怪人二十面相64

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問題文

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(そのいちがまどのすぐちかくなものですから、こじきのところから、あけちの)

その位置が窓のすぐ近くなものですから、乞食のところから、明智の

(いっきょいちどうが、てにとるようにみえるのです。)

一挙一動が、手にとるように見えるのです。

(それからゆうがたまでのすうじかん、こじきはこんきよくじめんにすわりつづけて)

それから夕方までの数時間、乞食はこんきよく地面にすわりつづけて

(いました。)

いました。

(ごごはずっと、ひとりのほうもんきゃくもありませんでしたが、ゆうがたになって、)

午後はずっと、ひとりの訪問客もありませんでしたが、夕方になって、

(ひとりのいようなじんぶつが、あけちていのひくいせきもんのなかへはいっていきました。)

ひとりの異様な人物が、明智邸の低い石門の中へはいっていきました。

(そのおとこは、のびほうだいにのばしたかみのけ、かおじゅうのうすぐろく)

その男は、のびほうだいにのばした髪の毛、顔中のうすぐろく

(うずめているぶしょうひげ、きたないせびろふくを、めりやすのしゃつのうえに)

うずめている無精ひげ、きたない背広服を、メリヤスのシャツの上に

(じかにきて、しまめもわからぬとりうちぼうをかぶっています。)

じかに着て、しまめもわからぬ鳥打ち帽をかぶっています。

(ふろうにんといいますか、みるからにうすきみの)

浮浪人といいますか、見るからにうすきみの

(わるいやつでしたが、そいつがもんをはいってしばらくしますと、)

悪いやつでしたが、そいつが門をはいってしばらくしますと、

(とつぜんおそろしいどなりごえが、もんないからもれてきました。)

とつぜんおそろしいどなり声が、門内からもれてきました。

(「やい、あけち、よもやおれのかおをみわすれやしめえ。おらあおれいをいいに)

「やい、明智、よもやおれの顔を見わすれやしめえ。おらあお礼をいいに

(きたんだ。さあ、そのとをあけてくれ。おらあうちのなかへはいって、)

来たんだ。さあ、その戸をあけてくれ。おらあうちの中へはいって、

(おめえにもおかみさんにも、ゆっくりおれいがもうしてえんだっ。なんだと、)

おめえにもおかみさんにも、ゆっくりお礼が申してえんだッ。なんだと、

(おれにようはねえ?そっちでようがなくっても、こっちにゃ、うんとこさ)

おれに用はねえ?そっちで用がなくっても、こっちにゃ、ウントコサ

(ようがあるんだ。さあ、そこをどけ。おらあ、きさまのうちへはいるんだ。」)

用があるんだ。さあ、そこをどけ。おらあ、きさまのうちへはいるんだ。」

(どうやらあけちじしんが、ようかんのぽーちへでて、おうたいしているらしいのですが、)

どうやら明智自身が、洋館のポーチへ出て、応対しているらしいのですが、

(あけちのこえは、きこえません。ただふろうにんのこえだけが、もんのそとまでひびき)

明智の声は、聞こえません。ただ浮浪人の声だけが、門の外までひびき

(わたっています。)

わたっています。

など

(それをきくと、おうらいにすわっていたこじきが、むくむくとおきあがり、)

それを聞くと、往来にすわっていた乞食が、ムクムクとおきあがり、

(そっとあたりをみまわしてから、せきもんのところへしのびよって、)

ソッとあたりを見まわしてから、石門のところへしのびよって、

(でんちゅうのかげからなかのようすをうかがいはじめました。)

電柱のかげから中のようすをうかがいはじめました。

(みると、しょうめんのぽーちのうえにあけちこごろうがつったち、そのぽーちのいしだん)

見ると、正面のポーチの上に明智小五郎がつっ立ち、そのポーチの石段

(へかたあしかけたふろうにんが、あけちのかおのまえでにぎりこぶしをふりまわしながら、)

へ片足かけた浮浪人が、明智の顔の前でにぎりこぶしをふりまわしながら、

(しきりとわめきたてています。)

しきりとわめきたてています。

(あけちはすこしもとりみださず、しずかにふろうにんをみていましたが、)

明智は少しもとりみださず、しずかに浮浪人を見ていましたが、

(ますますつのるぼうげんに、もうがまんできなくなったのか、)

ますますつのる暴言に、もうがまんできなくなったのか、

(「ばかっ。ようがないといったらないのだ。でていきたまえ。」)

「ばかッ。用がないといったらないのだ。出ていきたまえ。」

(と、どなったかとおもうと、いきなりふろうにんをつきとばしました。)

と、どなったかと思うと、いきなり浮浪人をつきとばしました。

(つきとばされたおとこは、よろよろとよろめきましたが、ぐっと)

つきとばされた男は、ヨロヨロとよろめきましたが、グッと

(ふみこたえて、もうしにものぐるいで、「うぬ!」とうめきざま、)

ふみこたえて、もう死にものぐるいで、「ウヌ!」とうめきざま、

(あけちめがけてくみついていきます。)

明智めがけて組みついていきます。

(しかし、かくとうとなってはいくらふろうにんがらんぼうでも、じゅうどうさんだんの)

しかし、格闘となってはいくら浮浪人がらんぼうでも、柔道三段の

(あけちたんていにかなうはずはありません。たちまち、うでをねじあげられ、)

明智探偵にかなうはずはありません。たちまち、腕をねじあげられ、

(やっとばかりに、ぽーちのしたのしきいしのうえに、なげつけられてしまいました。)

ヤッとばかりに、ポーチの下の敷石の上に、投げつけられてしまいました。

(おとこは、なげつけられたまま、しばらく、いたさにみうごきできないようす)

男は、投げつけられたまま、しばらく、痛さに身動きできないようす

(でしたが、やがて、ようやくおきあがったときには、ぽーちのどあは)

でしたが、やがて、ようやく起きあがったときには、ポーチのドアは

(かたくとざされ、あけちのすがたは、もうそこにはみえませんでした。)

かたくとざされ、明智の姿は、もうそこには見えませんでした。

(ふろうにんはぽーちへあがっていって、どあをがちゃがちゃいわせて)

浮浪人はポーチへあがっていって、ドアをガチャガチャいわせて

(いましたが、なかからしまりがしてあるらしく、おせどもひけども、うごく)

いましたが、中から締まりがしてあるらしく、おせども引けども、動く

(ものではありません。)

ものではありません。

(「ちくしょうめ、おぼえていやがれ。」)

「ちくしょうめ、おぼえていやがれ。」

(おとこは、とうとうあきらめたものか、くちのなかでのろいのことばを)

男は、とうとうあきらめたものか、口の中でのろいのことばを

(ぶつぶつつぶやきながら、もんのそとへでてきました。)

ブツブツつぶやきながら、門の外へ出てきました。

(さいぜんからのようすを、すっかりみとどけたこじきは、ふろうにんを)

さいぜんからのようすを、すっかり見とどけた乞食は、浮浪人を

(やりすごしておいて、そのあとからそっとつけていきましたが、)

やりすごしておいて、そのあとからそっとつけていきましたが、

(あけちていをすこしはなれたところで、いきなり)

明智邸を少しはなれたところで、いきなり

(「おい、おまえさん。」)

「おい、おまえさん。」

(と、おとこによびかけました。)

と、男に呼びかけました。

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