怪人二十面相39

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(とつぜんすいさんして、ごろうたいをおどろかしてはおきのどくとぞんじ、)

とつぜん推参して、ご老体をおどろかしてはお気のどくと存じ、

(あらかじめごつうちします。)

あらかじめご通知します。

(にじゅうめんそう)

二十面相

(くさかべさもんどの)

日下部左門殿

(ああ、かいとうにじゅうめんそうは、とうとう、このいずのさんちゅうのびじゅつしゅうしゅうきょうに、)

ああ、怪盗二十面相は、とうとう、この伊豆の山中の美術収集狂に、

(めをつけたのでした。かれがけいかんにへんそうして、とやまがはらのかくれがを)

目をつけたのでした。彼が警官に変装して、戸山ヶ原のかくれがを

(とうぼうしてから、ほとんどいっかげつになります。そのあいだ、かいとうがどこで)

逃亡してから、ほとんど一か月になります。そのあいだ、怪盗がどこで

(なにをしていたか、だれもしるものはありません。おそらくあたらしい)

何をしていたか、だれも知るものはありません。おそらく新しい

(かくれがをつくり、てしたのものたちをあつめて、だいに、だいさんのおそろしい)

かくれがをつくり、手下の者たちを集めて、第二、第三のおそろしい

(いんぼうをたくらんでいたのでしょう。そして、まずしらはのやをたてられたのが、)

陰謀をたくらんでいたのでしょう。そして、まず白羽の矢をたてられたのが、

(いがいなやまおくの、くさかべけのびじゅつじょうでした。)

意外な山奥の、日下部家の美術城でした。

(「じゅういちがつじゅうごにちのよるといえば、こんやだ。ああ、わしはどうすればよいのじゃ。)

「十一月十五日の夜といえば、今夜だ。ああ、わしはどうすればよいのじゃ。

(にじゅうめんそうにねらわれたからには、もう、わしのたからものはなくなったもどうぜんだ。)

二十面相にねらわれたからには、もう、わしの宝物はなくなったも同然だ。

(あいつは、けいしちょうのちからでも、どうすることもできなかったおそろしい)

あいつは、警視庁の力でも、どうすることもできなかったおそろしい

(とうぞくじゃないか。こんなかたいなかのけいさつのてにおえるものではない。)

盗賊じゃないか。こんな片いなかの警察の手におえるものではない。

(ああ、わしはもうはめつだ。このたからものをとられてしまうくらいなら、)

ああ、わしはもう破滅だ。この宝物をとられてしまうくらいなら、

(いっそしんだほうがましじゃ。」)

いっそ死んだほうがましじゃ。」

(さもんろうじんは、いきなりたちあがって、じっとしてはいられぬように、)

左門老人は、いきなり立ちあがって、じっとしてはいられぬように、

(へやのなかをぐるぐるあるきはじめました。)

部屋の中をグルグル歩きはじめました。

(「ああ、うんのつきじゃ。もうのがれるすべはない。」)

「ああ、運のつきじゃ。もうのがれるすべはない。」

など

(いつのまにか、ろうじんのあおざめたしわくちゃなかおが、なみだにぬれていました。)

いつのまにか、老人の青ざめたしわくちゃな顔が、涙にぬれていました。

(「おや、あれはなんだったかな・・・・・・ああ、わしはおもいだしたぞ。)

「おや、あれはなんだったかな……ああ、わしは思いだしたぞ。

(どうして、いままで、そこへきがつかなかったのだろう。)

どうして、今まで、そこへ気がつかなかったのだろう。

(・・・・・・かみさまは、まだこのわしをおみすてなさらないのじゃ。あのひとさえ)

……神さまは、まだこのわしをお見すてなさらないのじゃ。あの人さえ

(いてくれたら、わしはたすかるかもしれないぞ。」)

いてくれたら、わしは助かるかもしれないぞ。」

(なにをおもいついたのか、ろうじんのかおには、にわかにせいきが)

何をおもいついたのか、老人の顔には、にわかに生気が

(みなぎってきました。)

みなぎってきました。

(「おい、さくぞう、さくぞうはいないか。」)

「おい、作蔵、作蔵はいないか。」

(ろうじんはへやのそとへでて、ぱんぱんとてをたたきながら、しきりと、)

老人は部屋の外へ出て、パンパンと手をたたきながら、しきりと、

(じいやをよびたてました。)

じいやを呼びたてました。

(ただならぬしゅじんのこえに、じいやがかけつけてきますと、)

ただならぬ主人の声に、じいやがかけつけてきますと、

(「はやく、「いずにっぽう」をもってきてくれ。たしかおとといのしんぶんだったと)

「早く、『伊豆日報』を持ってきてくれ。たしかおとといの新聞だったと

(おもうが、なんでもいいからさん、よっかぶんまとめてもってきてくれ。)

思うが、なんでもいいから三、四日ぶんまとめて持ってきてくれ。

(はやくだ、はやくだぞ。」)

早くだ、早くだぞ。」

(と、おそろしいけんまくでめいじました。さくぞうが、あわてふためいて、)

と、おそろしいけんまくで命じました。作蔵が、あわてふためいて、

(その「いずにっぽう」というちほうしんぶんのたばをもってきますと、ろうじんは)

その『伊豆日報』という地方新聞のたばを持ってきますと、老人は

(てももどかしく、いちまいいちまいとしゃかいめんをみていきましたが、やっぱり)

手ももどかしく、一枚一枚と社会面を見ていきましたが、やっぱり

(おとといのじゅうさんにちのしょうそくらんに、つぎのようなきじがでていました。)

おとといの十三日の消息欄に、つぎのような記事が出ていました。

(あけちこごろうしらいしゅう)

明智小五郎氏来修

(みんかんたんていのだいいちにんしゃあけちこごろうしは、ながらく、がいこくにしゅっちょうちゅうで)

民間探偵の第一人者明智小五郎氏は、ながらく、外国に出張中で

(あったが、これほどしめいをはたしてききょう、たびのつかれをやすめるために、)

あったが、これほど使命をはたして帰京、旅のつかれを休めるために、

(ほんじつしゅぜんじおんせんふじやりょかんにとうしゅく、し、ごにちたいざいのよていである。)

本日修善寺温泉富士屋旅館に投宿、四、五日滞在の予定である。

(「これだ、これだ。にじゅうめんそうにてきたいできるじんぶつは、このあけちたんていの)

「これだ、これだ。二十面相に敵対できる人物は、この明智探偵の

(ほかにはない。はしばけのとうなんじけんでは、じょしゅのこばやしとかいうこどもでさえ、)

ほかにはない。羽柴家の盗難事件では、助手の小林とかいう子どもでさえ、

(あれほどのはたらきをしたんだ。そのせんせいあけちたんていならば、きっと)

あれほどのはたらきをしたんだ。その先生明智探偵ならば、きっと

(わしのはめつをすくってくれるにちがいはないて。どんなことがあっても、)

わしの破滅を救ってくれるにちがいはないて。どんなことがあっても、

(このたんていをひっぱってこなくてはならん。」)

この探偵をひっぱってこなくてはならん。」

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