未 本編 -27-

背景
投稿者投稿者蛍☆いいね1お気に入り登録
プレイ回数44順位1849位  難易度(4.5) 2948打 長文 長文モードのみ
師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
cicciさんのアカウント
https://typing.twi1.me/profile/userId/130158
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 7923 7.9 99.1% 362.7 2900 26 57 2025/11/13
2 Jyo 5490 B++ 5.6 97.0% 512.0 2900 89 57 2025/11/13

関連タイピング

問題文

ふりがな非表示 ふりがな表示

(「いいえ。あったあとはありますが、かけてしまっているようです。)

「いいえ。あった跡はありますが、欠けてしまっているようです。

(たかはしながおきがもちこんださいしょのかねだとつたえられておりますのでこうして)

高橋永熾が持ち込んだ最初の鐘だと伝えられておりますのでこうして

(いまでもほぞんしていますが、もしかするとなんだいめかのものなのかもしれません」)

今でも保存していますが、もしかすると何代目かのものなのかも知れません」

(ふうむ、とつぶやきながらししょうはかねのかぶをゆびでなぞった。)

ふうむ、と呟きながら師匠は鐘の下部を指でなぞった。

(そしてゆびについたさびをしげしげとながめる。)

そして指についた錆をしげしげと眺める。

(よくみるとししょうがなぞっていたあたりはとくにさびがおおい。)

よく見ると師匠がなぞっていたあたりはとくに錆が多い。

(したからすうじゅっせんちにかけてぐるりとべつのもようがついているようなかんじだった。)

下から数十センチにかけてぐるりと別の模様がついているような感じだった。

(「なるほど」とつぶやいたあと、ししょうはしょういちさんにといかけた。)

「なるほど」と呟いた跡、師匠は章一さんに問い掛けた。

(「このさびがどのようにしてついたものか、つたわっていますか」)

「この錆がどのようにしてついたものか、伝わっていますか」

(「さび、ですか」)

「錆、ですか」

(しょういちさんはとまどったように「いいえ」といった。)

章一さんは戸惑ったように「いいえ」と言った。

(「なるほど、なるほど」とししょうはくりかえし、さびをゆびからはらっててをたたいた。)

「なるほど、なるほど」と師匠は繰り返し、錆を指から払って手を叩いた。

(「ではそのごうしのきろくをみせていただけますか」)

「ではその合祀の記録を見せていただけますか」

(それからつれだってはいでんのそばにあったしゃむしょにもどった。)

それから連れ立って拝殿のそばにあった社務所に戻った。

(じょうしきのへやにとおされ、しばらくまっているとしょういちさんが)

畳敷の部屋に通され、しばらく待っていると章一さんが

(まるめたあつがみをもってあらわれた。)

丸めた厚紙を持って現れた。

(「これはうつしですが」といってひろげたおおきなかみにはじんじゃのさいじんやゆいしょなどが)

「これは写しですが」と言って広げた大きな神には神社の祭神や由緒などが

(こまかいじでびっしりとかきこまれていた。うつしといっても)

細かい字でびっしりと書き込まれていた。写しと言っても

(こぴーのことではない。かきうつしたものということだ。)

コピーのことではない。書き写したものということだ。

(「ごうしのきろくは・・・・・と、ここからですね」ししょうがかみをゆびでなぞる。)

「合祀の記録は・・・・・と、ここからですね」師匠が紙を指でなぞる。

など

(「なるほど、めいじいこうのものだけですね。ごうししたのはななつか。)

「なるほど、明治以降のものだけですね。合祀したのは七つか。

(しゃかくはむしかそんしゃ・・・・・ほとんどがさいじんふしょうですね。)

社格は無しか村社・・・・・ほとんどが祭神不詳ですね。

(たんに「かみ」とよばれていたそんらくしゃかいのうじがみというわけだ。)

単に「カミ」と呼ばれていた村落社会の氏神というわけだ。

(きろくこうもくにけいだいつぼすうやしゃでんのけんすう、それにかんかつかんちょうまでのきょりまで)

記録項目に境内坪数や社殿の間数、それに管轄官庁までの距離まで

(かいてあるということは、おそらくめいじじゅうにねんの「じんじゃめいさいちょう」づくりのための)

書いてあるということは、恐らく明治十二年の「神社明細帳」づくりのための

(とりしらべのさいにさくせいされたきろくでしょう」)

