未 本編 -8-

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師匠シリーズ
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問題文

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(それからししょうはしょういちじかんりょかんのなかをしらべてまわった。とくにゆうれいがでたという)

それから師匠は小一時間旅館の中を調べて回った。特に幽霊が出たという

(ばしょでは、いつ、だれが、どんなふうにみたのかをことこまかくききとった。)

場所では、いつ、誰が、どんなふうに見たのかをこと細かく聞き取った。

(ぼくはそれにくっついてまわり、しょきがかりとなってきいたないようを)

僕はそれにくっついて回り、書記係となって聞いた内容を

(すべてだいがくのーとにめもしていった。)

すべて大学ノートにメモしていった。

(ししょうはそのあいだ、きいたないようにかんするひょうかをほとんどくださなかった。)

師匠はその間、聞いた内容に関する評価をほとんど下さなかった。

(ただたんたんとじじつをしゅうしゅうしていくだけだ。)

ただ淡々と事実を収集していくだけだ。

(それらのもくてきだんは、りょかんじゅうにおよんでいた。げんかんや、ろうか、きゃくしつやえんかいじょう、)

それらの目的談は、旅館中に及んでいた。玄関や、廊下、客室や宴会場、

(そしてなかにわやおんせん。そのせっそうのなさからは、ばしょにかんするこだわりを)

そして中庭や温泉。その節操のなさからは、場所に関する拘りを

(まったくかんじなかった。)

まったく感じなかった。

(ただ、そのひんどからはこの「とかの」というおんせんりょかんそのものにたいする)

ただ、その頻度からはこの「とかの」という温泉旅館そのものに対する

(いじょうなしゅうねん、あるいはしゅうちゃくのようなものをかんじられた。)

異常な執念、あるいは執着のようなものを感じられた。

(かんぬしすがたのれいは、ひとにきがいをくわえようとするようなそぶりこそ)

神主姿の霊は、人に危害を加えようとするようなそぶりこそ

(みせていないようだが、もくげきしゃはみな、なんらかのおんねんじみたおそろしさを)

見せていないようだが、目撃者は皆、なんらかの怨念じみた恐ろしさを

(かんじておびえている。)

感じて怯えている。

(ろうかのかべからぬけでるようにとつぜんあらわれたかとおもうと、はんたいのかべのなかへ)

廊下の壁から抜け出るように突然現れたかと思うと、反対の壁の中へ

(きえていったり、よなかにしゅくはくきゃくがふとめをさますとふとんのしゅういを)

消えて行ったり、夜中に宿泊客がふと目を覚ますと布団の周囲を

(すうにんのかんぬしすがたのれいがゆっくりとあるいているのがみえたり。あらわれかたもさまざまだった。)

数人の神主姿の霊がゆっくりと歩いているのが見えたり。現れ方も様々だった。

(「すうにん?」)

「数人?」

(しゅくはくきゃくからそんなはなしをきかされたというなかいのひとりに、もういちどかくにんする。)

宿泊客からそんな話を聞かされたという仲居の一人に、もう一度確認する。

(「ええ。に、さんにんか、さん、よんにんか。うろうろあるいていたそうです」)

「ええ。二、三人か、三、四人か。うろうろ歩いていたそうです」

など

(「かおは?もしかしてぜんいんおなじではなかったですか」)

「顔は?もしかして全員同じではなかったですか」

(きかれてよんじゅうねんはいのなかいはくびをかしげる。)

訊かれて四十年配の仲居は首を傾げる。

(「そんなことはおっしゃってませんでしたね。でも、わたしもみたことが)

「そんなことはおっしゃってませんでしたね。でも、私も見たことが

(ありますけど、かおはあまりよくみえないんですよ」)

ありますけど、顔はあまりよく見えないんですよ」

(かおのあたりはみょうにぼやけていて、ただあおじろいかおをしている、)

顔のあたりは妙にぼやけていて、ただ青白い顔をしている、

(ということだけがわかるのだという。)

