怪人二十面相40

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(ろうじんは、そんなひとりごとをつぶやきながら、さくぞうじいやのにょうぼうを)

老人は、そんなひとりごとをつぶやきながら、作蔵じいやの女房を

(よんできものをきかえますと、たからものべやのがんじょうないたどをぴったりしめ、)

呼んで着物をきかえますと、宝物部屋のがんじょうな板戸をピッタリしめ、

(そとからかぎをかけ、ふたりのめしつかいに、そのまえでみはりばんをしているように、)

外からかぎをかけ、ふたりの召使いに、その前で見はり番をしているように、

(かたくいいつけて、そそくさとやしきをでかけました。)

かたくいいつけて、ソソクサとやしきを出かけました。

(いうまでもなく、いくさきは、ちかくのしゅぜんじおんせんふじやりょかんです。)

いうまでもなく、行く先は、近くの修善寺温泉富士屋旅館です。

(そこへいって、あけちたんていにめんかいし、たからもののほごをたのもうというわけです。)

そこへ行って、明智探偵に面会し、宝物の保護をたのもうというわけです。

(ああ、まちにまっためいたんていあけちこごろうが、とうとうかえってきたのです。)

ああ、待ちに待った名探偵明智小五郎が、とうとう帰ってきたのです。

(しかも、ときもとき、ところもところ、まるでもうしあわせでもしたように、ちょうど、)

しかも、時も時、所も所、まるで申しあわせでもしたように、ちょうど、

(にじゅうめんそうがおそおうという、くさかべしのびじゅつじょうのすぐちかくに、にゅうとうに)

二十面相がおそおうという、日下部氏の美術城のすぐ近くに、入湯に

(きていようとは、さもんろうじんにとっては、じつに、ねがってもない)

来ていようとは、左門老人にとっては、じつに、願ってもない

(しあわせといわねばなりません。)

しあわせといわねばなりません。

(めいたんていあけちこごろう)

名探偵明智小五郎

(ねずみいろのとんびにみをつつんだ、こがらのさもんろうじんが、ながいさかみちを)

ネズミ色のトンビに身をつつんだ、小がらの左門老人が、長い坂道を

(ちょこちょことはしらんばかりにして、ふじやりょかんについたのは、)

チョコチョコと走らんばかりにして、富士屋旅館についたのは、

(もうごごいちじごろでした。)

もう午後一時ごろでした。

(「あけちこごろうせんせいは?」)

「明智小五郎先生は?」

(とたずねますと、うらのたにがわへうおつりにでかけられましたとのこたえ。)

とたずねますと、裏の谷川へ魚釣りに出かけられましたとの答え。

(そこで、じょちゅうをあんないにたのんで、またてくてくと、たにがわへ)

そこで、女中を案内にたのんで、またテクテクと、谷川へ

(おりていかなければなりませんでした。)

おりていかなければなりませんでした。

(くまざさなどのしげった、あぶないみちをとおって、ふかいたにまにおりると、)

クマザサなどのしげった、あぶない道を通って、深い谷間におりると、

など

(うつくしいみずがせせらぎのおとをたててながれていました。)

美しい水がせせらぎの音をたてて流れていました。

(ながれのところどころに、とびいしのように、おおきないわがあたまをだしています。)

流れのところどころに、飛び石のように、大きな岩が頭を出しています。

(そのいちばんおおきなたいらないわのうえに、どてらすがたのひとりのおとこが、せを)

そのいちばん大きな平らな岩の上に、どてら姿のひとりの男が、背を

(まるくして、たれたつりざおのさきをじっとみつめています。)

まるくして、たれた釣りざおの先をじっと見つめています。

(「あのかたが、あけちせんせいでございます。」)

「あの方が、明智先生でございます。」

(じょちゅうがさきにたって、いわのうえをぴょいぴょいととびながら、そのおとこの)

女中が先にたって、岩の上をピョイピョイととびながら、その男の

(そばへちかづいていきました。)

そばへ近づいていきました。

(「せんせい、あの、このおかたが、せんせいにおめにかかりたいといって、)

「先生、あの、このお方が、先生にお目にかかりたいといって、

(わざわざえんぽうからおいでなさいましたのですが。」)

わざわざ遠方からおいでなさいましたのですが。」

(そのこえに、どてらすがたのおとこは、うるさそうにこちらをふりむいて、)

その声に、どてら姿の男は、うるさそうにこちらをふりむいて、

(「おおきなこえをしちゃいけない。さかながにげてしまうじゃないか。」)

「大きな声をしちゃいけない。さかなが逃げてしまうじゃないか。」

(としかりつけました。)

としかりつけました。

(もじゃもじゃにみだれたとうはつ、するどいめ、どちらかといえばあおじろい)

モジャもじゃにみだれた頭髪、するどい目、どちらかといえば青白い

(ひきしまったかお、たかいはな、ひげはなくて、きっとちからのこもったくちびる、)

引きしまった顔、高い鼻、ひげはなくて、キッと力のこもったくちびる、

(しゃしんでみおぼえのあるあけちめいたんていにちがいありません。)

写真で見おぼえのある明智名探偵にちがいありません。

(「あたしはこういうものですが。」)

「あたしはこういうものですが。」

(さもんろうじんはめいしをさしだしながら、)

左門老人は名刺をさしだしながら、

(「せんせいにおりいっておねがいがあっておたずねしたのですが。」)

「先生におりいっておねがいがあっておたずねしたのですが。」

(と、こごしをかがめました。)

と、小腰をかがめました。

(すると、あけちたんていは、めいしをうけとることはうけとりましたが、)

すると、明智探偵は、名刺を受けとることは受けとりましたが、

(よくみもしないで、さもめんどくさそうに、)

よく見もしないで、さもめんどくさそうに、

(「ああ、そうですか。で、どんなごようですか。」)

「ああ、そうですか。で、どんなご用ですか。」

(といいながら、またつりざおのさきへきをとられています。)

といいながら、また釣りざおの先へ気をとられています。

(ろうじんはじょちゅうにさきへかえるようにいいつけて、そのうしろすがたをみおくってから、)

老人は女中に先へ帰るようにいいつけて、そのうしろ姿を見おくってから、

(「せんせい、じつはきょう、こんなてがみをうけとったのです。」)

「先生、じつはきょう、こんな手紙を受けとったのです。」

(と、ふところかられいの、にじゅうめんそうのよこくじょうをとりだして、つりざおばかり)

と、ふところから例の、二十面相の予告状をとりだして、釣りざおばかり

(みているたんていのかおのまえへ、つきだしました。)

見ている探偵の顔の前へ、つきだしました。

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