怪人二十面相51

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(「ええ、では、ぼく、さきへまいります。」)

「ええ、では、ぼく、先へまいります。」

(こばやしくんはあかぼうのあとをおって、かけだしていくのをみおくりますと、)

小林君は赤帽のあとを追って、かけだしていくのを見おくりますと、

(めいたんていとつじのしとは、かたをならべ、さもしたしげにはなしあいながら、)

名探偵と辻野氏とは、肩をならべ、さもしたしげに話しあいながら、

(ちかどうをぬけて、とうきょうえきのにかいにあるてつどうほてるへのぼっていきました。)

地下道をぬけて、東京駅の二階にある鉄道ホテルへのぼっていきました。

(あらかじめめいじてあったものとみえ、ほてるのさいじょうのいっしつに、)

あらかじめ命じてあったものとみえ、ホテルの最上の一室に、

(きゃくをむかえるよういができていて、かっぷくのよいぼーいちょうが、うやうやしく)

客を迎える用意ができていて、かっぷくのよいボーイ長が、うやうやしく

(ひかえています。)

ひかえています。

(ふたりがりっぱなおりものでおおわれたまるてーぶるをはさんで、)

ふたりがりっぱな織り物でおおわれた丸テーブルをはさんで、

(やすものいすにこしをおろしますと、まちかまえていたように、べつのぼーいが)

安物イスに腰をおろしますと、待ちかまえていたように、べつのボーイが

(さかをはこんできました。)

茶菓を運んできました。

(「きみ、すこしみつだんがあるから、せきをはずしてくれたまえ。べるをおすまで、)

「きみ、少し密談があるから、席をはずしてくれたまえ。ベルをおすまで、

(だれもはいってこないように。」)

だれもはいってこないように。」

(つじのしがめいじますと、ぼーいちょうはいちれいしてたちさりました。)

辻野氏が命じますと、ボーイ長は一礼して立ちさりました。

(しめきったへやのなかに、ふたりきりのさしむかいです。)

しめきった部屋の中に、ふたりきりのさし向かいです。

(「あけちさん、ぼくは、どんなにかきみにあいたかったでしょう。)

「明智さん、ぼくは、どんなにかきみに会いたかったでしょう。

(いちにちせんしゅうのおもいでまちかねていたのですよ。」)

一日千秋の思いで待ちかねていたのですよ。」

(つじのしは、いかにもなつかしげに、ほほえみながら、しかしめだけは)

辻野氏は、いかにもなつかしげに、ほほえみながら、しかし目だけは

(するどくあいてをみつめて、こんなふうにはなしはじめました。)

するどく相手を見つめて、こんなふうに話しはじめました。

(あけちは、あんらくいすのくっしょんにふかぶかとみをしずめ、つじのしに)

明智は、安楽イスのクッションにふかぶかと身をしずめ、辻野氏に

(おとらぬ、にこやかなかおでこたえました。)

おとらぬ、にこやかな顔で答えました。

など

(「ぼくこそ、きみにあいたくてしかたがなかったのです。きしゃのなかで、)

「ぼくこそ、きみに会いたくてしかたがなかったのです。汽車の中で、

(ちょうどこんなことをかんがえていたところでしたよ。ひょっとしたら、)

ちょうどこんなことを考えていたところでしたよ。ひょっとしたら、

(きみがえきへむかえにきていてくれるんじゃないかとね。」)

きみが駅へ迎えに来ていてくれるんじゃないかとね。」

(「さすがですねえ。すると、きみは、ぼくのほんとうのなまえもごぞんじ)

「さすがですねえ。すると、きみは、ぼくのほんとうの名まえもごぞんじ

(でしょうねえ。」)

でしょうねえ。」

(つじのしのなにげないことばには、おそろしいちからがこもっていました。)

辻野氏のなにげないことばには、おそろしい力がこもっていました。

(こうふんのために、いすのひじかけにのせたひだりてのさきが、かすかに)

興奮のために、イスのひじ掛けにのせた左手の先が、かすかに

(ふるえていました。)

ふるえていました。

(「すくなくとも、がいむしょうのつじのしでないことは、あの、まことしやかな)

「少なくとも、外務省の辻野氏でないことは、あの、まことしやかな

(めいしをみたときから、わかっていましたよ。ほんみょうといわれると、ぼくも)

名刺を見たときから、わかっていましたよ。本名といわれると、ぼくも

(すこしこまるのですが、しんぶんなんかでは、きみのことをかいじんにじゅうめんそうと)

少しこまるのですが、新聞なんかでは、きみのことを怪人二十面相と

(よんでいるようですね。」)

呼んでいるようですね。」

(あけちはへいぜんとして、このおどろくべきことばをかたりました。ああ、)

明智は平然として、このおどろくべきことばを語りました。ああ、

(どくしゃしょくん、これがいったい、ほんとうのことでしょうか。とうぞくがたんていを)

読者諸君、これがいったい、ほんとうのことでしょうか。盗賊が探偵を

(でむかえるなんて。たんていのほうでも、とっくに、それとしりながら、)

出むかえるなんて。探偵のほうでも、とっくに、それと知りながら、

(ぞくのさそいにのり、ぞくのおちゃをよばれるなんて、そんなばかばかしいことが)

賊のさそいにのり、賊のお茶をよばれるなんて、そんなばかばかしいことが

(おこりうるものでしょうか。)

おこりうるものでしょうか。

(「あけちくん、きみは、ぼくがそうぞうしていたとおりのかたでしたよ。さいしょぼくを)

「明智君、きみは、ぼくが想像していたとおりの方でしたよ。最初ぼくを

(みたときから、きづいていて、きづいていながらぼくのしょうたいにおうじるなんて、)

見たときから、気づいていて、気づいていながらぼくの招待に応じるなんて、

(しゃーろっく=ほーむずにだってできないげいとうです。ぼくはじつに)

シャーロック=ホームズにだってできない芸当です。ぼくはじつに

(ゆかいですよ。なんていきがいのあるじんせいでしょう。ああ、このこうふんの)

ゆかいですよ。なんて生きがいのある人生でしょう。ああ、この興奮の

(ひとときのために、ぼくはいきていてよかったとおもうくらいですよ。」)

一時のために、ぼくは生きていてよかったと思うくらいですよ。」

(つじのしにばけたにじゅうめんそうは、まるであけちたんていをすうはいしているかのように)

辻野氏に化けた二十面相は、まるで明智探偵を崇拝しているかのように

(いうのでした。)

いうのでした。

(しかし、ゆだんはできません。かれはくにじゅうをてきにまわしているだいかいぞくです。)

しかし、油断はできません。彼は国中を敵にまわしている大海賊です。

(ほとんどしにものぐるいのぼうけんをくわだてているのです。そこには、)

ほとんど死にものぐるいの冒険をくわだてているのです。そこには、

(それだけのよういがなくてはなりません。ごらんなさい。)

それだけの用意がなくてはなりません。ごらんなさい。

(つじのしのみぎては、ようふくのぽけっとにいれられたまま、いちどもそこから)

辻野氏の右手は、洋服のポケットに入れられたまま、一度もそこから

(でないではありませんか。いったいぽけっとのなかでなにをにぎっている)

出ないではありませんか。いったいポケットの中で何をにぎっている

(のでしょう。)

のでしょう。

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