怪人二十面相33

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(それっというので、ひとびとはなだれをうって、ろうかのおくのかいだんへ)

それっというので、人々はなだれをうって、廊下の奥の階段へ

(さっとうしました。どかどかというはげしいくつおと、かいだんをあがると、)

殺到しました。ドカドカというはげしい靴音、階段をあがると、

(そこはやねうらべやで、ちいさなまどがたったひとつ、まるでゆうがたのように)

そこは屋根裏部屋で、小さな窓がたった一つ、まるで夕方のように

(うすぐらいのです。)

うす暗いのです。

(「ここだ。ここだ。はやくかせいしてくれ。」)

「ここだ。ここだ。早く加勢してくれ。」

(そのうすぐらいなかで、ひとりのけいかんが、はくはつはくぜんのろうじんをくみしいて、)

そのうす暗い中で、ひとりの警官が、白髪白髯の老人を組みしいて、

(どなっています。ろうじんはなかなかてごわいらしく、ともすれば)

どなっています。老人はなかなか手ごわいらしく、ともすれば

(はねかえしそうで、くみしいているのがやっとのようです。)

はねかえしそうで、組みしいているのがやっとのようです。

(さきにたったに、さんにんが、たちまちろうじんにくみついていきました。)

先にたったに、三人が、たちまち老人にくみついていきました。

(それをおって、よにん、ごにん、ろくにん、ことごとくのけいかんがおりかさなって、)

それを追って、四人、五人、六人、ことごとくの警官が折りかさなって、

(ぞくのうえにおそいかかりました。)

賊の上におそいかかりました。

(もうこうなっては、いかなきょうぞくもていこうのしようがありません。)

もうこうなっては、いかな凶賊も抵抗のしようがありません。

(みるみるうちにたかてこてにいましめられてしまいました。)

みるみるうちに高手小手にいましめられてしまいました。

(しらがのろうじんが、ぐったりとして、へやのすみにうずくまったとき、)

白髪の老人が、グッタリとして、部屋のすみにうずくまったとき、

(なかむらかかりちょうがこばやししょうねんをつれてあがってきました。くびじっけんのためです。)

中村係長が小林少年をつれてあがってきました。首実検のためです。

(「にじゅうめんそうは、こいつにちがいないだろうね。」)

「二十面相は、こいつにちがいないだろうね。」

(かかりちょうがたずねますと、しょうねんはそくざにうなずいて、)

係長がたずねますと、少年はそくざにうなずいて、

(「そうです。こいつです。にじゅうめんそうがこんなろうじんにへんそうしているのです。」)

「そうです。こいつです。二十面相がこんな老人に変装しているのです。」

(とこたえました。)

と答えました。

(「きみたち、そいつをじどうしゃへのせてくれたまえ。ぬかりのないように。」)

「きみたち、そいつを自動車へ乗せてくれたまえ。ぬかりのないように。」

など

(かかりちょうがめいじますと、けいかんたちはしほうからろうじんをひったてて、かいだんを)

係長が命じますと、警官たちは四ほうから老人をひったてて、階段を

(おりていきました。)

おりていきました。

(「こばやしくん、おおてがらだったねえ。がいこくからあけちさんがかえったら、さぞ)

「小林君、大手がらだったねえ。外国から明智さんが帰ったら、さぞ

(びっくりすることだろう。あいてがにじゅうめんそうというおおものだからねえ。)

びっくりすることだろう。相手が二十面相という大物だからねえ。

(あすになったら、きみのなはにほんじゅうにひびきわたるんだぜ。」)

あすになったら、きみの名は日本中にひびきわたるんだぜ。」

(なかむらかかりちょうはこばやしめいたんていのてをとって、かんしゃにたえぬもののように、)

中村係長は小林名探偵の手をとって、感謝にたえぬもののように、

(にぎりしめてるのでした。)

にぎりしめてるのでした。

(かくして、たたかいは、こばやししょうねんのしょうりにおわりました。ぶつぞうは、)

かくして、たたかいは、小林少年の勝利に終わりました。仏像は、

(さいしょからわたさなくてもすんだのですし、だいやもんどはろっことも、)

最初からわたさなくてもすんだのですし、ダイヤモンドは六個とも、

(ちゃんとかばんのなかにおさまっています。しょうりもしょうり、まったく)

ちゃんとカバンの中におさまっています。勝利も勝利、まったく

(もうしぶんのないしょうりでした。ぞくは、あれほどのくしんにもかかわらず、)

申しぶんのない勝利でした。賊は、あれほどの苦心にもかかわらず、

(なにをもえることができなかったばかりか、せっかくかんきんした)

何をも得ることができなかったばかりか、せっかく監禁した

(こばやししょうねんはすくいだされ、かれじしんは、とうとう、とらわれのみと)

小林少年は救いだされ、彼自身は、とうとう、とらわれの身と

(なってしまったのですから。)

なってしまったのですから。

(「ぼく、なんだかうそみたいなきがします。にじゅうめんそうにかったなんて。」)

「ぼく、なんだかうそみたいな気がします。二十面相に勝ったなんて。」

(こばやしくんは、こうふんにあおざめたかおで、なにかしんじたいことのようにいうのでした。)

小林君は、興奮に青ざめた顔で、何か信じたいことのようにいうのでした。

(しかし、ここにひとつ、ぞくがたいほされたうれしさのあまり、こばやししょうねんが)

しかし、ここに一つ、賊が逮捕されたうれしさのあまり、小林少年が

(すっかりわすれていたことがあります。それはにじゅうめんそうのやとっていた)

すっかり忘れていたことがあります。それは二十面相のやとっていた

(こっくのゆくえです。かれは、いったいどこへくもがくれしてしまったのでしょう。)

コックのゆくえです。彼は、いったいどこへ雲がくれしてしまったのでしょう。

(あれほどのやさがしに、まったくすがたをみせなかったというのは、)

あれほどの家さがしに、まったく姿を見せなかったというのは、

(ふしぎではありませんか。)

ふしぎではありませんか。

(にげるひまがあったとはおもわれません。もしこっくににげるよゆうがあれば、)

逃げるひまがあったとは思われません。もしコックに逃げるよゆうがあれば、

(にじゅうめんそうもにげているはずです。)

二十面相も逃げているはずです。

(では、かれはまだおくないのどこかにみをひそめているのでしょうか。それは)

では、彼はまだ屋内のどこかに身をひそめているのでしょうか。それは

(まったくふかのうなことです。おおぜいのけいかんたいのげんじゅうなそうさくに、)

まったく不可能なことです。大ぜいの警官隊のげんじゅうな捜索に、

(そんなてぬかりがあったとはかんがえられないからです。)

そんな手ぬかりがあったとは考えられないからです。

(どくしゃしょくん、ひとつほんをおいて、かんがえてみてください。このこっくの)

読者諸君、ひとつ本をおいて、考えてみてください。このコックの

(いようなゆくえふめいには、そもそもどんないみがかくされているのかを。)

異様なゆくえ不明には、そもそもどんな意味がかくされているのかを。

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