ということだけが分かるのだという。

(「ありがとうございます」)

「ありがとうございます」

(ししょうはおおよそひつようとおもわれるじょうほうをあつめおわったのか、)

師匠はおおよそ必要と思われる情報を集め終わったのか、

(あるいはこれいじょうきいてもゆうえきなじょうほうはえられないとはんだんしたのか、)

あるいはこれ以上聞いても有益な情報は得られないと判断したのか、

(ちょうさをいったんうちきった。)

調査を一旦打ち切った。

(とけいをみるとごごさんじをまわっていた。)

時計を見ると午後三時を回っていた。

(「ではうらやまにのぼってみます」)

「では裏山に登ってみます」

(ししょうがそうつげると、おかみはむすめをよんだ。)

師匠がそう告げると、女将は娘を呼んだ。

(「かえで、ごあんないしなさい」)

「楓、ご案内しなさい」

(「はあい」)

「はあい」

(せーたーのうえからじゃんぱーをはおったかっこうであらわれたかえでは、)

セーターの上からジャンパーを羽織った格好で現れた楓は、

(げんきにへんじをするとみぎてをたからかにあげてみせた。)

元気に返事をすると右手を高らかに挙げてみせた。

(「あ、ではぼくも」)

「あ、では僕も」

(そのうしろからりょかんのはっぴをぬぎながらおおがらなせいねんがあらわれて、)

その後ろから旅館の半被を脱ぎながら大柄な青年が現れて、

(はにかみながらそういった。さっきげんかんでかれはをはいていたひとだ。)

はにかみながらそう言った。さっき玄関で枯葉を掃いていた人だ。

(このわかものがおかみのはなしにでてきた、わかみやじんじゃのぐうじのじなんらしい。)

この若者が女将の話に出てきた、若宮神社の宮司の次男らしい。

(そのそうじしているすがたを、「おぼっちゃん」とあきれたようにひょうしたひろこさんの)

その掃除している姿を、「お坊ちゃん」と呆れたように評した広子さんの

(たいどがきになって、ききこみのさいちゅうにもういちどひろこさんをつかまえ、)

態度が気になって、聞き込みの最中にもう一度広子さんを捕まえ、

(かれがなにものかきいてみたのだ。)

彼が何者か訊いてみたのだ。

(かれはいしざかかずおといって、けんないのだいがくのさんかいせい。きゃんぱすのちかくに)

彼は石坂和雄といって、県内の大学の三回生。キャンパスの近くに

(げしゅくしているのだが、ふゆやすみになってじっかにきせいしているらしい。)

下宿しているのだが、冬休みになって実家に帰省しているらしい。

(そんなたまのさとがえりなら、じっかであしをのばしてゆっくりすればいいのに、)

そんなたまの里帰りなら、実家で足を伸ばしてゆっくりすればいいのに、

(とおもうが、ひろこさんいわく、このりょかんのひとりむすめのかえでにほのじらしいのだ。)

と思うが、広子さん曰く、この旅館の一人娘の楓にホの字らしいのだ。

(そのために、ひまだからなにかてつだいますよといって、あししげく「とかの」に)

そのために、ヒマだからなにか手伝いますよと言って、足繁く「とかの」に

(かよってきてはそうじににもつはこびにと、あせをかいているらしい。)

通ってきては掃除に荷物運びにと、汗をかいているらしい。

(そしてゆうがたおそくなると、いっしょにばんごはんでもたべていきなさというはなしになり、)

そして夕方遅くなると、一緒に晩御飯でも食べていきなさという話になり、

(いとしのかえでちゃんといられるじかんをがっちりきーぷする、というぐあいだ。)

いとしの楓ちゃんといられる時間をがっちりキープする、という具合だ。

(もっともそれはいまにはじまったことではなく、せまいいなかのこみゅにてぃのなかで)

もっともそれは今に始まったことではなく、狭い田舎のコミュニティの中で

(むかしからおさななじみとしてなかよくしてきたらしい。)

昔から幼馴染として仲良くしてきたらしい。

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