取調べの際に作成された記録でしょう」

(ししょうはぼくに、めいじの「じんじゃせいり」にかんするかんたんなせつめいをしてくれた。)

師匠は僕に、明治の「神社整理」に関する簡単な説明をしてくれた。

(どうやらめいじのしょきに、それまでらんりつしていたぜんこくかくちのさまざまなじんじゃを)

どうやら明治の初期に、それまで乱立していた全国各地の様々な神社を

(こくさくとしてしらべあげ、ぶつぞうをごしんたいにしているようなじんじゃをあらためさせたり、)

国策として調べ上げ、仏像を御神体にしているような神社を改めさせたり、

(ゆいしょもさいじんもはっきりしないようなちいさなじんじゃを、)

由緒も祭神もはっきりしないような小さな神社を、

(きんりんのじんじゃにごうしさせたりしてとうはいごうをすすめることで)

近隣の神社に合祀させたりして統廃合を進めることで

(ちいきのじんじゃのきのうをさいせいさせようとしたのだという。)

地域の神社の機能を再生させようとしたのだという。

(このわかみやじんじゃもごたぶんにもれず、そうしたきんりんの「かみ」たちを)

この若宮神社もご多聞に漏れず、そうした近隣の「カミ」たちを

(ごうししてきたれきしがあった。)

合祀してきた歴史があった。

(ごうしされたかみは、おもにさきほどみてきたまっしゃにまつられているそうだ。)

合祀されたカミは、主に先ほど見てきた末社に祀られているそうだ。

(「ごうしされたななしゃは、どれもはいでんもないようなちいさなじんじゃですね。)

「合祀された七社は、どれも拝殿もないような小さな神社ですね。

(すみこみのかんぬしなどいなかったでしょう。まつりなどのさいには)

住み込みの神主などいなかったでしょう。祭りなどの際には

(おそらくこちらのわかみやじんじゃからかんぬしがでむいていたのではないですか」)

恐らくこちらの若宮神社から神主が出向いていたのではないですか」

(ししょうのすいそくにしょういちさんはうなずいた。「そうきいております」)

師匠の推測に章一さんは頷いた。「そう聞いております」

(けっきょくこのまつのきさとでは、かみさまにかかわるぎょうじはすべてこのわかみやじんじゃが)

結局この松ノ木郷では、神様に関わる行事はすべてこの若宮神社が

(かかわっていたということのようだ。)

関わっていたということのようだ。

(「このわかみやじんじゃはせんぐうもありませんね」)

「この若宮神社は遷宮もありませんね」

(「はい。ずっとこちらに」)

「はい。ずっとこちらに」

(「とかののしゅうへんにぶんしゃなどもないときいていますが」)

「とかのの周辺に分社などもないと聞いていますが」

(「そのとおりです。ございません」)

「その通りです。ございません」

(しょういちさんはそういったあと、しんちょうにつけくわえた。)

章一さんはそう言った後、慎重に付け加えた。

(「すくなくともわたくしどもははあくしておりません」)

「少なくとも私どもは把握しておりません」

(ししょうはしばらくしゃむしょのてんじょうをながめていた。そしてゆっくりとくびをもどし、)

師匠はしばらく社務所の天井を眺めていた。そしてゆっくりと首を戻し、

(「よく、わかりました」)

「よく、分かりました」

(といってこしをうかせた。)

と言って腰を浮かせた。

(「ありがとうございました」)

「ありがとうございました」

(そういってあたまをさげたので、ぼくはおどろいてそでをつつく。)

そう言って頭を下げたので、僕は驚いて袖をつつく。

(「もういいんですか」)

「もういいんですか」

(「もういいんだ。きけることはきいた」)

「もういいんだ。聞けることは聞いた」

(おいとまします。)

おいとまします。

(ししょうがそういうと、しょういちさんは「そうですか」とおなじようにあたまをさげ、)

師匠がそう言うと、章一さんは「そうですか」と同じように頭を下げ、

(「あまりおちからになれませんでした」とかたいひょうじょうでくちにした。)

「あまりお力になれませんでした」と硬い表情で口にした。

問題文を全て表示 一部のみ表示 誤字・脱字等の報告

蛍☆のタイピング

オススメの新着タイピング

タイピング練習講座 ローマ字入力表 アプリケーションの使い方 よくある質問

人気ランキング

注目キーワード