6 97.2% 486.2 2245 63 50 2025/04/06

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問題文

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(みみにけいたいをおしあて、めがふせられたままゆっくりとうごく。)

耳に携帯を押し当て、目が伏せられたままゆっくりと動く。

(「・・・・・きのしたに、いるのか?」)

「・・・・・木の下に、いるのか?」

(ふるえるこえでそういったあと、よしださんはけいたいにむかって)

震える声でそう言ったあと、吉田さんは携帯に向かって

(「もしもし、もしもし」とくりかえした。)

「もしもし、もしもし」と繰り返した。

(きれたらしい。)

切れたらしい。

(きゅうにしずかになる。)

急に静かになる。

(ぼうぜんとたちつくすよしださんに、べつのせんぱいがはれものにさわるようにはなしかける。)

呆然と立ち尽くす吉田さんに、別の先輩が腫れ物に触るように話しかける。

(「だれだったんだ?」)

「誰だったんだ?」

(「・・・・・わかんねぇ。なにもしゃべらなかった」)

「・・・・・分かんねぇ。なにも喋らなかった」

(そういったあと、ちのけのひいたようなかおをしてよしださんはりゅっくさっくを)

そう言ったあと、血の気の引いたような顔をして吉田さんはリュックサックを

(かつぐと「かえる」とつぶやいてけんきゅうしつをでていった。そのせなかをみおくったあと、)

担ぐと「帰る」と呟いて研究室を出て行った。その背中を見送ったあと、

(せんぱいのひとりがぼそりと「あいつ、だいじょうぶかな」といった。)

先輩の一人がぼそりと「あいつ、大丈夫かな」と言った。

(おれのはなしをじっときいていたししょうが「それで?」とめでうったえた。)

俺の話をじっと聞いていた師匠が「それで?」と目で訴えた。

(おれもとれーのうえのさらをすべてからにして、じっくりとなまぬるいおちゃをのんでいる。)

俺もトレーの上の皿をすべて空にして、じっくりと生ぬるいお茶を飲んでいる。

(「それで、おわりですよ。あれからよしださんにはあっていません」)

「それで、終わりですよ。あれから吉田さんには会っていません」

(ししょうはに、さんどくびをさゆうにふったあと、へんなえがおをうかべた。)

師匠は二、三度首を左右に振ったあと、変な笑顔を浮かべた。

(「それで、どうおもった?」)

「それで、どう思った?」

(「どうって、・・・・・わかりません」)

「どうって、・・・・・わかりません」

(よしださんにでんわをかけてきたのはほんとうにやすもとというしんだはずの)

吉田さんに電話を掛けてきたのは本当に安本という死んだはずの

(ゆうじんだったのか。じこしをしるまえのでんわと、けんきゅうしつにかかってきたでんわ、)

友人だったのか。事故死を知る前の電話と、研究室に掛かってきた電話、

など

(そのどちらもが、あるいは、そのどちらかが。)

そのどちらもが、あるいは、そのどちらかが。

(どちらにせよかいだんじみていて、よるにきけばもっとふんいきがでたかもしれない。)

どちらにせよ怪談じみていて、夜に聞けばもっと雰囲気が出たかもしれない。

(にじゅういっさいまでにわすれないとしぬというそののろいのことばはけっきょくよしださんからは)

二十一歳までに忘れないと死ぬというその呪いの言葉は結局吉田さんからは

(きかされていない。そのことじたいが、よしださんのいだいているおそれを)

聞かされていない。そのこと自体が、吉田さんの抱いている畏れを

(あらわしているようなきがする。)

表しているような気がする。

(おれはまだそのころ、はたちだったから。)

俺はまだそのころ、二十歳だったから。

(「ぼくなら、ちゅうがくじだいのゆうじんみんなにでんわするね。)

「僕なら、中学時代の友人みんなに電話するね。

(「やすもとからのでんわにはでるな」って」)

「安本からの電話には出るな」って」

(ししょうはわらいながらそういう。)

師匠は笑いながらそう言う。

(そしていってん、まじめなかおになり、こえをひそめる。)

そして一転、真面目な顔になり、声をひそめる。

(「しりたいか。なにがあったのか」)

「知りたいか。なにがあったのか」

(みをのりだして、かえす。)

身を乗り出して、返す。

(「わかるんですか」)

「分かるんですか」

(「けんきゅうしつのは、ね」)

「研究室のは、ね」

(こういうことだ、といってししょうははなしはじめた。)

こういうことだ、と言って師匠は話し始めた。

(「ひんとはといれにいってかえってきたちょくごにでんわがかかってきたってところだよ」)

「ヒントはトイレに行って帰ってきた直後に電話が掛かってきたって所だよ」

(「それがどうしたんです」)

「それがどうしたんです」

(「そのとうじしゃのよしだせんぱいと、かたりてであるきみがそろってけんきゅうしつからはなれている。)

「その当事者の吉田先輩と、語り手である君が揃って研究室から離れている。

(そしてむかったといれはそのかいのものがいぜんからこしょうちゅうでつかえないから、)

そして向かったトイレはその階のものが以前から故障中で使えないから、

(ふたつしたのかいまでいかなくてはならなかった。ということは、)

二つ下の階まで行かなくてはならなかった。ということは、

(けんきゅうしつのりゅっくさっくにのこされたけいたいでんわになにかいたずらするのに)

研究室のリュックサックに残された携帯電話になにかイタズラするのに

(じゅうぶんなじかんがみこまれるってことだ」)

十分な時間が見込まれるってことだ」

(いたずら?)

イタズラ?

(どういうことだろう。)

どういうことだろう。

(「おもうに、そのよしだせんぱいはふだんからよくりゅっくさっくにけいたいでんわを)

「思うに、その吉田先輩は普段からよくリュックサックに携帯電話を

(いれているんだろう。それをしっていたほかのふたりのせんぱいが、)

入れているんだろう。それを知っていた他の二人の先輩が、

(きみたちふたりがけんきゅうしつをでたあと、すぐにそのけいたいをとりだす。)

君たち二人が研究室を出たあと、すぐにその携帯を取り出す。

(やすもとというしんだはずのゆうじんからでんわをかけさせるさいくをするためだ」)

安本という死んだはずの友人から電話を掛けさせる細工をするためだ」

(「どうやって?」)

「どうやって?」

(「こうだ」)

「こうだ」

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