食べる -2-

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以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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問題文

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(「こっち」)

「こっち」

(だいどころにいくのかとおもったが、ろうかのとちゅうにちかへのびるかいだんがあり、)

台所に行くのかと思ったが、廊下の途中に地下へ伸びる階段があり、

(そこであしをとめた。)

そこで足を止めた。

(くつしたがいやにねとねとゆかにはりついてきもちわるい。)

靴下がいやにネトネト床に張り付いて気持ち悪い。

(それでもおじさんがかってにかいだんをおりていったのでついていくしかなかった。)

それでもおじさんが勝手に階段を降りていったのでついていくしかなかった。

(おりていくときにきづいた。)

降りていくときに気づいた。

(ねこのなきごえがきこえる。)

猫の鳴き声が聞こえる。

(いえのそともにゃーにゃーうるさかったが、あきらかにちかからもきこえていて、)

家の外もニャーニャーうるさかったが、あきらかに地下からも聞こえていて、

(それもいっぴきやにひきじゃないうえに、なにかくもんのこえというか、)

それも一匹や二匹じゃないうえに、なにか苦悶の声というか、

(とにかくふつうじゃないなきごえだった。)

とにかく普通じゃない鳴き声だった。

(かいだんをおりるとうすぐらいちかしつにたながたくさんならんでいる。)

階段を降りると薄暗い地下室に棚がたくさん並んでいる。

(ねこのなきごえがきこえる。)

猫の鳴き声が聞こえる。

(いえのそともにゃーにゃーうるさかったが、あきらかにちかからもきこえていて、)

家の外もニャーニャーうるさかったが、あきらかに地下からも聞こえていて、

(それもいっぴきやにひきじゃないうえに、なにかくもんのこえというか、)

それも一匹や二匹じゃないうえに、なにか苦悶の声というか、

(とにかくふつうじゃないなきごえだった。)

とにかく普通じゃない鳴き声だった。

(かいだんをおりるとうすぐらいちかしつにたながたくさんならんでいる。)

階段を降りると薄暗い地下室に棚がたくさん並んでいる。

(それぞれがてんじょうにくっつくくらいせがたかい。)

それぞれが天井にくっつくくらい背が高い。

(そのなかにはわけがわからないものがつめこまれていた。)

その中にはわけがわからないものが詰め込まれていた。

(べびーかー。われたさんめんきょう。ふるびたおけ。つるはし。せっこうのじぞう。よごれたぞうか。)

ベビーカー。割れた三面鏡。古びた桶。ツルハシ。石膏の地蔵。汚れた造花。

(あんごうのようななぐりがきをしてあるだんぼーる。)

暗号のような殴り書きをしてあるダンボール。

など

(それにくろいぬのをかぶせてあるとりかごのようなかたちのものがなにじゅうと。)

それに黒い布を被せてある鳥カゴのような形のものが何十と。

(ねこのいようななきごえはそのくろいぬののむこうからきこえてきていた。)

猫の異様な鳴き声はその黒い布の向こうから聞こえてきていた。

(ついていってはいけないひとなんばーわんはだてではないというじっかんがした。)

ついていってはいけない人ナンバーワンは伊達ではないという実感がした。

(そしてびん。うめしゅをつくるときにつかうようなおおきさのびんがたなのしたのほうの)

そしてビン。梅酒をつくるときに使うような大きさのビンが棚の下の方の

(れつにならんでいて、きいろいてんじょうのあかりにうすっすらとてらされている。)

列に並んでいて、黄色い天井の明かりに薄っすらと照らされている。

(きもちのわるいいろをしたなかみがかすかにみえる。)

気持ちの悪い色をした中身が微かに見える。

(おじさんがわたしのしせんのさきにあったひとつをとって、)

おじさんがわたしの視線の先にあったひとつを取って、

(にやにやしながら「たべる?」ときいてきた。)

ニヤニヤしながら「食べる?」と訊いてきた。

(さいしょちゃいろいおまんじゅうがぎっしりつまってるのだとおもった。)

最初茶色いお饅頭がぎっしり詰まってるのだと思った。

(しかしひとくちさいずにしてもみょうにちいさい。おおきさもかたちもまちまち。)

しかし一口サイズにしても妙に小さい。大きさも形もまちまち。

(おじさんがふたをあけてあかんぼうのようにふっくらしたゆびをつっこみ、)

おじさんが蓋を開けて赤ん坊のようにふっくらした指をつっこみ、

(ひとつをつんでみせた。)

一つを摘んでみせた。

(なにかぬらぬらしていてそのくせしおれかけている、ちゃいろくてまるいもの。)

なにかぬらぬらしていてそのくせ萎れかけている、茶色くて丸いもの。

(おじさんはそれをくちにほうりこんでくちゃくちゃとおとをたてた。)

おじさんはそれを口に放り込んでくちゃくちゃと音を立てた。

(またびんにてをいれ、もうひとつとりだしてわたしのくちもとにちかづけてくる。)

またビンに手を入れ、もう一つ取り出してわたしの口元に近づけてくる。

(ちゃいろいおまんじゅうのひょうめんにへんなもようと、)

茶色いお饅頭の表面に変な模様と、

(うぶけみたいなものがみえたしゅんかんにわかった。)

うぶ毛みたいなものが見えた瞬間に分かった。

(わかってしまった。)

分かってしまった。

(あ、くものおなかだ。)

あ、蜘蛛のお腹だ。

(それもおおきなくもの。)

それも大きな蜘蛛の。

(それがひとかかえもあるびんのはんぶんいじょうにみっしりつまっている。)

それが一抱えもあるビンの半分以上にみっしり詰まっている。

(てをださないわたしににやにやわらって、おじさんがまたじぶんのくちにほうりこむ。)

手を出さないわたしにニヤニヤ笑って、おじさんがまた自分の口に放り込む。

(くちゃくちゃ。くちゃくちゃ・・・・・)

くちゃくちゃ。くちゃくちゃ・・・・・

(「ちょっとまってください」)

「ちょっと待ってください」

(はなしのとちゅうでぼくはてぶりをまじえてくちをはさんだ。)

話の途中で僕は手振りを交えて口を挟んだ。

(くうき。くうきをすいたい。いや、くうきはある。まどのそとのくうきがすいたい。)

空気。空気を吸いたい。いや、空気はある。窓の外の空気が吸いたい。

(かなこさんはそんなぼくをばかにしためでみている。あまかった。)

加奈子さんはそんな僕をバカにした目で見ている。甘かった。

(このひとのとらうまになったほどのできごとが、)

この人のトラウマになったほどの出来事が、

(ふつうのよくあるはなしなわけはなかった。)

普通のよくある話なわけはなかった。

(「つづきがあるんだよ。まだわたしはにげださなかったからな」)

「続きがあるんだよ。まだわたしは逃げ出さなかったからな」

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