怪人二十面相50

背景
投稿者投稿者kikiいいね0お気に入り登録
プレイ回数3難易度(4.5) 2541打 長文 長文モード推奨

関連タイピング

問題文

ふりがな非表示 ふりがな表示

(ああ、にじゅうめんそうはきでもくるったのではありますまいか。それとも、)

ああ、二十面相は気でもくるったのではありますまいか。それとも、

(あいつには、このまるでふかのうとしかかんがえられないことを)

あいつには、このまるで不可能としか考えられないことを

(やってのけるじしんがあるのでしょうか。にんげんのちえではそうぞうもできないような、)

やってのける自信があるのでしょうか。人間の知恵では想像もできないような、

(あくまのはかりごとがあるとでもいうのでしょうか。)

悪魔のはかりごとがあるとでもいうのでしょうか。

(さて、にじゅうめんそうのことはこのくらいにとどめ、わたしたちはあけちめいたんていを)

さて、二十面相のことはこのくらいにとどめ、わたしたちは明智名探偵を

(むかえなければなりません。)

むかえなければなりません。

(「ああ、れっしゃがきたようだ。」)

「ああ、列車が来たようだ。」

(つじのしがちゅういするまでもなく、こばやししょうねんはぷらっとほーむのはしへ)

辻野氏が注意するまでもなく、小林少年はプラットホームのはしへ

(とんでいきました。)

とんでいきました。

(でむかえのひとがきのぜんれつにたってひだりのほうをながめますと、)

出むかえの人がきの前列に立って左のほうをながめますと、

(あけちたんていをのせたきゅうこうれっしゃは、こくいっこく、そのかたちをおおきくしながら)

明智探偵をのせた急行列車は、刻一刻、その形を大きくしながら、

(ちかづいてきます。)

近づいてきます。

(さーっとくうきがしんどうして、くろいどうてつのはこがめのまえをかすめました。)

サーッと空気が震動して、黒い銅鉄の箱が目の前をかすめました。

(ちろちろとすぎていくきゃくしゃのまどのかお、ぶれーきのきしりとともに、)

チロチロとすぎていく客車の窓の顔、ブレーキのきしりとともに、

(やがてれっしゃがていししますと、いっとうしゃのしょうこうぐちに、なつかしいなつかしい)

やがて列車が停止しますと、一等車の昇降口に、なつかしいなつかしい

(あけちせんせいのすがたがみえました。くろいせびろに、くろいがいとう、くろいそふとぼうと)

明智先生の姿が見えました。黒い背広に、黒いがいとう、黒いソフト帽と

(いう、くろずくめのいでたちで、はやくもてまねきをしているのです。)

いう、黒ずくめのいでたちで、早くも手まねきをしているのです。

(「せんせい、おかえりなさい。」)

「先生、お帰りなさい。」

(こばやしくんはうれしさに、もうむがむちゅうになって、せんせいのそばへ)

小林君はうれしさに、もうむがむちゅうになって、先生のそばへ

(かけよりました。)

かけよりました。

など

(あけちたんていはあかぼうにいくつかのとらんくをわたすと、ぷらっとほーむへ)

明智探偵は赤帽にいくつかのトランクをわたすと、プラットホームへ

(おりたち、こばやしくんのほうへよってきました。)

おりたち、小林君のほうへよってきました。

(「こばやしくん、いろいろくろうをしたようだね。しんぶんですっかりしっているよ。)

「小林君、いろいろ苦労をしたようだね。新聞ですっかり知っているよ。

(でも、ぶじでよかった。」)

でも、ぶじでよかった。」

(ああ、みつきぶりできくせんせいのこえです。こばやしくんはじょうきしたかおでめいたんていを)

ああ、三月ぶりで聞く先生の声です。小林君は上気した顔で名探偵を

(じっとみながら、いっそう、そのそばへよりそいました。そして、)

じっと見ながら、いっそう、そのそばへよりそいました。そして、

(どちらからともなくてがのびて、していのかたいあくしゅがかわされたのでした。)

どちらからともなく手がのびて、師弟のかたい握手がかわされたのでした。

(そのとき、がいむしょうのつじのしが、あけちのほうへあゆみよって、かたがきつきの)

そのとき、外務省の辻野氏が、明智のほうへ歩みよって、肩書きつきの

(めいしをさしだしながら、こえをかけました。)

名刺をさしだしながら、声をかけました。

(「あけちさんですか、かけちがっておめにかかっていませんが、わたしは)

「明智さんですか、かけちがってお目にかかっていませんが、わたしは

(こういうものです。じつは、このれっしゃでおかえりのことを、あるすじから)

こういうものです。じつは、この列車でお帰りのことを、ある筋から

(みみにしたものですから、きゅうにないみつでおはなししたいことがあって、)

耳にしたものですから、きゅうに内密でお話ししたいことがあって、

(でむいてきたのです。」)

出むいてきたのです。」

(あけちはめいしをうけとると、なぜかかんがえごとでもするように、しばらく)

明智は名刺を受けとると、なぜか考えごとでもするように、しばらく

(それをながめていましたが、やがて、ふときをかえたように、かいかつに)

それをながめていましたが、やがて、ふと気をかえたように、快活に

(こたえました。)

答えました。

(「ああ、つじのさん、そうですか。おなまえはよくぞんじています。じつは、)

「ああ、辻野さん、そうですか。お名まえはよく存じています。じつは、

(ぼくもいちどきたくして、きがえをしてから、すぐに、がいむしょうのほうへ)

ぼくも一度帰宅して、着がえをしてから、すぐに、外務省のほうへ

(まいるつもりだったのですが、わざわざ、おでむかえをうけてきょうしゅくでした。」)

まいるつもりだったのですが、わざわざ、お出むかえを受けて恐縮でした。」

(「おつかれのところをなんですが、もしおさしつかえなければ、ここの)

「おつかれのところをなんですが、もしおさしつかえなければ、ここの

(てつどうほてるで、おちゃをのみながらおはなしたいのですが、けっしておてまは)

鉄道ホテルで、お茶を飲みながらお話したいのですが、けっしておてまは

(とらせません。」)

とらせません。」

(「てつどうほてるですか。ほう、てつどうほてるでね。」)

「鉄道ホテルですか。ホウ、鉄道ホテルでね。」

(あけちはつじのしのかおをじっとみつめながら、なにかかんしんしたように)

明智は辻野氏の顔をじっと見つめながら、何か感心したように

(つぶやきましたが、)

つぶやきましたが、

(「ええ、ぼくはちっともさしつかえありません。では、おともしましょう。」)

「ええ、ぼくはちっともさしつかえありません。では、おともしましょう。」

(それから、すこしはなれたところにまっていたこばやししょうねんにちかづいて、)

それから、少しはなれたところに待っていた小林少年に近づいて、

(なにかこごえにささやいてから、)

何か小声にささやいてから、

(「こばやしくん、ちょっとこのかたとほてるへよることにしたからね、)

「小林君、ちょっとこの方とホテルへよることにしたからね、

(きみはにもつをたくしーにのせて、ひとあしさきにかえってくれたまえ。」)

きみは荷物をタクシーにのせて、一足先に帰ってくれたまえ。」

問題文を全て表示 一部のみ表示 誤字・脱字等の報告

kikiのタイピング

オススメの新着タイピング

タイピング練習講座 ローマ字入力表 アプリケーションの使い方 よくある質問

人気ランキング

注目キーワード