未 本編 -9-

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師匠シリーズ
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問題文

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(かずおのちちおやであるげんぐうじのしょういちさんはおかみのちよこさんとおさななじみであるし、)

和雄の父親である現宮司の章一さんは女将の千代子さんと幼馴染であるし、

(しょういちさんのおくさんのしょうこさんはちよこさんとおなじはなみちのせんせいについていたえんで)

章一さんの奥さんの昌子さんは千代子さんと同じ花道の先生についていた縁で

(なかがよいらしい。いわばかぞくぐるみのつきあいだ。)

仲が良いらしい。いわば家族ぐるみの付き合いだ。

(そしてふたつとししたのかえでがことしのはるにこうこうをそつぎょうし、じもとのたんだいにかよいはじめてから)

そして二つ年下の楓が今年の春に高校を卒業し、地元の短大に通い始めてから

(かずおのあぷろーちがせっきょくてきになってきた。)

和雄のアプローチが積極的になってきた。

(しょうをいんとほっすれば、まずうまからいよ。とばかりにりょかんにいりこんで)

将を射んと欲すれば、まず馬から射よ。とばかりに旅館に入り込んで

(てきぱきとしごとをしてみせるかずおを、おかみはうまくあやつっているようだ。)

テキパキと仕事をしてみせる和雄を、女将は上手く操っているようだ。

(おかみはじゅうねんほどまえにおっととしにわかれ、それいらいおんなでひとつでかえでさんをそだて、)

女将は十年ほど前に夫と死に別れ、それ以来女手一つで楓さんを育て、

(おやからうけついだりょかんをきりもりしてきたのだそうだ。)

親から受け継いだ旅館を切り盛りしてきたのだそうだ。

(いずれかえでにむこをとって、あとをついでもらわないといけない。)

いずれ楓に婿を取って、跡を継いでもらわないといけない。

(そこにわかみやじんじゃのじなんぼうであり、おさななじみのかずおといううってつけの)

そこに若宮神社の次男坊であり、幼馴染の和雄といううってつけの

(じんぶつがいるのだ。これをのがすてはない。)

人物がいるのだ。これを逃す手はない。

(かえでじしんはまだたんだいにはいったばかりで、あそびたいざかり。どうやらかずおのことは)

楓自身はまだ短大に入ったばかりで、遊びたいざかり。どうやら和雄のことは

(にくからずおもっているらしいのだが、まだはっきりとはたいどでしめさず、)

憎からず思っているらしいのだが、まだはっきりとは態度で示さず、

(ばいとにさーくるにといそがしいひびをおくっている。)

バイトにサークルにと忙しい日々を送っている。

(そんなふたりのあいだをこうみょうにとりもって、けっしてしたてにでることなく、)

そんな二人の間を巧妙に取り持って、けっして下手に出ることなく、

(かずおのほうからせっきょくてきにこのりょかんへかよわせてあれこれてつだわせているのが、)

和雄の方から積極的にこの旅館へ通わせてあれこれ手伝わせているのが、

(おかみのちよこさんというわけだ。)

女将の千代子さんというわけだ。

(きくと、かずおはふだんのどにちにもよくかおをだしているいらしい。まめなことだ。)

聞くと、和雄は普段の土日にも良く顔を出しているいらしい。まめなことだ。

(「じゃあ、いってきます」)

「じゃあ、行ってきます」

など

(かえでがげんかんさきでふりかえりながらこえをはりあげる。)

楓が玄関先で振り返りながら声を張りあげる。

(「かずおさん、おねがいね」)

「和雄さん、お願いね」

(「はい」)

「はい」

(おかみはかずおのほうへだけこえをかけた。)

女将は和雄の方へだけ声をかけた。

(そしてししょうとぼくにえしゃくしてりょかんのなかへもどっていった。)

そして師匠と僕に会釈して旅館の中へ戻って行った。

(「こっちでーす」)

「こっちでーす」

(かえでがせんどうして、しきちのそとへでる。)

楓が先導して、敷地の外へ出る。

(すぐうらのやまなので、りょかんのたてものをまわりこんでいくのかとおもっていた。)

すぐ裏の山なので、旅館の建物を回り込んで行くのかと思っていた。

(「このさきをまわったとこからにゅうざんぐちがあるんですよ」)

