墓 -1-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 7939 8.0 98.4% 276.6 2231 35 59 2025/04/03
2 はく 7719 7.9 97.3% 284.1 2254 61 59 2025/04/03

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問題文

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(あつい。)

暑い。

(がまんができなくなり、うわぎをぬいでこしにむすんだ。)

我慢ができなくなり、上着を脱いで腰に結んだ。

(ひといきついてやまみちをふりかえる。)

一息ついて山道を振り返る。

(りんどうがなんどもおれまがりながらやますそへのびている。)

林道が何度も折れ曲がりながら山裾へ伸びている。

(したのほうにさっきおりたばすていがみえるかとおもったけれど、)

下の方にさっき降りたバス停が見えるかと思ったけれど、

(せのたかいすぎばやしにかくされてしまっていた。)

背の高いスギ林に隠されてしまっていた。

(みぎてににぎりしめたかみがあせでやわらかくしなっているのがわかる。)

右手に握り締めた紙が汗で柔らかくしなっているのがわかる。

(まちをでるときはきょうはひえそうだとおもってそれなりのふくそうをしてきたのに、)

街を出るときは今日は冷えそうだと思ってそれなりの服装をしてきたのに、

(おもいのほかつよいひざしとやまみちのけいしゃが)

思いのほか強い日差しと山道の傾斜が

(ひごろのうんどうぶそくのしんたいをほてらせていった。)

日ごろの運動不足の身体を火照らせていった。

(「よし」)

「よし」

(たったひとりだ。だれにとがめられるわけでもないけれど、はやくさきへすすもうとおもった。)

たった一人だ。誰に咎められるわけでもないけれど、早く先へ進もうと思った。

(あしをふみだす。)

足を踏み出す。

(そのとき、はるかたかいそらからひとすじのすいてきがほおにおちてきた。はっとする。)

そのとき、遥か高い空から一筋の水滴が頬に落ちてきた。ハッとする。

(やまのてんきはかわりやすいというけれど、)

山の天気は変わりやすいというけれど、

(みあげるかなたにはただのひとつのくももない。)

見上げる彼方にはただの一つの雲も無い。

(かぜをきるとりのつばさもみえない。)

風を切る鳥の翼も見えない。

(ゆびでほおをぬぐう。)

指で頬を拭う。

(たいきちゅうのすいぶんが、さまざまなぶつりげんしょうのぐうぜんをとおりぬけてけっしょうし、)

大気中の水分が、様々な物理現象の偶然を通り抜けて結晶し、

(おちてきたのだろう。)

落ちてきたのだろう。

など

(ふいに、そうしてたちどまってそらをみているじぶんを、)

ふいに、そうして立ち止まって空を見ている自分を、

(もうひとりのじぶんがはなれたばしょからみているようなかんかくにおそわれた。)

もう一人の自分が離れた場所から見ているような感覚に襲われた。

(このごろはそういう、じぶんでじぶんをきゃっかんてきにみてしまうのを)

このごろはそういう、自分で自分を客観的に見てしまうのを

(とめられないということがたまにあった。)

止められないということがたまにあった。

(ほんでしらべたことがあったが、りじんしょうというびょうきのしょうじょうにちかいようだった。)

本で調べたことがあったが、離人症という病気の症状に近いようだった。

(そら。)

そら。

(くびをひねるぞ。)

首を捻るぞ。

(ふしぎだな。そうおもう。)

不思議だな。そう思う。

(そうしてまたあるきだすだろう。)

そうしてまた歩き出すだろう。

(ちょっとふしぎでも、しょせんただのあまつぶなのだから。)

ちょっと不思議でも、しょせんただの雨粒なのだから。

(そんなことより、わざわざこんなやまのなかまでばすをのりついできたんだ。)

そんなことより、わざわざこんな山の中までバスを乗り継いできたんだ。

(はやくすすもう。)

早く進もう。

(どうしたんだ。)

どうしたんだ。

(たちどまったまま。)

立ち止まったまま。

(そんなとるにたりないできごとに、なぜこころをうばわれる?)

そんな取るに足りない出来事に、なぜ心を奪われる?

(むいみだよ。)

無意味だよ。

(かんがえたって、きっといみなんてない。)

考えたって、きっと意味なんてない。

(それでもきみはまっている。)

それでも君は待っている。

(だれかがしずかなこえでといかけるのを。)

誰かが静かな声で問いかけるのを。

(「・・・・・って、しってるか」)

「・・・・・って、知ってるか」

(そしてにちじょうのすぐとなりにあるきみょうなせかいをのぞかせてくれるのを。)

そして日常のすぐ隣にある奇妙な世界を覗かせてくれるのを。

(めにうつっているのに、)

目に映っているのに、

(そんなばしょにあるなんておもいもしなかったどあをあけてくれるのを。)

そんな場所にあるなんて思いもしなかったドアを開けてくれるのを。

(けれどしっている。)

けれど知っている。

(いまはそれもむいみだと。)

今はそれも無意味だと。

(さあさきにすすもう。いくらまっていても、)

さあ先に進もう。いくら待っていても、

(そのひとはどあのむこうにきえてしまったのだから。)

その人はドアの向こうに消えてしまったのだから。

(だいがくさんかいせいのふゆだった。)

大学三回生の冬だった。

(おかるとどうのししょうがいなくなってから、ようやくそのことをじぶんのなかで)

オカルト道の師匠がいなくなってから、ようやくそのことを自分の中で

(せいりをすることができるようになりはじめたころ。)

整理をすることができるようになりはじめたころ。

(おれはししょうのことをしる、あるじんぶつからいちまいのちずをてわたされた。)

俺は師匠のことを知る、ある人物から一枚の地図を手渡された。

(しはんのものではない。はんしにてがきされたものだ。)

市販のものではない。半紙に手書きされたものだ。

(「いちどいってみるといい」)

「一度行ってみるといい」

(ほかにきゃくのいないきっさてんは、じぶんのしらないかこのにおいがしていごこちがわるかった。)

他に客のいない喫茶店は、自分の知らない過去の匂いがして居心地が悪かった。

(「なにですかこれ」)

「何ですかこれ」

(めだつやじるしのついたちずにめをおとしながらきいたおれに、)

目立つ矢印のついた地図に目を落としながら訊いた俺に、

(かれはよれたねくたいのさきをいじりながらいった。)

彼はよれたネクタイの先をいじりながら言った。

(「はかだ」)

「墓だ」

(ひがんはすぎちまったけどな。)

彼岸は過ぎちまったけどな。

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