「この先を回ったとこから入山口があるんですよ」

(はやあしでひとりさきへさきへすすむかえでにくしょうしながら、かずおがせつめいする。)

早足で一人先へ先へ進む楓に苦笑しながら、和雄が説明する。

(りょかんのそばをながれるかわぞいにすこしあるくとやまがわにいしだんのようなものが)

旅館のそばを流れる川沿いに少し歩くと山側に石段のようなものが

(みえてきた。「ここからのぼりまーす」)

見えてきた。「ここから登りまーす」

(かえではこけむしたいしだんをにだんとばしでのぼっていき、そのたびにぽにーてーるのさきが)

楓は苔むした石段を二段飛ばしで登っていき、そのたびにポニーテールの先が

(ぴょこぴょこをゆれた。げんきだし、うごきがみょうにかわいらしい。)

ピョコピョコを揺れた。元気だし、動きが妙に可愛らしい。

(かずおでなくとも、こういうこがおさななじみならわるいきはしないなあ、)

和雄でなくとも、こういう子が幼馴染なら悪い気はしないなあ、

(などとかんがえているとうしろのししょうから「はやくのぼれ」としりをけられた。)

などと考えていると後ろの師匠から「早く登れ」と尻を蹴られた。

(いしだんはすぐにとぎれ、かれはでおおわれたさんどうがあらわれた。ひょうこうのひくいやまだが、)

石段はすぐに途切れ、枯葉で覆われた山道が現れた。標高の低い山だが、

(みちはかなりけわしい。さむさになれたからだはすぐにあつくなり、いきがあらくなった。)

道はかなり険しい。寒さに慣れた身体はすぐに熱くなり、息が荒くなった。

(それでもやまあるきはことし、ししょうにかなりきたえられたので、)

それでも山歩きは今年、師匠にかなり鍛えられたので、

(ぺーすをみだすほどではなかった。)

ペースを乱すほどではなかった。

(かえでとかずおもなれたあしどりでへいぜんとのぼっていく。)

楓と和雄も慣れた足取りで平然と登っていく。

(「へえ~。こうしんじょではたらいているんですか」)

「へえ〜。興信所で働いているんですか」

(「ああ。そのなかでもわたしはおばけせんもん」)

「ああ。その中でもわたしはオバケ専門」

(「なんですか、おばけせんもんって」)

「なんですか、オバケ専門って」

(かずおはふきだしながらししょうとかいわをつづける。なんだかじょさいないやつだ。)

和雄は吹き出しながら師匠と会話を続ける。なんだか如才ないやつだ。

(たいかくもよく、すこしぼりのふかいかおだがなかなかのいろおとこだし、)

体格も良く、少し彫りの深い顔だがなかなかの色男だし、

(なんといってもえがおがさわやかだった。)

なんと言っても笑顔が爽やかだった。

(じつにきにくわない。)

実に気に食わない。

(「ぼくらもみたんですよ、れいのゆうれい」)

「僕らも見たんですよ、例の幽霊」

(な?とせんとうのかえでにはなしをふる。)

な?と先頭の楓に話を振る。

(「うん。みたよ。こわかった」)

「うん。見たよ。怖かった」

(「どんなふうに?」)

「どんな風に?」

(ししょうはこのばにいるのがぜんいんとししたのせいか、さっきまでのえいぎょうとーくから)

師匠はこの場にいるのが全員年下のせいか、さっきまでの営業トークから

(いってんしてくだけたくちょうではなしかける。)

一転してくだけた口調で話しかける。

(かえではへいじつになかいがひとりやすんだので、ばんのきゅうじをてつだわされていたとき、)

楓は平日に仲居が一人休んだので、晩の給仕を手伝わされていた時、

(ぜんをさげるためろうかをとおっているとまどがらすごしに、)

膳を下げるため廊下を通っていると窓ガラス越しに、

(やけにしろっぽいかっこうのふわふわしたひとかげがめにはいったのだそうだ。)

やけに白っぽい格好のふわふわした人影が目に入ったのだそうだ。

(「でる、ってきいてたけどほんとにみたらこしがぬけそうになりますねえ」)

「出る、って聞いてたけどホントに見たら腰が抜けそうになりますねえ」

(ひとかげはすぐにきえてしまったらしい。さんかげつくらいまえのことだった。)

人影はすぐに消えてしまったらしい。三ヶ月くらい前のことだった。

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